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歯間ブラシで歯周病予防を

歯周病は細菌によって歯を支える歯茎や骨がじわじわ壊される病気。高齢期にかけて歯を失う主な原因の一つであり、糖尿病などほかの病気との関連も指摘されている。予防には歯科医や歯科衛生士によるケアとともに、歯磨きでは落としきれない歯垢を普段から歯間ブラシなどで取り除くセルフケアが重要だ。
 財団法人ライオン歯科衛生研究所と浜松市口腔保健医療センターの石川昭所長らはセルフケアを身につけるための「歯周病予防プログラム」を共同開発し、同市西区に住む30~70代の56人を対象にした研究で、有効性を確認した。
 その結果、歯間ブラシ使用率はプログラム実施前の55.4%から3回目には100%となり、1年後も87.5%と高い水準を維持。歯茎の状態にも改善が認められた。プログラムが成功した理由としては、動機づけや適切な指導、効果を確かめながら進めたことなどが考えられるという。
                山陽新聞 2010.8.3

口臭の原因の6割は「舌苔」にあり 朝の舌磨きが口臭予防に効果的

最近、ニオイ、中でも口臭で悩む人が増えている。口臭は、自分では気がつかないうちに相手に不快感を与えていることもあるだけに厄介だ。口臭の原因は様々だが、その大部分は口の中そのものにあり、約6割が舌に付着する汚れ「舌苔(ぜったい)」に起因するとか。舌苔は食べかすや口内のはがれ落ちた粘膜が舌にたまったもの。唾液分泌が少なくなる睡眠時に最もたまりやすいため、年齢や性別に関係なく、口臭は起床時に最も強くなる。そのため朝の舌磨き=舌苔除去は口臭予防に効果が高いと考えられている。
 江崎グリコでは舌苔が口臭の原因であることの認知度と朝の舌磨きの実施状況を検証するため、全国の20~50代の男女800人を対象にインターネット調査を実施した。それによると、自分の口臭を気にしている人は91%で、特に若い世代ほど気にしている人が多く、20代では23%が「とても気にしている」と回答している。口臭が気になるタイミングは、やはり「起床時」で、74%もの人が朝起きた時の口臭を気にしている。
 朝食をしっかり噛んで食べると、食べ物が舌に当たって舌磨きの効果がある。しかし、夏は暑さのため、朝食を抜きがちな時。それだけに夏こそ十分な対策が必要なのだ。汗のニオイばかりに敏感になる夏。お口のニオイにも十分な配慮をお忘れなく!
                  日刊ゲンダイ 2010.8.30

がん治療前に歯科検査

国立がん研究センターと日本歯科医師会は31日、がん患者への歯科治療で連携し、口腔(こうくう)内の合併症軽減を目指すことで合意した。9月からがん患者への歯科治療に関する歯科医向けの講習会を各地で開催。同センターは治療前の患者に講習会を受講した歯科医への受診を勧める。知識や情報不足から、がん治療後に患者が歯科診療を拒否されるケースを防ぐのも狙いだ。
 同センターと日本歯科医師会は来年度をメドに全国のがん治療の中核施設に拡大、2013年度には全国のがん拠点病院(現在約370施設)にも地域の歯科医と連携する事業を開始することを目指している。
                  日本経済新聞 2010.9.1

子どものいびき 睡眠時の呼吸で手術判断

ゴー、ゴーと大人顔負けのいびきをかく子どもを見ると、かわいく思えてつい笑ってしまう。ところが、子どものいびきには成長に支障が出る危険が潜んでいるのだという。子どもの睡眠障害に詳しい滋賀医科大学の宮崎総一郎教授は「いびきがすべて悪いわけではない。ただ、呼吸が苦しくていびきをかいている場合、眠りが浅くなって頭と体が休まらず、昼の活動や成長ホルモンの分泌に影響が出る」と言う。子どもの睡眠障害で最も心配なのは、寝ている時に無呼吸になったり、呼吸障害を起こしたりしている場合だ。
 宮崎さんによると、呼吸障害を招くいびきは、早い子どもで1歳くらいから起こるが、小学校へ入る前後の子どもが最も多くなる。口の奥にある口蓋扁桃や鼻の奥の咽頭扁桃が肥大し、空気の通り道が狭くなってしまうのが原因だ。本来、扁桃には菌の侵入を防ぐ働きがあり、この時期に大きくなるのは、免疫をつけるための自然な発育だ。大半の子どもが大きくなるが、成長につれて小さくなる。
 手術をするかどうかの判断には、睡眠時の呼吸の障害の程度を調べる。自宅で検査する場合、寝ている時に鼻の下やおなかなどにセンサーを着け、呼吸の異常や血中の酸素濃度を測る。
                  朝日新聞 2010.8.30

薬剤性顎骨壊死 骨粗しょう症の薬で副作用も

最近、顎骨壊死が骨粗しょう症の治療に用いられるビスホスホネート製剤といわれる薬剤の副作用で起こり、容易に骨髄炎に移行しやすいことが分かってきました。この薬剤は骨粗しょう症の特効薬的な存在で、明らかにほかの薬剤より効果があるとされ、骨粗しょう症に伴うさまざまな継発症を予防することが知られています。
 これらの継発症を抑えることは、寝たきりになる率を減らし、寿命の延長にも寄与しているといわれています。したがって、副作用があるからといって飲むのをやめるのではなく、予防に気を付けることが重要となります。現段階での最も確実な予防法は、口の中の衛生管理をすることで、虫歯や歯槽膿漏がある場合は治療をし、その後も定期的に専門的な口腔(こうくう)清掃を行うことで、明らかな予防効果が出るとされています。これらの薬剤を飲んでいる方は、まずはお近くの歯科医院で相談してみてください。
                  福島民報 2010.8.16

HCAPの大半は高齢の誤嚥性肺炎

日本における医療ケア関連肺炎(HCAP)の大半は誤嚥性肺炎となる可能性が示されている。高齢で全身状態が悪く、誤嚥性肺炎を繰り返す患者に対しては、侵襲的な治療を行わない場合も珍しくない。新たなガイドラインが発表されても、高齢でADLの低下した患者に対する治療方針の決め方は、従来と大きく変わらないかもしれない。
「HCAPの患者には誤嚥性肺炎が多く含まれる」。こう語るのは、倉敷中央病院呼吸器内科主任部長の石田直氏だ。
石田氏は、2007年4月~09年9月に倉敷中央病院に入院し治療を行った肺炎患者のうち、米国胸部学会(ATS)と米国感染症学会(IDSA)によるHCAPについてのリスク因子(表1)のいずれかを満たす患者274人を対象に、誤嚥の有無を解析した。
その結果、対象患者のうち61%が誤嚥性肺炎に分類されたという。また誤嚥群では、原因微生物としてMRSAや嫌気性菌が同定される率が高かった。石田氏は、「誤嚥性肺炎は繰り返しやすく、抗菌薬の投与を繰り返し受けることで、多剤耐性菌のリスクが生じやすい。また、誤嚥性肺炎では口の中の嫌気性菌が起因菌になりやすい」と解説する。
また、死亡率は、誤嚥群では19%と、非誤嚥群の11%よりも高い傾向があった。ただし、この点について石田氏は、「誤嚥を繰り返すような患者は合併症を持つケースが多く、患者側の要因から死亡率が高い可能性がある」と指摘する。誤嚥群では多剤耐性菌の検出率が高いが、多剤耐性菌が死亡の直接的な原因とは断言できないという考えだ。
誤嚥性肺炎の予防のためには、口腔ケアや脳の活性化、原因疾患の治療などが重要だ。しかし石田氏が「寝たきりの患者の肺炎はほとんどが誤嚥性肺炎」というように、ADLが低下した患者において誤嚥性肺炎を完全に予防することは難しい。
実際、石田氏の解析では、誤嚥群は有意に平均年齢が高く(誤嚥群84.2歳、非誤嚥群75.0歳)、パフォーマンス・ステイタス(PS)が悪い患者が多かった。また、誤嚥群では入院日数が非誤嚥群よりも長くなっていた。
患者の状況に合わせて治療内容は個別に検討
 米国におけるATS/IDSAガイドラインでは、HCAPのすべてで多剤耐性菌のリスクを考慮して濃厚に治療すべきとされている。
しかし石田氏は、「HCAPに含まれる患者の多くは高齢で、合併症を抱え、PSも悪い。患者・家族が人工呼吸や胃瘻等の侵襲的治療を望まないケースも少なくないため、このような患者に対する治療は画一的に決められない」と打ち明ける。そのため、NHCAPのガイドラインが作成されても、高齢で全身状態が悪く誤嚥を繰り返すような患者に対しては、これまで同様、人工呼吸器などによる管理を選択することは少ないと予想される。
一方、「治療すると決めた患者に対しては、耐性菌のリスクも考慮した上できちん対応すべき」と石田氏。比較的若い患者で、癌など基礎疾患の治療中に肺炎を生じることがあるが、基礎疾患の治療を成功させるためにも肺炎への対応は重要になる。石田氏の調査でも、非誤嚥群に分類された患者は4割に上る。
人生の最期に罹ることの多い肺炎治療においては、いかに死を迎えるかという人の生き方の問題が深くかかわっている。「ガイドラインが公表された後も、患者の状況や患者・家族の意思などによって個別に治療方針を決める基本に変わりはないだろう」と石田氏は語る。

口腔がん対策に力 手引き作成、検診機関拡充

舌、のど、歯茎など口の中にできる口腔(こうくう)がんは一般的の認知度が低く、自覚症状も少ないため、発見時には手遅れになっているケースも多い。県歯科医師会(山口勝弘会長)は、本年度から口腔がん対策に力を入れている。
 県内で口腔がん検診に助成する自治体はないが、対策を進めれば、全国的に高い本県のがん死亡率の改善も見込めるという。同会は、検診が可能な医療機関の拡充に努め、早期発見・治療の必要性をPRしている。
                  東奥日報 2010.8.18

「『歯科治療』と『がん治療』の連携が始まります 

日本歯科医師会と国立がん研究センターは、がん患者の、口腔内の衛生不良に
よるがん治療に伴う口腔合併症などの予防と軽減、全てのがん患者が、安心して
歯科治療や口腔ケアを継続的に受けることができる体制の整備及び地域医療連携
ネットワーク構築を目的とし、連携体制を築き上げることについて合意しました。

 第一段階として、関東圏(千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県)で講
習会を受講した連携歯科医師・歯科医療機関に同センターが、がん患者の治療前
の口腔ケアなどを依頼するもので、早ければ年明けから開始。口腔ケアは、口腔
合併症を予防するだけではなく、QOLを高め、がん治療意欲も向上させるといわれ
ております。初年度は、手術予定患者4,000人強が見込まれています。
 死亡原因の第1位のがん治療には、さまざまな口腔合併症が発症しており、一般
的な抗がん剤治療では40%、大量に強い抗がん剤投与を行なう骨髄移植治療で80%、
口から喉周囲の頭頚部がんの放射線治療では100%発症すると報告されております。

 記者発表会では、大久保満男日本歯科医師会会長が、“食べることは生きる力
を支える根底。がん治療開始からがん末期まで、口から自然な形でおいしく食べ
ることを支援する”と、歯科医療が社会的使命を担うことを説明されました。

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