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患者さんの尊厳を「食べること」から見直そう

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先日、ある出版社の主催で、料理研究家の辰巳芳子さんとともに、ケアフードの食事会を開きました。「ケアフード」とは「乳幼児や高齢者、咀嚼・嚥下困難な方向けの『食』を人間らしい『食事』として見直そう」という思いをこめた造語です。

  この食事会を企画した発端は、辰巳さんが、胃を切除したばかりのジャーナリストと雑誌の対談の打合せ店を探したこと。どこの飲食店も健常者が中心で、嚥下食に対応してくれる店が見つからない中、辰巳さんの信頼するフレンチレストランのシェフが「流動食のフルコース」を工夫して作ってくれました。
  そのシェフは温かい人柄で、健常者である辰巳さんも同席した編集長も同じメニューでテーブルを囲むよう勧めました。「それが私の想像を超えた、素晴らしいできばえで」と辰巳さん。

  さて、栄養管理の現場では、患者さんの食事は「栄養投与」と呼ばれています。医療ライターとして働いていると、栄養管理の現場、特に手術後や終末医療の医療と食の問題は切実だという相談をよく受けます。
  さらに私自身も、嚥下に問題があっても増粘剤を嫌がる父の介護をしているので、石原シェフの「フランス料理の技法だけで作った美味しい流動食」に強く興味を持ちました。

  そこで、「医療関係者や医療用の食事で苦労した患者さんを招いて流動食のフルコースの食事会を開き、医療現場の食のあり方を検討したい」と、辰巳さんと編集長に相談したところ、お二人とも快諾してくださり、ケアフードの食事会が実現したのです。

  いよいよ当日。
  医療関係者、介護関係者、がん患者さん、マスコミ関係者など30名がフルコースを考案したシェフのレストランに集まり、シェフが厳選した素材で腕を奮った「生きること、食べることに希望が湧く食事」を実際に楽しみました。

  これを召しあがったある歯科の先生は、「昔の野菜の味がする」とおもしろがってくださり、奥様ががんで亡くなる直前まで、ご夫婦で食を大事になさったことを話してくださいました。

  「私の妻も1年あまり嚥下困難を繰り返していましたが、全粥はもちろん、五分粥も嫌がり、しっかりと咀嚼して小量でも普通の食事をとり、体力を消耗しないように努力し続けました。

  今回の流動食は、おいしさや香りなど十分に考慮されて素晴らしいものでした。患者さんはが硬いものが食べられない時でも食べる意欲を失わないよう周りの人たちが工夫して、再び咀嚼する楽しさを思い出してほしいですね。十分な咀嚼こそが、それに続く嚥下につながることを忘れてはなりません」。

コラムニスト 鈴木 百合子

ドライマウスについて

 口腔乾燥症は口の中が乾いている状態で最近では、ドライマウスの名前でよく知られています。唾液には、保湿、抗菌、浄化、消化などの作用があります。そのため唾液が減少すると、粘膜が荒れて痛い、乾いたものが飲み込みづらい症状の他に虫歯の多発や味覚異常が起きます。
        旭川医大 歯科口腔外科 松田光悦教授
             北海道経済 9月号

「歯磨きイヤ」焦らず解消

自分で歯ブラシが使えない乳幼児の歯磨き。泣いて嫌がる子どもに困り果てる親も多い。専門家は「歯磨きが日常の一こまとして受け入れられるよう工夫して」と助言する。
 親が楽しげに歯磨きする姿を見せ、「嫌なことではない」と教えることが効果的だ。その上で子どもに歯ブラシを渡すなどして、除々に興味を引くことが習慣づけの第一歩となる。  
 前歯しか生えていない場合、数秒で磨ける。20本の乳歯全部が生えそろっても、慣れれば2分ほどできれいになるという。逆に、強く磨きすぎると、子どもの口中の粘膜を傷めてしまうこともある。
         読売新聞 2009.8.28

「呑気症」

「呑気症」はのみ込んだ空気が胃腸にたまり、げっぷやおならが増えるのが特徴だが、原因がはっきりせず、有効な治療法がなかった。
 意外ばようだが、消化管内のガスの6~7割はのみ込んだ空気で、食物から発生するガスは1割しかない。では、いつ空気をのみこむのか。小野さんによると、人はだ液を飲む時に、3~5CCの空気を同時にのみ込む。「それ自体は異常ではないが、頻度が増えると病気になる」と話す。
         読売新聞 2009.8.27

歯の色を再現した患者の数 600人 人生を変える仕事。妥協できない 歯科技工士

40代の女性患者は何を聞いても、うつむいたままだった。聞き取れないほどの小声で話すだけ。神経を抜いた前歯は茶色の変色していた。
 どんな義歯にしたいのか、いつものようには会話からうまく探れず、陶製の差し歯を健康な隣の歯を参考に作った。歯の上部と下部で白の濃淡が異なる特徴も再現した。
 治療が終わって1週間。差し歯の具合の確認に来た女性はまるで別人だった。はつらつと前を向き「やっと私の歯が戻ってきました。ありがとう」と何度も繰り返した。08年夏、忘れ得ぬ思い出だ。
         朝日新聞 2009.8.24

入れ歯安定剤で神経障害

入れ歯使用者の増加とともに、入れ歯のぐらつきを抑える安定剤の使用も広がっているが、長期の過剰な使用による神経障害と考えられる症例が、米国で報告されている。
 小松義明広報部長は「普通に使えば心配ないが、利用者は高齢者が多いので家族にも気を配ってほしい」と言う。米国での報告に対応し、添付文書に新たな注意書きを加える方針だ。
 グラクソ・スミスクライン社の推計では、国内の入れ歯使用者は約2820万人。うち十数%が安定剤を使っているとされるが、こまめに入れ歯の調整をしていれば、通常、安定剤は必要ないものであることを忘れないようにしたい。
         読売新聞 2009.8.16

咀嚼ブーム到来か! ガム噛むエクササイズに注目

咀嚼(噛むこと)に着目した食品や美容グッズの売れ行きが好調で、脳活性の次には咀嚼ブームの到来が予想されている。
 表情筋トレーナーで歯科衛生士の内田佳代氏は、「表情筋が衰えると結果としてその部位にシワができてしまう。頬のたるみ・二重あご・首筋のシワなど、表情筋を鍛えることで弾力やハリを回復し、若々しい素肌を取り戻すことが可能になる。そのような中、いろいろな美容方法に対してチャレンジ意欲が高まっているが現実的には、なかなか続かないのではないか」と指摘する。
 そこで今回、手頃な価格で購入できるガムを使い、いつでもどこでも簡単に続けられるガム小顔ダイエット(ガム噛むエクササイズ)を考案したという。
         食品産業新聞 2009.8.10

歯磨き剤さまざま 歯周病や口臭予防

日本歯磨工業会によると、練り歯磨きなどの「歯磨き剤」の2008年の国内出荷額は前年比2.5%増の897億円で、2年連続で増えた。中でも伸びが顕著なのが口の中をすすぐ「洗口剤」だ。歯ブラシでの磨き残しを補ったり、外出先などでも手軽に使えたりする点が人気のようだ。
 調査では、昼食後に歯磨きする女性は98年の31%から08年には40%に増加した。「仕事場で午後から気分を切り替えるのを目的に歯磨きする女性が増えている」という。
         読売新聞 2009.8.10

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