記事一覧

歯石除去で心血管イベントのリスクが低下

口腔の衛生状態と心血管疾患のリスクには関連があることが知られており、歯磨きの励行は心血管イベントのリスクを低下させることが最近報告されている。

 そこでChen氏らは、予防歯科処置として行われる歯石除去と心血管疾患リスクの関連について、台湾の国民健康保険データベースから抽出した1995~2007年の住民コホートのデータを利用して、後ろ向きに解析した。

 解析対象は、過去に歯石除去を少なくとも1回受けたことのある5万1108人(歯石除去群)と、歯石除去を受けたことがない5万1512人(非除去群)。両群ともに心筋梗塞および脳卒中の既往がなく、歯石除去群と非除去群で年齢、性別、合併疾患を適合させて登録した。

 平均7年間の追跡期間中、急性心筋梗塞(AMI)は歯石除去群で226例(0.44%)、非除去群で281例(0.55%)発生した。非除去群を対照とした歯石除去群におけるAMI発症のハザード比(HR、性・年齢・高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎臓病の有無で調整後)は0.79(95%信頼区間[CI]:0.66-0.94、P<0.05)で、歯石除去は独立したリスク低下因子と考えられた。またKaplan-Meier法によるAMI回避率も、歯石除去群の方が有意に良好だった(Log Rank P=0.027)。

 脳卒中の発生は、歯石除去群1168例(2.27%)に対して非除去群1312例(2.57%)。歯石除去群の多変量調整後HRは0.87(95%CI:0.80-0.94、P<0.05)で、AMIと同様に独立したリスク低下因子となった。Kanlan-Meier法による脳卒中回避率も、歯石除去群の方が有意に良好だった(Log Rank P=0.004)。
(日経メディカル別冊編集)

飲食物の酸で歯が溶ける「酸蝕歯」

ジュースや栄養ドリンク、ワインや柑橘類などに含まれる「酸」によって、
歯質が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」の患者が増えているという。 
う蝕は細菌が作り出す酸によるが、酸蝕歯は飲食物の酸によって歯質
が溶ける。エナメル質が溶け象牙質が透けて黄色く見えたり、歯の先
端がひび割れ、咀嚼機能が低下したりする。冷水痛など知覚過敏の症
状が出ることもある。「ワインなど酸性の飲み物をチビチビと長時間
にわたって飲むと、歯が酸にさらされる時間が長くなり、酸蝕歯のリス
クが高くなる。食べ方、飲み方が問題になってくる」大阪府歯科医師会
産業歯科保健対策推進室室員を務める中道哲歯科医師は警告する。
その症例として、健康維持のため毎晩、黒酢を飲んでいた40代の男性
は、上顎前歯の口蓋側が溶けて薄くなり、酸蝕歯と診断された。黒酢を
飲んですぐ寝るという生活習慣の他に、前歯で舌をかむ癖があったこ
とも歯の摩耗を進行させたという。もう一人は、奥歯の冷水痛による
知覚過敏の症状を訴えた60代の男性。酢の物が大好物で、歯を食いし
ばる癖があった。
「酸にさらされたエナメル質は一時的に柔らかくなるので、摩耗を避ける
ため歯磨きは20~30分後にして、歯の再石灰化を促すようフッ素入り
の歯磨き剤でややソフトにブラッシングしたり、飲食後に水で口をすす
いだりするのもよい。食いしばりなどの癖をやめる方がよい。」 

口呼吸③ 口輪筋 生活の中で鍛錬

口呼吸がすぐに治る方法というものはなく、原因によっては治すのが容易ではないものがあります。例えば、鼻炎などで鼻づまりが続いて起こる口呼吸は、耳鼻科で治療を受ければ大幅に改善することができます。しかし、歯のかみ合わせが問題で口呼吸になっている場合、特に口の周りの筋肉(口輪筋)を緊張させないと口を閉じた状態を続けられないならば、歯の位置を移動させる必要があります。こうした歯の矯正には若年者なら可能ですが、中高年者には難しく、口呼吸を治すのは容易ではありません。誰もが実践できる口呼吸を改善する方法は、口輪筋を鍛えることです。専用の治療器具も市販されていますが、日常生活の中で手軽に口輪筋を鍛錬する方法もあります。まず、食事の際は正しい姿勢で口を閉じたまま、1口30回程度は両側の歯で均等にかんで食べましょう。また、1日2回は口を閉じたまま、15分ほどキシリトールガムをかむことをおすすめします。
           北海道新聞 2011.11.16

口乾き舌にやけど感 最も多い原因はストレス

Q 48歳女性。口内全体がいつも乾いた感じになりました。口の中が狭くなったようで、頬の両側の肉をかむようになりました。舌もいつもやけどしたような感じです。どうしたらよいでしょうか。

<回答> 北海道医療大学病院口腔外科 安彦義裕さん
 口内の乾きというと唾液量の減少と考えがちですが、実は乾きを訴える方の7割近くは唾液量に問題はありません。一般的に唾液量は15分間で1.5ミリリットル以上、またガムをかむと10分間で10ミリリットル以上出ます。唾液が減る病気には、さまざまあり、代表的なのがシェーグレン症候群です。女性に多く、唾液と涙の量が減ります。唾液量が減ると、舌の上でカンジダ菌が増えて痛みを引き起こすことがあります。しかし、お口の乾きを訴える方でシェーグレン症候群の可能性は1割以下に過ぎません。それ以外では、薬の影響による場合もありますが、最も多いのがストレスです。更年期を迎える年齢だと、ストレスへの対処が不得意になっていることもあります。カンジダ菌以外で舌に痛みを引き起こす病気に舌痛症がありますが、これもストレスが原因のことが多く、やけどをしたような感覚を引き起こします。多くの場合、お口の中にものをいれておくと症状の和らぐのも特徴です。
           北海道新聞 2011.11.2

口呼吸① 乾燥し免疫力が低下

私たちの体は鼻で呼吸することを前提に設計されています。鼻は高性能の「空気清浄機」「加温・加湿器」です。鼻で呼吸することで、空気中の汚れたちりや雑菌の大半は鼻の粘膜に吸着・除去され、鼻の中で適度に温められ加湿された空気がのどを通って肺に届きます。しかし、口呼吸ではちりや雑菌がほとんど取り除かれない上に、空気が十分加湿・加温されずに肺へ送られるため、気管支や肺に負担がかかります。病原菌やアレルギー物質が入りやすくなることで、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなると考えられています。また、口の中に直接外気が入ることにより、口やのどの粘膜が慢性的に乾燥します。老若男女問わず、口呼吸は口腔乾燥症の大きな原因の一つで口臭や歯周病、虫歯の多発、さらには口内炎や口角炎の原因になることがあります。
           北海道新聞 2011.11.2

12歳児 虫歯北海道ワースト2 道、予防にフッ化物洗口奨励

文部科学省の2010年度の学校保健統計調査によると、道内の12歳児(中学1年)の平均虫歯本数は2・3本で沖縄県の2・6本に次いで全国ワースト2となった。「甘い飲食物を取りすぎるからでは」との指摘があるが、道内の子供の歯の健康状態が必ずしも悪化しているわけではなく、他の都府県が着実に虫歯本数を減少させているためだ。道は虫歯半減を目標に対策に努めている。道は09年、「北海道歯・口腔の健康づくり8020条例」を制定し虫歯削減に努めている。10年にはフッ化物洗口の目安時間である1分間用の演奏曲が収められたCDを製作し、学校に配布。10年度には27市町村が加わり、計55市町村がフッ化物洗口を実施した。洗口で使用するフッ化物については安全性を心配する声もあるが、佐々木参事は、洗口時のフッ化物の濃度は非常に薄く安全性に問題ない。これまでにも全国的に問題は報告されていないと説明する。
           北海道新聞 2011.11.2

歯科口腔保健法の専門委員会を設置

厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会が10月14日(金)、厚労省内で開催され、歯科口腔保健法の推進に向けて、同部会の下に専門委員会を設置することを決めた。法律に基づき、諸施策の方針や目標、計画などの基本的事項に盛り込むべき目的や理念の他、具体的なデータ収集、検討を行う。具体的には、歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発、定期的に歯科検診を受けることへの勧奨、障害者等が定期的に歯科検診を受けるための施策、歯科疾患の予防のための措置、口腔の健康に関する調査及び研究の推進などを検討する。今後は、11月中旬から具体的な検討を始め、本年度末までに基本的事項の最終案を固める予定。
           日歯広報 11月5日

スポーツ歯科の資格認定へ 日体協に講習会の協同実施提案

第9回理事会が10月27日(水)、歯科医師会館で開催され、日本体育協会(日体協)にスポーツデンティスト(仮称)資格認定講習会の協同実施を提案することを決めた。本年6月、スポーツ基本法に「歯学」が盛り込まれたことを契機に、スポーツ歯科分野のレベルアップ及び裾野の拡大を図る。11月16日(水)の日体協スポーツドクター部会で提案する予定。
           日歯広報 11月5日

過去ログ