環境因子の改善については、禁煙や節煙、食生活の改善、ストレスの解消、適度な運動習慣と、生活習慣の改善そのものです。生活習慣の改善で、歯周病の環境因子も小さくすることができるのです。
療はどのようにすれば良いのでしょうか。要は、細菌、生体、環境のリスク因子を全部改善すればいいわけです。歯科医としては生体因子については手を出せませんので、細菌因子と環境因子を小さくします。
まず細菌の因子を小さくします。それをプラークコントロールと言います。歯の周りの汚れを低レベルにコントロールすることです。これには歯ブラシを使ったブラッシングやフロスを使った歯間部の汚れの除去、また機械を使った表面の研磨があります。一旦ついた歯石はスケーリング・ルートプレーニング、ガリガリ取っているわけです。そのあとケミカルプラークコントロールとして、歯磨剤や洗口剤を使います。この中には抗菌薬や抗炎症薬が入っています。
非常に強い炎症がある場合は、そこに付着しているプラークや歯石をブラッシングやスケーリングをして取り除きます。その結果、歯肉の炎症が治まってきます。もちろん何も薬は使っていません。機械的に汚れを取っているだけで、ここまで炎症が改善できました。
歯周病が非常に全身の疾患と関わりが強いと言われる理由は分かりますか。まずその始まりは、やはり歯周ポケットになります。歯と歯肉の病的な溝の部分です。その歯周ポケットの中に多くの細菌が潜んでいるわけです。親不知を除いて、28本歯があるわけですが、それぞれの歯の周囲に7mmの歯周ポケットがあると仮定します。そうしますと、歯周ポケットの歯肉上皮側の表面積が計算できます。それを計算すると、誤差を考えて50から70cm²になると考えられています。
ポケット上皮の表面は非常に小さな潰瘍がたくさんあります。微小潰瘍はご存じのように、上皮が薄くなっています。外のものが組織内に進入しやすいのです。すなわち歯周ポケット内のプラーク細菌や代謝産物が、どんどん体中に入り込んできます。ちょうど掌ぐらいの入口が口腔内に存在していると考えることができます。
歯周病を悪化させるものには、細菌因子、生体因子、環境のリスク因子と全身疾患があります。一方で、最近10数年の研究の成果により、歯周病が全身疾患のリスク因子となる可能性も明らかにされてきています。
健康な口腔内が歯周炎にまで進行すると、歯周病原細菌が非常に多く歯周ポケット内で増殖します。それに対して、歯周組織内では炎症性メディエーターが非常に多く産生されます。これが感染性心内膜炎や循環器疾患、糖尿病、早産・低体重児出産、細菌性肺炎というような形で、全身へ影響を及ぼしていくわけです。
歯周病は、プラークあるいはバイオフィルムが歯面に付着することで、歯肉に対して炎症反応や免疫反応が起こり、その結果、歯周組織が破壊されて発症、進行します。付着したプラーク中の「細菌因子」、それに対して体が反応する「生体因子」、また、ヘビースモーカーやストレス、不規則な食生活などの「環境の因子」の3要素が、歯周病のリスク因子です。リスク因子が重なると、歯周病が発症し、重症化すると考えられています。
周期性高中級症減少症の口腔内クリックすると大きな画像を閲覧できます。
また、全身疾患も歯周病のリスクとなります。特に生体防御系に異常があった場合には、口腔内に強い炎症が起こります。その例がこの13歳の男子の口腔内です。かなり歯肉が腫れているのが分かりますか。エックス線写真からも、歯槽骨の吸収が見て取れます。周期性好中球減少症の患者さんで、好中球減少期になると、歯肉の腫脹と歯槽骨の吸収が著しくなります。こうした症例からも、歯周病の進行には好中球が非常に重要な役割を果たしていることが分かると思います。この患者さんを10年間治療し、歯を残そうと努力したのですが、残念ながら歯の保存はできませんでした。
周病の病因を見ていきましょう。細菌感染のひとつですから、歯周病原細菌が注目されます。歯と歯茎の間の溝、すなわち歯周ポケット内を見ると、歯の表面に厚い層をなしてプラーク(バイオフィルム)が付着しているのが分かります。これを拡大すると、歯周ポケット上皮表面から歯根表面にかけて、しっかり沈着物や付着物があるわけです。この細菌叢は、Red complex、Orange complex、green、yellow、purpleと色分けされています。なぜ色分けされているかと言うと、細菌のグループがしっかり分かれているからです。これまでの研究の結果、歯周病に関連する細菌は、いずれもグラム陰性偏性嫌気性が主体だと分かってきています。
第11回理事会が2月20日(木)、歯科医師会館で開催され、平成27年4月診療分からオンラインまたは電子媒体による請求に原則移行しなければならない状況等に鑑みて、「医療IT化政策及びレセプト電子化に対する日本歯科医師会の現時点での見解」を決定した。日歯は医療の質の向上を目的とした医療IT化推進の観点から、対象医療機関ができる限り円滑に電子請求に移行できるように対応する。
日歯広報 3月5日
4月1日から稼働する在宅医療支援の中核拠点「柏地域医療連携センター」(柏市豊四季台1)の開所式が31日、行われた。市福祉政策室(在宅医療支援担当)と柏市医師会、柏歯科医師会、柏市薬剤師会の3師会がセンターに入り連携。退院したばかりで不安を抱える患者に在宅医や介護のケアマネジャーらを紹介し、在宅での医療・介護の普及のための先進的な取り組みを実践する。医師の負担軽減を図る主治医・副主治医態勢を導入すると同時に、地域内に24時間在宅医療を行う「在宅療養支援診療所」も増やしていく。
センターは鉄骨2階建ての建物(敷地面積約1000平方メートル)。3師会と、学術的な支援をした東京大学高齢社会総合研究機構が合計約2億5000万円を支出して建設し、柏市が管理・運営する。式典で秋山浩保市長は「日本が抱える高齢化社会に対し一つのアプローチになる」と話した。
毎日新聞社 2014年4月1日(火) 配信