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災害時に備えて知っておきたい 命を守る口腔ケア ~誤嚥性肺炎の怖さ~

震災を教訓に被災者の口を守る歯科支援をスタート
 阪神・淡路大震災が発生した1995年、神戸市長田区の病院に勤務されていた足立先生。ご自身も病院も被災する中、いち早く歯科診療を再開したものの、避難所で生活していた高齢者が、環境の変化などにより亡くなってしまう経験をしました。「震災が直接原因になったのではなく、災害後に病気が悪化して亡くなった震災関連死が921人。その内の223人、約1/4の方の原因は肺炎でした。なぜそうなるのか?わかったのが4年後です」。そう語る先生が衝撃を受けたのは、1999年に発表された口腔ケアの第一人者、米山武義氏の論文です。2年間にわたる追跡調査で、しっかりと口腔ケアを行えば、高齢者の誤嚥性肺炎を予防できると、世界で初めて実証したものでした。誤嚥性肺炎とは、多くの高齢者の死亡原因になる病気。足立先生は当時の症状を調べ、震災後に急増した肺炎の多くが、誤嚥性肺炎だったことを確信しました。
 「災害で命が助かっても、その後の口腔ケアが行き届かないと、肺炎で命を落とすこともある。震災時にそれを認識して、組織的に歯科が関わっていたら関連死はもっと少なかったのではないか?」という強い思いから、被災地での歯科支援の取り組みを本格的に開始。その活動は2004年の新潟県中越地震での口腔ケアにつながります。足立先生たちの提言をもとに、新潟県では避難者に徹底した口腔ケアが行われ、関連死における肺炎の割合は、阪神・淡路大震災のときの24.2%から、15.3%まで減少しました。

被災後に増える誤嚥性肺炎を防ぐためにまず口腔ケアを!
 そもそも、なぜ避難所生活で肺炎が増えるのでしようか。「誤嚥」は、のどの筋肉や反射機能が低下し、食べ物や唾液が誤って気管に入ること。そのために口の中の最近が肺に入って増殖し、炎症を起こすのが「誤嚥性肺炎」です。災害時にこの肺炎が増える主な要因は、①口の中の細菌が増える②抵抗力が低下する③嚥下機能(飲み込む機能)が低下する、という3つ。断水によって歯磨きができなければ、口腔環境はみるみる悪化します。水が供給されても限りがあるため、避難所では口腔ケアが後回しにされがち。高齢者には人前で入れ歯を出すのが恥ずかしくて、何日も口に入れたままという方も多く、これでは口の中の細菌が爆発的に増えてしまいます。また、被災時に入れ歯をなくしたり、普段とは違う慣れない食事で歯ぐきを傷つけたり、食べ物をきちんと食べられない方も多いそう。口や歯の痛みを除去し、迅速な対応で被災者の歯と口の健康を守る歯科の支援は、生きる基本でもある「食べるための支援」でもあるのです。
 災害のストレス、集団生活による睡眠不足や疲労の上に栄養不足が重なると、抵抗力はたちまち低下。肺炎のリスクもグンと高まってしまいます。

8020高齢者の歯のコンクール

80歳以上(昭和12年4月1日以前に生まれた方)で自分の歯が20本以上ある方の中で、特に歯が健康な方を表彰します。
 
申込 8月4日(金)までに、住所・氏名・生年月日・電話番号をはがきに記入し、上川中部地域歯科保健推進協議会(〒070-8525 7の10 第二庁舎3階)
詳  同協議会(健康推進課内 ℡25-6315)

「傷に唾」の証左判明?!

「そのくらいの傷なら唾を塗っておけば治る」は本当だった?!ヒトの唾液に多く含まれるペプチドであるヒスタチン1やヒトの唾液をニワトリやヒトの培養細胞に添加すると、内皮細胞の接着や遊走、血管新生を促進するとの実験結果が報告された。米国実験生物学会連合がFASEB Journalの掲載論文を紹介した。

 口腔内の創傷の治癒が他の部位に比べ、早いことが知られており、唾液が創傷治癒メカニズムの一部を担うと推定されてきたが、詳しい機序は分かっていない。

 研究グループは今回、ニワトリやヒトの培養細胞を用いた実験で、唾液に含まれるヒスタチン1や唾液が内皮細胞の接着や血管新生の促進など創傷治癒に関わる作用を持つことを証明した。FASEB Journal編集長は「この検討により創傷治療がさらに進化するかもしれない」と評価。「動物や子供が傷を舐める行為に潜む意義を思い出させてくれた」と述べている。

「8020健康長寿社会」実現

平成28年歯科疾患実態調査(平成28年10~11月実施)の結果(概要)が6月2日(金)、厚労省より公表され、8020を達成した者の割合は前回調査の40.2%から11.0ポイント増の51.2%と、初めて50%を超えた(75~84歳の8020達成者の割合から推計)。

「歯科保健医療充実に取り組むべき」

日歯は5月25日(木)、第18回理事会終了後に定例記者会見を歯科医師会館で開催し、第8回経済財政諮問会議(5/23)において民間議員から「歯科保健医療の充実を図るべき」との提言されたことを報告した。その後、政府は6月9日(金)、来年度の予算編成に向けた「経済財政運営と改革の基本方針2017(骨太方針)」を閣議決定し、社会保障分野に「生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む」との文言が明記された。
                        日歯広報 2017.6.15 1687号

失ってから後悔したものの1位は「歯」。歯並びと残存歯数の関係も明らかに

『アライン・テクノロジー・ジャパン』が60代以上男女400名を対象に行ったアンケート調査によると、シニア世代が自身のデンタルケアを省みた際に後悔をしている人が多いことがわかった。自身の体にちて、「変化してほしくなかったこと」や「失って後悔していること」を聞いたところ、歯と回答した人が61,3%。髪や体型をおさえて最も多い結果に。その理由として、「歯を失って食べ物がおいしくなくなったから」、「歯茎に物が挟まるようになった」、「硬いものが食べにくくなった」、「滑舌が悪くなった」などの回答が挙がった。加齢による歯の衰えを感じた年齢については、平均で57.1歳という結果に。また、現在残っている歯の本数について聞いたところ、歯並びが良い方だと回答した人の平均が21.9本、悪い方だと回答した人の平均が19.6本と、歯並びが良い人の方が歯の残存数が2本以上も多かった。 

薬用歯みがきのフッ化物配合濃度の上昇、1000ppmから1500ppmへの拡大が決定。

厚労省の歯科疾患実態調査によると、1987年より25年間、1987年より25年間、20~40代の成人1人あたりのむし歯の本数は減少している一方、むし歯を1本でも経験してことがある人の割合は以前として95%を超えたまま推移している。むし歯予防に最も有効な方法の一つとしてフッ素の活用がある。フッ素には、歯垢の細菌の活動を抑え酸が作られるのを抑制したり、溶けたエナメル質を修復する、歯質を強化するなど、むし歯を防ぐ様々な効果がある。予防歯科先進国のスウェーデンをはじめとした欧米では、歯みがきなどに配合するフッ素の配合濃度を国際基準である1500ppmを採用しているが、日本ではこれまで1000ppmが上限とされていた。そんな中、厚労省がフッ化物配合の薬用歯みがき類について、国際基準と同様、1500ppmを上限として商品を医薬部外品として承認した。

「食方箋」をテーマにした新発想。世界初の医学会が監修したレストラン。

 心身の健康のベースとなり、病気予防の第一歩ともいわれるほど正しい食事が重要だ。最近ますます日々の食事の重要性が高まっている。そんな中、5月29日、東京・神谷町に国際オーソモレキュラー医学会が監修するレストラン『医学会キッチンオーソモレキュラー』がオープンした。学会に所属し活動する約700名の日本の医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士たちの中から季節ごとに約10名が各々の研究に基づき、健康寿命長寿、ダイエット、アンチエイチングなどの効果を訴求したメニューのレシピを作成。クリニックでは伝えきれない食を通しての健康へのアプローチをする。また、食材に対する正しい理解と活用方法を学ぶ場として、効率の良い食べ方、調理方法なども提案。さらに、様々な注目食材も紹介する。
 今後は、「健康長寿を目指す」、「アンチエイチング」、「仕事のパフォーマンスを上げる食事」など、テーマごとにドクターによるセミナーと食事会を企画しており、科学的根拠に基づいた中立的な食の情報提供を行っていくという。医師たちが提案する新たな外食スタイルに注目したい。

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