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うがい薬売り切れも 「飲まないで」と専門家

東日本大震災に伴う福島原発放射性物質漏えいで15日、首都圏でも通常より高い放射線量を観測した。都内の薬局でヨウ素入り消毒薬やうがい薬を買い求める客が急増、専門家は「飲まないで」と呼び掛けた。スーパーやホームセンターは、電池や水の品不足が続く。

 世田谷区の薬局では、うがい薬やヨードチンキが在庫切れに。被ばくによる健康被害を抑える「安定ヨウ素剤」服用には医師の処方が必要だが、ヨウ素はうがい薬などにも含まれるため、代替品と誤解されやすい。

 放射線医学総合研究所は「内服すると有害成分が多い。飲むのは絶対にやめて」と呼び掛ける。「これは安定ヨウ素剤でなく、うがい用です」とレジで念を押す薬局も。

 大手量販店ドン・キホーテはここ数日、首都圏の店舗中心に高機能マスクや消毒用ハンドソープ売り上げが通常の2~3倍で「放射能対策かも。インフルエンザ予防用なのに」と困惑する。埼玉県内のホームセンターは地震発生直後からカセットこんろやペットボトルの水が品薄になり、今後は肌を隠す雨がっぱや帽子などの需要が増えると予測。「客は何としても身を守りたいという心理状態になっている」と指摘する。

 乾電池などがほぼ完売の都内のスーパーも、入場制限するほど客が開店前から詰め掛け「原発事故の影響は予測できない」と不安を口にする。

 東京ディズニーリゾートやよみうりランドなど、地震直後から休園を続ける遊園地も多い。東京・浅草花やしきは営業を再開したが「原発との関係は分からないが、客は極端に少ない」と話す。
2011年3月16日 提供:共同通信社

日本歯科医師会、都道府県歯科医師会に遺体の身元確認への協力を要請

東北地方太平洋沖地震の犠牲者が数千人単位に膨れあがっている状況を受け、日本歯科医師会は14日、全国の都道府県歯科医師会に対し、遺体の身元確認作業のために協力してくれる会員を募るよう要請した。被災地に派遣する考え。

 事件・事故などで身元不明の死者が発生した際、歯科医師は、検視を行う警察官や医師の要請を受け、検視の「補助行為」として歯科所見などを活用した身元確認作業を行う。日歯は、地震発生直後に、政府の対策本部から身元確認のための歯科医派遣を打診されていた。

 日歯は各都道府県歯科医師会に対し、派遣可能な会員を募った上で、警察歯科医として確認作業の経験が豊富な会員の紹介を要請。ただし、現地への交通手段が限られているため、実際の派遣場所や日時は、警察庁や被災地などからの情報などを基に順次決定していくとしている。

 これに先立つ12日、岩手県歯科医師会は被害の大きかった宮古方面・陸前高田方面に会員を派遣し、身元確認作業を開始している。しかし、多数の遺体が安置されている場所には到達できず、30体余りの遺体の口腔内所見を確認するだけに終わっている。また、13日には警察庁から日本歯科医師会に対して正式に派遣要請があったが、現地の受け入れ態勢が十分でないことから、11人の派遣にとどまっている。

 日歯によると、1人の歯科医師が確認できるのは1日に10~15人程度であり、精神的な負担も大きいため、長期にわたって続けることは困難だとしている。日歯会長の大久保満男氏は、「仮に犠牲者が1万人いれば、100人や200人の歯科医師でもかなり厳しい」と見ており、全国からの派遣が必要であることを訴えた。身元確認作業の研修を受けた歯科医師は、全国に2~3万人いるという。

 また、日歯では歯科所見だけでなく、口腔内や毛髪などからのDNA鑑定の併用も検討しているようだ。愛知県歯科医師会会長の宮村一弘氏は、「米国の『ソレンソンジェノミクス』という企業から、1万5000検体分の解析を無償で提供してもよいと打診を受けている。内閣府にはその旨を報告しており、政府の判断を待っている段階だ」と語った。

呼吸助けるマウスピース

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まって熟睡できず、日中に眠くなったり、高血圧や不整脈などの循環器系の障害も引き起こしたりする病気。いびきが大きい人に多く、無呼吸が1晩7時間の睡眠中に30回以上、あるいは1時間に5回以上あれば、SASと診断される。肥満や喉の筋力低下により、鼻から吸い込んだ空気の通り道(気道)が、舌の根元や喉の筋肉でふさがってしまうのが原因。治療の主流は、睡眠時に機器を用いて鼻から圧力をかけた空気を送り込み、気道を広げる経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAP)だ。
 これに対し、マウスピースは、装着することで下顎を少し前に出した状態に保ち、舌の根元が顎側に引き寄せられることで気道がふさがれるのを防ぐ。個人の歯型に合わせて歯科で作るが、取り組む歯科医師が少なく、まだあまり普及していない。
                     中国新聞 2011.2.2

白い歯取り戻そう

毎日きちんと歯磨きをしても、歯の表面には紅茶やコーヒー、たばこなどによる、どうしても落としきれない汚れが付く。様々な歯磨き粉も市販されているが。せいぜい表面の汚れを少し落とせるかどうか。歯に染み込んだしみをとるのは難しい。また年とともに歯の表面の透明なエナメル質は削れて少しずつ薄くなり、中の黄色っぽい象牙質の色が出る。時間とともに起きる歯の変色は、完全には避けられない。
 白い歯を取り戻すにはまず、虫歯や歯肉炎などの治療から始める。次に普段の歯磨きで落としきれてなかった茶渋や歯石といった表面の汚れを歯科医院にある専用器具を使って取る。この段階でも歯はかなり白くなり、満足する人も。表面に残った汚れは虫歯や歯周病の原因にもなるので、徹底的な汚れ落としは歯を長持ちさせる効果もある。
                 日本経済新聞 2011.1.23

歯周病 歯がぐらつく

歯周病は感染症だが、生活習慣病でもある。40代で発症したのなら、10年前の30代に手入れを怠った結果といえる。まず、きちんとした歯磨きの習慣がないことは一番の問題で、歯周病菌を大量に含んだプラーク(歯垢)が蓄積する。喫煙もニコチンが血管を収縮させて血流を悪くし、歯周病菌を増やす。食生活では虫歯と同様、砂糖を含んだ食物が温床になる。老化によっても歯周組織が衰え歯がグラつくが、歯周病があればそのスピードは10倍も違う。
                 週刊エコノミスト 10.10.12

虫歯や真菌が原因の場合も 蓄のう症

蓄のう症の多くは、鼻風邪やアレルギー性鼻炎から起こる。しかし、東京都府中市の地方公務員、大下敏隆さん(48)の場合は違った。大下さんは昨年1月下旬、左の上の親知らずを抜歯。その際、左の上顎洞(じょうがくどう)(ほおの裏側の空洞)と口の中をつなぐ穴ができた。穴は10日間ほどでふさがったが、数日後、黄緑色の鼻汁が出た。さらに数週間後、抜歯部分に激しい痛みがあり、次いで鼻内に「どぶのような臭気」を感じて総合病院の口腔(こうくう)外科を受診すると、「歯性上顎洞炎」と診断された。虫歯や歯根の炎症が空洞の粘膜に広がって起こる蓄のう症だ。

 歯性上顎洞炎のように、顔の片側だけで起こる蓄のう症には、カビの一種である真菌の感染が原因になっていたり、悪性腫瘍(上顎洞がん)が見つかるケースもある。真菌が空洞(副鼻腔(びくう))内で異常増殖した場合には手術が必要だが、鼻の中から内視鏡を使って除去することが可能だ。また、神奈川歯科大の八尾和雄教授(耳鼻咽喉(いんこう)科学)は上顎洞がんについて、「患部を切除する手術と少量の放射線照射、抗がん剤投与を組み合わせた北里方式という治療法で、患者さんの7~8割は治る」と指摘する。

 特殊な蓄のう症としては他に、飛行機に搭乗中、機内の圧力の変化に空洞の内圧の変化が対応できずに起こる「航空性副鼻腔炎」などがある。蓄のう症による炎症が、目に波及する場合もある。特に、両目の間にある空洞(篩骨洞(しこつどう))と、眼球の入ったくぼみ(眼窩(がんか))を隔てる壁は紙のように薄く、炎症が広がりやすい。物が二重に見えたり、目が腫れたりしたら、一刻も早い受診が必要だ。

 一般的に、感覚器官の神経は繊細で再生しにくいとされる。食べ物の風味やにおいの異常も、放置すると嗅覚の喪失につながりかねない。聖路加国際病院(東京都中央区)の柳清・耳鼻咽喉科部長は、これまでの経験から「においがしなくなっても、早期の治療で8~9割の人は元に戻るが、5年以上過ぎてしまうと難しい」と話す.
2011年3月11日 提供:毎日新聞社

ひな祭りが教えてくれた“口で食べる幸せ”

Kさんは、ご主人と二人の娘さんに恵まれ、幸せな生活を送っていました。在
宅でご主人の介護をするなど、とても献身的な方だったそうです。ご主人を看取
った今では、自身も病院に入院。口から食事を摂ることができない状態でした。

 そんなKさんの夢は、「ひな祭りにちらし寿司とはまぐりのお吸い物を、もう
一度自分の口から食べること」です。そのために、口腔ケアと嚥下訓練に一生懸
命に取り組む姿をFさんはいつも目にしていました。

 ある日、主治医からKさんにとって最後のひな祭りになるかもしれないという
話を聞きます。
「なんとかして願いを叶えてあげたい!」
 その一心で調理師や主治医と相談し、やり方を考え抜いたFさん。ようやく
「これならイケる!」という方法を見つけて、口から食べさせることに成功した
のです。

 Kさんは食事を摂りながら微笑み、次のように話してくれました。
「いつもキレイにしてもらっている口から食べるご飯はとても美味しいわね。本
当に幸せ。この病院に入院してよかった。ありがとう」

 Fさんは、毎日の口腔ケアが、患者さんの願いを叶える礎を築いたのだと実感
したそうです。「“自分の口でご飯を食べる幸せ”を感じてもらいたい。そのた
めに、これからも口腔ケアを念入りに行なっていきます」と決意新たに話してく
れました。

私大歯学部人気回復なるか

増える口腔ケア需要…若い歯科医、飛躍の機会

 大学受験シーズンも終盤に入ったが、2010年度に17校のうち11校で定員割れした私立歯科大・歯学部は、学費引き下げや受験機会を増やすなどして定員確保に努めている。

 11年度の歯学部入学定員は国公立と私立を合わせて2482人。そのうち、私立は1825人と約7割を占める。

 私立の入学志願者数は07年度までほぼ1万人を超えていた。だが、10年度には半分の4914人まで落ち込んだ。志願者減の背景については「『コンビニよりも多い』などと歯科医師過剰のイメージが広まったうえ、不況で、学費が高い私立が敬遠された」(安井利一・日本私立歯科大学協会副会長)との見方がある。

 確かに歯科医師数は過去30年間で約5万人から約10万人に倍増した。歯科の診療報酬は長く据え置かれてきた上に、歯磨きの徹底や少子化で虫歯の患者も減っている。歯科医院の経営環境が以前よりも厳しくなっているのは間違いない。

 とはいえ、開業歯科医の平均年収は、まだ1400万円前後と高い水準にある。私立は学費が高いものの、歯科医師に定年はない。日本私立歯科大学協会によると、歯学部新卒者の就職率はほぼ100%で、求人倍率が7倍以上の歯学部もあるという。

 実態以上に歯学部人気が急低下したことには、歯科医師数の抑制を求め続けてきた日本歯科医師会も戸惑い気味だ。志願者数の落ち込みは将来、歯科医師の質の低下につながる恐れがあるからだ。同会の柳川忠広常務理事は「数が過剰なのは確かだが、今日明日に食べられないことはない。一部に赤字の歯科医院もあるが、どんな業界も同じ」と話す。

 一方、「過剰」と言うことに疑問を持つ開業歯科医もいる。東京・杉並区歯科医師会の高橋英登会長は「需要開拓の努力もせず、『減らせ』と言うのは甘え」と同業者にも手厳しい。

 高橋会長の医院は、週4日は午後11時まで、年末年始も元日以外は診療する。夜間の患者は日中忙しくて受診できない会社員が多く、年末年始は近県からも来院する。高齢患者には訪問歯科診療も行っている。

 高橋会長は、同歯科医師会の取り組みとして「歯科診療を充実させることで、医療費を減らせることを実証したい」と言う。近年、咀嚼(そしゃく)したり、のみこんだりする口腔(こうくう)機能と全身の健康との深い関連が分かってきたからだ。

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