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妊娠と歯周病

女性ホルモンの「卵胞ホルモン:エストロゲン」は妊娠しやすい身体を作り、
「黄体ホルモン:プロゲステロン」は妊娠の維持に大きく関与しています。
一方、エストロゲンは歯周病原細菌の増殖を促し、
プロゲステロンは炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。
これらは妊娠終期には月経時の10~30倍になり、
妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。

妊婦が歯周病に羅患している場合、低体重児及び早産のリスクが
7倍~7.5倍になると言われています。
これは歯周病を発症することにより、炎症によって
増える生理活性物質:サイトカインが陣痛を促す子宮収縮作用のある
プロスタグランディンの分泌を促すためです。

エストロゲン、プロゲステロンは妊娠に不可欠ですが、
歯周病・歯肉炎を起こしやすくし、
歯周病により早産のリスクを高くさせる・・
厄介なメカニズムですが、
基本的にプラーク(歯垢)が残存しない清潔な口腔内では
起こらないか、軽度で済みます。
妊娠中のプラークコントロールはとても大切です。

喫煙と歯周病

喫煙者の方から「最近は分煙室や喫煙ルームなど
すっかり煙草が吸いにくい世の中になったよ」という
声を聞きます。
確かに、受動喫煙の害が大きく取りざたされ、
自身への癌や全身疾患へのリスク、さまざまな悪影響が
あるということはたくさんの方が知っていらっしゃいます。

煙草を吸うという行為で一番最初に触れるのが口です。
喫煙により唾液の分泌量が減ります。さらに煙草に含まれるニコチンが
血管を収縮させるため、酸素や栄養分の供給が不十分になり、
免疫細胞の働きを抑えて抵抗力が落ちてきます。
つまり、元々自覚症状が少ない歯周病ですが、喫煙することにより
更に自覚症状が現れにくいということです。
喫煙者の歯肉は赤黒く着色し、炎症症状が分かりにくくなる
という特徴もあります。

ですが、吸い続ける悪影響と禁煙するストレス、
どちらがからだに負担をかけるか…

まずは是非、ご自身の定期検診、そして周りの愛煙家の方への
受診を勧めてみてはいかがでしょうか。

)「地味にすごい!」唾液の話

1日に唾液は1リットルから1.5リットル分泌されると言われています。
そして、分泌された唾液はお口の中で
・むし歯の予防
・抗菌作用
・消化作用
・食後、酸性に傾く口腔内を中和する
・毒素排出作用
・保湿効果
・老化予防
・味覚の働きを助ける
などの沢山の役割を持ってしっかり働いています。

ですが、悲しいことに30歳位から分泌量が減ってきます。
そこで3大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の
マッサージや酸っぱいものを食べる、硬いものを噛むなど
意識して唾液を分泌することが大切になってきます。
 ▼唾液腺マッサージについてはこちらから
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/f01waqu0mq1sltnquwy2y

特に耳下腺からのみ分泌されるサラサラとした唾液には
成長ホルモンの一種“パロチン”が含まれ、
筋肉・内臓・骨・歯などの生育や発育を盛んにし、
若々しさを保ちます。

更に唾液の分泌を促す「食べる」「話す」という行為は
ストレス発散方法の常に上位に挙げられます。
これは口を動かすことによって唾液がたくさん分泌され、
副腎で作られたコルチゾールというストレスホルモンが
唾液中に排出されることによりストレスが軽減されるからです。

唾液って本当にすごいんです!

【神奈川】医科と歯科が病診で「連携協定」 横須賀

横須賀市立うわまち病院(同市上町)と市歯科医師会は22日、入院患者の手術前後の口腔(こうくう)ケアなどで協力する病診連携協定を結んだ。二次感染防止に効果的とされ、歯科のない総合病院と地域の歯科医師会が連携するケースは県内初という。

 同病院によると、年間の手術件数は約2500件。このうち外科や心臓血管外科を中心に2千件程度で、歯磨きやうがい指導を徹底すれば、歯垢(しこう)からの細菌感染や合併症のリスクがさらに低減されるとしている。

 市歯科医師会の連携登録医76人が、入院手術前の患者の住所地ごとに診療所で口腔ケアに当たったり、入院中の病院に往診したりする。必要ならば、退院後の歯科訪問治療も行う。患者情報の共有化やうがい薬の販売などで、市医師会や市薬剤師会とも連携する。

 同病院で協定書に調印。沼田裕一院長は「多くの患者が恩恵を受けるだけでなく、病院にとってもありがたい」と話し、市歯科医師会の松本好史会長は「ぜひとも横須賀発で医科歯科病診連携を成功させたい」と述べた。

マウスウォッシュは効果的か?

高齢者施設のスタッフ様からよくある質問
「マウスウォッシュを使えば歯みがきをしなくてもいいか?」

答えは…
「マウスウォッシュでは不十分なので、
 きちんと歯みがきをしてください」です。

歯の汚れ、プラークは細菌です。
細菌は残念ながら歯ブラシで磨く=はがし取る
という行為が行われないと取り除くことはできません。

殺菌力の高いマウスウォッシュでうがいをしても
こすり取る、はがし取るといったことをしていないので
プラークは落としきれないということになります。

もちろん歯みがきに併せてマウスウォッシュを使うことは
効果的だと思いますが、うがいだけでお口の汚れの撃退は
難しいです。

義歯の種類

一口に義歯と言っても、さまざまな種類があります。
見慣れていても使ったことがないと分かりにくいと思いますが
それぞれにメリット、デメリットがあります。
大きく分類すると、まず、総義歯と部分義歯があり
更に材質等で保険適用と適用外に分かれます。

○総義歯・部分義歯
・保険適用・・・レジン床
メリット:安価、熱に強い(煮沸消毒可能)
デメリット:臭いや汚れが付きやすい、きちんと清掃する必要がある
        
・保険適用外・・・金属床(金、チタン等)、シリコン
メリット:液体飲食物の味を感じやすい(多孔質金属メッシュプレート)、
     腐食による変色が起こらない、
薄い、軽い(口腔内で違和感が少ない)、
耐久性に優れる、審美性が高い
デメリット:高価、部分義歯不適用のものもある、
      修理が大変になるものもある

・部分義歯・・・クラスプ使用不使用がある

※メリットデメリットはそれぞれの特徴であり、
共通の特徴ではありません。

歯根の部分に小さな磁石を取り付けて磁石の力で固定する<磁石式>や、
残っている歯に金属冠を被せ、
その上から金属冠のついた義歯を二重に被せて
摩擦により固定する<テレスコープ>などもあります。

義歯を使用するのは高齢者の方だけとは限りませんが、
高齢者の方にとって安全性や介護者への負担を考えると
やはり欠かせない道具です。
後期高齢者(75歳以上)で総義歯使用者は3人に1人、
総義歯部分義歯(ブリッジ含む)使用者は実に89%に上ります。
義歯は使用中のメンテナンスも非常に重要になってきますが
より快適に生活するために自分の生活スタイルに合った義歯作製を
検討するうえで、義歯の種類を知っておくことも
大切になってくるのではないでしょうか。

▼義歯の種類やお手入れについてはこちらをご覧ください
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/f035uiv0nqse62wjh3bjz

骨粗鬆症と歯周病

骨粗鬆症とは、骨がスカスカになり骨折しやすくなる病気で
自覚症状がありません。
閉経期以降の女性や高年齢の男性に多くみられ
長年の生活習慣が原因であることから
生活習慣病の1つと考えられています。
歯周病もまた、自覚症状がなく、生活習慣が原因の1つであり
本質的には骨の病気です。

骨粗鬆症は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量と関係が深く
急激に減少すると骨密度も急に低下します。
これは同じように歯を支える歯槽骨に対しても
危険因子になっていることが分かってきました。
骨粗鬆症やエストロゲン分泌低下並びにカルシウムの
摂取不足が歯周病を引き起こすわけではありませんが、
カルシウム摂取量が少ないと歯周病になりやすい
という報告がされています(米国全国健康栄養調査)。

歯周病治療を含め口腔環境を整えることにより
食事をきちんと摂ることができると
体力の向上に繋がり、運動が可能になってきます。
運動をすると骨が弱いマイナス電気を発生してカルシウムを呼び寄せたり
骨の血流が良くなり骨をつくる細胞の働きを活発にするなど
骨粗鬆症予防に効果的です。

和食では出汁を取ったり小魚を素材にした料理などはありますが、
乳製品を使った料理はあまりありません。
その上、日本の水は軟水が多くカルシウム含有率が低いため
植物も硬水で育ったものに比べカルシウムの含有率が低い傾向にあります。
更にストレスを感じると尿中にカルシウムが放出されてしまいます。
こういったことはカルシウム摂取量の低下につながり、
歯周病の危険因子の1つになりえます。
カルシウムの積極的摂取など食生活・栄養面からも
歯周病に取り組むことはとても重要になってきます。

歯科医、2029年には1万4千人過剰…合格基準引き上げも検討

歯科医師が2029年に約1万4000人過剰となるという推計を厚生労働省がまとめた。厚労省は文部科学省と連携し、歯学部定員の削減や国家試験の合格基準引き上げを検討する。

 歯科医師は14年で約10万人おり、20年間で約2万人増えた。開業する歯科医師も多く、診療所数は約6万9000で、「(5万店超の)コンビニエンスストアより多い」と指摘される。競争激化から診療所の経営が厳しさを増す中、不必要な診療が行われたり治療が長引いたりする懸念がある。

 厚労省は、将来の歯科医師の過不足を把握するため需給見通しを試算した。現行の歯科医師数や国家試験の合格者数から、将来の歯科医師数を推計。少子高齢化を踏まえた推定患者数や歯科医師が1日に診る患者数などから、必要となる歯科医師数を算定した。

 1日に診る患者数を厚労省や日本歯科医師会の調査を基に3段階で想定すると、17年は3100人不足~1万5600人過剰、29年は600~1万8100人過剰と幅が出た。厚労省の有識者検討会が、中間的な想定が精緻で妥当と結論づけたため、最終的な推計値は17年で1万1300人、29年で1万4100人過剰になるとされた。

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