記事一覧

DMの歯周炎治療でHbA1c改善せず

文献:Steven P. E,et al.he Effect of Nonsurgical Periodontal Therapy on Hemoglobin A1c Levels in Persons With Type 2 Diabetes and Chronic Periodontitis A Randomized Clinical Trial.JAMA. 2013;310(23):2523-2532.

 慢性歯周炎を有する2型糖尿病(DM)患者514人を対象に、非外科的歯周炎治療のHbA1c改善効果を無作為化比較試験で評価(DPTT試験)。ベースライン時から6カ月時までのHbA1c値の変化量は、治療群と無治療群で有意な群間差は見られず(0.17%対0.11%、P=0.55)、本試験は早期無効中止となった。

【宮城】5-17歳 体重、虫歯全国平均上回る

県は、2013年度の学校保健統計調査結果(速報)を発表した。県内の子供(5-17歳)の平均体重は男女とも各年齢で全国平均以上だが、虫歯の割合も全国より多い傾向が見られた。13年4-6月、165の幼稚園と小中高校を対象に、抽出調査を行った。

 平均体重は、男子が6、12-14、16-17歳、女子が5-6、8-11、13、17歳で前年度より重いという結果が出た。全国順位は、男子の13歳(51・3キロ)と女子の10歳(35・9キロ)が1位だった。

 平均身長は、男子が5-8、10、13-14、16歳、女子が5-11、14、17歳で前年度より高くなった。全国との比較では、男子の15-17歳、女子の15歳を除き全国平均を上回り、男子の6歳(117・3センチ)は1位だった。

 肥満傾向児の出現率は、男子の5歳(2・37%)を除く全年齢で全国の値より高かった。特に、男子の12歳(16・79%)、女子の5歳(5・35%)は全国1位だった。

 虫歯のある子どもの割合は、幼稚園が56・5%、小学校が58・8%、中学校が51・2%、高校が63・6%で、いずれも全国平均より多かった。

 県教委スポーツ健康課は、「従来から東北地方には、肥満傾向児の出現率が高い傾向にある。早寝・早起き・朝ごはんを徹底させ、基本的な生活習慣を身につけることで、改善していきたい」と話している。

永久歯「再生」に道 九州大グループが成功

大人になると二度と生えてこない歯が、遺伝子操作を使った培養技術により、自分の歯肉細胞から再生できるようになるかもしれない―。九州大大学院の坂井英隆教授(口腔(こうくう)病理学)らの研究グループが、ヒトの皮膚細胞を遺伝子操作して、歯の生成に欠かせないエナメル質を作り出すことに成功した。虫歯や歯周病で欠損した歯の再生医療の確立に向け、第一歩を踏み出す研究成果といえる。

 ヒトの歯は象牙質とセメント質をエナメル質が覆う構造。象牙質とセメント質は体内でいつでも生成されるが、永久歯ができる際に、エナメル質を作り出す「エナメル芽細胞」が消失するため、エナメル質は体内で作られなくなる。このため、ヒトの永久歯が生えるのは一度きりだ。

 研究グループは、マウスの胎児に歯が形成される際、「サイモシンβ(ベータ)4」と呼ばれる細胞の骨格に関わる遺伝子が多く出現していることに着目。ヒトの背中の皮膚から作られた研究用細胞にこの遺伝子を注入して3週間培養したところ、エナメル芽細胞と同じ性質の細胞に変わり、タンパク質やリン酸カルシウムを含む石灰化物(エナメル質)が作り出された。

 研究グループは年明けにも、臨床研究の実施を学内の倫理委員会に申請する。今後、患者が抜いた親知らずなどの歯に付着した歯肉の粘膜細胞を、口腔内に近い環境の下で遺伝子操作し、象牙質やセメント質も含めた歯の形成を目指す。形成された小さな歯を患者の顎の骨に埋め込めば、やがて歯茎に定着して新しい歯ができる見通しという。

 ヒトは永久歯を失うと、入れ歯やインプラント(人工歯根)でしか代替できない。坂井教授は「この医療の実用化には10年以上かかりそうだ」とするが、技術が確立されれば、高齢者の生活の質の向上に大きく貢献しそうだ。

超高齢化社会における食への取り組み フレンチ、おせちが変わる

今年のお歳暮商戦で特に目につくのが「ソフト」「やわらか」と
銘打った肉、魚介類の高級食品の贈答品である。酵素で処理したり、
調理法を工夫することにより、咀嚼能力の低下した高齢者にも、美味
しく味わえる、歯に優しい食材が多く見られる。このような取り組み
はすでに飲食業界でも始まっている。
以下はその一例
ホテルニューオータニ大阪内のフランス料理店『サクラ』は現在、
高齢者にもフレンチを楽しんでもらうための「摂食支援プロジェクト」
を行っている。同店では以前から咀嚼に不安を抱える高齢の客などに
対し、メニューを食べやすくアレンジして提供するなどのサービスを
行っていたが、今夏から「摂食支援プロジェクト」として取り組みを
強化した。オーダーに応じて、肉料理は肉自体の味を味わえるように
工夫しながら細かく切り、付け合わせの野菜もピューレ状に食べやす
くして提供する。「高齢者向けに柔らかい調理を心がけ、個人の体調
に合わせ切り方や大きさも工夫、食材の持ち味は生かした調理方法に
している」と永井義昌料理長は話す。「家族と同じメニューで、素材
の形状を変えたりすることで一緒に食べる楽しみを味わってもらった
り、食べる意欲につなげたりしてもらえたら」としている。
一方、高齢者用食材メーカーの『ふくなお』は2014年の高齢者用の正
月おせち料理として「やわらかおせち重」の予約販売を開始した。
同社は、創業60年の水産加工、惣菜製造・販売を行う『大市珍味』を
親会社に持つ高齢者食専門のメーカー。見た目と味にこだわったやわ
らかい商品開発を10年以上実施してきた実績をもつ。今回販売する高
齢者用やわらかおせち重は、咀嚼障害の高齢者でも家族と共に自宅で
食事を楽しめるのがコンセプト。同社通販サイト『ふくなおネットシ
ョップ』で販売する。「やわらかおせち重の販売を機に、自宅で介護
するご家族にも楽しく食べられる、一緒に楽しめるという商品がある
ことを知って頂きたい」「より良い介護、頑張らない介護をサポート
したい」とし、高齢者食品の販売増加につなげたい考えとのこと。

診療報酬改定 厚生省、自民議連と財務省で異なる見解

12月に入り、次年度予算編成作業が本格化する中で、最大の焦点とな
る診療報酬の改定について、厚生労働省では、主に消費税増税分を根
拠として、10,12年度と同様引き上げを検討している。アベノミクスに
よる景気回復に加え、消費税増税で増える財源は社会保障費用に充て
る基本方針であることから、これを受けて、厚生労働省は「医療提供
体制の充実・適正化を図る」として、2014年度分の診療報酬について
も、引き上げを要求。また、自民党議員408名中255名が所属する国民
歯科問題議員連盟は11月28日の総会において、尾辻秀久会長は次期診
療報酬改定について「『自民党政権に戻ったら診療報酬が下がるのか』
と言われる事態だけは、絶対避けなければならないと思っている」と
言及した。総会には、大久保日歯会長も出席し「プラス改定で歯科医
療の技術を評価していただけないと、私たちの大切な仕事はとても務
まらない」と発言、歯を残す技術や補綴による食の確保で国民の健康
寿命を延伸させたり、在宅歯科医療を推進するなどの取り組みは、プ
ラス改定でこそ進めることができると訴えた。また、日歯は同議連に
対し、消費税率引き上げが医療機関の負担にならない制度に改める、
社会保険診療報酬に対する事業税非課税の特例措置の存続、四段階税
制の存続を求めた。
一方で、財務省は年間の医療費は約42兆円(13年度予算ベース)で、
負担割合は保険料と税金と患者負担が5:4:1。もし、診療報酬が1%引
き上げられると、医療費は約4200億円増加する。増加分のうち、税金
が1600億円、保険料は事業主と被保険者が折半しているため、企業が
約800億円、家計は約1700億円の負担増となる試算から、アベノミクス
効果で所得から支出へという景気の好循環がうまれ、デフレ脱却に向
け経済が前進しつつある中で、この時期に企業や家計の負担増につな
がる診療報酬プラス改定は時代に逆行すると引き上げに反対を表明し
ている。

治療は高額、事前の無料相談も みんなの○○ インプラント選び

 入れ歯やブリッジに代わる歯の治療法として、インプラント治療が普及しつつある。一番知りたいのは、どんな歯科医師にかかれば安心できるかだろう。後悔しないためにも歯科医師の選び方のポイントを知っておきたい。

 インプラントは歯がなくなった部分のあごの骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を固定する治療法=イラスト参照。

 例えば、上の前歯が1本欠けたとしよう。従来のブリッジ治療だと両側の健康な歯を削って、3本つながったかぶせ物の歯を入れる。公的医療保険が利くメリットはあるが、健康な歯を削って、あとで2次的な虫歯になったり、神経まで取らなければならなかったりするケースもあり、長い目でみると耐用性は低い。これに対し、インプラントは欠けた部分に1本の人工歯を埋め込むだけで済む。高齢者によく見られる取り外し式の入れ歯よりも違和感が少なく、かみ応えがあり、長持ちする。

 ただ、インプラントは公的医療保険が利かず、高額な治療費がかかる。高度な技術がいるため、医師によって出来、不出来の差があるのが悩みの種だ。治療をめぐるトラブルも少なくない。

 国民生活センターの調べによると、インプラント治療に関して、「痛い」「かめない」などの危害が生じた相談件数は2006年から今年11月末までに560件あった。こうした状況から、同センターは11年12月、医師に対し「治療の内容やリスクを十分に説明するよう」注意を促した。

 治療費別に相談件数をみると、歯の本数や症状によって異なるものの、総額で50万~500万円が半分以上だった。

 現在、1本あたりの治療費は約10万~100万円と医療機関によって大きく異なるが、相場はいくらなのか。渡辺文彦・日本歯科大新潟生命歯学部主任教授は「患者の症状や検査の中身によって異なるが、一般的には1本あたり約35万~40万円が目安になる」と話し、特殊な治療を除き、極端に安い、もしくは高い場合には注意が必要だ。

インプラント訴訟増加 浜松では賠償命令

静岡新聞 2013年12月10日(火) 配信


 顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込み、人工歯をかぶせる歯科治療で、神経損傷、感染症などのトラブルや民事訴訟が静岡県内を含む全国で増加している。リスクが高く高度な技術が求められる治療にもかかわらず、患者に否定的な情報を十分説明していないなど、歯科医のモラルが問われるケースも目立ち、早急な対策が求められている。

 浜松市南区の50代女性が、市内の歯科医に誤った治療をされたとして損害賠償を求めた訴訟の判決が11月26日にあり、静岡地裁浜松支部は歯科医に195万円の支払いを命じた。弁護士を立てない本人訴訟だったが、裁判所は過誤を認めた。女性は、ずさんな治療が横行していると憤る。

 判決や女性によると前歯の治療でインプラント本体を誤った位置に埋め込まれたため、激しい頭痛や顔面が腫れて食事も外出もままならない日が続いた。治療した歯科医は「失敗ではない」と主張したが、その後に受診した7カ所の歯科医院すべてで「撤去が必要」と診断された。「誰かが訴えなければ、被害者が増え続ける」と訴訟を決意したという。

 日本顎顔面インプラント学会の指導医で、浜松医療センター歯科口腔(こうくう)外科の内藤克美科長は、他の歯科医院の患者10人以上から、治療後の神経障害やインプラントの脱落などの相談を受けた。「インプラントはあくまで失った機能を補うもので、天然の歯とは違うということを患者側も理解しておく必要がある」と指摘する。一方で多発するトラブルの原因は「治療者側の知識と技術、モラルの欠如が大半」と警鐘を鳴らす。

【栃木】口腔衛生支援で宇都宮市が初の基本計画

虫歯や歯周病の予防、健全な口腔機能の維持向上などへの支援を基本方針に掲げ、乳幼児期や学齢期、成人期、高齢期の各年齢層別に現状と課題を明示。2017年度までの5か年間で、虫歯のない幼児の割合を88%に高めるなど、具体的な数値目標も設定している。

 市健康増進課によると、出生前から5歳までの「妊娠期・乳幼児期」の現状(2010年時点)は、1歳6カ月児の虫歯保有率が2・09%(全国平均2・33%)。3歳児では19・6%(同21・5%)となっている。

 これらの状況を踏まえ、市は妊産婦歯科健診の受診率を17年度までに35%(現状32・2%)、虫歯のない幼児は88%(現状80・4%)という数値目標を設定。達成に向けた取り組みとして「保護者による仕上げ磨きの徹底」などを掲げた。

 市健康増進課は「市民に分かりやすく現状と課題、目標を明示した。計画を通し健康寿命の延伸を図る」としている。

過去ログ