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歯科における観血的処置の種類とPT-INR

観血的処置のうち高頻度治療である抜歯においては、広く抗血栓療法継続下での処置が望ましいということが浸透してきている。しかし、歯科における他の観血的処置に関しては抗血栓療法中の患者をどうすべきか共通の認識がないのが現状である。JADAにて特にワルファリン療法中の患者の歯科治療に関して、PT-INRと歯科治療の種類の関係が報告されている。歯科治療のうち、印象採得、予防処置、歯内療法、保存修復処置、スケーリング、ルートプレーニング、普通抜歯、多数歯抜歯および1本の埋伏抜歯は、PT-INR<3.5(日本での治療域設定と異なる)であれば施行可能としている。PT-INR<2.5であるならば、歯肉切除術、歯根端切除術、少数歯のフラップ手術および1本のデンタルインプラントの埋入が可能とされている。歯周治療においては、歯周炎、歯肉炎の進行度により出血の可能性が増加するため、PT-INR<2.5であれば処置可能としている。止血に関しては健常人以上に注意をしなければいけないといえる。特に、処置に際しては愛護的に行うことで組織の挫滅させないよう、また侵襲を少なくするよう常に心掛けることが大切であるといえる。圧迫止血、縫合は基本であるが、エピネフリン、ゼラチンスポンジ、アテロコラーゲン等の局所止血剤の使用、止血シーネの併用によっても創部の被覆、圧迫がより確実となり、高い止血効果が得られる。適切な止血処置は持続性出血、後出血の危険性を回避につながる。

入れ歯紛失で命の危険も 避難長期化で歯科医ら警告

避難生活が長期化する中、突然の地震と津波で入れ歯をなくしたまま過ごす高齢者らの健康面が心配されている。食料や衣類の不足などに比べ軽視されがちだが、阪神大震災では口腔(こうくう)内の衛生悪化が肺炎を引き起こし、震災関連死につながったケースも。被災地では歯科医らが懸命に診療に当たっている。

 約800人が避難する宮城県女川町の総合体育館。フロアに開設された救護所を無職平塚幸悦(ひらつか・こうえつ)さん(77)が訪れ「痛くてご飯が食べられない」と訴えた。平塚さんは津波から逃げる途中、下の入れ歯を一部紛失。上の入れ歯のかみ合わせも悪かった。

 診察した地元の歯科医木村裕(きむら・ゆたか)さん(54)が「十分に器具がそろってないから、応急処置だけど」と声をかけながら、外した入れ歯を器具で削り、上あごにはめ直すと、平塚さんは「力が入るようになった」とにっこり。

 木村さんの診療所は津波にのまれ全壊し、当初は自らも体育館で避難生活を送りながら救護所に。その後は同県石巻市の兄の自宅から連日駆けつけ、避難者らの治療に当たる。

 「入れ歯が津波に流された」「栄養が偏り、口内炎ができた」など患者の症状はさまざま。専用の薬がないと、入れ歯を洗えないと思い込み、口の中の衛生状態が悪化している高齢者もいた。

 医療関係者が懸念するのは、口腔ケアの不足により、避難生活で免疫力が低下した高齢者に肺炎が広がること。

 実際に阪神大震災では、入れ歯を紛失したり、水不足で洗わなかったりして、口の中の細菌が増えた高齢者に「誤嚥(ごえん)性肺炎」が多くみられた。神戸市によると、避難生活で持病が悪化したことなどが原因で亡くなった震災関連死約920人のうち、約4分の1を占めた肺炎の中には、誤嚥性も目立った。

 木村さんは「避難所暮らしが長引けば、歯科治療が命にかかわる場面が必ず出てくる」と心配する。

 全国の歯科医師会などは、被災地に歯ブラシや歯磨き粉を提供。ただ避難所に届かず、倉庫に積まれたままの被災地もあるという。あるベテラン歯科医は「神戸の教訓を、ぜひ無駄にしないでほしい」と訴えている。

北海道・「災害弱者」を守るために 在宅障害者/口の中のケア

東日本大震災の被災者の避難生活が長期化する中、高齢者や障害者ら「災害弱者」へのケアが重要さを増している。道内から医療や介護の支援に派遣され帰還した専門家に、現地で起きている問題を聞いた。

 ◇在宅障害者、孤立危機 札幌のNPO法人、一軒一軒訪ね

 在宅の災害弱者に物資が届いていない――。札幌市東区のNPO法人「ホップ障害者地域生活支援センター」のスタッフ、滝桃子さん(28)は、災害弱者が支援の手からこぼれ、孤立しがちな現状を目の当たりにした。

 滝さんは地震半月後の3月26日から4日間、宮城県石巻市でボランティア活動に従事した。介護が必要な高齢者や障害者向けの「福祉避難所」は市内に約30カ所設けられ、そこにはケアに必要な物資が定期的に運び込まれる。一方で、避難所に行くことができず、自宅に残っている人たちもいた。

 市職員らは在宅の被災者を把握するため、拡声機を使って町中を巡回していた。しかし物資を届けるまでは手が回らない。自宅を出られない障害者らは、支援の網の目から漏れてしまうケースもあると聞き、ボランティアが一軒一軒訪ねた。物資をもらうために、余震が続く中、障害を抱える子供だけを数時間家に残して親が受け取りに行っていた家庭もあった。

 避難所も混乱していた。全国から介護の専門家が派遣されていたが、誰をどこに配置するかの仕切り役がいない。何をしていいか分からず、右往左往する介護職員もいた。滝さんらは被災者や先着のボランティアに「何か困っていることはありませんか」と聞くことから始めた。

 福祉避難所では「薬を取りに帰りたい」「家を片づけたい」という高齢者の送迎をしたが、車椅子のまま乗降できるリフト付きの福祉車は1台だけ。余裕を持って要望に応えられなかったという。

 滝さんは「今の段階で行政がすべてやるのは無理。集まった人手を生かすために、民間のボランティアに支援の指揮を任せるのもいいのでは」と話している。【佐藤心哉】

 ◇口の中のケア、大切に 栗山の歯科衛生士、高齢者を心配

 栗山町在住の歯科衛生士、千葉洋子さん(32)は2、3の両日、宮城県気仙沼市へ高齢者らの医療支援で派遣された。「避難所の人たちの歯や口腔(こうくう)のケアが見落とされがちになっている」と改善の必要性を訴える。

 千葉さんは資格取得前に陸上自衛隊に6年間在籍し、3月末までは夕張市立診療所で働いていた。同診療所を経営する医療法人「夕張希望の杜」の村上智彦理事長らが、震災を機に「支える医療研究所」を設立して派遣メンバーを募ったため、この要請に応じた。

 気仙沼市内には派遣された時点で歯科治療が可能な施設が2カ所しかなく、2日間でお年寄りら20人の入れ歯の調整や応急手当てを手伝った。現地では歯ブラシが支給され、口の中が清潔に保たれている人が多かったが、虫歯などの痛みを我慢している人もいたという。口の中で雑菌が繁殖すると肺炎などにかかりやすくなるため「ケアの大切さを、もっと自覚してくれれば」と心配する。

 被災地では歯科医を含む医療スタッフの不足が続き、疲労の蓄積も問題化している。千葉さんは「機会があれば何度でも被災地に行って役に立ちたい」と話す。【吉田競】
2011年4月8日 提供:毎日新聞社

肥満防止、ぼけ予防も

私たちの食欲は脳にある二つの「食欲中枢」でコントロールされています。一つは空腹を感じ、食べることを指令する「摂食」中枢で、もう一つは食べるのをやめるよう指令する「満腹」中枢といわれるところです。満腹中枢が活発だと食欲が抑えられますが、活発になるのに、食事を始めてから十五分経過してからと言われています。かむということは肥満防止だけではなく視力低下、ぼけ、がんなどを予防し、内臓の働きを助け、大脳の働きを活発にし、また精神を安定させるなどさまざまな効果があると言われています。このいいことずくめの「かむ健康法」、ためしてみる価値はあるかもしれませんね。
       福島民報 2011年3月7日

歯ブラシを開発する小林利彰さん「職業紹介企画」〈この人・この仕事〉

使い心地(ごこち)を試した歯ブラシは千本以上-。小林さんは日用品を作るライオンという会社で、歯と歯ぐきの健康に役立つ歯ブラシを作ろうとがんばっている。以前は歯の治りょうで使う特しゅな材料や歯みがき粉を研究していた。歯ブラシの開発にうつって、今年で12年目になる。

 小林さんは「歯ブラシは『進化』しています」と話す。約30年前の6~9歳(さい)用は、ブラシの部分が今の大人用よりも長く、子どもは、みがきにくかった。今は子ども用も大人用もずいぶん短くなった。「歯を一本一本ていねいにみがき、虫歯を防(ふせ)ぐには、ブラシ部分が短い方がいいですよ」

 「ブラシの毛も、広がりにくくなりました」。材料のナイロンの研究が進み、以前よりもじょうぶな毛になったからだ。「でも、ごしごしとみがかないでください。特に子どもの歯は弱いので、軽く動かすだけですむように工夫しています」

 人気キャラクターの「まめゴマ」や「星のカービィ」が描(えが)かれた6~12歳用歯ブラシの場合、約900本の毛が、虫歯になりやすい奥歯(おくば)のすみや、歯と歯の間までそうじしてくれるそうだ。

 大人になると、歯ぐきが悪くなりやすい。歯と歯ぐきのせまいすき間をきれいにする歯みがきが大事になる。「3月に発売した大人用の新製品(しんせいひん)は、毛の先たんの直径が1ミリの50分の1。根元は少し太く、毛の形はロケットに似(に)ているんですよ」

 小学校の理科の実験をむずかしくした「化学反応(はんのう)」を利用。特別な薬を使って先たんを細くした。「何年もかかって完成した歯ブラシです。どんな商品も一生けん命作ります。買ってもらえた時は本当にうれしいです」。東京都出身。49歳。

先天的 1~数本 子の1割永久歯欠損

28本の永久歯のうち、1~数本が何らかの原因により作られず欠損している「先天欠如」の子どもが10人に1人の割合でいることが、日本小児歯科学会の初の全国調査で5日、分かった。07年~08年に、先天欠如以外の理由で歯科を受診した12都道府県の7歳以上の子ども1万5544人を調査。先天欠如は1568人(10.1%)で見つかった。男子では9.1%、女子では11.0%だった。上あごだけに欠損がある子は2.5%、下あごだけは5.7%、両方は1.9%。下あごで、中央から左右に向かって5本目にある「第2小臼歯」がないケースが最多で、2本目の「側切歯」がない子どもが多かった。
       毎日新聞 2011年3月5日

車で寝泊まり、無償で診察 自らも被災の歯科医

宮城県南三陸町の歯科医阿部公喜(あべ・こうき)さん(54)は、経営していた医院や自宅が津波で流された。「何もかも失ったが、仕事はできる」。避難所の駐車場に止めた車で妻(57)と寝泊まりしながら、無償で診察を続けている。

 町内に6カ所あった歯科医院はすべて流された。「歯科医がいなくなっては困るだろうから」。診療時間は午前10時から午後3時まで。毎日、子どもから高齢者まで約25人が訪れる。ストレスで歯肉炎になった人や、入れ歯をなくしてしまった人も多いという。

 親類は5人が、まだ行方不明のままだ。「遺体が見つかればラッキーという世界になってしまった」と、力なく苦笑いを浮かべる。

 訪れた患者に町に残ってほしいと言われることもある。阿部さんは「離れるわけにはいかないが、いずれは難しい選択をしなければならないのかもしれない」と唇をかんだ。

がん患者の口腔管理 より良いがん治療に貢献

「抗がん剤治療をすると、平常時には何でもなかった歯周病や虫歯から、大変な感染症が起きる場合もあり、歯科医による口腔感染管理が必要」と岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)周術期管理センター歯科部門長で歯周科助教の曽我賢彦氏は力説する。がんの化学療法や放射線照射は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を及ぼし、抵抗力が落ちる。そのため「歯周病、虫歯、親知らず(第三大臼歯)の処置は、がん治療前にできるだけ早く済ませておきたい」。それは抗生剤の使用を減らし、抗生剤が効きにくい耐性菌の発生抑制にもつながるという。
         山陽新聞 2011年2月21日

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