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放射線治療

放射線治療は、単独でも外科手術との組み合わせであっても口腔・咽頭がんの術後の結果をすばらしく改善させる。しかし、放射線治療は、続いて起こる唾液分泌減退によりQOLに著しい影響を及ぼし、防御率を向上するために化学療法が追加されると、さらなる負の影響を与える。これに伴って起こる粘膜炎は、口腔健康、口腔衛生、適切な栄養摂取の維持を困難にし、感染症併発や痛みをさらに拡大させてしまう。加えて、病変の発生は疾患を引き起こす口腔内微生物叢を増加させる傾向にある。
 この日和見性の異常増殖は口腔内の状況悪化を示しており、特にカンジダ、そして通常は正常細菌叢と宿主の応答反応により対処される外部の細菌がコロニー形成を引き起こす。
 酵母と嫌気性微生物は、癌患者のバイオフィルムにおいて異常増殖することが多く、そのため患者の状態に適合する緊急の抗感染対策立案が必要になる。同時に、それは減少した唾液量の回復と口腔の快適感向上にも寄与するものでなければならない。このことは、放射線治療に多く併発する粘膜炎が発生した際に特に重要である。

「歯科口腔保健の推進に関する法律」成立記念シンポジウム 富野 晃会長 パネリストとして出席

来たる平成24年2月11日(土)午後2時より東京国際フォーラムにおい
て、日本歯科医師会主催の標記シンポジウムが開催される。「歯科
口腔保健の推進に関する法律」の基本理念や意義について参加者に
分かりやすく説明するとともに、歯・口腔の健康や大切な機能につ
いてともに考える内容となっている。全国で2番目に歯科口腔に係
る条例が制定された自治体の歯科医師会長として、富野会長が地元
での取り組みなどについて述べる。

来賓:厚生労働大臣(予定)
対談:料理研究家 辰巳 芳子氏、大久保 満男日本歯科医師会長

その他のパネリスト
新潟県知事 泉田 裕彦氏
厚生労働省医政局歯科口腔保健推進室長 小椋 正之氏 他

がん患者の口内ケア 広島大

広島大病院(広島市南区)は平成24年1月から、がん患者たちの口
腔内のケアを支援する「連携口腔ケアサポートチーム」を発足させ
た。口腔内の感染症を予防し、患者の生活の質を高めるのが狙い。
がん患者は抗がん剤や放射線治療などで免疫力が落ち、口腔内の細
菌が繁殖しやすい。むし歯や口内炎を発症したり、肺炎などの合併
症を起こしたりする可能性が高いため、歯石や細菌を除去するケア
が重要となる。同病院はこれまで入院患者を対象に、手術前後にケ
アをしてきた。術後、口腔内の痛みで食事ができず、より免疫力が
落ちる事態を防ぐためだったが、退院後までケアが行き届かない課
題があった。新チームは、医師と歯科医師、歯科衛生士、看護師た
ち約10人でつくる。病院内の医科・歯科の連携強化に加え、地域の
歯科医師とのつながりを深め、継続的なケアができる態勢づくりを
進める。中心メンバーとなる同病院口腔総合診療科の西裕美助教
(38)は「口の中への関心を患者さんに持ってもらい、良い状態を
保てるようにしたい」と話している。

いつまでも口から食べようシンポジウム 脳の老化とその予防

 11月8日(火)、札幌共済ホールにおいて「いつまでも口から食べようシンポジウム 脳の老化とその予防」が開催されました。今回のシンポジウムでは、脳科学者の澤口俊之氏を招き、かみ合わせと脳機能の関係や、若返る脳の使い方などについて講演が行われました。また、「高齢者の歯のコンクール」の表彰式や、口腔機能を高めるための「健口体操」も実施。集まった約650名の参加者は、脳の老化への理解を深めようと熱心に耳を傾けていました。
 

歯科本体 +1.7%

政府は12月21日(水)、平成24年度診療報酬改定率を発表し、歯科本体は前回の2.09%からは下がったものの、厳しい経済環境や保険財政の中で1.70%のプラス改定で決着した。歯科診療報酬が引き上げられるのは3回連続。本体改定率は、薬価改定率▲1.26%(薬価ベース▲6.00%)と材料改定率▲0.12%、計1.375%の引き下げで財源を捻出し、1.379%引き上げられた。
 医科は1.55%、調剤は0.46%のプラス改定であった。全体(ネット)では0.004%のプラスで、10年ぶりのプラス改定となった前回の0.19%か2回連続でのプラス改定となった。年明けからは、中医協の場で具体的な点数配分の議論が始まる。
                日歯広報 12月25日

スポーツ基本法成立後の主な動き

7月 スポーツ指導者研修等の講習テキスト等に歯科の内容を入れ、スポーツ歯科医学の普及、啓発への尽力を図る
8月 スポーツ基本法施行
     文科相に平成24年度制度・予算に関する要望書提出。中
央教育審議会スポーツ・青少年分科会委員として、スポーツ
歯科医学に携わる委員の追加を求める
11月 日本体育協会にスポーツデンティスト(仮称)資格認定講習
会の協同実施を提案
                日歯広報 2012.1.5

食べる幸せ いつまでも

患者や家族が在宅医療に踏み切ろうとする時、いくつかの壁が立ちはだかる。その一つが、食物が誤って気管に入る誤嚥の恐怖だ。78歳男性は食べることが大好きだった。年を重ねるにつれ、食べ物を飲み込む嚥下力が衰えた。食べてはむせる。体はやせ細り、寝たきりになった。
 病院医師の勧めで、へその横から胃へ穴を開けて、栄養液の注入口にする「胃ろう」を作るための手術を受け、2009年秋に自宅へ戻った。デイケア施設に行くと、みんな楽しそうに昼食を食べている。自分は、胃ろうに管をつなぐだけ。食事の時、男性はいつも昼寝をしているふりをした。しょんぼりしている男性を見かねた在宅主治医が、口の機能検査を受けたらどうかと提案した。
 野原は、大阪大歯学部付属病院で嚥下のリハビリを専門にしている。7年ほど前、知り合いの歯科医に「在宅診療を手伝って」と頼まれ、訪問診療を始めて驚いた。食べる力はあるのに、胃ろうで栄養をとっている人がたくさんいたからだ。患者の家族や訪問看護師は、誤嚥が怖くて胃ろうに頼っていた。当初は野原も、口から食べさせた担当患者がむせたり、肺炎を起こしたりするたびに落ち込んだ。だが、次第に「何でも食べられるようにしなければ」という思い込みから解き放たれていった。
 嚥下の訓練や誤嚥のリスク対応などを身につけた「嚥下トレーナー」を育成しようと、野原は小谷らと共にNPO法人を作った。歯科医、歯科衛生士らを対象にした研修会は、事業開始から1時間足らずで満員になる。これまでに数百人が修了した。野原は、認知症患者の家族が語った言葉が忘れられない。「話しかけても返事はないけど、私の料理を食べてくれる」。食べることは、家族との大切なコミュニケーションの手段でもあるのだ。
                朝日新聞 2011.11.30

受け口(反対咬合) 早期治療必要な場合も

Q遺伝的な要素が大きい反対咬合について詳しく教えてください。
 A大きく分けて三種類あります。上下の顎のバランスには問題が少なく前歯のみが反対にかんでいる歯性タイプ②上下に顎が前後にズレており、反対にかんでいる骨格性タイプ③筋肉のバランスが悪く反対にかんでいる機能性タイプです。

 Q反対咬合の中にもタイプがあるのですね。
 A歯の傾きのみが、反対になっているタイプや筋肉のバランスが悪いケースなどでは、治療も比較的急ぐ必要もありませんが、早期に治療が必要となるのは上顎と下顎の大きさのバランスが悪い骨格性タイプの場合です。特に遺伝的な要素がある反対咬合では、成長期に下顎の発育が著しく、早期に顎の骨を切らなければならない手術が必要となる可能性が高くなります。
  反対咬合の治療は、各タイプによって治療方法や開始時期が異なりますので、詳しくは専門医に相談して適切なアドバイスを受けてください。
                福島民友 2011.11.28

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