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口腔ケアやリハビリ 看護師・医師ら考え方、手法学ぶ 講演会

救急医療や手術、専門性の高い疾患を診療している急性期病院でも、患者が自分の口から栄養を取るための口腔(こうくう)ケアやリハビリが重要とする講演会が、富山市西長江の県立中央病院(野田八嗣院長)で開かれ、看護師や医師ら約100人が考え方や手法を学んだ。医学界では近年、治療の初期段階で患者のケアやリハビリの重要性が認識されているという。

 日本大歯学部の植田耕一郎教授が「急性期病院の摂食・嚥下(えんげ)リハビリテーション」と題して講演。「脳卒中などを発症して口がまひすると、虫歯が加速する。誤嚥性(ごえんせい)肺炎の予防などのためにも、手足と同じように口もリハビリが必要」として、口から栄養をとる際の患者の姿勢や、飲み込みやすく安全性が高いゼラチンゼリーを使った訓練などについて解説した。

 講演会を主催した同院栄養サポートチームの一人、看護部の松村江美子さん(脳卒中リハビリテーション看護認定看護師)は「リハビリをするための体作りには栄養が必要で、そのための口作り。口内に残った菌の死骸を除去するスポンジブラシや、口中の乾燥を防ぐ保湿剤などをケアに使っていますが、市販品もあるので患者さんがいる家庭でも活用してほしい」と話している。

なぜ?謎?やまがた 大蔵村は防災無線で「虫歯注意報」? 全村一丸で意識共有

大雨、雷、洪水と「注意報」の名が付くものは数あれど、大蔵村には防災無線で呼び掛ける「虫歯注意報」というものがあるらしい。注意報といえば天災のような身に迫る危険をお知らせするもののような気がするが、「虫歯注意報」とは一体、何だ?【安藤龍朗】

 「虫歯予防の中で歯みがきは大切な役割を持っています。大人の歯みがきとともに子供の仕上げ磨きはとても大切。奥歯のかみ合わせ、前歯のすきまなど虫歯になりやすい場所は丁寧に仕上げ磨きをしましょう」

 11月8日、大蔵村で本当に「虫歯注意報」が響き渡っていた。この日は「いい歯の日」。各家庭に配備されている防災無線で朝晩の2回、注意報は流れた。

 20年ほど前、大蔵村では子供の虫歯が多発していた。1994年は3歳児の虫歯本数が6・6本、95年は7・09本で、いずれも県内ワースト1の多さだった。93年に村診療所に赴任した歯科医師の伊藤充也さん(49)は「当時は診療室で子供たちが泣き叫ぶのが日常だった」と振り返る。

 99年から県のモデル事業として「ヘルシーティース2001」が同村でスタート。危機感を強めた村や診療所、住民らが問題意識を共有し、子供の虫歯を減らす取り組みを始めた。「虫歯注意報」はその取り組みの一つ。住民たちから出たアイデアだったという。

 「子供を持つ母親だけでなく、おじいさんやおばあさん、近所の人にも意識してもらうことができる」。村健康福祉課の長南智美さんは虫歯注意報のメリットをそう説明する。

 女性たちが家々に集まってお茶を飲みながら、よもやま話を語るのは楽しい習慣だが、虫歯予防の観点では、お茶請けのお菓子は要注意。長南さんは「お茶飲みの場に小さい子供がいると、ほらほらと周りがついお菓子をあげてしまう。当初は『子供がぐずってもお菓子を与えないで』とか『夕食の前にお菓子を食べすぎないように』と注意報で呼びかけていました」と語る。

 伊藤さんは当時診療に当たりながら危機感を覚えていたという。「重い虫歯のケースが多かった。3歳児までは多少歯磨きをさぼったくらいでは重症化しないのに。お母さんたちに食習慣を繰り返し聞く中で原因が分かってきた」

 原因の中でも大きかったのは、哺乳瓶で乳児に与えるスポーツドリンク。熱冷ましに使える「良い飲み物」というイメージで病気が治ってからも日常的に飲ませる慣習が広がっていた。しかし、スポーツドリンクは酸性のため、生えたばかりの歯を溶かし虫歯を作ってしまっていた。

 全村一丸となった取り組みで、子供の虫歯は大幅に減少。モデル事業は3年限定だったが、事業終了後は村の事業として取り組みを継続。2003年には、3歳児の虫歯本数が0・39本まで減り、県内の市町村で最も虫歯が少ないという実績を上げた。

 当初は「8(歯)」が付く8日、18日、28日の月3回放送した虫歯注意報も、現在は毎月8日だけの実施となった。

 伊藤さんは「今は診療室から泣き声が消えた。にこにこしている子供を見ると平和になったと実感します」と笑う。一方で、今取り組む必要性を感じるのは高齢者の歯の健康だ。「口腔(こうくう)ケアが十分でないと、他の疾病につながったり、全身に及ぼすようなトラブルが出たりする場合がある。高齢者の方の意識を上げていきたい」。虫歯注意報の「需要」は今後もしばらく続きそうだ。

歯磨き 基本 何かをしながらでもOK

 「歯垢(しこう)を赤く染め出した時に8割落ちているのが合格の目安です」と馬見塚(まみづか)デンタルクリニック(東京都中央区)の馬見塚賢一郎院長(52)。同院は予防に力を入れており、年数回は定期的に受診する、歯の健康に関心の高い患者が約1000人いるという。その人たちを含めて「合格」は、わずか1割弱。「一般的には、九分九厘きちんと磨けていません」

 現実を知ったところで、歯の常識クイズ。次の四つで正しいと思うものはどれだろう。

 (1)歯磨き剤はなるべくつけない方がよい。

 (2)歯磨き後はしっかり口をゆすいで歯磨き剤を落とす。

 (3)中高年は歯ぐきを磨いてマッサージすべきだ。

 (4)歯磨きで歯垢を完全に取っても、歯石は防げない。

 実は、正解はない。馬見塚院長によると、寝る前にフッ素入り歯磨き剤を使って、歯と歯ぐきの境目を中心に念入りに磨き、できるだけゆすがないのが虫歯や歯周病予防の基本だ。

 歯垢は24時間で「バイオフィルム」という細菌の塊になる。「イメージとしては排水管のぬめり。こうなってしまうと歯磨きでは簡単に落ちません」と馬見塚院長。このため、1日1回はしっかり磨きたい。唾液の減る就寝の前が最も効果的だ。

 永久歯は親知らずを除いても28本。かつて「3分磨き」という言葉があったが、3分間では1本あたり5、6秒しか磨けない。馬見塚院長は「入浴中やテレビを見ながらの『ながら磨き』でもいい。時間をかけましょう」と助言する。

 歯磨き剤には「歯を強くするフッ素入りのものを」と勧める。「世界的に低濃度のフッ素を毎日使うのが推奨されている」という。口をゆすぐとフッ素が流出してしまうので、歯磨き剤を吐き出したあとは、大さじ1杯弱の水で1度だけすすぐのを勧める。それでは気持ちが悪い人には、歯科で販売しているフッ素洗口液ですすぐ方法もある。

 市販品は「フッ素配合」の表記があるか、成分にフッ化ナトリウム▽フッ化第1スズ▽モノフルオロリン酸ナトリウムと書かれたものがフッ素入りだ。歯科では、濃度も明示された製品が購入できる。

 研磨剤入りの方が、汚れは落ちやすく、低研磨性のものを選べば歯にも優しい.

人類は昔から歯周病になやまされていた?

スペイン古生代人類学カタロニア研究センターのマリーナ・ロザノ氏
らの研究が10月16日、米科学雑誌PLOS ONEにオンライン掲載、公表さ
れた。論文タイトルは「Toothpicking and Periodontal Disease in
a Neanderthal Specimen from Cova Forada Site (Valencia, Spain)」
直訳すると 「スペイン、バレンシア地方コーバ フォラーダで収集さ
れたネアンデルタール人の標本に認められた歯周病と楊枝の使用」と
なる。ネアンデルタール人は約2万年前までヨーロッパ地方を中心に
生息していたヒト属であるが、最近の研究では現生人類の直系の先祖
ではないとされている。ロザノ氏らは採集されたネアンデルタール人
の上顎骨と小臼歯、臼歯について、肉眼、SEM(走査型電子顕微鏡)、
X線を用いた検討を加えたところ、興味深い知見が得られたとしている。
歯には非常に強い摩耗が認められ、咬頭、切縁のエナメル質はほとん
ど喪失し、象牙質が露出していた。砂や植物繊維を多く混入した食事
が原因であろう。
上顎骨及び、歯のX線、SEM所見からはう蝕による脱灰、根尖病巣など
は観察されなかった、つまり虫歯はなかった。しかしながら、歯槽骨
の脱灰と粗鬆化が認められ、歯周病に罹患していたことが明らかにな
った。また、すべての歯の隣接面に頬舌方向にわたり、人為的につけ
られた細い溝が存在した。これは彼らが楊子またはこれに類する道具
を常用していたことを示している。口腔にたまった食片の除去、また、
時には歯周病による疼痛の緩和に使用していたと推測される。
論文の内容から、2万年以上前から人類は歯周病に悩まされていたこ
とになる。まさかとは思うが、歯周病はネアンデルタール人の衰退
の一因になったかもしれない。

原著論文ははこちら
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.007
6852;jsessionid=2491494EC61F070E6D4A7277ADE51A49

ニセ歯医者1万5千人 イタリア、正規の4分の1

【ローマANSA=共同】イタリア歯科医師協会(ANDI)は15日、ローマで開かれた会議で、イタリアでは現在、1万人から1万5千人の無免許の歯医者が違法に営業していると発表した。正規の歯医者の数は5万8千人。

 イタリアの長引く経済不況で治療費の安い歯医者が人気となっているため、ニセ医者増加に拍車がかかっているという。ANDIのマウロ・ロチェッティ副会長は「患者は健康上大きなリスクを背負うことになり十分な注意が必要」と語った。

スポーツデンティスト養成講習会 開催される

本年度より新設された日本体育協会公認スポーツデンティスト養成講
習会が10月19、20日の2日間、都内で開催された。平成27年度の同協会
公認スポーツデンティスト資格の取得に向け、全国より70名の歯科医
師がスポーツ医学概論、内分泌・代謝系の運動生理とトレーニング効果、
運動のためのメディカルチェックなど、全13講義に及ぶ医科共通カリ
キュラムを受講した。北海道から歯科医師は3名が参加している。今回
新設された公認スポーツデンティストとは、公益財団法人日本体育協
会公認スポーツ指導者資格のメディカル・コンディショニング資格に
区分され、同協会と日歯が協働して養成をおこなう。今回は医科とも
共通のカリキュラムであったので公認スポーツドクター講習会との併
催となった。受講者は、歯科医師70名、医師176名の計246名で、同協
会関係者の話によれば例年よりも医師の受講者は増加傾向にあるとの
こと、これも2020年東京オリンピック開催の波及効果であろうか。

電子レセプト参加歯科医療機関数50%を超える

社会保険支払基金の公表データによれば、電子レセプト参加歯科医療
機関数は9月30日で全国では機関数で50.1%、レセプト件数では60%と
なった。北海道では参加機関数1,369/3,144機関 52.1%、となり、レ
セプト件数で215,442/352,215件 61.2% となり、全国平均を上回る参
加率となった。2015年3月のリース期間中・減価償却期間中のレセプト
コンピューターに係る猶予措置期限の終了まで、約1年半となり、参加
機関数が暫時、増加してきたようだ。

参加状況はこちら 社会保健支払基金公表 データ
http://www.ssk.or.jp/rezept/files/hukyu03.pdf

万歯供養 園児たち「歯にありがとう」 長崎・聖徳寺

「いい歯の日」の8日、抜歯された歯を供養する「万歯(ばんし)供養」が長崎市銭座町の聖徳寺であった。

 聖徳保育園の園児が参加し、歯科衛生士らから歯の磨き方などを学んだ。年長の山内凛歩ちゃん(6)は「歯磨きは楽しかった。歯にありがとうと思った」とにっこり。

 主催した長崎市歯科医師会によると、同市では2011年、3歳児の26・5%に虫歯があった。平川明会長(61)は「小さい頃から歯に対する感謝の心を持ってほしい」と話した。

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