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お口をパカッケアしやすく 要介護者向けの器具開発

要介護者の口の中が汚れたままだと、唾液と一緒に菌が気管が入り、誤嚥性肺炎を起こす。歯磨きなどの口腔ケアが重要だが、患者がなかなか口を開けてくれない場合、対応できる適当な器具がなかった。
 今回開発した開口唇器は、はさみ状の形。横にした状態で先端の翼状の部分を上下の唇に当て、そのまま持ち手をあごの方に90度下げ、左右に開く。ストッパーがあるので、一度開くとそのままの状態を保持。器具から手を放しても大丈夫で、左手で唾液などを吸引しながら右手で歯を磨くこともできる。
                  信濃毎日新聞 2011.11.11

たまには見てみよう、口の粘膜の変化

むし歯や歯周病は、歯科の2大疾患とされ、誰もが良く知っている病気です。しかし口の中には、歯だけでなく、歯ぐき、頬、舌など粘膜で被われている部分があります。実はこの粘膜にこそ、複雑でいろいろな病気があります。口の中だけに限局したもの、皮膚科や内科の病気と関連しそれらの一症状として現れるものなどがあり、診断が難しく、中には悪性のものも潜んでいます。
 口の中にはたくさんの種類の病気があり、大半は良性ですが人間が生きるために大切なしゃべる、食べるという機能を損ない、快適な日常生活を失わせます。そしてこれらの病気の中に癌が潜んでいることもあります。大学病院をはじめとする病院の歯科口腔外科は、このような口の病気の専門科です。病院には多くの診療科がありますので、関連する各診療科と連携し、再新の検査、治療機器を駆使して治療に当たっております。どんな病気も
早期発見、早期治療が大切です。
                  北海道経済 1月号 №51

がん治療と口腔ケア

抗がん剤や放射線治療の影響で粘膜や唾液腺が傷つけられて、広範な口内炎による痛みや重い口腔乾燥症など口の中の合併症が起きやすいことは意外に知られていません。米国がんセンターの調べでは、発生率は一般的な抗がん剤治療で約40%、強い抗がん剤を使う造血幹細胞移植で約80%、口やのどの周囲にできたがんの放射線治療でほぼ100%に及びます。
 唾液の分泌減少による口腔乾燥症の影響は深刻です。唾液の潤滑作用が失われて口内炎の痛みがよりひどくなったり、会話や飲食に支障を来すことがあります。また唾液の自浄作用が損なわれて口の中が汚れやすくなり、細菌が繁殖しやすくなります。さらに抗がん剤治療の間は体の免疫力も落ちているので、虫歯や歯周病の急激な悪化や口の中の細菌による肺炎が起こることも少なくありません。
                  北海道新聞 2011.12.14

「いい歯の日」に歯の健康について考える

「いい歯の日」に歯の健康について考える
 11月8日は「いい歯の日」。いつまでもおいしく、楽しく食事をとるために口の中の健康を保ってほしいと、日本歯科医師会が制定した記念日だ。厚生労働省が1989年から始めた。「8020運動」を推進するための一環でもある。
 高齢化が猛烈な勢いで進行する中、高齢者が元気で自立した毎日を送るために健康な歯は欠かせない。「いい歯の日」を機に、健康な歯について改めて考えてみてはいかがだろう。
                  日刊ゲンダイ 2011.11.7

喫煙が口に与える影響 歯周病やがん発生しやすく

喫煙が口に与える影響については、まだまだそれほど知られていないようですが、実は口は誰もが喫煙の影響を直接観察できるところなのです。喫煙で歯の表面にヤニが付くことや口臭の原因になることはご存知でしょうが、粘膜の色素沈着、歯周病、歯の脱落、口腔(こうくう)がんなどさまざまな問題が発生しやすくなります。
                  福島民友 2011.10.31

矯正治療の目的 口元のバランスも美しく

矯正治療に年齢制限がありません。歯と歯を支える歯槽骨、歯茎がしっかりしていれば治療は十分可能です。口元を気にせず思いっきり笑える、自信が持てることで仕事でもプライベートでも生活の質を豊かにできるのが歯科医療と言えるでしょう。これから社会に出て活躍する子どもの場合はなおさらです。矯正治療は、歯並びやかみ合わせを治すことだけではありません。口元のバランスを美しく整えるという大きな目的もあります。
                  福島民友 2011.10.28

餅詰まらせ都内13人搬送…101歳ら2人死亡

年末年始に餅を喉に詰まらせて救急搬送された人の数は1日午後3時現在、東京都内だけで13人に上り、うち2人が死亡した。

 東京消防庁によると、12月28日正午頃、練馬区の男性(82)が、草餅を詰まらせ死亡。30日昼にも、日野市の男性(101)が昼食の餅を詰まらせて窒息死した。

 このほか、12月26日以降、いずれも60歳代以上の男女計11人が救急搬送された。

 同庁は「餅は小さく切り、急いでのみ込まないでほしい」と呼びかけており、応急手当の方法についてもホームページ(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201112/mochi.html)で紹介している。 読売新聞 1月1日(日)18時39分配信


食事がのどにつまったときの救急処置

何年か前の事です。ひとりのおじいさんが「急に呼吸がおかしくなった」とのことで、救急外来に運ばれて来ました。急いで気道を確保しようと、咽頭鏡を使ってのどの奥をのぞいたら、ちょうど気管の入り口のところに、ひと口サイズのお饅頭がぴったりとはまりこんでいました。

 人さし指と親指で輪を作って見て下さい。のどの奥、気管の入り口につまりやすいのはちょうどその大きさの食べ物です。具体的にはタコヤキや、煮物やカレーのお芋などです。それより小さいピーナッツ位のサイズのものは、のどにひっかからずに気管から気管支に入り込み、そこで詰まったりすることがあります。
 お年寄りは歯がなくなったり入れ歯だったりで、食べ物を小さく噛み砕くことができず、かなり大きい固まりのまま、飲み下さなければならないこともあります。
 健康な人ならば、食物を飲み込む時は、気管の入り口が自然に閉じて、食物が気管に入らないような仕組みになっていますが、脳血管障害の後遺症や神経の病気などで、のどに麻痺が起こると,この働きが低下して、気管に食べ物が入りやすくなります(これを誤嚥と呼びます)。また、食べ物やだ液が気管に入り込むと、異物を外に出そうとして激しい咳の反射が起こるものですが、この咳の反射が低下して、誤嚥を助長することがあります。
 食べ物をのどに詰めて窒息するのを防止するために、丸のみするとのどに詰まりそうな(タコヤキサイズの)物は、二つか三つに切り分けて、小さくしておいたほうがいいでしょう。固形物ではありませんが、粘りの強いお餅やとろろ芋なども、のどの奥で膜を作って呼吸の妨げとなることがありますから、注意が必要です。一度にあまりたくさんの食べ物を口に押し込まず、少しづつ食べさせて、ごっくんと飲み込んだのを確認してから、次ぎのひと口を食べさせてあげて下さい。一人で食べられる方でも、食事の最中は食べる様子をそれとなく観察しておいて下さい。

 さて、実際に食べ物、もしくは吐いたものを誤嚥した時にはどうすればよいでしょうか。赤ちゃんなら両足を持って逆さにして振ることもできますが、お年寄りにそんな事はできません。以下に、対処法を簡単に説明します。

① まず、呼吸をしているかどうか、のどや胸、腹部の動きで確かめましょう。咳き込んでいたり、ぜいぜい言っているようなら、とりあえずある程度は呼吸のための空気の通り道があるということです。何か言おうとしているようだが声が出ない、急に顔色が悪くなる、意識がなくなるなどの場合は、気道が閉塞している可能性が高く、のどに詰まった物を一刻でも早く取り出さなければなりません。
② 実際の現場では気が動転して、落ち着いて処置ができるとは限りませんから、まず呼吸の状態を確かめて、呼吸がおかしければすぐに救急車を呼ぶこと。二人いれば、一人が救急車に連絡して、もう一人が処置を行います。
③ もし呼吸をしていないようなら、口を開けさせて何か詰まっていないか確認する必要があります。いきなり人工呼吸を始めても、気管の入り口が塞がれていれば、空気は肺に入って行きません。
④ 口の中やのどに食べ物が詰まっているようなら、それを取り除く必要があります。指を使ってかき出す時は、できれば台所用のゴム手袋をしてから、噛みつかれないように、割り箸かスプーンなどに布を巻いたものを噛ませて、その間からかき出します。あまり奥まで指を突っ込むと、さらに嘔吐を誘発することもあるので気をつけましょう。
⑤ 電気掃除機に隙間用ノズルをつけて、強引に吸い出す方法や、後ろから抱えるようにして両手をみぞおちの所で組んで強く圧迫するハイムリック法などもありますが、救急法の講習を受けた経験のない方には難しいでしょう。機会があれば救急法の講習を受けておきませんか?最近運転免許を取った方は、自動車学校で習った救急法を思い出してください。
⑥ のどに詰まった物がうまく取れても、誤嚥の後は肺炎を起すことが多いので、早めに医師の診察を受けて下さい。
⑦ 認知症のある方は、時としてとんでもない物を口に入れて詰まらせてしまうことがあります。外れた入れ歯を飲み込んでしまった方や、紙おむつをちぎって食べてしまい、のどに詰めて窒息した患者さまもおられました。食べ物以外のものも十分に注意してください。

まとめ
 ●誤嚥・窒息は予防が第一
 ●たこやきサイズは特に危険
 ●のどに詰めたら、呼吸の状態をよく観察
 ●誤嚥の後は医師の診察を

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