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次期診療報酬改定

厚生労働省は診療報酬改定について、12月22日の予算大臣折衝を踏まえ令和4年度の診療報酬改定が決定したとして公表した。診療報酬本体は +0.43%。各科改定率は医科 +0.26%、 歯科 +0.29%、調剤 +0.08%。薬価は -1.35%の引き下げ。

【歯科通信】

舌炎②

ケアおよび在宅でのポイント
 唾液腺マッサージはセルフケアにて行う。耳下腺は両手の指の腹を使って咬筋部を後方から前方に向かって回すように刺激する。顎下腺は親指を下顎骨の内側にあて、後方から前方に向かって押していく。舌下腺は両手の親指をそろえ顎の真下から舌を突き上げるように押す。食前や口腔ケア前に5~10回行うとよい。

【参考資料】
柿木保明:日歯医師会誌. 2007;60(2):104-14.
徳間みづほ:老年歯医. 2006;20(4):356-61.

舌炎【私の治療】

加藤 宏 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)
舌炎には、萎縮をきたす舌炎と、構造に異常をきたす舌炎がある。前者には、①萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎、②口腔乾燥症に伴う舌炎、③鉄欠乏性貧血(Plummer-Vinson症候群)に伴う舌炎、④悪性貧血に伴うHunter舌炎がある。後者には、地図状舌と溝状舌がある(「地図状舌・溝状舌」の稿参照)。ここでは萎縮をきたす4つの舌炎のうち、①および②について解説する(③および④は「赤色平滑舌」の稿参照)。

診断のポイント
【萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎】

 舌背中央~後方部、分界溝前方に左右対称性の赤みを帯びた斑を呈する。自覚症状は乏しく、時に軽度の疼痛や違和感を認める。病変部の糸状乳頭の消失が特徴である。

【口腔乾燥症に伴う舌炎】

 唾液分泌量低下に伴う舌の乾燥感や疼痛、唾液の粘稠感、口腔不快感、味覚異常、口臭を呈する。口腔乾燥症の検査にはサクソンテストとガムテストがある。サクソンテストは、乾燥したガーゼを2分間一定の速度で噛み、ガーゼに吸収される唾液の重量を測定し、2 g/2分間以下で陽性と診断する。ガムテストは無味のガムを10分間噛み、その間に分泌された唾液を小容器に集めて測定し、10 mL/10分間以下の場合、陽性と診断する。

私の治療方針・処方の組み立て方
【萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎】

 無症候性の場合は加療の必要はなく、疼痛などを認める場合は対症療法として含嗽薬、トローチを使用する。カンジダ培養検査にて陽性の場合は抗真菌薬を併用する。

【口腔乾燥症に伴う舌炎】

 シェーグレン症候群、糖尿病、薬剤性などの全身的要因が考えられる場合は専門医へ相談し、原因疾患の治療や内服薬の変更を依頼する。器質的疾患がないものについては含嗽薬、保湿ケア、人工唾液、唾液腺マッサージによる対症療法を行い、改善がみられない場合は漢方や唾液分泌促進薬の投薬を行う。

治療の実際
【萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎】

一手目 :アズノール4%うがい液(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物)1回4~6 mg(1回押し切り分、または5~7滴)1日数回〔適量(約100 mL)の水または微温湯に溶解し、含嗽〕

二手目 :〈一手目に追加〉SPトローチ0.25 mg(デカリニウム塩化物)1回1錠1日6回

【カンジダ菌が同定された場合】

一手目 :フロリードゲル2%経口用(ミコナゾール)1回2.5~5.0 g 1日4回(毎食後・就寝前)

二手目 :〈処方変更〉ファンギゾンシロップ(アムホテリシンB)1回0.5~1.0 mL 1日2~4回

三手目 :〈処方変更〉イトリゾール1%内用液(イトラコナゾール)1回20 mL 1日1回(空腹時)

【口腔乾燥症に伴う舌炎】

一手目 :アズノール4%うがい液1回4~6 mg(1回押し切り分、または5~7滴)1日数回〔適量(約100 mL)の水または微温湯に溶解し、含嗽〕

二手目 :〈一手目に追加〉バイオディーンオーラルバランスジェル(口内保湿ジェル。天然酵素ラクトペルオキシダーゼ・グルコースオキシダーゼ・リゾチーム)1回1 cm 1日4回(毎食後・就寝前)

三手目 :〈二手目に追加〉サリベートエアゾール(塩化ナトリウム・塩化カリウム・塩化カルシウム水和物・塩化マグネシウム・リン酸二カリウム等)1回1~2秒間1日4~5回(噴霧)

四手目 :〈三手目に追加〉ツムラ白虎加人参湯エキス顆粒1日9 g 分2~3(食前または食間)、またはツムラ五苓散エキス顆粒1日7.5 g 分2~3(食前または食間)

五手目 :〈処方変更〉サラジェン5 mg錠(ピロカルピン塩酸塩)1回1錠1日3回(毎食後)、またはサリグレン30 mgカプセル(セビメリン塩酸塩水和物)1回1カプセル1日3回(毎食後)

デンタルIQを誤った認識で理解している人が約7割も  ― デンタルIQに関する意識と実態調査 ― 日本歯科医師会

 デンタルIQとは、その人の“歯とお口の健康への関心・意識の度合い”を示す言葉。デンタルIQは歯科治療に関する専門的な 知識の高さと捉えられがちで、これは間違い。


 本調査では、生活者の中でのデンタルIQの認知度・関心度を明らかにし、それを確認するデンタルIQチェックを 実施し、歯とお口の健康に関する生活者の実態を浮き彫りにした。


【プレスリリース・活動報告(日歯HP)】

歯科の自費率10.8%、一部の医科より少ないと紹介

歯科は医科に比べて自費診療が多いといわれることがあるが、その割合は10.8%で、皮膚科33.9%、産婦人科26.7%、外科19.9%、小児科18.6%よりも少なく、金額ベースでは一般診療所(全体)や内科よりも少ない。

 日本歯科医師連盟の村岡宜明 副会長が平成29年の自費率について紹介した。 歯科での「医業・介護収益」は4,069万円で、うち「自費診療等の収益」は440万円(10.8%)だった。

【歯科通信】

「スケールメリットある運営可能に」  ― 小規模歯科医院集める「VC」本格始動 ―

 事業所あたりの規模が小さいため、単体では経営の効率化に限界がある歯科医院をまとめ、スケールメリットを生かした運営管理を可能にするボランタリーチェーン(VC)が、本格活動を開始した。

 多数の小売店がそれぞれ独立した経営を維持しつつ、集まることでスケールメリットを生かすVCは、薬局薬店では実績があるが、歯科の場合、フランチャイズやスタディグループなどとの差別化がむずかしい面もあった。共同一括仕入れによる商品コストの削減、加盟医院同士の情報共有による事業改善という共同化のメリットを生かしつつ、地域に密着した歯科医療、医院経営を展開することができるメリットがある。

 さらに、診療や経営を向上させるアイデアを知財として生かして歯科医療の産業として発展も目指す。

【歯科通信】

「金パラ問題で対応案を提示」

歯科用貴金属告示価格の随時改定に関して、診療報酬改定を除く4・10月に「随時改定1」、7・1月に「随時改定2」が実施される。

 「1」では、価格の変動幅が公示価格のプラマイ5%以上、「2」では、プラマイ15%以上の場合に見直しを行う。日歯が示した今後の見通しは、対応案として1)「改定幅を一律の値に設定する」、2)「変動幅を設定せず、一定期間で常に改定」、3)「実勢価格と公定価格の差分を国が調整」の三つ。課題としては、1)と2)ともに後追いルールの解消にはならず、2)についてはレセコンの改修コスト増や手書きレセプト様式の問題が発生する。

 また、中長期的に新たな試みの検討を行いながら、現行の後追いにおけるタイムラグを縮小していくようにすると説明。さらに、同時に金パラ代替材料を検討していく重要性に触れ、「さまざまな可能性に向けて、オールデンタルで取り組んでいる。新規技術の保険収載は、CAD/CAM冠の応用拡大を含め、前向きに検討していく」と述べた。

【歯科通信】

北の事始め

ファイル 5465-1.pdf

ファイル参考にしてください。

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