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今後も特定健診に歯科導入へのチャレンジを

12月6日(木)午後3時より第9回理事会が開催された。冒頭富野会長
は「北海道医療費適正化検討協議会委員として、特定健診(いわゆる
メタボ健診)に歯科を導入するチャレンジを行ってきた。特定健診は、
平成20年度から「高齢者の医療の確保に関する法律」下で取り組まれ
て保険者に義務付けており、国レベルで単年度1兆3,251億円の拠出が
保証され医療機関側へ支払われる。国民の対象者は40歳から74歳で人
口の約45%にあたる。口腔内の健康保持が全身の健康に関係している
との考え方が認知されつつも、現状では特定健診に関連付けるだけの
エビデンスが不十分であるとのことで歯科の導入は見送られたが、今
後も諦めずに次の機会に備えるつもりである」と述べた。報告事項で
は、北海道の病院が一極集中型でさらに広大な面積を有しているとい
う実情に鑑みて、「歯科治療総合医療管理料、在宅患者歯科治療総合
医療管理料の施設基準の見直しに係る要望書」を、道歯会として日歯
会へ送付することが担当役員より報告された。また道内の広い地域性
を考慮し、「施設基準取得のためのビデオ研修は講習会として認めら
れるか」という質問が出され、後日、担当役員より北海道厚生局に問
い合わせたところ、「施設基準の担当、本省に確認したが、本来ビデ
オ研修のような形は想定していない。対座の講習会であり、講師も受
講者もそれぞれが理解したと確認する状況が必要である。よって認め
られない」との回答があった。

歯科医師に禁錮2年求刑 インプラント死亡事故

東京都中央区の歯科医院で2007年、顎の骨に歯根を埋めて義歯を付けるインプラント手術で女性=当時(70)=を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた歯科医師飯野久之(いいの・ひさし)被告(68)の公判が14日、東京地裁(吉村典晃(よしむら・のりあき)裁判長)であり、検察側は禁錮2年を求刑、弁護側は無罪を主張して結審した。判決は来年3月4日。

 被告が歯根を埋めるために口の内部からドリルで削った下顎の部位について、検察側は論告で「動脈を傷つける可能性があることは予見できた」と指摘。弁護側は最終弁論で「当時は歯科医師の間で動脈損傷の可能性は知識として共有されておらず、過失責任はない」と反論した。

 起訴状によると、被告は07年5月22日、女性の下顎の骨を削った際、誤って動脈を傷つけて大量出血させ、血腫が原因の窒息による低酸素脳症などで翌日に死亡させたとしている。

内視鏡でスタッフ指導 日本歯大クリニック 「暮らしコンパス」歯科医の訪問食事指導

10月にオープンした東京都小金井市の日本歯科大口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック。特徴は、歯科医師2人が組むチームが毎日、高齢者を往診していることだ。このチームは二つあり、食事の内容や食事中の姿勢を指導している。

 この日の訪問先は、東京都世田谷区の特別養護老人ホーム「フレンズホーム」。車いすに乗った女性(89)が診察用の部屋に入ってきた。認知症が進み、口を閉じて歯を食いしばっている。「一日3口を食べてもらうのがやっとです」と普段の様子を職員が伝える。

 加齢や病気で食べ物を飲み込む力が弱くなると、食べかすなどで繁殖した細菌が誤って気道に流れ込み誤嚥(ごえん)性肺炎を発症しやすくなる。高齢者では命にかかわるケースも多い。予防するには、口の中を清潔に保ち、食事方法を工夫するのが大切だ。

 「無理に口を開くと、口の周りが腫れてしまうんです」とスタッフが相談。「栄養が足りないと、腫れやすくなります」と歯科医師の佐々木力丸(ささき・りきまる)さんが答える。栄養状態の指標となる体重は、1カ月で1・3キロ減っていた。

 佐々木さんがお年寄りの鼻から内視鏡を入れる。テレビ画面にのどの奥の状態が映し出される。施設のスタッフが、食べ物がのどを通って食道に落ちていく様子を見つめた。指導内容を理解してもらうための工夫だ。

 この日の昼食を口からスプーンで入れると、のど元に達するのに時間がかかり、なかなか画面に映らない。だが、飲み込む瞬間、画面が真っ白になった。

 「真っ白になるのはのどが十分に収縮しているからです。飲み込むことはできるので、もっとのどを流れやすいように、食べ物のやわらかさを調整しましょう」と診察を締めくくった。

 また、食べやすくなるように、姿勢を調整するケースもある。高齢者の様子を見ながら「食事中の姿勢を安定させるため、頭を支えられるいすに座った方がいいですね」「60度まで背もたれを倒してみましょう」と指示すると、不在の担当者に伝えるために、スタッフが写真を撮影しメモを取っていた。

肺炎での入院が激減 経営面でもメリット 「暮らしコンパス」歯科医の訪問食事指導

歯科医師の往診を依頼してから、特別養護老人ホーム「フレンズホーム」(東京都世田谷区)では誤嚥(ごえん)性肺炎で入院する人が大幅に減った。

 高齢者が普通のかたさの食事を取っていたころは年間30~40人が入院していた。8年前、やわらかい食事を導入したことで、年約20人に減少。昨年から日本歯科大の診察を受けて以後、今年4月から10月の間に入院した人は1人になった。

 施設の経営面でのメリットも大きい。入所者が肺炎で施設から病院に入院すると、ベッドが空き施設の収入は減少する。空きベッドが少なければ経営は安定する。

 さらに、歯科医師の指示を受けて施設スタッフが高齢者の口の中を手入れし、食事を管理すると、介護保険から施設に報酬が支払われる。

医療費抑制に効果 栄養優先を提唱 「暮らしコンパス」歯科医の訪問食事指導

日本歯科大口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武(きくたに・たけし)教授の話 高齢者はある時期から食後、うがいをすると、米粒や野菜かすが出るようになる。「入れ歯が合わない」「あごがやせた」と訴えられるが、舌と唇の筋力や脳の機能が衰え、かすがあるのを分からなくなるのが原因だ。

 こういう段階の人が普通の食事を無理に食べようとすると、窒息するか、のどを通らず栄養が不足する。口の感覚が落ちた人は、食べるときの姿勢や食べ物のやわらかさを調整し、栄養を取ることを優先する新しい考え方を提唱している。

 しっかり食べられれば、免疫力が高まり、病気になりにくくなる。歯科医師が訪問診療し、施設の管理栄養士らと協力して栄養指導ができれば、医療費の抑制にも効果があることをデータで示したい。過当競争が問題となっている歯科医師の職場も広がる。

食べ物が美味しくない

味覚の加齢による変化についてお話します。味覚障害の原因は、特発性(原因が不明)、薬剤性、感冒後、亜鉛欠乏症、全身疾患(糖尿病、腎不全、肝障害、消化器疾患、消化管術後など)、鉄欠乏性などです。特に65歳以下の方の味覚障害の原因で最も多いのは特発性で、心因性、感冒後と続きますが、65歳以上の方では薬剤性が最多で、心因性、特発性と続きます。味覚の受容器が日々生まれ変わるためには、亜鉛が必要です。亜鉛欠乏は、コンビニ弁当だけ等の偏食による摂取量の低下と、利尿剤、降圧剤、糖尿病薬、肝疾患治療薬などによりたくさんの亜鉛が消費される場合に起こります。またいびきや舌・口内炎、唾液分泌低下などによる口内乾燥も、味覚障害を助長します。耳鼻咽喉を詳細に診察して、原因を検索しますが、特定できない場合もあります。亜鉛欠乏が疑われる時には亜鉛を投与し経過をみます。心因性の場合は、亜鉛よりも抗不安薬が奏功します。
 予防はバランスの良い食事を取る事ですが、特に日頃から亜鉛を多く含んだ食材(日本茶、牡蠣、レバー、かずのこ、ココア、ナッツ、みりん干し、煮干し、赤味噌、カニ、モズク酢など)の摂取をお勧めします。多くの科を受診している方は、必須薬以外の整理が必要です。咀嚼機能の低下や唾液の分泌低下が味覚の低下につながるので、義歯の調整・管理や口腔内の清掃保持が必要です。趣味や友人、家族との交流を充実させ、日々楽しい食事を取るよう心がけましょう。
            耳鼻咽喉科・アレルギー科・頭頸部外科
                  (医)くまいクリニック

子どもの生活習慣と食の改善を保護者のためのセミナー

 18歳未満の子どもがいる保護者を対象にした生活習慣・食生活改善のセミナー「頭が良くなるここだけの話」が12月2日(日)午前10時から正午まで、旭川市市民活動交流センターCoCoDe(宮前通東)で開かれます。講師の「i進伝心プロジェクト」代表の岩岡勝人さんは昨今問題視されている、子どもの学力と体力の低下や、いじめ、不登校問題などが少しでも解決につながればと今回のセミナーを企画しました。

歯と骨は再生するのでしょうか 旭川医科大学歯科口腔外科学講座准教授 竹川 政範

歯の再生について
  最近の研究では、細胞を顎の骨に移植することで、完全な歯の構造をもった機能する歯が生えてくるようになりました。方法ですが、胎児ラットの歯の基になる細胞を取り出して増やした後に、細胞を特殊な技術を使用して顎の骨に移植すると移植した場所から歯が萌出してきます。つまり、歯の種を植えると歯が生えてくるわけです。細胞をどこから採取するのか、歯の形などの点でまだまだ問題はありますが、歯の再生も現実味を帯びてきました。

 骨の再生について
  私たちが注目しているのは、傷ついた組織の修復などに使われる体性幹細胞を利用した骨の再生医療です。これは、骨髄、筋肉、皮膚、脂肪組織などから見つかっており、骨、軟骨、筋肉などの組織になることがわかっている細胞です。この細胞の利点は、使用する本人の細胞を再生医療に使用するので、免疫反応の問題や倫理的な問題が起こりにくいことです。
                         北海道経済 12月号 №528

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