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訪問口腔機能向上サービス導入を

口腔機能向上はQOLの充実とともにADLの維持・改善につながり、介護予防及び要介護者の重度化防止に重要な役割を果たすが、寝たきり等で通所系介護サービスを利用できない在宅の重度要介護者には、口腔機能向上サービスを利用する機会が少なく、施設入所者のように口腔機能維持管理が提供されることも少ない。
 福井県歯では平成21年度より、この口腔機能管理の空白域におかれている在宅重度要介護者に、口腔機能向上サービスを提供する試みを介護保険広域連合と連携して行っている。福井県北部の坂井地区は、あわら市と坂井市(合計人工は約12万5千人)で構成され、その高齢化率は約23%である。県歯坂井支部では平成21年度、県歯の指導と支援の下、坂井地区介護保険広域連合から坂井支部への委託事業として、訪問口腔機能向上サービス事業を開始した。
 目的は、寝たきり等のために通所系介護サービスを利用できない重度の居宅要介護者(基本的に要介護度4及び5度)で、口腔機能が低下しているかその恐れのある者を対象とし、口腔清掃及び摂食・嚥下に関する指導助言と訓練、口腔乾燥の緩和に関する指導助言などを、居宅への訪問により要介護者本人及び介護者に行うことで、口腔機能の向上を図ることである。
 サービス提供は、口腔清掃、口腔リハビリなどの口腔ケアの専門職として、歯科医師と歯科衛生士が行うが、基礎疾患の重症度の高い重度要介護者へのサービス提供は、医療職である歯科医師の関与を必須としている。利用回数は1ヶ月に1回を限度に3ヶ月間までで、サービス利用者は1回当たり500円自己負担金を支払うことになっている。
 訪問口腔機能向上サービスは、医療制度改革における在宅療養推進の流れの中で、口腔機能の維持改善により在宅介護の継続と介護者の介護負担軽減に寄与するものであるが、ケアマネジャーの理解不足などもあり、サービスの利用者はまだ多いとは言えない。また、県内他地域の保険者にもサービス導入を働き掛ける上で、最大の障害は財源である。
 批判を恐れずに言えば、これらの問題の最良の解決策は訪問口腔機能向上サービスの介護保険収載であろう。現状では、居宅療養管理指導しか介護保険における歯科の請求項目はないが、平成24年度改正に向けて、訪問口腔機能向上サービス導入を求める機運が高まることを期待したい。
           日歯広報 2011年(平成23年)6月15日

歯かみ合わせ転倒予防の鍵

奥歯が欠損してかみ合わせできない人は転倒しやすいことが、広島市総合リハビリテーションセンター(安佐南区)歯科の吉田光由部長(46)たちの認知症高齢者を対象にした調査で分かった。中区で20日から始まる日本補綴歯科学会の学術大会で発表し、転倒予防につながるかみ合わせの重要性を訴える。
                    中国新聞 2011.5.18

(大阪)虫歯訴訟 痛み分け

虫歯治療で唇が腫れたとして府内の女性(53)が歯科医(64)に200万円の損害賠償を求めた訴訟があり、高裁(八木良一裁判長)で和解が成立した。歯科医は「治療の仕方を非難されプライドを傷つけられた。裁判だからといって何を言っても許されるわけではない」と反発していたが、女性が謝罪することで見舞金を支払うことになった。

 訴状などによると、女性は2006年5月、自宅近くの歯科医院で治療を受けた後、唇の一部が腫れ上がった。別の病院を受診したところ、歯の治療跡に詰めたプラスチック材へのアレルギー反応が原因の可能性があると指摘された。

 女性は「アレルギーテストをしなかった」として09年5月に提訴。昨年12月の1審・地裁判決はテストの必要性を否定して訴えを退け、女性が控訴した。

 控訴審で八木裁判長は和解を提案。歯科医は、女性がアレルギーテストの必要性とは別に「唇を強く引っ張るなど粗雑な処置を受けた」と主張したことについて、「身に覚えがなく精神的なダメージを受けた」とし、謝罪を和解条件に盛り込むよう求めた。

 女性側は受け入れ、〈1〉歯科医は見舞金の趣旨で25万円を支払う〈2〉女性が医療行為を批判して医師のプライドを傷つけたことを率直に謝罪する--などの条件で5月26日、和解した。

 歯科医は「患者本位で仕事をしており、『粗雑な処置』という女性の主張には納得がいかなかった」と言い、代理人の弁護士も「仕事への誇りにまで目配りした決着」と評価している。

口腔がん かかりつけ医で早期発見

舌や歯茎など口の中にできる口腔がん。早期発見すれば治る可能性が高いが、口内炎や歯周病などと思い込んで進行してしまう場合もある。歯科治療中に見つかることもあり、札幌歯科医師会は気になる症状があれば、まずかかりつけの歯科医や耳鼻咽喉科に相談してほしいと呼びかけている。
                  北海道新聞 2011.5.18

学習・スポーツ意欲

朝食をよくかんで食べる子どもほど学習・スポーツへの意欲が高いことが17日、JA全中の調査で分かった。子どもを学習意欲に応じて「高い」「中くらい」「低い」の3つに分類。学習意欲の高い子は、朝食をよくかむ子の中に64%いるのに対し、よくかまない子には32%しかいなかった。スポーツの意欲でも、同じような傾向が浮かび上がった。
                 日本農業新聞 2011.5.18

認知症を防ぐ よくかんで脳を刺激

 食べ物をしっかりかむと脳が刺激され、認知症予防につながる。神奈川歯科大准教授の山本龍生さんは、愛知県内の認知症ではない65歳以上の4400人を2003年から4年間追跡。歯がほとんどなくて入れ歯も使わない人が認知症になる割合は、歯が20本以上残っている人より1.9倍高かった。
 また食べ物をあまりかめない人は何でもかめる人より1.5倍高かった。日頃から歯磨きや口腔ケアで歯を大事にすることに加え、食べ物をしっかりかむことが大切です。
                   読売新聞 2011.5.15

鶏卵抗体で歯周病防げ

機能性食品素材開発のファーマフーズ(京都市西京区)は、歯周病を引き起こす細菌の働きを抑制する鶏卵抗体を開発した。13~15日にお茶の水女子大(東京都)である日本栄養・食糧学会で発表し、年内の実用化を目指す。
 同社はうがい薬や歯磨き粉に含まれる抗菌剤は、善玉細菌まで攻撃する短所がある。歯周病バイオフィルム抗体は善玉細菌には作用せず、病原性細菌のみを特異的に抑制する点が画期的だとしている。
                   京都新聞 2011.5.13

培養液で歯の土台再生

臓器や骨などのもとになる幹細胞の培養液を使い、ヒトの歯を支えるあごの骨(歯槽骨)を再生することに、上田実・名古屋大教授(顎顔面外科)らのチームが成功した。幹細胞を移植する方法より安全で効率的な治療として注目される。6月に京都市で開かれる日本炎症・再生医学会で発表する。
                  毎日新聞 2011.5.10

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