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口腔がん 酵素で診断…九工大、九歯大が手法を開発

九州工業大(北九州市戸畑区)と九州歯科大(同市小倉北区)は8日、がん細胞から生成される酵素を使って、30分程度で口腔こうくうがんを診断する手法を開発した、と発表した。

 臨床実験では8割以上の高い正診率が確認された。すでに特許を取得し、今後は前立腺がんや肺がんなどの臨床実験も行う。

 九州工業大の竹中繁織教授(バイオ分析化学)らによると、がん細胞で生成され、その老化を防ぐ酵素「テロメラーゼ」に着目。

 人工のDNAに、口腔内の粘膜の組織を溶かした溶液と電気を通すために開発した試薬を加えたものに、診断装置で電圧をかけ、通電量が一定の基準以上になれば、テロメラーゼが生成されていることを確認できるという。昨年、九州歯科大を受診する口腔がん患者を対象に臨床実験を行ったところ、80%以上が陽性反応を示した。

 テロメラーゼは注目されてきたが、不安定で扱いが難しいうえ、従来の手法は複雑な手順が必要で、実用化には至っていない。今回の手法は精度が高く、実用化できるレベルという。米医学誌「クリニカル・ケミストリー」1月号で掲載された。

 がんの診断は、がん細胞に破壊された細胞のたんぱく質を診断の目印(腫瘍マーカー)として、血液を分析する手法が一般的だが、早期のがんでは陽性反応が出にくいという。竹中教授は「この酵素は初期のがん細胞でも存在するので、早期の段階でもがんと診断できる」と話している。

 今後、産業医科大(同市若松区)と連携し、尿やたんを用いて前立腺がん、肺がんの臨床も行うという。

歯の幹細胞で機能回復 脊髄損傷患者に移植 岐阜大など臨床研究へ

 岐阜大大学院医学系研究科と岐阜薬科大の共同研究グループが、歯から取り出した歯髄幹細胞などを脊髄損傷の患者に移植し、運動機能を回復させる治療法の臨床研究の計画を進めていることが9日、分かった。岐阜大倫理審査委員会に今夏にも申請し、倫理委と厚生労働省が承認すれば、2016年の研究開始を目指す。

 移植するのは歯髄幹細胞を含む歯髄細胞。治療効果が動物実験で確認されていたが、厚労省によると、臨床研究は初めて。拒絶反応を避けるため、特殊な白血球型を持った人の歯髄細胞を使う。

 グループによると、研究では、親知らずなどの永久歯や乳歯の内部にある歯髄を取り出す。細かく切ってかき混ぜた上で2、3週間培養し、交通事故やスポーツ事故で脊髄を損傷した直後の患者の患部に移植したり、腰椎に注射したりする。神経細胞の機能回復を促す働きが期待できる。

 グループは11~12年、ラット15匹の脊髄を切断し、傷口にヒトの歯髄細胞を注入する実験を実施。7週間後に半数が後ろ足で体を支えて歩けるようになるなど、足の動きが改善されたという。

 グループの手塚建一(てづか・けんいち)・岐阜大准教授(48)=再生医科学=は「まずは副作用などの問題をチェックしたい」と話している。

道医療計画見直し・策定に係る意見交換会が開催される

平成24年12月27日(木)午後2時より道医会館において、道内の医療
関係団体および医療関係者が出席し、「北海道医療関係各種計画の見
直し・策定に係る道央区域意見交換会」が開催された。道歯会からは
富野会長、金井副会長、鳥谷部常務理事のほか各役員が出席した。
道行政における歯科保健医療推進のための重点施策としては、むし歯
の予防、歯周病の予防、高齢者の低栄養と誤嚥性肺炎の予防、障がい
者等への歯科保健医療サービスの充実の4点が掲げられ、このなかで
さらに平成29年度までに、むし歯のない3歳児の割合を85.0%へ(H23
年77.8%)、12歳児のむし歯数(1人平均むし歯数)を1.0本以下へ
(H23年1.8本)、フッ化物洗口実施市町村を全市町村へ(H24年9月末
現在で114市町村)、60歳で24本以上の歯を有する人の割合を50.0%
以上へ(H23年42.1%)、過去1年間に歯科健診を受診した人の割合を
30.0%以上へ(H23年22.6%)80歳で20本以上の歯を有する人の割合
を35.0%以上へ(H23年27.3%)するとし、具体的な数値目標として
挙げた。

●高額療養費、年間上限設定/医療保険部会で議論へ

 厚労省は社会保障審議会医療保険部会を11月から再開させ、来年度予算編成に向け制度改革の議論を開始する。高額療養費の見直しも課題のひとつで、同省は社会保障・税一体改革大網を踏まえ、年収300万以下程度の低所得層について、年間の自己負担上限を新設することを検討している。高額医療費を長期にわたり負担する患者の負担軽減を図ることが目的。
 

餅による窒息事故を防ぐには

元日の1日、東京都内では、お年寄りなど7人が、餅をのどに詰まらせて救急車で病院に運ばれ、このうち68歳の男性が死亡しました。事故を防ぐため、専門家は「のどをお茶や水で湿らせてから、薄く、小さく切った餅をゆっくりかんで食べるようにしてほしい」と話しています。

東京消防庁によりますと、都内では、年間に平均120人が餅や団子などをのどに詰まらせて救急搬送され、去年までの5年間で604人に上っています。月別で最も多いのは1月で36%、次が12月で15%。この2か月で全体の半数を超えます。年齢別では65歳以上が89%を占め、この時期の高齢者の窒息事故に注意が必要です。
窒息事故に詳しい昭和大学歯学部の向井美惠教授によりますと、高齢者は、食べ物をかむ力や飲み込む力が弱まったり唾液の量が減ったりするほか、物がつまりかけたときにせきをして外に出そうとする反応も弱くなっているということです。
そこで、向井教授は、高齢者が餅を食べるときの注意点として、▽薄く短冊形に切ってから少しずつ食べる、▽食べる前に、水や茶を飲んでのどを湿らせておく、▽ゆっくり何度もかんで、唾液とよく混ぜてから飲み込むなどを挙げています。また、▽話をするときの息継ぎで気道に食べ物が入ってしまうことがあるため、餅を口に入れたときは話をしないこと、▽驚いたときは息を吸って食べ物が気道に入りやすいので、食事中には周囲の人が驚かせないことも大切だと話しています。
万が一、餅がのどに詰まったときの応急処置の方法を覚えておくことも重要です。東京消防庁は、大きな声で周囲に助けを呼び、119番通報をするとともに、食べ物を詰まらせた人の背中の肩甲骨と肩甲骨の間を4回から5回、強く叩く方法をホームページで紹介しています。
このほか、予防のために、従来の餅よりねばりが少なく噛み切りやすい商品も登場しています。長野県の製薬メーカーが開発した餅は、普通のごはんと同じ「うるち米」が主な原料で、メーカーによりますと、もち米で作られた市販の切り餅に比べてくっつきやすさが半分ほど、固さが4割ほどだということです。
東京・豊島区にある特別養護老人ホームは、うるち米で作った餅を使って汁粉などを作り入所している人に出しています。ホームの管理栄養士は「お年寄りは餅が大好きですが、窒息などの危険があって、施設としてなかなか使えないので、餅に近いものを出してあげたいという思いがあり、この商品を使うようになりました」と話しています。

つい忘れていた、一番大切なこと

口腔ケアをしていたのは、後輩看護師でした。特に変わった様子はなく、ケア
用品は『モアブラシ』と『ウエットキーピング』でいつもと同じ。声のかけ方も、
病院で定めたマニュアルの通りです。
 しかしよく観察してみると、あることに気づきました。ストレッチやマッサー
ジをする回数と場所が、Kさんとは違っていたのです。

 Kさんは後輩看護師に、なぜ康子さんが嫌がらないのかを聞いてみました。
「気持ちいいところは重点的に、痛いところはササッとケアをしているからだと
思います。康子さんの反応を見ているうちに、どこが気持ちいいか、痛いかが分
かってきたんです」

 この答えを聞いて、Kさんはドキッとしました。いつの間にか、マニュアル通
りにやることを優先していたと気づいたのです。
「看護師全員が一定レベルの口腔ケアを提供するためには、マニュアルが必須で
す。でも、それにとらわれすぎて患者さんを見ないのは本末転倒。患者さんを思
いやる気持ちが一番大切です」

 これ以降Kさんは、口腔ケアのときに患者さんの様子をじっくり観察するよう
になりました。まだ康子さんに怒鳴られることもありますが、少しずつその回数
は減っているそうです。

家族の絆を深める口腔ケア

「おじいちゃんの口が臭いからお見舞いに行きたくないって孫が言うの」
 奥様は、そうKさんにこぼしたのです。

 ショックを受けたKさんは、なんとかしたいと思って書籍を調べてみました。
そこで目に入ったのは、「口臭の原因のひとつは口腔乾燥」という一文。夢中で
読み進めると、ストレッチを加えて唾液分泌を促す口腔ケアが効果的と書かれて
いたのです。

 さっそくKさんは、その日から粘膜ブラシ『くるリーナ』で口腔内のストレッ
チを行ない、唾液の分泌を促進。1週間ほどすると口腔内が潤い、口臭も軽減さ
れてきました。

 そして数週間後……。

 和幸さんの病室から聞こえてきたのは、お孫さんのかわいい声。室内を見てみ
ると、和幸さんが幸せそうにお孫さんを抱っこしていました。

「口腔ケアは、家族の絆を深める役割もあるんですね。今までは、清潔に保った
り誤嚥性肺炎を防ぐことだけが目的だと思っていました」
 Kさんは今、あることを看護師長に提案する予定です。それは、口臭が強い患
者さんにはお見舞い時間の前に口腔ケアをすること。たくさんお見舞いに来ても
らい、早く患者さんに元気になってほしいとKさんは願っています。

水素水に歯周病予防の可能性。全身の抗酸化力アップに効果。

水素水の摂取に歯周病を予防する効果があるとの研究結果が、ラットを使った実験で確認された。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学教授らのグループによる、世界で初めての証明となる。今回の研究では、歯周病を惹起させたラットを2群に分け、一方に蒸留水、もう一方に水素水を摂取させた。結果、蒸留水を与えたラットでは、経時的に血液中の活性酵素の濃度が高まったものの、水素水を与えたラットでは、血液中の活性酸素の増加を抑えることを確認。さらに、水素水を与えたラットの歯茎の組織を観察したところ、蒸留水を与えたラットに比べて歯周病の進行が抑制されていることが確認されたという。これまでの研究で、歯周病の進行に活性酸素が関わることが知られており、今回の実験によって、水素水の摂取に伴う活性酸素の減少が、歯周病の進行を予防した可能性を示したことになる。成果は、欧州の歯周病専門雑誌「Journal of clinical Periodontology」に掲載された。
 現在、歯周病予防は歯磨きや歯石除去など、口腔内で行われているが、本研究の成果は前進の抗酸化力を高めることもまた、歯周病の予防に効果的であることを示唆。日本人の成人の80%が歯周病または予備軍といわれる昨今、その新しい予防法の可能性に期待したい。

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