舌小帯または上唇小帯短縮症への外科的治療を受けた生後0-12週の乳児とその母親237組を対象に、治療が母乳育児に及ぼした影響を前向きコホート研究で検討。術前と比較し、術後1週間と1カ月後の母乳育児への自己効力感を示すBSES-SF、乳頭痛重症度を示すVAS疼痛スコア、改訂乳児胃食道逆流質問票の各スコアは有意に改善した。平均母乳摂取量も3.0 mL/分から4.9mL/分と、155%の改善が見られた(P <0.001)。
舌小帯または上唇小帯短縮症への外科的治療を受けた生後0-12週の乳児とその母親237組を対象に、治療が母乳育児に及ぼした影響を前向きコホート研究で検討。術前と比較し、術後1週間と1カ月後の母乳育児への自己効力感を示すBSES-SF、乳頭痛重症度を示すVAS疼痛スコア、改訂乳児胃食道逆流質問票の各スコアは有意に改善した。平均母乳摂取量も3.0 mL/分から4.9mL/分と、155%の改善が見られた(P <0.001)。
日本医療研究開発機構(AMED)は9月27日、流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)の原因ウイルスであるムンプスウイルスがヒトに感染するために利用する受容体の構造を解明し、ウイルス糖タンパク質と結合した状態を原子レベルの分解能で可視化することに成功したと発表した。この研究は、九州大学医学研究院の柳雄介教授と橋口隆生准教授、生体防御医学研究所の神田大輔教授、薬学研究院の白石充典助教、筑波大学の竹内薫准教授、香川大学の中北慎一准教授、中部大学の鈴木康夫客員教授、北里大学北里生命科学研究所の中山哲夫特任教授、東京大学の清水謙多郎教授と寺田透特任准教授、高エネルギー加速器研究機構の清水伸隆准教授らの共同研究グループによるもの。研究成果は近日中に、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of USA」に掲載予定。
旭川歯科学院を卒業した歯科衛生士は、すべてのライフステージに応じた歯・お口の健康づくりをサポートする国家資格の専門職として活躍しています。近年注目されている業務として高齢者向け口腔ケア、訪問診療があります。高齢者の増加に伴いお口のケアが大変重要となってきました。
メディアあさひかわ 2016.10
残った歯が少なく、入れ歯も使わない高齢者は、歯が20本以上残る高齢者と比べて「閉じこもり」状態になるリスクが2倍近い―。東北大の相田潤(あいだ・じゅん)准教授(歯科公衆衛生学)らが、こんな調査結果を発表した。会話や食事をためらいがちになるほか、栄養状態の低下で体力が落ち、週に1回の外出も難しくなる可能性があるという。
相田准教授は、歯の健康を良好に保つ重要性を指摘。「歯が少ない人は自分に合った入れ歯をして、快適にかんだり、しゃべったりできるようにすることが閉じこもりリスクの回避につながる」としている。
相田准教授らは2006年、愛知県在住の65歳以上の高齢者に、歯の本数と外出の回数などを質問。この時点で閉じこもり状態ではなかった4390人を(1)自分の歯が20本以上残る人(2)19本以下で入れ歯を使っている人(3)19本以下で入れ歯を使っていない人―の3グループに分け、4年間追跡調査した。
その結果、4年後に週に1回も外に出ない閉じこもり状態になった人の割合は(1)のグループが4・4%だったのに対し、(2)のグループは2倍の8・8%、(3)は2・2倍の9・7%だった。
これらの数値に年齢や歯以外の健康状態などの条件を加えて調整した結果、65~74歳で入れ歯を使わない人が閉じこもりになるリスクは、20本以上残る人の1・8倍に上るとのデータが得られたという。
生まれつき唇や上あごにすき間などがある「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」。耳の軟骨細胞を使って鼻の形を整える新たな治療法の開発が進んでいる。また、人工歯根を埋めて義歯を取り付けるインプラント治療に、今年4月から公的医療保険が使えるようになった。
口唇口蓋裂の赤ちゃんが生まれる割合は、国内では約500人に1人といわれる。上唇に割れ目がある口唇裂、上あごにすき間が残る口蓋裂、両方の症状を伴う口唇口蓋裂に分かれる。
治療は、あごの発達に応じて出生直後から成長期、成長終了まで段階を踏んで、唇や上あごのすき間を閉じ、鼻の形を整え、歯茎の欠けた部分に自身の骨盤骨などを移植する。骨格が固まる16~18歳ごろをめどに一連の治療は終わる。
口唇口蓋裂で鼻の変形があった関東地方の会社員の男性(25)は、大学4年の夏、自分の耳の軟骨細胞で鼻の軟骨を再生治療する臨床研究に参加した。骨盤などから取った骨や軟骨を移植する従来の方法と比べ、体の負担が小さいという。
耳の後ろから1センチ四方の軟骨を切り取り、軟骨細胞を1カ月ほど培養して約1千倍に増やした。特殊なコラーゲンなどを素材にした「土台」(長さ5センチ、幅0・6センチ)に軟骨細胞を入れ、「再生軟骨」をつくった。それを鼻筋に移植し、鼻の高さやゆがみなどを修正した。「痛みが少なくて、うれしかった」
東京大学と共同で開発したIT企業「富士ソフト」(横浜市)によると、治療対象は17歳以上を想定。再生医療製品として国の承認を得るための臨床試験(治験)中で、来年度の承認取得を目指しているという。
■インプラントに公的保険を適用
また、歯のない部分の治療は16~18歳以降になる。
関東地方の保育士の女性(23)は一昨年、治療の仕上げとして、1本分の歯の欠けた部分にインプラントを埋める手術を受けた。見た目のよさからインプラントを希望した。当時、埋設手術に医療保険は使えず、費用は約40万円かかった。
口唇口蓋裂の患者に対するインプラント埋設手術が保険適用になったのは今年4月。手術法や人工歯の種類などによってかかる費用は異なる。日本口腔(こうくう)外科学会の朝波惣一郎(あさなみそういちろう)監事によると、1本実施した場合の患者の支払いは、3割負担で10万円弱が標準的という。「生活の質を高めるもので、ぜいたくではない」と話す。関連学会は、対象となる患者は年間約1200人と見込んでいる。
■他科との連携、必須
口唇口蓋裂の治療は、形成外科や口腔外科が中心となる。ただ、中耳炎を起こしやすく、かみ合わせの矯正や言語訓練なども必要になるため、耳鼻科医や歯科医、言語聴覚士、臨床心理士との連携が欠かせない。また、口唇裂は妊娠時の超音波検査でわかる場合が多く、生まれる前からの対応も求められる。
1歳の息子。生後2カ月の時、耳鼻咽喉(いんこう)科で舌小帯(ぜつしょうたい)短縮症と診断されました。哺乳や食事に支障はないものの、成長してから発音に影響が出ないか不安です。医師からはひどい場合は手術も可能と聞きましたが、必要でしょうか。(富山県・M)
■答える人 宮新美智世(みやしんみちよ)さん 東京医科歯科大学准教授(小児歯科)=東京都文京区
Q どんな病気ですか。
A 舌の下側と口の底をつなぐ薄いひも状のものが舌小帯で、乳児期は大人に比べて厚くて短い状態です。成長に伴って舌の動きが巧みになり、舌小帯も薄くなって伸びますが、何らかの理由で短いままの状態が短縮症です。
Q 生活への影響は。
A かつては母乳がうまく吸えないなど哺乳障害との関係が疑われましたが、現在は否定的な見方が多いです。舌を前に出した時、舌先の真ん中がくぼんでハート形に見えるので、「ハート舌」と呼ばれることもありますが、元々先端がくぼんだ形の人もいるので、形だけでは診断しません。舌がどれぐらい動くかなど舌の機能で判断します。
Q 発音について心配されていますが。
A 子どもが正確な発音を身につけるのは5歳ごろです。発音に問題があり、舌小帯が原因と判断された場合は治療対象になりますが、頻度は高くありません。また5歳以降に治療を受けた上で、発音の訓練を始めても有効だという報告も複数あります。5歳まででも心配があれば言語聴覚士に相談してください。
Q どんな治療ですか。
A 手術で舌小帯を切って伸ばし、癒着を避けるために縫合します。周辺には傷つけたくない唾液(だえき)腺や血管が存在し、形成術や粘膜移植など全身麻酔が必要な症例もあり、低年齢ほど負担です。相談者のお子さんは1歳で、これから舌小帯が伸びる時期を迎える上、発音に問題がないことも多いので、成長を見守ってあげてください。
浜松医科大付属病院(浜松市東区)と精密加工機メーカー「ショーダテクトロン」(同市西区)が手術時の口内のけがを防ぐ医療器具「バイトガード」を共同開発し、今月中旬から販売を始めた。産学連携促進を目的に同大に設置した「はままつ医工連携拠点」の取り組みで、6例目の製品化となった。
バイトガードは全身麻酔手術の人工呼吸時に、口から肺に挿入するビニール管を患者がかみつぶして窒息するのを防ぐ器具で、口に入れて使用する。
従来品はプラスチック製で、厚さ約2センチのブロック型が主流。患者がうつぶせになる手術や麻酔が切れかけた際に器具と歯の間に舌や唇を挟んでけがをする危険性があった。新製品は柔らかなシリコン樹脂製で歯の負担を軽減し、幅を広めて安定性を増した。かむ部分の内側に付けた羽根状のカバーが特徴で、歯の列より前に舌が出ないように工夫した。
麻酔医で同病院医療安全管理室の鈴木明特任講師が数年前から感じていた問題点の改善を模索する中、シリコン製品の共同開発実績があった同社に相談。同社社員約40人の歯型を基に製作した大人用試作品を同病院で試用し、口の中に滑り落ちるなどの不具合に対する現場の意見を反映しながら改良を重ねた。
子どもの爪噛みや指しゃぶりの癖は、親にとっては悩みの種だが、その癖が健康面で利益をもたらす可能性が示唆された。未就学期を過ぎても指しゃぶりや爪噛みをしている小児は、青年期にアレルギー反応を起こしにくい可能性があり、さらに、その効果は成人になっても持続するようであることがわかったという。
ただし、研究著者であるオタゴ大学(ニュージーランド、ダニーデン)のRobert Hancox氏は、小児にそのような習慣を推奨するわけではないと述べ、特に指しゃぶりについては歯並びへの影響が懸念されると指摘している。「しかし、子どもの癖を直すのが難しいとき、アレルギーリスクが低減される可能性があると思えば、ある程度気が楽になるかもしれない」と、同氏は付け加えている。
なぜ、指を常習的に口に入れることがアレルギーリスクに影響するのだろうか。その機序には、「衛生仮説」が関連しているとHancox氏は話す。この仮説は、幼少期に細菌などの微生物に曝露すると、免疫系が感染と戦う態勢をとるように指向されるため、アレルギー反応を起こしにくくなるというものだ。今回の研究は因果関係を裏づけるものではないが、他の因子(母乳育児、受動喫煙への曝露、ペットの同居、アレルギーの家族歴など)でこの結果を説明できるとは考えにくいと、同氏は述べている。
米国小児科学会(AAP)のMika Hiramatsu氏は、この知見をレビューし、「これは衛生仮説を裏づけるエビデンスの新たな1ピースだ」と話す。これまでの研究でも、託児所に通う、ペットを飼っている、農場で生活している、年上のきょうだいと同居しているなどの条件により、小児のアレルギーや喘息のリスクが低減する傾向が認められているという。「子どもを敢えて不衛生な環境に置く必要はないが、完璧な清潔さを目指す必要もない」と、同氏は指摘している。
今回の研究では、出生時に登録されたニュージーランドの小児1,000人強を対象とし、その多くを成人まで追跡した。親の申告によれば、31%が5歳から11歳までに「頻繁に」指しゃぶりか爪噛みをしており、そのような小児は13歳までにアレルギーの皮膚検査で陽性となる比率が3分の1低かった。32歳の時点でも同様のパターンが認められた。
ただし、皮膚検査は特定の物質に対してアレルギー反応があるか否かを判断するものであり、必ずしも日常的に症状があるとは限らないという。今回の研究では、対象者に喘息または花粉症と診断されたことがあるかを尋ねたが、それらの条件と指しゃぶりや爪噛みとの間には関連は認められなかった。