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毎月8日は「歯ブラシの日」 沖縄県歯科医師会が決める

歯ブラシの大切さを沖縄県民に再認識させ、歯と口の健康づくりにつなげようと、県歯科医師会は毎月8日を「歯ブラシの日」とすることを決めた。今後は毎月8日前後にラジオなどを通して情報発信し、県民に歯の大切さを気づかせる取り組みを展開する。

 歯科医師会によると、2014年度に県内でむし歯のある3歳児の割合は30・2%(全国は17・7%)と全国で最も悪い。また13年度にむし歯のある児童生徒の割合も小中学校で70%台、高校で80%台で推移し、全国と比較すると17~26ポイント高い。15年度の調査では12歳児が永久歯にむし歯を経験した本数は平均で2・1本となり、全国の約2倍となっている。

 8日に記者会見した県歯科医師会の比嘉良喬会長は「歯を保つことはかむ力を維持するだけではなく、全身の健康保持・増進に寄与し、介護予防の面からも意義が認識されている」と述べ、幼少期から歯を保つ取り組みを続けることの大切さを語った。

劇症肝炎、乳歯神経幹細胞のタンパク質で改善

短期間で肝臓が壊死する劇症肝炎が、乳歯の神経(歯髄)の幹細胞にある2種類のタンパク質で改善することを突き止めたと、徳島大大学院医歯薬学研究部の山本朗仁教授(口腔組織学)らの研究グループが発表した。グループは新たな治療法の確立につながると期待している。

 劇症肝炎は、肝炎ウイルスや薬物などが原因で発症し、短期間で死に至ることもある。進行すると肝移植以外に治療法はないが、ドナーは不足しており、別の治療法開発が急がれている。

 山本教授や名古屋大の研究グループが劇症肝炎を発症させたマウスで実験したところ、ヒトの乳歯の歯髄幹細胞を培養した液を投与すると症状が改善した。

 グループは、他の幹細胞と比較して乳歯の幹細胞に多く含まれるタンパク質に着目。特定のタンパク質の働きを止めてマウスに投与することで、どのタンパク質が効果を上げているかを探り、2種類を特定した。2種類を同時に投与したときに効果を上げ、それぞれ単独では作用しないことも分かった。

 肝炎を発症させたマウスが何もせずに4日以上生存する確率は30%程度だったが、タンパク質2種類を一度静脈注射したマウスは肝障害が改善し、生存率が90%以上になった。

 名古屋大名誉教授で中部大生命健康科学研究所の古川鋼一所長(生化学・腫瘍学・糖鎖生物学)は「歯髄に存在する幹細胞は容易に入手でき、さまざまな疾患や病態に効果があることが知られている。今回、タンパク質2種類を突き止めたことで、難治性の劇症肝炎など炎症疾患の治療への応用が期待できる」と評価している。

 成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。

肥満や虫歯も生活苦が影響か…生活保護世帯の子供、厚労省が健康支援へ

生活が苦しい家庭の子どもほど肥満や虫歯が多く、生活習慣病を発症しやすいとみられる。子どもが適切な生活習慣を身につけるよう指導し、健康維持や将来の医療費抑制につなげる。

 想定では、自治体が乳幼児健診や学校健診を通じて、虫歯や肥満の子どもの存在や生活状況を把握。〈1〉栄養のバランスが取れた食事の作り方を助言〈2〉食事を無料や低額で提供する「子ども食堂」の情報を提供――など、親への働きかけを行った場合、同省が費用の一部を補助する。

 生活保護を受けている家庭の子どもの健康は、都道府県や市町村の担当職員も把握できていない。同省は、支援の効果を検証し、将来的には支援事業を全国に広げたい考えだ。

歯科保健対策の拠点に 「支援センター」を設置 静岡県庁

静岡県は25日、県民の歯科保健対策を総合的に推進する「ふじのくに口腔(こうくう)保健支援センター」を県庁内に設置した。市町や関係機関との連携を強化して歯や口の健康を守り、健康寿命の延伸につなげる。

 歯科医師と歯科衛生士が常駐し、虫歯や歯周病を持つ人の割合など歯科保健に関する統計分析▽口腔機能低下で栄養摂取が難しくなる「オーラルフレイル」対策▽歯科保健計画の管理▽市町事業に対する技術的支援▽研修や会議の実施―などに取り組む。石田貴医療健康局長がセンター長を務める。

 県庁で山口重則健康福祉部長、柳川忠広県歯科医師会長、森野智子県歯科衛生士会長らが看板を除幕した。山口部長は「センターが中核的な役割を担い、県民の口腔機能の維持に努める」、柳川会長は「センターと連携し、地域だけでは解決できない課題をサポートする態勢をつくりたい」とあいさつした。

受動喫煙は歯の健康も脅かす

歯科医師 原田尚也(北海道 65)

 公共の場での屋内全面禁煙を、と訴える社説「たばこ対策 五輪にともる黄信号」(17日)に同感である。私は歯科開業医だが、40年近く臨床を経験するなか、喫煙はもちろん受動喫煙が、口の中の健康に悪影響を及ぼす症例を多く見てきた。

 歯茎が黒くなっている小児患者は、親がヘビースモーカーという例が多い。副流煙に含まれるタールが沈着している可能性が強いと思われる。以前、真面目に治療に通ってくるのになかなか歯周病が改善せず、歯茎が黒い非喫煙の患者がおり、よく聞くと職場の同僚のほとんどが喫煙者だった、という例にも出合った。

 ニコチンは血管を収縮させ末梢(まっしょう)血液の循環量を減らし、細胞の新陳代謝を妨げることから歯周病を進行させる。喫煙者だけでなく、受動喫煙でも歯周病のリスクが高まることは、国立がん研究センターの疫学研究で明らかになっている。全身の健康状態に悪影響を及ぼすことは疑いの余地がない。

 国民の健康寿命を延ばしたいと考えるのであれば、禁煙のきっかけとして「たばこのない五輪」は良い機会になると思う。ぜひ「屋内全面禁煙」を目指して欲しい。2017年4月21日 (金)配信朝日新聞

歯の治療 障害者も気軽に

発達障害や身体障害を抱える人を治療する「みき歯科 三越通りクリニック」が、高松市丸の内にオープンした。障害者を積極的に受け入れる個人の歯科医院は香川では少なく、患者が受診をためらって治療が遅れるケースも多いという。院長(34)は「みんなが気軽に通えるクリニックにして、症状に合った診療を心がけたい」と意気込む。(福元淳也)

 「怖くないですよ。もう少し口を開いてくださいね」。19日、三木院長とスタッフは折れた前歯の治療に訪れた40歳代の女性に優しく声をかけ、差し歯用の歯型を取った。女性は高松市内の障害者福祉施設に入所しており、施設の看護師(58)は「丁寧に診察してもらえ、本人も喜んでいる。障害者を受け入れる歯科医院は少ないのでとても助かります」と喜んだ。

 クリニックのオープンは17日。院長は2009年4月~今年3月、高松市のかがわ総合リハビリテーションセンターで障害者の診察にあたった。
 専門医を志した原点は、過去に経験した自閉症の患者に対する治療。16歳くらいの少年が暴れて虫歯治療を拒絶したため、両腕をネットで拘束して、頭が動かないようスタッフに頭を押さえつけてもらいながら治療した。強烈な経験は夢にまで再現されて三木院長を苦しめ、「どうやったら気持ちよく診察してもらえるのか」と考えるようになったという。

 同センターに勤務しながら、香川大大学院で自閉症をはじめ、脳性マヒや脳血管障害など、症例ごとの対処法を学んだ。リラックスして口を開けてもらえるよう、手先から肘、肩、首をさする技術も身につけた。

 院長は「診察時には、患者やその家族とのコミュニケーションも心がけました」と振り返る。診察時に動けば口の中を大けがする危険性や、治療しなければかみ合わせがずれて顎関節症になったり、菌が血管に入り込んだりする可能性も丁寧に説明したという。歯磨きができなかった女児には、ブラシの使い方をパネルも用いて何度も指導し、習慣づけた。

 「患者の人格を尊重しながら診察できるようになった」と手応えを感じ、独立に踏み切った。

歯周病予防、無料で検診 大洗町

大洗町は本年度から、一定の年齢に達した町民を対象に、歯周病検診を無料で実施する事業に乗り出す。心疾患などのリスクを高めるとされる歯周病を予防することで、将来の医療費を軽減するとともに、町民の健康意識を高めるのが狙い。本年度当初予算には約61万円を盛り込んだ。

 町健康増進課によると、対象となるのは、本年度中に40、50、60、70歳を迎える町民。対象者には、6月をめどに案内を郵送する予定で、町が指定した歯科医院で検診してもらう。

 町の担当者は「歯周病は口腔(こうくう)内だけでなく、心筋梗塞など他の病気への影響も指摘されている。検診を通して健康全般に気を使っていただければ」と話している。

歯にレンズ埋め移植手術、視力回復 シドニーの眼科病院

自分の歯にレンズを埋め込み、移植して視力を回復――。こんな珍しい手術が、オーストラリア・シドニーの眼科病院で行われた。手術を受けた2人は、ほとんど物が見えない状態から視力が回復したという。地元紙サンデーテレグラフが16日、伝えた。

 同紙によると、手術は、角膜の障害が原因で視力を失った人たちが対象。豪南東部ゴールバーン在住の男性、ジョン・イングスさん(72)と北東部ケアンズの女性レオニー・ガレットさん(50)の2人が受けた。

 手術では、最初に2人の歯を抜いて穴を開け、プラスチック製のレンズを埋め込んだ。その歯をほおの内側に縫い付け、3カ月ほどして歯が、抜かれる前のように自ら組織を作ることができるようになった時点で眼球に移植。自分の歯を使うため、移植に伴う拒絶反応は起こらず、2人の視力は復活した。

 イングスさんは「手術前には、もう何も見えなくなってしまうのだろうと思っていた」と同紙に語った。同種の手術は南半球では初めて。欧米では手術例があり、主治医の2人は、2004年以降に数件の手術が行われたドイツで学んだ。09年には米国での初めての手術が報道されている。

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