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病院歯科の機能評価や医科歯科連携など議論 第 565 回中央社会保険医療協議会総会

第 565 回中央社会保険医療協議会総会が 11 月 17 日に都内で開催され、令和 6
年度診療報酬改定に向けて歯科医療の 2 回目の議論を行いました。
日本歯科医師会副会長の林正純委員は、4 つの論点(①病院における歯科の機能
に係る評価、②医科歯科連携、医歯薬連携、③ライフステージに応じた口腔機能
の管理、④障害者・有病者・認知症の人への歯科医療)に基づいて意見を述べま
した。
①については、回復期および慢性期医療を担う病
院における口腔健康管理の重要性や多職種連携の取
り組みにおいて歯科専門職の関与が少ない実態を説
明しました。その上で、入院中の高齢の患者の多く
に何らかの口腔機能障害が認められており、歯科専
門職による口腔管理の実施により口腔状態や咀嚼嚥
下、栄養状態の改善に効果があったことが示されて
いることから、リハ・栄養と口腔の一体的な取り組
みの推進が必須であることを訴えました。また、急
性期の入院患者への周術期等口腔機能管理の評価は
あるものの、回復期・慢性期の入院患者に対する口
腔管理への評価の仕組みも必要であり、退院時の口
腔に関する情報連携や地域歯科診療所との連携も含めた検討を要望しました。

令和5年12月31日までに電子情報処理組織の使用による 請求を開始することとしている医療機関等における 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の特例について

医療DXの基盤となるオンライン資格確認を行なった際に算定できる医療情報・システム基盤整備体制充実加算につきましては、「電子情報処理組織の使用による請求」(以下「オンライン請求」という)を行なっていることが要件となっているところですが、オンライン請求の推進の観点から、特例が設けられました。
 
 当該加算のオンライン請求に係る特例では、本年12月31日までにオンライン請求を開始する旨の届出を行うことによって、同日までの間に限り、オンライン請求を行なっているものとみなすというものですが、当該特例にかかわる届出をおこなったにもかかわらず、いまだオンライン請求を開始されてない医療機関が確認されているところです。


 当該特例にかかわる届出を行なったことにより医療情報・システム基盤整備体制充実加算を算定した保険医療機関等が、期日である12月31日時点でオンライン請求が開始されていない場合には、当該特例に係る届出当初から施設基準を満たさなかったこととなり、算定開始日から遡って当該加算の算定額を返還が必要になります。


 該当する医療機関においては可及的速やかにオンライン請求を開始(12月31日までにオンライン請求に関する届出を支払基金に提出)してください。

白石麻衣さん、鈴木福さんが受賞! ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2023

ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2023(主
催:日本歯科医師会、協賛:株式会社ロッテ)
の授賞式が「いい歯の日」の 11 月 8 日に東京都
内で開催され、女優・モデルの白石麻衣さん、
俳優の鈴木福さんが「今年、最も笑顔が輝いた
著名人」に選ばれました。
主催者代表挨拶で高橋英登会長は、自分のお
口でしっかり食べて幸せに暮らす国民を増やす
ことが日本歯科医師会の活動の目的であると述
べました。また、8020 運動を始めた当初は、
8020 達成者は 1 割にも満たなかったが、厚生労
働省の令和 4 年歯科疾患実態調査の結果では 51.6%になったことを説明。その上で、世界に
誇ることができる日本の国民皆保険制度を守るためにも、国民がおいしく食べて、健康で暮
らすことを目標にこれからも取り組んでいきたいと話しました。

歯科医院で定期的な口腔メンテナンスを受けている人は歯を失いにくい

一般歯科医院で歯科衛生士による口腔メンテナンスを受けている人を20年以上追跡した研究から、決められたスケジュール通りに受診している人ほど歯を失いにくいという有意な関連のあることが明らかになった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔疾患予防学分野の安達奈穂子氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Dental Hygiene」に8月27日掲載された。

 口腔メンテナンス受診率が高いほど歯の喪失が少ないことを示唆する研究結果は、既に複数報告されている。ただし、それらの研究は主として大学病院や歯周病専門歯科という限られた環境で行われた研究の結果であり、大半の地域住民が受診する一般歯科における長期的な歯科受療行動と、歯の喪失との関連については知見が少ない。これを背景として安達氏らは、一般歯科医院の患者データを用いて、以下の遡及的な解析を行った。

 この研究の対象は、山形県酒田市にある歯科医院に20年以上継続して受診しており、初診時に16~64歳だった395人(男性29.9%)。より高度な治療が必要とされ専門施設へ紹介された患者や、う蝕(むし歯)が進行しやすいエナメル質形成不全の患者は除外されている。

 解析対象全員に対して、むし歯や歯周病などに対する初期治療が行われ、一定の基準(歯肉出血の箇所が10%未満、深さ4mm以上の歯周ポケットが10%未満、プラークスコアが15%未満など)に到達した以降は、歯科衛生士による定期的なメンテナンスが行われた。メンテナンスの頻度は、深さ4mm以上の歯周ポケットがある場合は3カ月ごと、それ以外は半年ごとに行われた。メンテナンスの内容は、口腔衛生指導、歯石除去、歯面清掃、フッ化物歯面塗布などの一般的なものだった。

 ベースライン時点の主な特徴は、平均年齢41.4±11.2歳、残存歯数25.4±3.7本、むし歯の経験歯数〔未処置のむし歯、詰め物などの処置済み歯、喪失歯の合計本数(DMFT)〕16.4±6.4本、深さ4mm以上の歯周ポケットを有する割合8.2±12.4%、歯肉出血の割合13.4±13.1%で、喫煙者が11.1%、糖尿病患者が3.0%含まれていた。前記のメンテナンススケジュールに対して通院遵守率が75%以上の患者を「高遵守」、75%未満を「低遵守」として二分すると、前者が36.2%、後者が63.8%を占めた。両群のベースラインデータを比較すると、喫煙者率が高遵守群で有意に低いことを除いて(7.0対13.5%、P=0.048)、上記の全ての指標および歯槽骨吸収率に、群間の有意差は認められなかった。なお、各群の通院遵守率の平均は、高遵守群が85.8±7.0%、低遵守群は54.9±13.5%だった。

 平均23.2±2.1年の観察期間中に、高遵守群の37.8%、低遵守群の72.2%が歯を1本以上失っていた。また、DMFTの増加は同順に17.5%、39.7%だった。1年当たりの変化で比較すると、歯の喪失は0.05、0.11本/年、DMFTの増加は0.02、0.05本/年であり、いずれも低遵守群の方が有意に多かった(ともにP<0.001)。

 次に、多重ロジスティック回帰分析にて、歯の喪失に独立して関連のある因子を検討。その結果、ベースライン時点での喫煙〔オッズ比(OR)2.67(95%信頼区間1.01~7.05)〕、DMFT〔1本多いごとにOR1.09(同1.04~1.14)〕、歯槽骨吸収率〔軽微を基準として中等度以上でOR4.11(2.09~8.09)〕とともに、通院遵守率〔高遵守群を基準として低遵守群はOR6.50(3.73~11.32)〕が抽出された。年齢や性別、糖尿病、観察期間、ベースライン時の4mm以上の歯周ポケットの割合および歯肉出血の割合は、有意な関連がなかった。

 続いて、通院遵守率を75%以上、50~75%未満、50%未満の3群に分けて、多重ロジスティック回帰分析を施行すると、歯の喪失リスクは、遵守率75%以上の群(患者割合は36.2%)を基準として、50~75%未満の群(同43.0%)はOR5.43(3.02~9.74)、50%未満の群(20.8%)はOR10.55(4.87~22.85)となり、通院遵守率が下がるにつれて歯の喪失リスクが上昇することが確認された。

 著者らは本研究の限界点として、20年以上の観察が不可能だった患者の転帰が評価されていないこと、観察期間中に他院で治療を受けていた場合の影響が考慮されていないことなどを挙げた上で、「地域の一般歯科医院での長期にわたるメンテナンススケジュールが遵守された場合、歯の喪失リスクが抑制される可能性が示された」と結論付けている。

口腔外科 がん治療に対応 山梨県立中央病院 「ゲノム医療」導入も視野

口腔外科は主に口の中に原因がある病気の外科的治療を行う。山梨県立中央病院は口腔がんに対応していて、標準治療を確実に進めるとともに、新たな治療導入に向けた取り組みを視野に入れている。

 同院口腔外科部長の大迫利光歯科医師によると、口腔外科で取り扱う病気は、あごの骨の変形のために歯のかみ合わせに異常を生じる「顎変形症」や歯の外傷のほか、口腔内の粘膜疾患、あごの骨の炎症など幅広い。最も多い患者は、地域の歯科クリニックから紹介状を受けて行う「親知らず」の抜歯。入院し、全身麻酔で行うケースもある。

 県内で口腔外科を設けている病院は同院を含め6施設ある。歯科診療領域ではあるが、虫歯や歯周病などの治療を担う地域の歯科クリニックとは明確に役割が分かれているという。

 同院はがん診療連携拠点病院として口腔がん治療に力を入れる。口腔がんはがんを切除する外科的治療が適応になる場合が多く、がんの大きさや場所によっては放射線治療も選択肢に入る。一方、がんの原因となる遺伝子変異を調べ、見つかった変異に合った薬を探す「がんゲノム医療」が広がっているが、他領域のがんに比べて遅れているのが実情だ。

 口腔がんを専門とする大迫歯科医師は「まずは標準治療を確実に進めることが大切」と強調する。今年4月、同院が「がんゲノム医療拠点病院」になったことを念頭に「患者の協力を得ながら症例を蓄積して臨床応用への道を模索したい」と、がんゲノム医療を軸とした研究を意識する。

口蓋裂 葉酸で発症抑制か…阪大チーム たんぱく質働き 発見

口内の上あごに鼻腔につながる穴ができた状態で生まれる「口蓋裂」の発症に関わるたんぱく質の働きを発見したと、大阪大のチームが発表した。マウスの実験でビタミンの一種「葉酸」がこのたんぱく質の働きを促して発症を抑えたといい、予防法の確立につながる可能性がある。論文が国際科学誌に掲載された。

 口蓋裂は、妊娠7~8週頃に胎児に何らかの異常が生じ、上あごの組織がくっつかずに穴になって残る先天性疾患。食べ物が鼻に流れたり、発声が難しかったりし、成長に応じて手術などを受ける必要がある。上唇が左右に開いた状態で生まれる「口唇裂」と合わせて約500人に1人の割合で生まれるとされる。

 大阪大の山城隆教授(歯科矯正学)らのチームは、細胞の増殖や変化を制御するたんぱく質「STAT3」に着目。STAT3の働きを抑える薬を与えたマウスの胎児の上あごを調べると口蓋裂の特徴が表れた一方、同じ薬と葉酸を与えた別のマウスでは発症しなかった。

 葉酸は胎児の脳や脊髄の形成に関わるとされ、先天異常の予防策として厚生労働省がサプリメントなどの摂取を推奨している。山城教授は「妊娠早期からの葉酸サプリメントの摂取で口蓋裂も予防できる可能性がある」と話している。

 東京医科歯科大の井関祥子教授(発生生物・先天異常学)の話「口蓋裂と葉酸の関連性を示した意義のある報告だ。今後は葉酸が影響するメカニズムを詳細に分析する必要がある」

歯周病ケアの必要性:歯周病菌の脅威、歯周病と腸内細菌の関係 歯周病菌を意識したオーラルケア

天野氏は、口腔内の
ケアについて、丁寧に
歯みがきをする人でも、
汚れを完全に落とすこ
とは難しいと説明しま
した。
歯周病について、「静
かなる病気」と言われ
ており、成人の約 7 割
が歯周病に罹患していると述べるとともに、厚生労働省の歯科疾患実態調査では歯周病の
罹患者が増加していることを話しました。また、「歯周病セルフチェック」リストを紹介
し、実際に桐村氏と上田氏も回答し、上田氏は、「チェックがたった一つあるだけで、歯
周病の可能性があるのですね」とコメントしました。その上で、天野氏は歯周病のメカニ
ズムを説明するとともにがんや動脈硬化性疾患、糖尿病など多くの全身疾患と関連性があ
ることを具体的に話しました。

腸に到達する歯周病菌を防ぐ!歯周病のリスクとオーラルケア

日本歯科医師会(以下、日歯)は 10 月 24 日、「歯と口の健康シンポジウム 2023」(協
賛:パナソニック株式会社)をオンライン配信で開催しました。
テーマは「腸に到達する歯周病菌を防ぐ!歯周病のリスクとオーラルケア」で、天野敦
雄氏(大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学講座教授)、桐村里紗氏(内科医・認定産業
医)、上田まりえ氏(MC・タレント)の 3 名によるトークセッションや歯を健康に保つた
めのブラッシング講座などを実施しました。
主催者挨拶で日歯の高橋英登会長は、健康で長生きし、人生
の最期の日まで「自分の口でおいしく食べることができるよう
にすること」が日歯の大きな役割と考えていると述べました。
また、骨太の方針 2023 において、「生涯を通じた歯科健診(い
わゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進」等が明記され、
健康で長く社会で活躍する高齢者が増えていくためには、歯と
口の疾病予防が未来の日本の発展を左右する鍵になると強調し
ました。その上で、これからも国民の健康を口腔からしっかり
支えていきたいと話しました。

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