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歯に貼るだけで食べた物が分かる超小型デバイス開発

歯に貼り付けるだけで食べた物や飲んだ物を識別するセンサーチップを搭載した超小型のウェアラブルデバイスが開発された。このデバイスを歯の表面に装着すると、摂取した食物や飲料に含まれるグルコースや塩分、アルコールの情報が無線で携帯型デバイスなどに送信されるという。詳細は「Advanced Materials」3月23日オンライン版に掲載された。

 このデバイスを開発したのは米タフツ大学工学部教授のFiorenzo Omenetto氏ら。同氏らによると、これまでにも摂取した食べ物や飲み物の情報が分かるウェアラブルデバイスは開発されていたが、マウスガードや配線が必要で、劣化しやすく頻繁に交換が必要であるなど、さまざまな欠点があった。

 Omenetto氏らが今回、開発したのはわずか2mm四方の超小型デバイスだ。このデバイスは凹凸のある歯の表面にもぴったりと貼り付けることができるしなやかな素材でできているという。デバイスの中心部には栄養素やさまざまな化学物質を吸収する「生体反応層」があり、これを二種類の四角形のリング状になった金の層がはさんだ三層構造。これらの層は小さなアンテナのように電波を送受信する。

 Omenetto氏らによると、将来的にはより幅広い種類の栄養素や化学物質をターゲットにできるよう改造することも可能だという。また、同氏は「このデバイスは既に広く普及しているradio frequency identifier(RFID、ICタグなどを使用した無線通信による情報通信技術)を応用したものだ。歯だけでなく、皮膚など他の身体の部位に装着し、その部位における情報を読み取り、携帯型デバイスなどに情報を送信することも不可能ではない」と説明。「この新しいデバイスは、さまざまな用途で活用できるはずだ」と期待を示している。

噛み合わせの話

噛み合わせを気にしたことはありますか?
審美の面から歯並びを気にする方はたくさんいらっしゃいますが、
「右側が噛みにくいから、しばらく左側で噛んでいる」などと
少し噛みにくさを感じるいくらいでは、歯科医院に行かない方も
かなりいらっしゃるのではないかと思います。

噛み合わせが狂う原因の一例は
・むし歯や歯周病などで、片側が痛くて噛めなくて、
 痛くない側ばかりで噛んでいる
・新しく入れた銀歯などが、対合する歯に当たる
・歯ぎしり
・入れ歯が合っていない などです。

噛み合わせの違和感を放っておくと、いろいろと悪影響があります。
噛み合わせが合っていないというのは、上あごと下あごが
きちんと合っていないということです。
下あごと上あご(頭蓋骨)は筋肉で繋がっているため、
噛み合わせが合っていないと、筋肉が重い頭部を支えようとして過度に緊張します。
長い期間、筋肉の緊張が続くとバランスが崩れて骨格の歪みの原因になり、
内臓疾患や肩こり、腰痛、不定愁訴を引き起こすこともあります。

見た目にも影響あり、噛み合わせが悪い、片側ばかりで噛むといった状態は、
顔の歪み、たるみに繋がり老け顔の原因にもなるのです。

自覚症状がある方はもちろん、肩こりや頭痛などの不定愁訴が続いている方も
一度、歯科医院で噛み合わせが正常か確認してもらうといいかもしれませんね。

▼参考:日本機械学会論文集『力学場を介した歯と体全体のつながり』
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h0bmyir0utmbaq44g05Rd

オンライン診療、初診・新処方の場合は「対面」 厚労省が指針案

スマートフォンなど情報通信技術を使って、離れた場所にいる患者を診る「オンライン診療」について、厚生労働省は9日、初の指針案を示した。

 初診時や新たに薬を処方する際は原則、対面診療を行い、患者との関係ができてからオンライン診療を行うなど、医師が守るべき事項を列挙した。オンライン診療を対面診療の補完と位置づけ、適切な普及につなげるのが狙いだ。

 指針案では、その他、実施前に患者に利点と不利益を説明し、オンライン診療で行う治療内容について合意を得ることと注意を促した。なりすましを防ぐため、医師は運転免許証などで患者が本人かどうか確認するとしている。

 医療機関は4月から生活習慣病の診療や在宅医療などの分野でオンライン診療に診療報酬を請求できるが、指針の順守が求められる。

(YOMIURI ONLINE yomiDr. 3月9日より)

地域ぐるみで協力も

厚生労働省の調査によると、全国の病院のうち、掲げる診療科目の中に歯科系がある施設は約2割にとどまる。院内に歯科がない病院では、地域の開業歯科医との連携が入院患者の口腔ケアに大切になってくる。この取り組みで成果を上げているのが、山梨県甲州市の塩山市民病院だ。

 連携は約10年前から始まった。地域の歯科医は、かかりつけで診ていた患者が病気になって入院すると、歯科治療が中断されるという悩みがあった。退院に向けた食生活の支援にも、入院中からの口腔リハビリが欠かせない。「空白期間をどうすればなくせるか」と模索していたところ、市民病院の多和田眞人副院長(現院長)が理解を示してくれた。

 ただ、病院の医師は、地域のどの歯科医に協力を頼めばいいか分からない。そこで歯科医師会の世話役で、口腔ケアに詳しい中村弘之さんが中心となって開業歯科医を紹介することになった。病院の看護師が必要と判断すれば、院内の口腔ケアチームを通じて歯科医師会にマッチングを依頼する。現在は地域の7割の歯科医が連携に加わっている。

 市民病院のエレベーターには、歯科医や歯科衛生士が院内に出入りすることを知らせる紙を貼った。半年前からは歯科医や歯科衛生士が訪問する患者のベッド脇にノートを備え、歯科医らと看護師の情報共有がより緊密になったという。

 角田千春・総看護師長は「歯科を受診していない人の相談も気楽にできるようになった。また、以前は入院患者の容体が悪いと歯科衛生士にはケアに入るのを遠慮してもらっていたが、今は終末期でも口をきれいにしようという考えに病院が変わってきた」と、連携の効果を訴える。【有田浩子】

 ◇入院日数短縮で医療費抑制 報酬改定で後押し 厚労省

 がんなどの手術前後に行う口腔ケアには、12年度の改定から診療報酬が付くようになった。千葉大病院などの先進的な取り組みから、誤嚥(ごえん)性肺炎などの合併症を防ぐ効果があることが分かってきたからだ。それ以前は口腔手術の入院患者に限って点数が付いたが、12年度以降はケア計画の策定、入院中と前後のケアなどが、それぞれ評価されている。

 導入後の厚労省調査(13年度)では、院内歯科のあるなしに関わらず約7割の医療機関が、口腔ケアが手術後の感染症予防に「役立った」と回答している。入院日数の短縮に役立ったとする評価も2~3割あった。実際、千葉大病院の04~13年の実績では、歯科口腔外科、心臓血管外科、消化器外科などで、口腔ケアをした患者の入院日数が短くなり、短縮効果は1割以上だとの結果が出た。入院日数が減れば、医療費抑制にもつながる。

 手術前後の口腔ケアは、その後も2年に1回の診療報酬改定のたびに対象者や報酬が拡充されてきた。ケア計画の策定回数は右肩上がりで、導入時の3579件から16年度には1万7495件に増加。16年度の9割以上は院内歯科での取り組みで、歯科診療所は4%あまりにとどまるが、前年度の1・8倍に増えている。

口のケアと健康:/上 がん治療、院内歯科と連携

口とがん治療。ピンとこないかもしれないが、近年の調査研究で、口腔(こうくう)ケアとがんを含めた全身の健康には密接な関係があることが分かってきている。だが病気になると、歯や口のことは二の次になりがちだ。医療や介護の現場での取り組みを、2回に分けて報告する。

 ◇術後の合併症予防などに効果

 「ランマークって書いてありますけど、歯科は通してますか?」。大阪国際がんセンター(大阪市)で週1回、主に口やのどのがんを扱う頭頸(とうけい)部外科の治療方針を話し合うカンファレンスで、歯科の石橋美樹副部長が担当医に尋ねた。

 「ランマーク」は、骨に転移したがんの進行を防ぐための薬剤だ。これを投与した後に抜歯をすると、あごの骨が腐る危険がある。投与前に歯の状態をチェックし、必要なら先に抜歯しておくのが望ましい。

 口腔外科専門医資格を持つ石橋副部長と歯科衛生士2人という陣容の歯科が院内に置かれたのは、昨年4月。頭頸部外科の藤井隆主任部長は「設置効果は絶大。放射線治療や手術などの際には口の状態をしっかり管理することが大切だが、急な対応も可能になった」と話す。何よりがん治療チームの一員として、患者の情報を共有できるのが最大のメリットという。

 歯科の関わりは、頭頸部のがんだけではない。全身麻酔手術では気管内にチューブを挿入するが、口の中の汚れが肺に押し込まれると肺炎の原因になる。抗がん剤治療をすると、口の中が荒れて食事が取りにくくなるほか、抵抗力が落ちて虫歯や親知らずなどから菌が入り込み、命に関わることもある。

 院内歯科が置かれる前は、手術前に歯科治療の必要性の高い患者だけ近隣の歯科医院に行ってもらっていたが、予約や治療に時間がかかると、がん治療の開始が遅れる要因にもなっていた。「一番不利益を被るのは患者さん。口が原因でがん治療が止まることはあってはならない」と石橋副部長は話す。

 センターの看護師は独自に口腔ケアを学んで対応してきたが、2013年にオーラルケアチームが置かれ、看護師、薬剤師と非常勤の歯科衛生士が週1回、肺炎のリスクの高い患者や放射線治療を受けた患者らの病棟巡回を始めた。歯科設置後は、巡回の情報を担当医や石橋副部長も共有し、医科と歯科の連携に万全を期す。

 地域の歯科医との連携にも力を入れる。石橋副部長によると、医科と歯科では、それぞれでは当たり前の略語が通じなかったり、文書だけでは依頼の意図がうまく伝わらなかったりすることがあるという。「在宅に移行した患者を診る地域の歯科医と、病院の医師の橋渡しが必要。つなぐのが病院歯科の役割だ」と話す。

子だくさんの母親は歯を失うリスクが高い?

 伝承童謡の「マザー・グース」でも歌われているように、昔から「子どもが増えると親は歯を失う」といわれてきたが、その科学的な根拠はなかった。そこで、Gabel氏らは今回、欧州27カ国およびイスラエルで実施されている大規模調査Survey of Health, Ageing, and Retirement in Europe(SHARE)のデータを用い、子どもの数と親の欠損歯数との関連について検討した。

 解析対象は、第5回調査(2013年)の対象となった欧州14カ国およびイスラエルの50歳以上の男女3万4,843人(平均年齢67歳)。健康な人には通常、親知らずを含めて32本の歯があるが、対象者では平均10本の歯を欠損していた。

 解析の結果、対象者が高齢になるほど欠損歯が増え、50~65歳の女性では平均6.7本、80歳以上の男性では平均19.3本を欠損していた。また、同じ性別の子どもを2人産んだ後に3人目を産んだ女性では、性別の異なる子どもが2人いる女性と比べて残っている歯の本数が平均4.27本少なかった。一方、男性では子どもの数による歯の欠損への影響は認められなかった。さらに、学歴が高い女性と比べて低い女性では残っている歯が少ない傾向も認められた。

 この結果を踏まえ、Gabel氏らは「妊婦や育児中の女性をターゲットに口腔衛生の維持や歯の健康に良い栄養の摂取、定期的な歯科検診の受診を推進する取り組みを強化することが、合理的な戦略となるのではないか」と指摘している。

 ただし、今回の研究は子どもを3人産んだことが原因で歯を失うという因果関係を証明したものではない。また、特定の家族構成である男女を対象としており、規模も比較的小さいため、Gabel氏らは慎重な解釈を求めている。さらに、女性の歯の欠損に影響する因子が妊娠関連のものなのか、あるいは育児に関連したものなのかについても、今後の研究で明らかにする必要があるとしている。

口臭の原因となる硫化水素を産生する酵素の立体構造と反応機構を解明-岩手医大

岩手医科大学は3月1日、健常者を含め多くの成人で検出される歯周病菌に特有の硫化水素産生酵素「Fn1055」に着目し、この酵素の立体構造と反応機構を明らかにしたと発表した。研究成果は、英科学誌「Biochemical Journal」に掲載されている。

 口腔内の硫化水素濃度と歯周病の進行度の間には高い相関があり、臨床現場では、患者の口腔内の硫化水素濃度を測定し、口臭や歯周病の程度を判定する指標としている。硫化水素は、歯周病菌が作る「硫化水素産生酵素」により、主にシステインというアミノ酸から作られる。これら酵素の反応機構の解明は、口臭や歯周病に関与する硫化水素産生の根本的な理解につながるという。

 研究グループは、「硫化水素産生酵素特異的な阻害剤の開発に寄与すると考えられ、新たな洗口液成分の開発にもつながることが期待される」と述べている。

(医療NEWS 3月6日より)

骨と同じ成分の人工骨を開発 インプラント治療に活用 九州大など

九州大大学院歯学研究院の石川邦夫 教授(生体材料学)らのグループは、骨の主成分である「炭酸アパタイト」と同じ成分の人工骨を世界で初めて開発したと発表した。歯科インプラント用に使える人工骨として昨年12月に薬事承認を得られ、2月21日に国内販売を開始。顎骨欠損部に埋め込めば速やかに骨に置き換わるという。

 研究グループは、カルシウムやナトリウムの化学反応で顆粒(かりゅう)状の炭酸アパタイトを開発。顆粒を骨欠損部に詰め、上皮を縫合するだけで、既存の骨が周辺で新生されるとともに、顆粒そのものも骨に置き換わるという。実際のインプラント治療22症例の全てで骨に置き換わっていた。

(西日本新聞社 3月14日より)

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