日歯の大久保満男会長と村上恵一専務理事、柳川忠廣常務理事は4月7日(木)~10日(日)の4日間、高木幹正日歯連盟会長とともに東北地方太平洋沖地震で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の被災地を訪ね、被災地区会員を激励した他、意見交換等で状況把握に努め、最大限の支援を行っていくことを約束した。
日歯広報 4月15日 1530号
日歯の大久保満男会長と村上恵一専務理事、柳川忠廣常務理事は4月7日(木)~10日(日)の4日間、高木幹正日歯連盟会長とともに東北地方太平洋沖地震で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の被災地を訪ね、被災地区会員を激励した他、意見交換等で状況把握に努め、最大限の支援を行っていくことを約束した。
日歯広報 4月15日 1530号
舌通症はいわゆる口腔内科的疾患で、ドライマウスに次いで、多い疾患である。広義には舌が痛いという症状があれば舌痛症ということになるが、近年、原因不明でいわゆる心因性のものを1次性とし、原因が明らかなものを2次性とすることが提唱され広く受け入れられつつある。2次性の原因として最も多いものが、カンジダ菌の増殖である。カンジダ菌の増殖による舌痛では、通常のスワブ検査によりカンジダ菌の検出されないことが多く、肉眼所見やカンジダ検査所見で1次性と誤って診断のされてしまうこともある。また、カンジダ菌の増殖がストレスにより誘導されることから、基本的には1次性の舌痛症であっても、カンジダ菌の増殖が症状を悪化させていることも少なくない。これらのことから、舌痛を訴えてきた患者には、治療的診断として、まず抗真菌剤によるカンジダ菌の除去を行い、改めて1次性か2次性かを再考する必要がある。明らかな2次性舌痛症の場合には、原因の除去により症状の改善を目指すことが鉄則であるが、1次性と診断された場合には、100%の治療というものがないために、症状の改善には複数の治療法の試みや併用などの工夫が必要である。1次性舌痛症の治療とした様々な方法が試みられてきたが、治療効果のエビデンスが示されているものに、薬物療法として、抗うつ剤、aリポ酸、カプサイシン製剤、漢方薬などの投与、心理療法として認知行動療法がある。抗うつ剤、特にSSRIやSNRIによる薬物療法と認知行動療法は、高いエビデンスレベルが実証されてきているが、他の治療法は有効性のエビデンスが否定している報告が多く、必ずしも信頼できる治療法とは言いがたい。抗うつ剤の処方は、薬物の選択から始まり、副作用に関する問題、薬物の中止について一定の知識や臨床経験が必要であり、認知行動療法もある程度熱練が必要であることから、日常に歯科臨床での対応には困難の伴うことも少なくない。そこで、姑息的ではあるが、舌痛の緩和に有効なものにスプリント療法がある。舌痛症患者の多くに食いしばりがみられることから、その症状の緩和に有効であるのみならず、とりあえずスプリントを装着しておくと痛みを感じないという患者が多い。このことは、痛みを感じる付近の触覚を刺激すると痛みが分散されるという心理学的理論(ゲートコントロール理論)によってある程度説明できるものと思われる。これらの治療や対処の前に、1次性舌痛症では、心理社会的な問題をかかえている患者が多いことと、痛みが第3者に理解されないということにフラストレーションを抱えた患者が多いことから、心身医学療法の基本である、支持的精神療法を行うべきであろう。支持的精神療法は「受容」「支持」「保証」からなっているものであるが、医療面接の基本的態度である「受容」「共感的態度」が基になっている。すなわち、1次舌痛症では、まず、患者の話をじっくり聞くことで症状の緩和をみる例の多いことも理解しておくべきだろう。
石巻赤十字病院(宮城県石巻市)で東日本大震災後、肺炎で入院した患者が昨年同期比5~6倍の約150人に上り、このうち少なくとも11人が死亡したことが19日、病院への取材で分かった。
粉じんや乾いたヘドロから舞う化学物質が原因とされる肺炎や誤嚥(ごえん)性肺炎が増えているとみられ、矢内勝(やない・まさる)・呼吸器内科部長は「外出時は必ずマスクをつけ、食後は歯磨きやうがいをして口の中をきれいにしてほしい」と呼び掛けている。
同病院よると、震災当初は、津波をかぶったことによる低体温症が原因の肺炎や、飲み込んだ海水が肺に入り炎症を起こす「津波肺」の患者が多かった。
誤嚥性肺炎は寝ている間に飲み込む唾液の一部が口の中の雑菌とともに気管支に入り発症するケースがあり、震災1週間後ぐらいから、空せきや、たんがからんだようなせきをする患者が増えた。特に高齢者の患者が多く、同病院は避難所生活による体力低下も影響しているとみている。
矢内部長は「詳しい原因は調べてみないと分からないが、避難所では歯磨きするのも難しいところがあり、口の中が汚れがち。さらに寝ている時間が長くなるため、雑菌の多い唾液が肺に流れ込む可能性が高くなる」と分析する。
肺炎患者は、津波被害の大きかった沿岸部の気仙沼市立病院(宮城県気仙沼市)や岩手県立宮古病院(岩手県宮古市)でも増加しており、東北大の貫和敏博(ぬきわ・としひろ)教授(呼吸器内科)は「高齢者は糖尿病や心臓疾患などの持病がある人が多く、肺炎を併発する危険性が高いので注意が必要だ」としている。
骨髄の幹細胞を移植して顎骨(顎の骨)を再生する臨床研究に取り組んでいる松本歯科大(塩尻市)などの研究チームは、移植後に調べた3人で、インプラント(人工歯根)を打ち込めるまで顎骨が再生したことを、日本再生医療学会で報告した。従来の方法よりも、骨の再生が早く、インプラントの安定性も高いことが分かり、実用化にめどが付いたという。研究チームは今後、さらに一歩進めて、歯を直接支えている歯槽骨を再生する臨床研究に取り組む計画だ。
信濃毎日新聞 2011年3月11日
未曽有の被害と犠牲をもたらした東日本大震災。沿岸部では多くの人が大津波に巻き込まれ、震災の発生当初から身元の分からない遺体が多数収容された。こうした事態を受けて日本歯科医師会は、早い段階で検視への協力に名乗りを上げ、全国の歯科医師会に対し、現地で検視に当たることのできる会員の出動を要請。4月15日現在で、延べ1488人の歯科医師が、身元確認作業のため被災地に入った。
歯性上顎洞炎のように、顔の片側だけで起こる蓄のう症には、カビの一種である真菌の感染が原因になっていたり、悪性腫瘍(上顎洞がん)が見つかるケースもある。真菌が空洞(副鼻腔)内で異常増殖した場合には手術が必要だが、鼻の中から内視鏡を使って除去することが可能だ。特殊な蓄のう症としては他に、飛行機に搭乗中、機内の圧力の変化に空洞の変化が対応できずに起こる「航空性副鼻腔炎」などがある。蓄のう症による炎症が、目に波及する場合もある。特に、両目の間にある空洞(し骨洞)と、眼球の入ったくぼみ(眼窩)を隔てる壁は紙のように薄く、炎症が広がりやすい。物が二重に見えたり、目が腫れたりしたら、一刻も早い受診が必要だ。
毎日新聞 2011年3月11日
日本歯科医師会の大久保満男会長は13日、民主党の岡田克也幹事長を国会内に訪ね、東日本大震災で歯科診療所が大きな被害を受けた岩手県の陸前高田市や大槌町に、仮設診療所を設置するよう要請した。
長期の避難所生活で口腔(こうくう)内を不衛生にしていると肺炎を引き起こす危険性があると指摘。応急治療や口腔ケアを実施するための財政支援も求めた。岡田氏は「非常に重要な問題だ」と検討する考えを示した。
旭川赤十字病院 歯科口腔外科 池畑正宏
口腔顔面領域における悪性腫瘍の臨床的特徴と口腔に限らず全身における癌の発生率について述べる。
・口腔顔面領域の癌腫は全癌腫の1%程度にすぎず、その80~90%は扁平上皮癌で ある。
・性別は2:1で男性に多い。
・口腔扁平上皮癌の初期は臨床症状に乏しく、疼痛を伴わないことが多い。
・進行すると周囲に堤防状隆起と硬結を伴う、無痛性潰瘍を形成する。
・腫瘍細胞が神経浸潤した場合や末期には癌特有の癌性疼痛を生じる。
・リンパ行性転移を伴うことが多く、呼吸器(肺)や肝臓、骨への転移が多い。
・舌癌、歯肉癌、頬粘膜癌、上顎(洞)癌、口底癌の順で多い。人口10万人あたり口 腔・咽頭癌の発生率は長年あまり変化なく、5.3人程度である。
近年、ビスホスホネート投与患者の顎骨壊死についての報告が数多く聞かれるようになって来た。ビスホスホネートは骨粗鬆症や悪性腫瘍の患者に投与されており、作用機序、薬物学的特徴は別紙にて説明する。発生頻度は経口と注射では差があるものの、0.1~10%の範囲内である。顎骨壊死の治療については次のとおりである。
・顎骨壊死の有効な治療法はまだ確立されていない
・壊死組織の除去、露出骨の粘膜弁による被覆、露出骨縁の除去等はむしろ逆効果? (保存的療法が無効の際に限られる)
・放射線骨壊死に有効な高圧酸素療法もビスホスホネート誘発骨壊死に有効との知見は ない。
・休薬、または中止は効果ない?最近は中止を勧めている。
・腐骨を形成することは少ない。