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円滑でなかった医科歯科連携 - 佐藤徹・日本歯科医師会常任理事に聞く◆Vol.1

 医科とは、診療報酬上でも別建ての歯科医療。病院における歯科標榜も2割程度にとどまり、医科からの関心は、比較的低い状況が続いてきた。しかし、患者の高齢化などに伴い、口腔ケアが重視され、チーム医療の検討も進む中で、歯科医療の重要性がクローズアップされている。日本歯科医師会常任理事の佐藤徹氏に、チーム医療の中で果たす歯科医師の役割や展望について聞いた(2015年1月9日にインタビュー。計3回の連載)。


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――歯科医がチーム医療に関わる意義はどこにありますか。

 歯科は、従来、外来中心でしたが、通院できない患者が増えて、在宅医療や高齢者施設への入所など、訪問歯科診療のニーズが高まってきました。虫歯の患者が多くいた時代が終わる中で、歯科が実施するのは、「口腔ケア」と呼ばれる口腔内の維持管理へと変化しています。これは、単なる歯磨きではありません。訪問診療では、歯科診療ユニットは持ち運びが容易でないこともあり、治療メーンというより、口腔管理の一環として、治療を実施するイメージです。

 入院患者も含めて、口腔管理では、現状では看護師が、入院患者に対して、懸命に歯磨きしたり、口腔内を拭いたりしています。看護師は、病院に歯科の専門職がいない中で、自分なりに研修などを受けている人もいますが、専門資格を持つ歯科医師や歯科衛生士と比べれば、当然ですが、目覚ましい効果が出ているわけではありません。医師も口の中を一応確認しますが、舌や咽頭を診ることになり、歯や義歯の状態をしっかり診ることができるわけではありません。

 口腔ケアの重要性は、ある程度認識している人が多く、現場でやらざるを得ませんが、医科から歯科につながることはあまりなく、医療連携は円滑に進んでこなかったと思います。医科と歯科は、診療報酬も別になっているように二元化されてきたのも要因かと思います。


日本歯科医師会常任理事の佐藤徹氏は、従来、医科と歯科の連携がうまくいっていなかった点を指摘した。

――医科と歯科の疾患の関係は、近年明らかになりつつあるのでしょうか。

 血液の癌、消化器癌、頭頸部癌などの癌については、多くのことが分かってきました。抗癌剤や放射線治療によって、口腔粘膜炎を中心として、高頻度に歯科の問題が発生します。口腔内には肛門以上に細菌がいると言われる中、歯周病の問題や、義歯や歯肉の評価は、専門家が適切な管理をしないと良い状態に保たれないと思います。(歯周病を合併しやすい)糖尿病も、医科と歯科の連携が可能な部分です。

 当然ですが、医師や看護師は口腔の専門家でないので、ある意味見逃されてきました。そこに、歯科専門職が入って、診断をして適切な管理を実施し、より良い状態を維持するのが重要です。訪問診療でも病院での診療でも、患者には生活がありますから、(チーム医療の理念として)患者中心の視点で捉えていくことが重要だと思います。病気の治療が発展して、長寿になったのは良いですが、QOLの観点から改めて医療の現場は問われているのかもしれません。その新しい一つの在り方が医科歯科連携ではないかと思います。

――訪問診療は、どれくらいの歯科医療機関が実施しているのですか。

 2011年には、在宅訪問が13.8%で横ばい傾向、施設訪問は12.9%で増加傾向です。多くの歯科医師が、患者や家族、ケアマネジャーなどから求められて始めます。医科関係者からの依頼は、現時点では、あまりない状況です。2010年度の診療報酬改定で、「在宅療養支援歯科診療所」が施設基準として認められたのを契機に、歯科医が外に出でる足がかりができていますが、こちらは5%強です。

 ただ、訪問診療といっても、歯科の診療所はほとんど小規模で、歯科医1人の診療所が8割を占め、歯科衛生士も1人しかいないような診療所も多く、訪問診療を実施しにくい側面は今も続いています。

――訪問診療以外には、どのような方向性があるのですか。

 施設への訪問診療に加え、病院の標榜科の問題もあります。現在、7000以上の一般病院があっても、歯科を標榜しているのは、2割程度です。標榜しなくても、歯科衛生士を配置している場合もありますが、いずれにせよ、歯科医師の診断が必須となります。

 そもそも、歯科の診療報酬点数は、医科と近い内容を実施しても、低い点数となっています。病院の経営の視点からすると、収益が上がらない「不採算部門」と言われていて、やはり病院での位置づけが進まなかったことがあるとみられ、最近5年間で歯科を標榜する病院は、2011年のデータ(編集部注:全病院の26.8%)からあまり増えていないのが実情です。ただ、糖尿病と歯周病の関係などが分かってきている中で、何より患者の幸せにつながる点を、忘れないでほしいと思います。

――病院は、口腔ケアの重要性を考えているのでしょうか。

 従来、病院歯科のメーンは、口腔咽頭の疾患を治療する「口腔外科」でした。現在では、治療実績を上げるための入院患者の口腔ケア管理が求められているのが新たな役割だと思います。

 口腔外科医は、口腔内の疾患についての、「治療の専門家」としての側面が強い場合もあり、なかなか口腔ケアについての理解が進んでこなかった面があります。また、病院における歯科のマンパワーの問題もあります。歯科が1人しかいない病院では、院内の歯科診療室にいて、訪問してくる患者を診ざるを得ず、病棟で何かするのは難しいでしょう。

 歯科医師が2人いたり、歯科衛生士が病棟業務をこなすようなことが可能かもしれませんが、日本歯科医師会は、開業医の団体でしたので、あまり病院歯科の在り方を検討する場がなかったのが事実です。日歯の中で、病院歯科の在り方を検討する場ができ、現在検討を進めています。口腔ケアの重要性を病院の人に理解してもらう途上にあると言えます。

防ごう 虫歯、歯周病

虫歯に悩む人は多い。歯茎が腫れる歯周病も深刻な場合があり、口に中で繁殖した細菌を飲み込み、全身に悪い影響を及ぼす可能性もある。この虫歯と歯周病は”口中の二大感染症”といわれ、専門家は「ていねいな歯磨きが欠かせない。定期的に歯科検診を受けて、歯石も取り除いてほしい」と助言している。
                            北海道新聞 2015.1.22

3800万円を不正受給 茨城県歯科医師会、返還へ

茨城県は6日、茨城県歯科医師会が障害者向けの歯科診療所運営費の補助金や委託料計約3800万円を不正に受け取っていたと発表した。医師会は遅延損害金などを合わせた約5千万円を近く県に返還する。医師会によると、私的流用はなく、治療機器の購入などに充てていたという。

 県によると、補助金や委託料は診療所の運営に関して赤字が出た場合、基準額の範囲内で交付するもので、医師会は運営する2施設の2004~12年度の実績報告書に実際より多い赤字額を記載し、県に提出していた。

 医師会の森永和男(もりなが・かずお)会長は「会計担当者が慣例的に続けていた。チェック体制にも不備があった」と説明している。

 昨年5月、県が運営費の内訳などを問い合わせたところ、担当者が金額の修正を申し出たため詳しく調査し、発覚した。

感染性心内膜炎、無視できない歯磨き【研修最前線】

歯科治療と感染性心内膜炎の関連について、今までは観血的な歯科の治療が原因だといわれつづけてきました。しかし、いろいろ調べてみても、両者の因果関係を示す臨床疫学的なエビデンスはほとんどありません。例えば、感染性心内膜炎を起こした人が数週間前に歯を抜いていたとなると、時間的な関係で多分それが原因だろうということになっていますが、そのような時間的な関係(だけ)がわかっている症例にしても、全体の4%から7.5%くらいしか存在しないといわれています。

 そこで、最近では、歯科で行う抜歯などのイベントよりも、日常活動としての歯磨きや咀嚼による出血が、実は重要なのではないか、と考えられるようになってきたのです。先ほどお示ししたように、抜歯ではなく歯磨きだけでも、出血すれば、無視できないような菌血症になる可能性があるわけですから、口の中の衛生状態と口腔内の出血の重要性が注目され始めた、というわけです。

「感染性心内膜炎と歯科治療」

感染性心内膜炎の発症の原因として、観血的歯科処置の位置が低下し、代わって日常活動である歯磨きなどにおける出血が浮上してきたということです。口腔衛生状態の重要性についても同様です。最近は口腔衛生状態改善を目的とした、医学部附属病院からの歯科依頼も増えています。私どもとしてはありがたいし、患者さんはもちろん、医科と歯科の両方にメリットがあることではないかと思います。

 口腔関連の日常活動で発生する軽度の菌血症が、感染性心内膜炎の重要なリスクならば、私ども歯科医は患者さんの口腔内環境を改善し、高い口腔衛生状態を維持することが、これまで以上に重要であることを自覚する必要があります。そして、患者さんの口腔衛生状態の改善にむけて、さらに努力する必要があるわけです。

歯周病の妊婦、「早産リスク大」 青森県の医療関係者が指摘

妊婦の歯周病は早産(妊娠22~36週の出産)を促し、低体重の赤ちゃんが生まれる恐れがあることが県内医療関係者の間で指摘されている。米国では歯周病によって早産リスクが7倍になるという報告もある。医療関係者は、早めに歯科健診を受けてほしい―と、妊婦に呼び掛けている。

 青森市の40代女性は3年前、妊娠24週弱という超早産で1000グラム未満の女児を産んだ。当初、開業医にかかっていたが、突然の破水、容体急変で市内の県立中央病院に緊急搬送され出産した。女性は「早産の理由は、歯周病の影響だった可能性がある」と医師に言われたといい、「歯科医を受診する時機を逸していた。自分と同じ体験をしないよう、他の妊婦さんには歯科健診を受けた方がいいとアドバイスしている」と語った。

 元県病総合周産期母子医療センター長で現在、青森労災病院(八戸市)産婦人科の佐藤秀平部長は「歯周病によって早産となった妊婦を何人も診てきた。早産と歯周病の関連は確実にある」と語る。佐藤部長によると、歯周病菌によって産道の炎症が強くなり、子宮を収縮させる物質が増えることにより、早産しやすくなるという。

 県病では専門検査技師が歯周病を含めた菌の検査を行い、歯科と連携して治療に当たり早産防止に努めているが、高度医療機関にかかる前に、歯科健診を受け、歯周病があれば治療した方が良い―と妊婦に呼び掛けている。

 県歯科医師会の波多野厚緑理事は、歯周病の人とそうでない人を比べた早産リスクが、米国の調査(1996年)では7.5倍、国内の調査(2003年、鹿児島大)では5倍に高まることなどを紹介。「歯周病は喫煙や飲酒、高齢出産よりも早産になる確率が、はるかに高い。20代で重症な人はほとんどいないが、30代後半を過ぎると、急に罹患(りかん)率が高くなる。正常出産するためも歯周病があればきちんと治し、予防を心掛けることが大切」と話す。

 県内自治体の中には、妊婦の歯の健康を重視して健診を実施している市町村がある。県歯科医師会が昨年7月に行った調査では、弘前、十和田、三沢、おいらせ、七戸、六戸、横浜、東北、西目屋、六ケ所の10市町村で妊婦の歯科健診を行っている。このほか、八戸市が健診実施を検討中。

 七戸町は13年度から、母子手帳配布時に妊婦に歯科健診を受けるように勧め、健診1回分の費用を無料としている。町健康福祉課の担当者は「妊娠するとホルモンのバランスが崩れ、虫歯になったり歯周病になる可能性が高まるので、歯科受診を勧めている」と話した。

日歯連、5千万迂回寄付か 石井みどり氏の後援会に

政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)が2013年に支出した政治資金のうち、計9500万円が組織内から擁立した石井みどり参院議員(自民党)の後援会にわたっていた可能性のあることが4日、政治資金収支報告書で分かった。

 政治資金規正法は政治団体間の寄付を年間限度額5千万円と定めている。日歯連から5千万円が別の政治団体を迂回(うかい)する形でわたっていた。4500万円は直接、石井氏の後援会に寄付していた。

 3団体の報告書によると、日歯連は13年1月23日に西村正美参院議員(民主党)の後援会に5千万円を支出し、西村氏の団体から同日、石井氏の後援会に5千万円が寄付された。2カ月後の3月15日には4500万円を直接、寄付している。

 3団体の代表はいずれも日歯連の高木幹正(たかぎ・みきまさ)会長で、事務所の所在地も同じ東京都千代田区の歯科医師会館にある。日歯連と石井氏の会計責任者は、日歯連の副理事長が務めている。

 日歯連は寄付や選挙での推薦を通じて政権とのつながりを深めてきた。日歯連の推薦を受けた石井氏は13年の参院選比例代表で、再選を果たした。一方で、日歯連は民主党政権時代の10年の参院選では西村氏を支援していた。

 神戸学院大法科大学院の上脇博之教授は「3団体は代表も所在地も同じで、民主党議員から自民党議員という通常ではあり得ない異様な寄付が行われている。この年は参院選もあり、計画的に行われた違法な迂回献金ではないか」と述べた。

”噛んで食べられる”が増加

平成25年国民健康・栄養調査結果の概要が12月9日(火)、厚労省より公表され、どの年代においても「何でも噛んで食べることができる者」の割合が増加していることや、「食べ物や飲み物が飲みにくく感じたり、食事中にむせたりすることがある者」の割合が減少していることが示された。
                   日歯広報 2015.1.15

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