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食道癌予後不良に腸内・口内細菌関与

熊本大学大学院生命科学研究部の馬場秀夫教授の研究グループは、腸内や口腔内に生息する細菌「フソバクテリウム」が、食道がんの予後の不良に関与することを突き止めた。患者のがん組織を調査し、DNAの解析など行い、同細菌が多く存在すると、炎症性たんぱく質に関連する遺伝子群が変動することが分かった。ヨーグルトや乳酸菌飲料などのプロバイオティクスス(腸内に良い影響を与える微生物)や腸内環境を整える機能性素材を摂取し、腸内細菌叢(フローラ)バランスを改善することが予後を良好に保つ一つの対策として可能性が考えられる。

 研究グループは、熊本大学医学部附属病院で手術を受けた食道がん患者325人の承諾を得て、切除されたがん組織と非がん組織(正常組織)からDNAを抽出。遺伝子の定量を調べられるリアルタイムPCR法を用いて組織内のフソバクテリウムを検出したところ、がん組織からは正常組織よりも有意に多くの同細菌のDNAが検出された。がん組織から同細菌が検出された患者は、325人中74人で、約23%を占めていた。

 がん組織から同細菌が検出された患者と検出されなかった患者の2グループに分け、手術後の生存期間を比較。その結果、同細菌が検出された患者グループは、検出されなかった患者グループに対し、有意に生存期間が短かったことが分かった。

 次に、同細菌陽性と陰性の食道がんから抽出したRNAを用いて、遺伝子解析による遺伝子の変動を調査。同細菌陽性患者では、炎症を促すたんぱく質(炎症性サイトカイン)に関連する一連の遺伝子群が変動していることを確認できたとしている。これらデータを詳細解析すると、「CCL20」や「CXCL7」といった白血球の輸送に関するたんぱく質(ケモカイン)の遺伝子の量が増加していることが分かった。

 今回の研究から口腔常在菌である同細菌がケモカインを介して、食道がんの進展に関与している可能性が示唆された。同細菌は腸内フローラにおいて優位な存在ではないが、大腸がん組織から高頻度で検出され、大腸がんの進展に影響を与えている可能性のあることが報告されている。

 口腔に近い食道のがんでも悪影響にかかわるとみられ、同細菌の詳細な解析と役割を解明することで新たな対応法が探究できる。その一つとして考えられるのが腸内フローラの改善。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉細菌を増やすことが予後の状況改善に導く可能性がある。

 昼休は、訪問歯科診療のため不在です。

医師免許がないのにがん患者らに注射などの医療行為をしたとして、医師法違反などの罪に問われた被告の歯科医師(59)に、東京地裁は28日、懲役2年、執行猶予4年、罰金800万円(求刑懲役2年、罰金1100万円)の判決を言い渡した。

 裁判官は「未承認薬を患者に点滴注射して半年間に1300万円もの報酬を得ており、酌量の余地はない」と指摘した。

 判決によると、2013年9月~14年3月、東京都のメディカルクリニックで37回、がん患者ら男女6人に点滴注射をしたほか、コンサルタント料を支出したように装い、法人所得を11年8月期までの2年間に約1億4400万円圧縮、約4300万円を脱税した。

独自の口腔ケアで誤嚥性肺炎を防ぐ精田紀代美さん 「時の人」

安価な道具を使った歯磨きや舌の掃除、指による頬の内側のマッサージ...。簡単な口腔(こうくう)ケアを考案し、7年前から地元の富山県内の高齢者施設で指導。唾液中の細菌などが引き起こす誤嚥(ごえん)性肺炎を激減させた。

 「口腔の機能を維持すれば、誤嚥性肺炎を防げるとは思ってたけど、こんなに効果があるとは。びっくりした」と笑う。

 独自の技法を編み出したのは、施設に依頼され、入居者のケアを自ら手掛けたのがきっかけ。「あたしたちがたまに行くんじゃ間に合わない。施設のスタッフが誰でもできるようにしないと」。専任を置かず、スタッフ全員が行うよう求める。「同じことばかりやってたら、嫌になるから」

 歯科衛生士として長年、県内各地の保健所に勤務。県庁に異動しデスクワークに就いていたとき、バイク事故に遭った長男が「やるべきことをやってないから、死ねんかった」とつぶやくのを聞いた。「あたしもやるべきことやってるか。現場に行かんならん」。退職して「人の口をきれいにする仕事」を始めた。

 簡単な口腔ケアを広めるため、全国各地で講座を開き、資格認定にも乗り出した。漫談風にケアを解説する「爆笑ライブ」の舞台にも立つ。

 精力的な活動のエネルギー源は、歯科衛生士の職能を確立したいとの思いだ。「治療を担う歯科医師の補助ではなく、予防の専門家として認めてほしい。そうなれば質も良くなる」

 富山市で夫と2人暮らしの66歳。ストレス解消策は庭の草むしりという。

がん治療前には口腔管理が定着するように

がん治療前に歯科治療や口腔管理を受け、術後合併症や口腔トラブルを起きにくくすることが大切です。20112年4月に周術期口腔機能管理が保険診療で導入されてから、医科歯科間でこのような文言がでるようになりました。がんの治療で悩まされるのが全身的な副作用に加え、口腔内に起こる副作用いわゆる口腔トラブルです。口腔粘膜炎、歯性感染症、顎骨壊死、口腔乾燥、味覚異常などこれらは患者さんを非常に苦しめ、経口摂取困難、睡眠の妨げ、体力低下など、がん治療において非常に悪影響を及ぼすといわれています。

カロナール錠の使用禁忌

鎮痛剤カロナールの使用説明書に下記の禁忌が記されています。
(ネットで検索可能です。)

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1. 消化性潰瘍のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
2. 重篤な血液の異常のある患者[重篤な転帰をとるおそれがある。]
3. 重篤な肝障害のある患者[重篤な転帰をとるおそれがある。]
4. 重篤な腎障害のある患者[重篤な転帰をとるおそれがある。]
5. 重篤な心機能不全のある患者[循環系のバランスが損なわれ,心不全が増悪するおそれがある。]
6. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
7. アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられる。]

整形外科学会が歯科の抗菌薬適正指針【米国整形外科学会】

米国整形外科学会(AAOS)は9月28日、人工関節や整形外科インプラントの使用患者に対する歯科処置時の抗菌薬適正使用基準を発表した。

 同学会によると各種関節置換術や整形外科インプラント留置を受けた患者の大部分で、歯科処置に伴う感染のリスクはない。しかし、AIDSなど重度の免疫不全やコントロール不良の糖尿病、化学療法の実施歴や直近の人工関節感染歴、さらには一部の関節リウマチ治療薬や臓器移植後の合併症予防薬などを使用している場合には歯科処置前の抗菌薬予防投与が考慮される。

 今回の指針作成に当たっては、14人の整形外科医、歯科医、口腔外科医ならびに疫学者から成る投票委員会を設置。患者背景や歯科処置の内容別に設定された64のシナリオに対し、抗菌薬使用が適切かどうかを1から9点のスコアで評価し作成された。

 同学会関係者は「術後感染は非常に危険であり、外科医や歯科医は最も高リスクの患者に対しては過度に慎重な対応をとることが多い」と指摘。今回の指針により人工関節使用患者の抗菌薬使用量を減らす一方、同薬使用を考慮することが妥当な場合を医療従事者に示せればと述べている。

「えっ…」笑う3歳、歯ぼろぼろ 白米さえ「硬い」に里親驚き

「えっ…」。児童相談所を通し、里子として預かった3歳10カ月の男児がニコッと口を開けて笑った瞬間、沖縄本島南部の女性は言葉を失った。

 まともな歯は1本もなく黒ずんだ根元だけが残っていた。痛がることはないが、プリンやヨーグルトなど軟らかい食べ物を好み、硬いものは食べられない。白米さえ硬いと嫌がった。

 男児は1歳の弟、0歳の妹と共に女性宅に預けられた。それまでは、男児の4歳上の長女が、育児放棄気味の両親に代わり3きょうだいの面倒を見ていた。

 主食は菓子パンやラーメン、コーラ。長女や男児が近所の弁当屋の「お手伝い」をして、売れ残りをもらうこともあったという。0歳の妹は、おむつかぶれで皮膚がただれていた。

 全ての歯が虫歯だった男児は1年半かけて治療した。まね事から歯磨きの仕方を覚え、永久歯に生え替わった小学校高学年の今は虫歯ゼロ。チャーハンなどの料理が得意になった。

 「人間らしくなったね」。歯が生えそろったのを見て、当時を知る女性の知人は思わずつぶやいたという。女性は「あのまま親元にいれば、取り返しがつかなかったかもしれない」と振り返る。「歯磨き習慣とバランスのいい食生活で虫歯は防げるが、子どもだけで負の連鎖を断ち切るのは難しい」と話し、「養育に悩む両親は、行政に頼るところは頼り、相談してほしい」と訴えた。
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■低所得世帯の子対象 虫歯治療は原則無料

 要保護や準要保護など低所得世帯の小中学生は、学校側が必要と判断する虫歯治療は原則無料。市町村によって「就学援助」「子ども医療費助成制度」など対応が異なり、沖縄県は「通学先の学校や教育委員会に相談してほしい」とする。

 2014年度に学校の検診で虫歯治療を指示された県内小中学校の児童・生徒のうち、実際に医療機関で受診した要保護・準要保護世帯の子はわずか3割程度にとどまっている。

出っ歯の早期矯正は不要…永久歯後でも効果同じ

子どもの出っ歯の矯正治療について、日本歯科矯正専門医学会は永久歯が生えそろわない段階での早期からの治療は行うべきでないとする診療指針を作成した。歯科矯正の診療指針が一般向けに公表されるのは国内で初めて。

 出っ歯は歯科矯正患者の4分の1を占める。同学会は外国の17本の論文から、永久歯と乳歯が交ざっている7~11歳児の出っ歯について、早期から治療を継続した患者群と、永久歯が生えそろった後から治療を始めた患者群で、歯並びの改善度合いを解析した。その結果、両方の治療効果に差はなかった。

 この結果は、科学的根拠に基づいた診療指針を掲載する、日本医療機能評価機構の医療情報サービス事業「マインズ」の ホームページ に掲載された。

 同学会の大野秀徳副会長は「経験上、早期治療だけで出っ歯は改善されず、ほとんどはその後、再度治療が必要になる。同じ治療結果であれば、患者の利益になる治療を選ぶべきだ」と話す。

 ただ現状では早期からの矯正治療が行われることも多い。この指針でも、早期の矯正で永久歯がはえそろってからの治療が不要になると判断された場合は、早期治療を認めている。

 矯正歯科分野で最大の団体、日本矯正歯科学会の槙宏太郎理事(昭和大学歯科病院長)は「歯の矯正は治療を受けた場合と受けなかった場合の比較研究が難しく、解析対象の論文が適切か、評価は難しい。早期治療で永久歯になってからの治療が不要になる人も多い」と話している。

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