記事一覧

歯周病菌、インフル感染助長 「口の中のケア、重要性高まる」 日大チーム発表

口の中にある歯周病菌の一つが、その人のインフルエンザウイルス感染を助長している可能性があるとの研究結果を、日本大の落合邦康教授(口腔(こうくう)細菌学)らのチームがまとめた。口の中の細菌には、タミフルなどの抗ウイルス薬を効きにくくしたり、ウイルスの増殖を助けたりするものもあり、インフルエンザ対策での口のケアの重要性がますます注目される。

 インフルエンザウイルスは、人の細胞表面にくっつくと細胞内に取り込まれるが、そのままでは感染する能力がない。増殖するためには、人の細胞内外にある特定の酵素の働きで、ウイルス表面のたんぱく質に変化が起きることが必要になる。

 日本歯周病学会で成果を報告したチームは、昨冬流行した高齢者が重症化しやすいA香港型(H3N2)ウイルスで実験。このウイルスは呼吸器系の細胞にある酵素の働きで感染能力を得ることが分かっているが、細胞とウイルスに歯周病の原因となる「ジンジバリス菌」の培養液を混ぜると、呼吸器系にある酵素を混ぜた時と同じように、細胞へのウイルス感染が広がった。

 さらに、ジンジバリス菌が作る複数の酵素のうち「ジンジパインRpg」が、ウイルスに感染能力を持たせることも突き止めたという。

 落合教授は「高齢者は免疫力が弱まっており、口のケアが悪いと、インフルエンザ感染と重症化の危険性が著しく増加する可能性がある」と指摘する。

●保険者努力支援制度 使途のあり方で議論

厚労省の唐澤剛保険局長は4月23日の衆院厚生労働委員会で、特定健診・保健指導など医療費適正化に取り組んだ保険者を財政支援する保険者努力支援制度について「(支援金)使途は制限されているということはない」と述べた。ただ同時に「制度の趣旨に治ってどういう対応があるのかは、評価の指標と併せて議論になると思う」との認識を示した。共産党の高橋千鶴子委員への答弁。高橋委員は保険者努力が実って支援制度の助成金をもらったときに、「保険料の引き下げや子どもの医療費無料化など、被保険者に直接還元することも可能か」と質問した。
国保ニュース「国保情報(国保中央会発行)№1190より転載」

「歯周病とは?-概略および糖尿病との関連性について-」

 座長:旭川赤十字病院 副病院長 森川秋月
          演者:北海道医療大学歯学部 歯周歯内治療学分野 教授 古市保志

 1.歯周病とは
 2.歯周病の進行とその特徴、治療のながれ
 3.歯周炎罹患部位から高頻度に分離される細菌(歯周病原菌)
 4.歯周組織破壊のメカニズム
 5.歯周医学:歯周病と全身の健康との関連性~そのメカニズム
 6.糖尿病が歯周病の発症と進行に及ぼす影響
 7.歯周病が糖尿病に及ぼす影響・システマティックレビュー
 8.血糖コントロールの歯周病病態への影響
 9.歯周病が糖尿病へ及ぼす影響   
10.歯周病と糖尿病の相関メカニズムおよび病理メカニズム
11.歯周病と糖尿病の免疫生物学的な相互感受性
12.「糖尿病と歯周病の負の連鎖」を改善することの重要性

「歯周疾患の概要と糖尿病と歯周病の関わり-歯周病専門医の立場から-」

 北海道医療大学歯学部 臨床教育管理運営分野 教授 長澤敏行
・歯周病と糖尿病の関わり
 1.ヒト腸内メタゲノム解析が広げる医療展開
 2.腸内細菌はエネルギー代謝に影響を与える
 3.太っている人は痩せている人と腸内細菌が異なる!
 4.LPSの増加がインスリン抵抗性を引き起こす
 5.歯の健康と栄養状態
 6.歯周病・糖尿病治療が相互の病態に与える影響
 7.歯周病が重度である群と軽度である群における歯周基本治療前後の変化
 8.歯周基本治療後のHbA1cの改善に関する重回帰分析

北海道医療計画
 1.訪問看護ステーション、歯科診療所、薬局などと連携した在宅医療の実施
 2.北海道医療計画の糖尿病の項目における歯科の記載について

まとめ
 1.歯周病の自覚症状が無い糖尿病患者に対しても、歯周基本治療を行い、健康な歯周組織と適切な食生活を指導する。
 2.重度歯周病を有する糖尿病患者に対しては心臓血管疾患などの合併症が重度になる前に、歯周外科処置、抜歯を含む十分な歯周治療を行う。
 3.糖尿病治療の多職種連携のために歯周炎と糖尿病の関係について理解を深めてもらう必要がある。
 4.糖尿病・歯周病の治療はチーム医療が必要である。

口腔癌術後合併、喫煙と頸部郭清で増

米国の口腔癌手術症例408例を対象に、術後合併症および死亡率を後ろ向きコホート研究で検証。30日全合併症率は20.3%、30日全死亡率は1.0%だった。喫煙が呼吸器または手術部位の合併症と(オッズ比3.59、5.13)、頸部郭清術が呼吸器、手術部位、感染性の合併症と独立して関連した(同6.17、6.30、3.83)。

入院者の口腔ケアへ拠点 徳島県歯科医師会が県西・県南の病院に開設

徳島県歯科医師会が、県西部と南部の病院に「歯科医療連携室」を開設し、入院患者の口腔(こうくう)ケアや診療に力を入れている。両連携室には歯科衛生士が常駐し、医師らの依頼を受けて業務を行う。近年、口腔内の健康と合併症の関係が注目されており、同会は「今まで考えられていた以上に歯科が健康に貢献できる」と医療と歯科医療の連携効果に期待を寄せている。

 西部はつるぎ町の町立半田病院、南部は阿南市の阿南医師会中央病院の院内にそれぞれ3月に開設。2011年に徳島市の県歯科医師会館内に設けた連携室は東部と位置づけた。

 南部連携室では、歯科衛生士による患者の口腔ケアや看護師への指導、歯科医師を中央病院に派遣して院内での治療に当たっている。産婦人科がある半田病院内の西部連携室では、妊婦に歯周病と早産の関係についても説明している。南部連携室の西川裕子歯科衛生士は「入院患者の中には、滑舌や表情が良くなるなどの効果も出ている」と話す。

 同会によると、口内に細菌が繁殖したまま放置すると合併症のリスクが高まる。例えば高齢者の死亡原因で大きな割合を占める肺炎は、口の中の細菌が誤(ご)嚥(えん)によって肺内に入って引き起こされることが多い。

 県は2015年度当初予算に連携室の運営費として990万円を計上し、運営を後押しする。同会医療連携担当の秋田豊仁常務理事は「連携室を通し、口の機能を維持することが全身に良い影響を与えることを、患者や家族、医療関係者に実感してもらいたい」と話している。

ドクターG「なぜか食べられない」【6月16日放送】

2015年06月16日(火) 14:05-14:55/NHK総合

 患者は62歳の男性で、主訴は「なぜか食べられない」。1週間くらい前から腹が張っているが、下痢や便秘、痛みや吐き気もないという。妻によると、男性は1ヶ月くらい前から徐々に食事の量を減らし、外出したのは2週間前が最後。服や靴のサイズに違和感を覚えつつ、タバコも吸わなくなっていったという。来院1週間前、男性の食事の量はより一層減少、食べてもいないのにお腹が張り、食欲がないのだという。ここ数日はまともな食事をとらず、ゼリーしか口にしていない。

肝硬変?ネフローゼ症候群?

 スタジオでは患者の基礎データを確認。堀ちえみは2001年に急性膵炎を発症しており、最初は食欲不振の症状が出たという。高橋ジョージは患者の浮腫、腎不全や糖尿病が気になっているという。3人の研修医が患者の病名を予想。肝臓の働きが低下する肝硬変は、肝臓の細胞が壊れて硬くなる病気で、腹水による腹部の張りや食欲低下、息切れが一致するという。一方、ネフローゼ症候群は体内のタンパク質が尿と一緒に漏れ出る病気。全身のむくみや腹水、心臓・肺に水がたまる症状が現れる。患者は1ヵ月前にすぐ満腹になる食欲不振を訴え、20日前から除々に食欲が低下。食欲はあるがすぐに満腹になるという状態は、腸管が詰まっている可能性があるという。しかし消化管に問題があれば下痢や便秘などの症状があるはずだが、患者は下痢・便秘・腹痛の症状を訴えていない。お腹が張るという症状は、腹水か臓器による腫れの可能性が高い。しかし高橋ジョージは、「この中に正解はない気がする」と述べた。

心臓の弁に菌の塊が付着、心不全

 患者はお腹の張りを常に感じているが、触られても痛みはない。横になると呼吸が悪化する傾向が強く、ここ最近はずっと身体にダルさを覚えているという。夜は寝汗のせいか眠れず、ペンだと文字を書くのが難しいためパソコンを使用している。来院当日、患者の体重は2kg増加しており、服のサイズもきつくなっているという。普段動かないせいか息切れが強いが、辛さは感じていないと語った。

 研修医が患者の病名を推理。高橋ジョージは脳梗塞・脳血栓、3人の研修医は肝硬変、悪性リンパ腫だと考えた。悪性リンパ腫は首やわき、足の付け根のリンパ節が腫れる病で、発熱や寝汗が症状として現れる。しかし患者の体重増加は全身に水がたまっていると考えられ、肝硬変による脾臓の腫れがお腹の張りの原因だと話した。寝ると全身から返ってくる血液量が増えるため、心臓や肺がうっ血し、息苦しさを引き起こしている可能性が高い。息苦しさは心不全の症状とも考えられ、心不全の原因は心筋炎や貧血が該当するという。発熱し心不全になる病気としては、心筋炎や感染性心内膜炎が濃厚。肝硬変は腹水がないことから除外。甲状腺機能亢進症は食欲不振の原因にはならないため除外。心筋炎はもう少し重症になるため除外。感染性心内膜炎は断定し辛いが、残ったのは悪性リンパ腫と感染性心内膜炎となった。患者は人差し指に痛みを覚えており、感染性心内膜炎の可能性が高い。患者が発症するオスラー結節は感染性心内膜炎の症状で、菌に免疫が反応し、できる痛みのある結節なのだという。感染性心内膜炎であれば心不全と発熱の説明はつくが、脾臓の腫れに結びつけるのは難しい。しかし脾臓が菌を処理するため活発に働き腫れることがあるため、最終診断は「感染性心内膜炎」となった。

 緑色連鎖球菌ゲメラは口の中や消化管に常在する弱い菌で、まれに心臓の弁につき、ゆっくり繁殖する。患者の心臓の弁には菌の塊が付着し、心不全を起こしていたという。患者は心臓弁を治す手術をうけて回復している。

 医師にとって重要なのは患者の生活をイメージできる問診であると説明。今回の問診を終えた研修医達は、「ファーストインプレッションは診断に向かうための一つの要素になる」と語った。

歯科技工士養成に暗雲、過去最低の1,160人

平成27年度の歯科技工士養成学校53校の入学者総数は1,160人、過去
最低となった。5月22日(金)23日(土)札幌市にて開催された全国歯科技
工士教育協議会の理事長・校長・教務主任会議で末瀬一彦会長が報告
したもの。「時局問題」について基調講演した末瀬会長は、入卒者・
就職状況や歯科技工士国家試験実施内容、53校に実施した教育内容に
関する調査アンケートについて紹介。平成27年度入試では、定員1,81
0人、受験者数1,368人、合格者数1,245人、入学者数1,160人だったこ
とにふれた。

過去ログ