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グーグル検索、削除命令 不正診療、歯科医の逮捕歴 東京地裁仮処分

グーグルの検索により、不正な診療行為での逮捕歴がわかるとして、現役歯科医が検索結果の削除を求めた仮処分申請に対し、東京地裁が表示を消すようグーグルに命じる仮処分決定を出していたことがわかった。「歯科診療での不正」という社会の関心が高い情報であっても、一定期間が過ぎれば検索結果から消すべきだとの判断を示した。

 歯科医の診療上の犯罪は、診療を受けようとする人にとって関心事のひとつだ。こうした「職業にかかわる犯罪歴」の表示を消すよう命じた司法判断が明らかになるのは初めて。

 関係者によると、歯科医は5年以上前、資格のない者に一部の診療行為をさせた疑いで逮捕され、罰金を命じられた。その後、グーグルで名前などを打ち込むと、逮捕を報じるニュース記事を転載したサイトが検索結果に表れた。逮捕歴の表示は更生を妨げ、人格権を侵害すると訴えている。

 東京地裁が歯科医の主張を認める仮処分決定を出したのは今年5月。地裁は認めた詳しい理由を記していない。仮処分は暫定的な救済措置であるため、歯科医はグーグルを相手に同じ内容の訴訟も起こし、近く第1回口頭弁論が開かれる。

 グーグルは取材に対し、「市民は自身の治療に携わる医療従事者の職務に関連する情報を知る権利があると考えています」とコメントし、訴訟でも争う姿勢を示した。一方、歯科医の代理人弁護士は「取材には応じられない」としている。

 ■「知る権利」か、立ち直りか

 検索結果を消すべきかどうかの判断は、検索サービスを使う人たちの「知る権利」と、法を犯した人の更生のどちらが優先されるかで変わってくる。

 これまでの多くの司法判断では、問題のある情報を消すべきなのはブログや掲示板など元々の情報発信者だとされてきた。検索サービスは、ネット上の情報を機械的に仕分け、各サイトに行き着くのを手伝うだけだ、との考え方があった。

 例えば、盗撮で逮捕された男性が検索結果を消すようヤフーに求めた訴訟で、京都地裁は昨年8月、ヤフーが自ら逮捕事実を表示させたわけではないとして削除を認めなかった。

 しかし、検索結果でも消すべき場合があることを認める仮処分決定がこのところ、相次いでいる。

 東京地裁は昨年10月、過去に反社会的集団に所属していた事実を消すよう命じる決定を出した。検索結果の表示も「人格権を侵害する」との判断を示した。

 犯罪歴を消すよう命じる仮処分決定も出ている。さいたま地裁は、女子高生にわいせつな行為をして逮捕された過去を表示する検索結果が、その男性の立ち直りを妨げると判断。「逮捕歴を公表されないことが、社会の一員として復帰して平穏な生活を送り続けるために重要だ」と指摘した。

 ニュース記事を転載する掲示板などは無数にあるため、ネットから犯罪歴を隠すには、以前なら情報発信者を一つずつ割り出して削除請求しなければならなかった。検索結果を消せるようになれば、一般の人が犯罪歴の載ったサイトにたどり着きにくくするのがより簡単にできる。

 一方で、非公開が原則の仮処分決定が増えることへの懸念もある。検索事業者が訴訟で争わなければ、検索結果は誰も気づかないうちに消えてしまい、利用者には削除が妥当かどうかを確かめるすべもない。

 どんな場合に削除が求められるのか、その基準もはっきりしない。脱税で有罪判決を受けた会社社長が検索結果の削除を求めた仮処分申請では、今年10月、公益性があるとして退けられている。

 (藤田知也)

 ■<考論>安易に消すべきでない

 宍戸常寿・東京大教授(憲法学) 検索結果もプライバシーを侵害し得るとの認識は広まってきたが、個々の裁判官が基準がないまま判断しているのが実情だ。自由な情報流通は「知る権利」にこたえるもので、安易に消すべきではない。公共性の高い仕事にかかわる犯罪なら、削除はより慎重であるべきだ。

 ■<考論>一定期間後削除認めよ

 プライバシー保護に詳しい森亮二弁護士 仕事上の犯罪歴への市民の関心は高いが、ずっと残す必要があるわけでもない。一定期間が過ぎれば、その人の更生の観点から削除は認めるべきだ。ただ、長く表示された情報を仮処分で急いで消す理由もない。裁判で議論を尽くしたうえで、判断されるのが望ましい。

ドライマウスの新治療法を開発

徳島大学大学院口腔顎顔面矯正学分野博士課程の佐藤南氏らの研究グループはこのほど、ドライマウスが低出力パルス超音波(LIPUS)の照射によって改善することを、マウス実験で確認したと発表した。炎症性サイトカインTNFαの発現が減弱し、唾液腺に局在する水チャネルが増強することで唾液分泌の増加が示されたという。同グループでは、ドライマウスに対する新たな非侵襲的治療法の開発につながるとの見解を示している。

 ドライマウスは、中年女性に好発する難治性自己免疫疾患のシェーグレン症候群の口腔症状の1つで、唾液腺破壊から唾液腺の炎症とそれに伴う唾液分泌量低下で生じる。佐藤氏らによると、臨床現場では、人工唾液など口腔内を浸潤化することを目的とした対症療法が中心で治療法は確立されていないという。そこで同氏や同大学院口腔顎顔面矯正学分野教授の田中栄二氏、同大学院口腔内科学分野教授の東雅之氏らは、LIPUSによるマウス実験を試みた。

 実験では、炎症状態下の唾液腺細胞とシェーグレン症候群様のモデルマウスを用い、唾液腺にLIPUSの照射を行った。すると、転写因子として働く蛋白質複合体のNFκB経路を抑制的に制御する脱ユビキチン化酵素A20が活性化することでTNFαの発現が減弱、抗炎症作用を示した。このため水分泌に関与する唾液中の水チャネル「アクアポリン5」の発現が増強し、唾液分泌が増加し得ることが確認された。

 以上から、佐藤氏らは「唾液腺分泌機能に対するLIPUSの奏功率や奏功時間を検討する必要はあるが、対症療法のみだったドライマウスの治療現場に福音をもたらす」とのコメントを発している。

高齢者の孤食にうつの危険 独居男性は2・7倍

独りで食事をすることが多い「孤食」の高齢者は、一緒に食事をする人がいる高齢者に比べてうつになりやすいとの研究結果を、東京大の谷友香子(たに・ゆかこ)研究員(栄養疫学)らの研究チームが27日までに発表した。独り暮らしの場合、女性の孤食はうつの可能性が1・4倍、男性は2・7倍にもなった。

 谷さんは「友人や近隣の人を巻き込んで食事することを勧めたり、地域で会食サービスを行ったりすることが、予防に有効ではないか」と話している。

 研究には、2010年の時点で気分が落ち込むなどのうつ傾向がなく、要介護認定を受けていない全国の65歳以上の約3万7千人が協力。独り暮らしの人は男性で85%、女性で79%が孤食だった。誰かと同居している人の孤食は男性3%、女性6%と少なかった。

 3年後には約4400人が「高齢者用うつ尺度(GDS)」という評価法でうつ傾向と判定された。家族形態と性別で解析すると、独り暮らしの男性は孤食だとうつになる可能性が2・7倍、女性は独り暮らしでも誰かと暮らしていても、約1・4倍となった。

 誰かと同居している男性では、独りで食べるのと人と一緒に食べるのとではっきりした差はなかった。

子の薬誤飲、包装で防げ 開封しにくく一工夫 事故原因、たばこ上回り最多

子どもの誤飲事故の原因として多い医薬品。1979年の調査以来、今年初めて1位になった。重篤な健康被害につながりかねないだけに、消費者庁の消費者安全調査委員会(事故調)は包装を開けにくくするといった対策案を年内にも公表する。一方で、「高齢者が使いにくくなる」などの懸念も出ている。

 「誤って薬を飲んだ息子が立てなくなった」。2年前の8月、都内の板橋区医師会病院に当時2歳の男児が運び込まれた。

 母親の説明では、この日の午前中、常用していた抗不安薬のシートが20錠ほど空になっているのに気づき、近くにいた男児がもうろうとし始めていた。病院到着時には意識はなく、救命センターを含め計7日間入院した。

 この薬は大人でも1日2錠が上限。副作用として眠気のほか、錯乱もある。今回のように大量摂取の場合、呼吸停止の恐れもあった。薬は台所の食品のそばに保管していたという。

 誤飲防止に取り組む同病院の泉裕之院長(小児科)は「幼児には、薬とお菓子との区別は無理。保管には細心の注意がいる」と話す。

 全国のモニター病院を通して厚生労働省が行っている調査で、2015年3月に発表された結果によると、薬による子どもの誤飲は96件。誤飲事例全体の18・1%を占め、最も多かった。医薬品が1位になるのは1979年の調査開始以来初めてだという。

 うち意識障害や嘔吐(おうと)などの症状があったのは27件、入院につながったケースは7件。泉院長は「高齢化に伴って、降圧剤など子どもが飲めば命に関わる危険な薬が家庭にも増えている」と指摘する。

 ■欧米では法制化

 日本で誤飲を防ぐ対策は遅れている。中毒死が年間500件起きるなど事故が続発した米国では1970年に毒物予防包装法が制定され、すべての危険物から子どもを守る誤飲防止包装が義務づけられた。欧州でも同様の法律が2003年につくられた。これに対し、日本では法制化の動きはなく、製薬会社の取り組みに任されている。

 積極的に進めているのは大手製薬会社のグラクソ・スミスクラインだ。シートを破って押し出す錠剤タイプの場合、アルミ製のシートを厚くしたり、シールをはがさないと出せなくしたりしている。水薬の瓶のふたでは、押し下げずに回すと空転する仕組みだ。

 12年6月に抗うつ剤で導入したのを皮切りに、処方薬計11製品に取り入れている。今後、危険性が高い処方薬について順次、対策をとっていく予定という。

 厚生労働省や事故対策案づくりをする消費者庁は、これまでも家庭や薬剤師、医療機関向けに子どもの誤飲対策の必要性について注意喚起をしてきた。

 ただ、誤飲年齢は6~11カ月147件、12~17カ月130件、2歳82件と0~2歳時に集中している。このため消費者庁に常設する消費者事故調は、包装に基準を設けるなど具体策の検討を始めた。子どもと大人100人ずつを対象に、様々なサンプルについて取り出しやすさを調査し、出すのに必要な力などのデータを取ったうえで、年内にも厚労省に基準づくりを提言する予定だ。

 ■「高齢者には不便」懸念も

 乳幼児を念頭に対策を検討するなかで、課題も挙がっている。一つが高齢者対策だ。1人の高齢者の平均服用薬は4~5に上る。5月にあった厚労省の専門部会では、委員から「開けにくくなることで高齢者が薬を飲まなくなるのでは」という意見が相次いだ。

 ある大手製薬会社は、がんの痛みをとるための薬剤に、通常と誤飲対策の2種類の包装を用意している。薬剤師などから「開けにくい」という声があるためだ。担当者は「医療関係者でも理解はまだまだ。一般の方の反応はもっと厳しいと思う」と話す。

 もう一つの課題が費用だ。6月に乳がん治療薬に初めて子ども向けの誤飲対策包装を採り入れた第一三共エスファによると、「従来の包装コストより10%は高くなる」という。日本で薬価は国が決めているため、かかったコストは企業側が負わざるを得ない。

 厚労省安全使用推進室は、包装による誤飲防止対策について「高齢者や手先がうまく使えない人が薬を飲めなくなっては意味がない。事故調のデータを受けた上で、慎重に検討したい」としている。

 10年前から対策を呼びかけている国立成育医療研究センターの石川洋一・薬剤部長は「データに基づいて基準を決めれば、高齢者が開けられなくなることはない。最初は慣れなくても、啓発とともに進めれば解消する。いまのところ国内では死亡事故はないが、起きてからの対策では遅い」と訴える。

血液、唾液でがん早期発見 現行の検診、受診率低く 実用化向け研究

血液や唾液などから早期のがんを精度良く見つける検査方法の研究開発が盛んだ。実用化には課題もあるが、臨床研究などの計画も進む。現行のがん検診の受診率が伸び悩む中、受診者の負担が少なく簡易にがんを発見する技術に関心が高まっている。

 昨年度から国の支援で、健康診断の採血で早期がんを見つけようという大規模プロジェクトが進む。国立がん研究センターや東レなど9機関が参加する。血液などに含まれるがんと関わる物質は「腫瘍マーカー」と呼ばれ、約40種類見つかっているが、主に進行がんの治療効果を判定するために使われてきた。

 ●発症で変動する物質

 プロジェクトが標的にするのは、細胞から分泌される「マイクロRNA」と呼ばれる物質。ヒトのマイクロRNAは2500種類以上あり、血液を調べると300~500種類見つかる。がんになると、その種類や量が変動する。カプセル状の小胞に包まれているため血液中でも分解されず、高感度で検出できる利点があるという。

 がんの種類によって特徴的に見つかるマイクロRNAがあり、これらを検出できれば、がんの種類の判別も可能になる。プロジェクトは、さまざまながんを一度に調べられる技術の開発を目指し、すでに1万5000人分以上の保存血液を分析した。責任者の同センター研究所の落谷孝広・主任分野長(分子細胞治療研究)は「乳がんと大腸がんは関係するマイクロRNAの特定をほぼ終えており、8~9割の高い精度で診断できるレベルになってきた。体外診断薬としての承認を得るための臨床試験を準備中だ」と話し、二つのがんについては来年中の承認を目指す。承認が得られれば、健康診断の場で早期がんのスクリーニングも試みる計画だ。

 厚生労働省が科学的根拠があるとして市町村に推奨するがん検診は、肺がん、胃がん、乳がんのエックス線検査、大腸がんの便検査、子宮頸(けい)がんの細胞診の5種類。だが、負担感を持つ人が多く、受診率は伸び悩む。このため、簡易ながん検査の実現への期待は大きい。

 ●難しい「膵臓」でも

 東京医科大や慶応大などのグループは、唾液の検査で膵臓(すいぞう)がんを見つける技術を報告している。膵臓がんは早期発見が難しいがんの一つ。グループは、がん細胞が正常な細胞とはエネルギーの代謝方法が異なることに着目、がん患者の唾液や血液に含まれる数百の代謝物を網羅的に解析して、健康な人と比較する研究を進めてきた。

 この結果、膵臓がん患者の唾液中で濃度が上昇する代謝物を発見した。測定方法を改善し、ステージ1の早期がんの人の唾液でも濃度の上昇が確認できたという。がんを切除後は、この代謝物の濃度が低下する人が多く、がん細胞から排出されている可能性を調べる。

 グループの砂村真琴・東京医科大兼任教授は、外科医として、進行した膵臓がんの患者を多く診てきた経験から早期発見の必要性を痛感してきたという。「唾液は採取が簡単。近く大規模な臨床試験を実施し、精度の検証や測定手順を確立し、実用化を目指したい」と語る。

 ●呼気の成分から

 呼気の成分で健康管理や病気発見を目指す動きもある。物質・材料研究機構が開発した小型で高感度の嗅覚センサー技術を元に、京セラや日本電気などが参加する共同研究体制が9月に発足した。これまでの研究で、頭頸部のがん患者と健康な人の呼気の成分の違いを識別できた。センサーを開発した同機構の吉川元起(げんき)・独立研究者は「企業などが持つ解析技術などを統合し、どこまでできるのか検証したい」と話す。

インプラント治療費を詐取した疑い 歯科医院を家宅捜索

インプラント手術の治療費約285万円を詐取したとして、京都府警下京署は28日、京都市下京区の歯科医院を詐欺容疑で家宅捜索した。この歯科医院の50代の男性医師から任意で事情を聴いており、容疑が固まりしだい逮捕する方針。

 捜査関係者によると、男性医師は2010年12月下旬、同市右京区の80代女性患者に「後で保険で治療費が支払われるので、一時的に立て替えてもらえないか」などとうそを言い、インプラント手術の治療費として約285万円をだまし取った疑いがあるという。

 捜査関係者によると、この医師をめぐっては、ほかにも同様の被害が十数件確認されているという。

がん 舌を残したい:2 イレギュラーな治療法

舌がんが見つかった東京都の主婦(47)は2014年3月、受診した都内の大学病院で切除手術を勧められた。しかし、なんとか舌を切らずにがんを治療したい。セカンドオピニオンを受けられる病院をネット上で探すうち、舌がん患者のブログから、南東北がん陽子線治療センター(福島県郡山市)のサイトにたどり着いた。

 サイトには「動注化学放射線療法」という聞き慣れない言葉が載っていた。舌に通じる動脈から抗がん剤を送り込み、同時に放射線治療でがんをたたくという。

 この病院でセカンドオピニオンを聞いてみたい。大学病院の担当医は快く紹介状を書いてくれた。「今ではセカンドオピニオン、サードオピニオンもふつうの時代ですから」

 ただ、動注化学療法や陽子線治療について「あくまでイレギュラーな治療法」と言われた。現在の舌がんの標準治療は外科手術であることを改めて説明された。

 主婦は3月末、大学病院からもらった画像データを持って同センターを訪れた。診察に当たったのは放射線治療医の中村達也(なかむらたつや)・副センター長(42)。動注化学放射線療法についてこう説明した。

 「舌に血液を送っている舌動脈に抗がん剤を流し込むと、舌のがん細胞を集中的に攻撃することができます。並行してX線と陽子線を照射すると、がん細胞がどんどん死滅していきます」

 「舌の形が変わらないので話す機能が影響を受けない」「顔のバランスが崩れない」といった利点がある一方、「放射線を舌に当てるので、しばらく味覚がなくなる」「舌が硬くなったり、骨が溶けたりすることもある」といったリスクもあるという。

 主婦は思いきって聞いてみた。「先生、治る可能性は、どれほどあるのでしょうか」

 中村さんは答えた。

 「あなたの場合、肺などに遠隔転移がないので、舌を切らずに治せる見込みが十分にありますよ」

 この言葉を聞き、主婦は「ここで治療を受けよう」と決めた。

 4月8日、次女(16)の高校の入学式に出席、翌9日に入院した。入院の朝には、センターに近い郡山市の「日吉神社」にお参りし、治療の無事を祈った。

【岡山大】舌切除の患者へ 発音支援の新装置

岡山大歯学部と同大学院医歯薬学総合研究科は、がんや事故で舌を切除した患者の発音を支援する装置を新たに開発した。さらに、岡山大病院に「夢の会話プロジェクト外来」を新設。診察から装置の製作、リハビリまで一貫してサポートする態勢を整えた。

 舌の大部分を失うと「カ」「サ」「タ」「ラ」などの発音が不明瞭になる。装置を付けると改善し、聞き取りやすくなるという。同科の皆木省吾教授らが、入れ歯などの素材を使って開発。舌がんで舌の約4分の3を摘出した同科の小崎健一教授がテストし、改良を重ねて実用化した。

 従来品は上あごに装着し、短くなった舌を補助するだけだった。皆木教授らは下あごに取り付けることで、切除後わずかに残った舌の動きをとらえ、発音を助ける仕組みにした。食事の妨げにならないよう、簡単に取り外せるようにした。

 既に小崎教授と患者1人が利用し、3人目の装置も製作している。今後は工学部と連携し、音声をデジタル処理して発音をより明瞭にする装置の開発にも取り組むという。皆木教授は「基本構造は世界初と言っていい。ノウハウを広く公開し、症例を増やしていく」と話す。

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