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単発の浅い潰瘍、うがいと薬で対応 口内炎/2

アフタ(浅い潰瘍)が単発的にできる口内炎(孤立性アフタ)の多くは原因が不明で、確立された予防法はない。山村幸江・東京女子医科大講師(耳鼻咽喉(いんこう)科)によると、孤立性アフタの多くは、何も治療をしなくても、1週間から10日程度で治る。ただし、数日間は舌や食べ物などが患部に当たると強い痛みがある。自分でできるケアは「アフタのある場所をできるだけ刺激しないことと、口の中を清潔にすること」(山村さん)。しみて歯磨きができないときは、うがいだけでもする。汚れを洗い流すことが目的なので、必ずしもうがい薬を使う必要はない。うがい薬や冷たい水道水がしみる場合は、ぬるま湯を使う。

 併せて、市販のアフタ用の軟膏(なんこう)や貼り薬を使い、炎症を抑えるとともに、アフタ表面を保護して食べ物などをしみにくくする。うがいなどで患部を清潔にしたうえで、毎食後と寝る前に綿棒を使って塗るといい。

 山村さんは「2週間程度たっても症状が改善しないと、医療機関を受診した方がいい」と話す。虫歯治療のかぶせ物などが常時炎症部分に当たり治りにくくなっている場合もある。医療機関では軟膏、口の中に噴霧するタイプのステロイド薬、重症の場合は痛み止めの飲み薬が処方されることもある。

 決まった場所ではなく、あちこちに頻繁にアフタができる人は全身の病気も疑われるが、「アフタの多発」というだけで、明確な診断がつかないことも多い。だが、例えば、睡眠が十分に取れないとき、女性の場合は生理周期によって決まった時期にできる人もいる。発症しやすい状況を確認しておくと、生活習慣の改善によって予防につながる可能性がある。

全身の健康状態のバロメーター 口内炎/1

口内炎が痛くて食事も満足にできないなどの経験のある人は多いだろう。激しい痛みの割には1週間程度で治るものが大半だが、舌がんなど深刻な病気が隠れていることもある。

 口内炎は、口の中の粘膜の炎

症一般を指す言葉で、症状や原因はさまざまだ。主な症状には、潰瘍・びらん(浅い潰瘍)▽水疱(すいほう)(水ぶくれ)▽紅斑(盛り上がらずに赤くなっているもの)▽白斑▽血腫--などがある。

 口内炎で多くの人が想像する状態は「アフタ」と呼ばれ、浅い潰瘍の一種だ。多くは直径1~2センチ未満で、口の粘膜の表面の細胞がなくなって中心が白っぽく見える。その周辺は炎症が起こって赤い。食べ物などが患部に触れると、灼熱(しゃくねつ)感と呼ばれる激痛が走る。

 山根源之・東京歯科大教授(歯科・口腔(こうくう)外科)によると、口の中は、話したり食べ物を処理する役割を担うためとても柔軟にできている。ほおの内側の粘膜の厚さは0・5ミリ程度。抗菌物質を含んだ唾液に覆われているうえ、表面に近い場所に毛細血管がたくさんあり、栄養分が頻繁に供給されるので、体の他の部位より傷は治りやすい。

 一方、目や鼻の粘膜と同じく非常にデリケートで、ウイルスに感染したり、全身に異常があるとすぐ影響が出る。高齢者や免疫力の低下した人は、カビの一種のカンジダが原因で、口の中に白いこけのようなものができることがある(口腔カンジダ症)。風邪をひいたり疲労がたまるとアフタができやすい人もいる。山根さんは「口の中の症状は全身状態のバロメーター。口内炎ができたら、体のほかの場所に異常はないか、偏った食生活をしていなかったかなど、健康状態を見直すことが重要だ」と話す。
2011年1月10日 提供:毎日新聞社

歯科情報のDB化目指す 災害時の身元確認に備え 「一刻も早く遺族へ」「大震災16年」

指紋やDNAと並んで身元の確認に有力な歯科情報をデータベース(DB)化し身元確認の新しい制度をつくろうと、歯を鑑定する警察歯科医らが取り組んでいる。1995年の阪神大震災でも多くの歯科医が身元確認に奔走したが、大半が手作業だった。今後の大規模災害などに備え、身元確認の迅速化を目指す。

 ▽金歯から特定

 95年1月25日、阪神大震災発生から約1週間後の王子剣道場=神戸市灘区。警察歯科医だった住谷道夫(すみたに・みちお)さん(69)は12人の遺体を調べていた。カルテやエックス線写真のない50代男性は1枚のスナップ写真が手掛かりに。遺体の前歯に金歯を発見、写真の中で笑う男性の金歯をルーペで見て同一と確認し同じ男性と断定した。

 阪神大震災では、兵庫県警察歯科医会の歯科医延べ159人が実質約10日間で68人の身元を明らかにした。住谷さんは「故人の尊厳を守るのが身元確認。一刻も早く遺族に返したかった」と振り返る。

 ▽PCで自動照合

 85年の日航ジャンボ機墜落事故で亡父が身元確認に尽力した群馬県高崎市の歯科医小菅栄子(こすげ・えいこ)さんは2007年、東北大の青木孝文(あおき・たかふみ)教授(情報工学)と協力し歯のエックス線写真を利用した身元確認システムを開発した。

 同事故で全員の身元判明に要した日数は約3カ月。大規模災害に備え手作業では膨大な時間がかかる危機感が開発の背景にある。

 生前に撮影した歯のエックス線写真と遺体の写真をパソコンで自動照合する仕組みで、現在、歯科情報をDB化する必要性を各地で訴えている。

 小菅さんは「昼間に大地震が起きデパートなどが倒壊すれば、身元確認は阪神大震災の時よりも困難。社会の財産として歯科情報の集約が必要だ」と強調した。

 ▽個人情報の壁

 生前の歯科情報のDB化へ向け、大きな課題は個人情報保護法の壁。日本歯科医師会の柳川忠広(やながわ・ただひろ)常務理事は「実現には法改正が必要」とした上で「死因究明制度も含め国民的理解が得られる形で議論したい」と話す。

 警察庁の死因究明制度の在り方を検討する研究会も10年7月の中間とりまとめで「身元確認迅速化のため、歯科所見のDB化の実現が望ましい」と記載、実現への機運が高まりつつある。

※警察歯科医

 警察と協力し遺体の身元確認に取り組む歯科医。歯の治療痕などを調べ、推定される人物の通う歯科医に照会、エックス線写真など歯科情報と照らし異同識別する。治療痕や歯型は万人不同で、歯は死後の変化が少ないため、焼死体でも身元が分かるケースが多い。520人が犠牲となった1985年の日航ジャンボ機墜落事故では、損傷した遺体の身元が歯の鑑定で特定されたケースも多く、歯科所見の重要性があらためて認識された。
2011年1月14日 提供:共同通信社

生活習慣を見直す 歯磨き くすぐるように小刻みに泣いても仕上げ最後まで

赤ちゃんに乳歯が生え始めると、「虫歯をつくらないように」と思うのが親心。ところが仕上げの歯磨きをしようとすると、嫌がって泣いたり、暴れたり・・・。コツや気をつけたいことを、子ども専門の歯科医や歯科衛生士に聞きました。
 嫌がるときは、どうしたらいいのか。「ポイントは三つ」と宮下さんに教わった。①数えながら磨く②ほめながら③手際よくやさしく磨けるよう、親も自分の歯で練習する。
                   朝日新聞 2010.11.29

糖尿病

最近は糖尿病が歯科の領域でも注目を集めている。歯を失う一番の原因となる歯周病の罹患率が、糖尿病患者はそうでない人に比べて二倍以上高く、重症化しやすいというのだ。さらに歯周病は糖尿病を悪化させるという報告もあるという。
                   東京新聞 2010.11.25

お口ポカン要注意 フィルター・加湿機能持つ鼻、病気や虫歯の恐れ

電車の中などで、口を開きっ放しにしている子どもを見かけることがある。人間は一般的に鼻で呼吸する。口呼吸が癖になると細菌などを取り込みやすくなり、病気にかかるリスクが増えるほか、歯の成長にも影響する。インフルエンザや花粉が気になる季節に、子どもの「お口ポカン」問題を考えてみた。【中西拓司】

 神戸市内の主婦(35)は4歳になる長男が、生後半年ごろから日常的に口を開いていることが気がかりだ。「たまに閉じることもあるが、寝ている時も含めていつも開いている」といい、歯がいつもむき出しになっているので、転倒した際に前歯が欠けたこともあった。口を開ける癖がない長女(7)に比べて虫歯になりやすく、すでに5本治療した。「口を閉じようね」と促しても、すぐに忘れて口を開けてしまう。「健康にも悪そうなのですぐに直したい。どうすればいいのか」と医師を受診したこともあった。

 「恒常的に口呼吸しているようなら、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科の診察を受けてほしい」。千葉大大学院医学研究院の岡本美孝教授(耳鼻咽喉科・頭頸(とうけい)部腫瘍学)はこう語る。口呼吸が長引けば「のどの炎症や睡眠障害など、さまざまな病気を招く恐れがある」という。

 鼻の内部には、左右それぞれに複雑な形をした三つの突起があり、表面の粘膜や繊毛でホコリや微生物などの異物を取り除く働きがある。また、のどを痛めないように外部の乾いた空気に湿り気を与え、温めてから体内に取り込む加湿や加熱の機能もある。鼻はにおいを感じる機能だけでなく、体内に異物が入るのを防ぐフィルターの役目を果たしているというわけだ。

 岡本教授によると、子どもが口呼吸する原因としてアレルギー性鼻炎などによる鼻づまりのほか、鼻の奥にある「アデノイド」の肥大などが考えられるという。アデノイドは微生物に対する免疫力を作るリンパ組織の一種とみられており、通常は3~4歳をピークに一時的に大きくなるが、その後は小さくなる。しかし、炎症などによって腫れてしまうと鼻呼吸をしづらくなり、いつの間にか口呼吸が習慣化する場合がある。
2011年1月9日 提供:毎日新聞社

初期むし歯の治療 歯科医院で定期診察を

唾液(だえき)の作用によって数十分すると、口の中は中性に戻り溶けた歯が補修されます。これを再石灰化といいます。再石灰化を促すはみがき剤やガムなども市販されています。しかし再石灰化の効能に期待しすぎるのは大変危険なことです。再石灰化で修復されるのは肉眼では確認できない顕微鏡的なレベルの話だからです。本人がむし歯かなと気付いた時点で初期を通り越していることがほとんどだと考える方が正しいのです。歯科医師に注意深く観察してもらい、治療した方がいいのか、経過を見た方がいいのかを判断してもらう必要があります。
                   福島民友 2010.11.22

口腔ケア 介護領域で重要性見直し

口腔ケアとはただ口の中をきれいにする(磨く)だけではなく、虫歯や歯石の除去、不適合になった入れ歯の修理、清掃、高齢に伴う唾液の減少への対応、嚥下や咀嚼機能の改善などさまざまな内容が含まれています。また、口腔ケアを行うことにより誤嚥性肺炎を防ぐことができます。以前は、あまり口腔ケアは重要視されていませんでした。なぜなら口の中が磨かれていなくても命には別条ないと考えられていたからです。しかし、高齢化社会となり介護領域が注目されるようになった近年、口腔ケアの重要性が見直されてきました。その代表例が「誤嚥性肺炎」です。
 老人性肺炎を起こした人の多くは、寝ている間に通常食道へ流れていく唾液が何かのはずみで肺に流れてしまったときに起こるものです。口の中には多くの口腔内細菌があり、これらが呼吸器の奥深くまで入り、かつ抵抗力が低下している場合には肺炎による生命の危険が非常に高まります。肺炎を繰り返す場合には、口腔内が不衛生であることが考えられます。口腔ケアを行うことにより、誤嚥性肺炎に関連する発熱と、肺炎および死亡者数が減少するということが近年報告されていることから、ますます高い的確な口腔衛生の管理が求められることでしょう。
                   福島民友 2010.11.19

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