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「かかりつけ歯科医」を制度化へ、歯周病重症化を予防

厚生労働省は4月から、「かかりつけ歯科医」制度を設ける。高齢者への対応や医師との連携などで一定の条件を満たした歯科医が、患者を継続的に診る場合の診療報酬を手厚くし、歯周病や虫歯の重症化予防を進めたい考えだ。

 厚労省によると、50歳以上では約半数の人が歯周病が原因で抜歯。歯周病は一時的に治療しても、定期的に通院しないことによってまた悪化し、抜歯につながるリスクが高まるという研究結果もある。厚労省は、高齢者の口の管理について研修を受け、在宅医療を担う医師らと連携するなどの条件を満たしたかかりつけ歯科医が原則月1回、歯周病の検査や治療を実施した場合の報酬を手厚くする。基本的な歯周病治療を終えた患者に対する継続的な検査や治療につなげてもらう。

 また近年の研究で、初期の虫歯はフッ素を歯の表面に塗る処置によって修復できることが分かってきた。2~18歳の患者を対象にした研究で、継続的な通院が虫歯の発症を抑えるという結果も出ている。かかりつけ歯科医が原則月1回、フッ素の塗布や歯の清掃などを行えば、高い報酬を払う仕組みを新設した。

診療報酬 医療「在宅」を強化 地域で暮らし続ける社会目指す 介護制度改革と連動

4月から医療の値段である診療報酬=NewsWord=が変わる。今回は身近なかかりつけ医や、かかりつけ薬剤師の充実に力点を置いている。政府は、最期まで地域で暮らし続けられる仕組み「地域包括ケアシステム」の構築を目指している。かかりつけ重視は、在宅シフトを一層強めることで地域包括ケアの柱である「医療」を強化する狙いがある。【鈴木直】

 今回改定では認知症の人と小児(原則3歳未満)のかかりつけ医に対する報酬や、薬局のかかりつけ機能の評価を初めて設ける。前回2014年度改定で導入したかかりつけ医一般に対する報酬の要件についても、常勤医3人を2人に緩和。かかりつけ機能を持つ医療機関の増加を目指している。

 今回、かかりつけ機能を大きく前進させたのは次回(18年度)が介護報酬との同時改定になることをにらんだ対応だ。

 政府が目指す地域包括ケアシステムは、住まい・医療・介護・介護予防・生活支援のそれぞれの面から高齢者を支え、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らせる仕組みだ。政府は団塊の世代(1947~49年生まれ)が75歳以上となる25年をめどに構築したいとしている。

 在宅の高齢者が暮らし続けるためには、かかりつけ医による継続的な健康管理だけでなく、いざという時に在宅で医療を受けられる体制も重要になる。

 そこで、現在は深夜の往診にしか認められていない特別報酬を休日の往診でも請求できるようにする。さらに、在宅専門の医療機関も開設できるようになる。

 医療機関は原則、患者が来たら診察に応じなければならないが、地域で外来患者の受け入れが確保されていることや、緊急時に連絡が取れることなどを条件に「在宅専門」を認める。

歯科医師数に占める女性の割合 39年間で11.3ポイント増

歯科医師数に占める男性の割合は年々減少し、女性は増加している。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」を基に、日本歯科医師会が第182回臨時代議員会の事前質問に対する答弁資料としてまとめた。男性は昭和50年の88.8%が平成26年には77.5%となり女性は11.2%が22.5%と、39年で11.3ポイント伸びる結果となった。

歯科医師数では、昭和50年は男性3万8,700人、女性は4,886人、平成26年には男性8万544人、女性2万3,428人で、人数に差があるものの伸び率では男性が2倍弱なのに対し、女性は5倍近くとなっている。男女合計の歯科医師数は50年の4万3,586人が、26年には10万3,972人と6万386人増え約2.4倍伸びている。

乳歯から肝臓細胞作成…マウスの病状改善

子どもの乳歯から、様々な細胞に変化できる幹細胞を取り出して肝臓の細胞に変化させ、肝臓病のマウスに移植して症状を改善させることに成功したと、九州大の田口智章教授(小児外科)らが、大阪市で開かれている日本再生医療学会総会で発表した。

 廃棄される歯を有効活用した再生医療として注目される。

 田口教授らは、九州大病院の歯科を受診した健康な子どもから、抜けた乳歯を譲り受け、内部の歯髄という部分にある幹細胞を採取。変化を促すたんぱく質を加えて培養すると、肝臓の細胞とよく似た細胞が大量にできた。肝硬変のマウスの肝臓に移植すると、症状が改善したという。

 幹細胞は体内の脂肪や骨髄などからも採取できるが、乳歯の幹細胞は、廃棄される歯が原料なので入手しやすい。田口教授は「将来は、生まれつき肝機能が悪い難病の治療に役立つ可能性がある」と話す。

徳島文理大 歯科衛生士養成へ新学科

徳島文理大は2017年4月、保健福祉学部内に「口腔こうくう保健学科」(仮称)を新設すると発表した。4月にも文部科学省に新学科設置の届け出をする。

 定員40人の4年制で、徳島市山城町の徳島キャンパス25号館(メディアセンター)内に置く。教授は歯科医や歯科衛生士ら計10人を予定。虫歯や歯周病の予防などの口腔ケアや栄養指導を学び、歯科衛生士の国家試験受験資格を取得できる。

 同大学によると、4年制で歯科衛生士を養成する学科のある大学は現在、徳島大など全国に9校(国公立7校、私立2校)。高齢化に伴い、要介護高齢者らへの口腔ケアの必要性が高まっていることから、専門的な知識と技術を持った人材の育成を目指す。

 徳島大病院からは実習などで協力を得る予定になっており、同学科開設準備室の中野雅徳室長は「徳島大と連携し、徳島が口腔保健のプロフェッショナルを育てるメッカになれば」と話している。

「歯周炎」が慢性腎臓病患者の死亡率上昇と関連

歯周炎は慢性腎臓病(CKD)患者の死亡率上昇と関連するとの研究結果が、「Journal of Clinical Periodontology」2月18日電子版に掲載された。

21年休まず診療 本庄の歯科医・飯嶋さんに感謝状

21年間にわたって献身的に患者の受け入れを行ってきたとして、本庄市見福で歯科医院を個人経営する飯嶋幸久院長(52)が、児玉郡市広域消防本部(中野和夫消防長)から感謝状を贈られた。

 飯嶋院長は「地元で認めてもらえてうれしい。今後の医療活動の励みとして、今まで以上に親切で優しく奉仕をしていきたい」と喜んだ。

 飯嶋院長は1995年の開業以来、夜間休日や年末年始も含めて一日も休まず、患者の診療に従事してきた。児玉郡市をはじめ、県内や隣の群馬県、東京都内からの救急患者にも昼夜を問わず対応。休日・夜間診療の時間外加算を取らず、ボランティア精神で献身的に治療を続けている。

 歯科医を目指したのは小学生の時。当時は早朝から並ぶなどしなければ診てもらえない状況で、並んでも診療時間が終わると問答無用で玄関が閉められた。そんな状況を見て、「予約制を導入して、並ばなくても済むような歯医者になりたい」と志を立てた。

 歯科医師になれたことへの恩返しの気持ちは強く、目に見える患者の減少が原動力という。開業当時は歯痛を放置する人が多かったが、市内では現在、夜の急患が減った。「歯科保健活動を頑張り続けてきたことで、患者さんが虫歯を放置する悪い習慣から正しい生活習慣へとつなげることができた」と胸を張る。

 悩みは続く人がいないこと。「今は痛み止めを出して終わりのところばかり。埼玉県でもきちんと治療ができる、公設の休日・夜間診療所を充実させていってもらえれば」と夢を語っていた。

歯科医が患者役紹介か 不正受給容疑の女医に

美容クリニックの診療報酬を不正受給したとされる事件で、詐欺容疑で逮捕されたタレントで医師の脇坂英理子(わきさか・えりこ)容疑者(37)が、ともに逮捕された歯科医師重松武(しげまつ・たけし)容疑者(58)=詐欺罪で起訴=から患者役の紹介を受けていたとみられることが9日、警視庁組織犯罪対策4課への取材で分かった。

 重松容疑者は、自身の歯科医院でも診療報酬を詐取したとして起訴されており、同課は2人が患者役の情報を使い回し、不正を繰り返していたとみて調べている。

 同課によると、2人はもともと知り合いで、千葉県船橋市の同じビルで医院を経営。脇坂容疑者は、重松容疑者から紹介された患者役の大半を1回診察し、その後も通院を続けたように装って虚偽の診療報酬明細書を作っていたという。

 紹介された患者役の一部は、歯科医院の不正受給にも利用されていた。患者役として氏名などを使われた50代男性は「歯科医院を受診し、その足でクリニックにも行った」と話している。

 両容疑者は2012年11月~14年9月、8自治体から計約155万円を詐取した疑いで逮捕された。脇坂容疑者は「弁護士が来るまで話さない」と供述している。

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