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全国の小児の「口唇閉鎖不全」、有病率30.7%

「お口ぽかん」は、鼻から下の顎の大きさの増加や悪い歯並びなどと関連
 新潟大学は2月17日、日本で初めて口唇閉鎖不全(お口ぽかん)に関する全国大規模疫学調査を行い、小児における同疾患の有病率を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野の齊藤一誠准教授らと、大垣女子短期大学歯科衛生学科の海原康孝教授および鹿児島大学病院小児歯科の稲田絵美講師らの共同グループによるもの。研究成果は、「Environmental Health and Preventive Medicine」に掲載されている。

 全身的および局所的な要因により、顎顔面の成長と発達が妨げられると、小児期に口や顔面の骨格、筋肉などの軟組織、咬合(かみ合わせ)、および歯列弓(歯並び)に不均衡が生じる。特に、異常な話し方や嚥下習慣、舌を突出する癖、お口ぽかん、口呼吸、および異常な食習慣などの口腔習癖は、子どもの口の健康な発達に深刻な悪影響を及ぼす。中でもお口ぽかんは、口唇や顔の表情筋の弛緩と過緊張、口呼吸、不自然な口唇の長さや鼻から下の顎の大きさの増加などと関連していることが明らかになっている。また、口唇の形態・機能・位置はそれぞれ密接に関連しながら発達し、徐々に話し方や対人コミュニケーション能力を向上させる。

 一方、口唇を閉じる力である口唇閉鎖力が弱くなると、歯を取り囲んでいる口唇・頬と舌の圧力のバランスが崩れ、上の前歯が前方に傾いて突き出たり(上顎前歯の唇側傾斜)、上の左右の奥歯の幅が狭く(上顎歯列弓の狭窄)なったりする。つまり、お口ぽかんと悪い歯並びには密接な関連がある。

 これまでの国内の小規模な横断的研究では、お口ぽかんの有病率は年齢とともに低下することが報告されている。また、お口ぽかんの有病率は、人種や生活環境などによっても異なる場合があるが、日本における子どものお口ぽかんの有病率を評価する全国的で大規模な調査は過去になかった。そこで研究グループは全国的な大規模疫学研究において、お口ぽかんの有病率が年齢や地域によって異なるかどうかを検証し、どのような要因がお口ぽかんに関連しているかを調査

ロ製ワクチンの有効性91% 最終治験を検証、英医学誌

 【モスクワ共同】ロシアの新型コロナウイルス感染症のワクチン「スプートニクV」を開発した国立研究所の研究者らが、臨床試験(治験)最終第3段階の中間結果を検証する論文をまとめ、発症を防ぐ91・6%の有効性が確認されたと英医学誌ランセットで2日に発表した。同ワクチンは高品質で深刻な副作用を引き起こさず、体内に有効な免疫を形成すると評価している。

 ロシア政府は昨年8月、スプートニクVを新型コロナワクチンとして世界で初めて国家承認したが、3段階ある臨床試験の第2段階で承認に踏みきったため、安全性や品質に懸念が出ていた。

 対象となったのは昨年9月から11月までの間に、本物のワクチンと偽薬の接種を2回受けた1万9866人。発症しても症状は軽く、ワクチン接種による深刻な副作用もなかった。持病がある人や、60歳以上の人も接種を受けたが、特に問題はなかったという。

 スプートニクVの開発者は、ワクチン接種でできる免疫は「2年以上効力を維持する」との見方を示している。

 ロシア政府は同ワクチンの輸出を積極的に進めており、現在までに旧ソ連、中東、中南米諸国など約20カ国が承認し、接種が進んでいる。

歯周病がサルコペニアの病態悪化に寄与。

ジンジバリス菌の感染が骨格筋の代謝異常を惹起。
 歯周病が糖尿病の病態を悪化させる機序の一つに、インスリン抵抗性の惹起が挙げられるが、インスリン依存的に糖の取り込み、代謝を行う組織である骨格筋との関連は解明されていなかった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病分野の片桐さやか講師、佐賀大学医学部付属病院肝疾患センターの高橋宏和特任教授らの研究グループは、骨格筋組織の脂肪化に着目し、歯周病原細菌の血清抗原体価との関連を調査した。
 その結果、メタボリックシンドローム症候群の患者において、骨格筋脂肪化マーカーとジンジバリス筋の血清抗体価が有意に相関していることが判明。また、ジンジバリス菌を投与したマウスでは腸内細菌叢の変化を伴い骨格筋の炎症関連遺伝子群が上昇、脂肪化が亢進しインスリンシグナルの低下とともに糖の取り込みが阻害されていることを見出した。

『デンケン・ハイデンタル』が本社、工場を移転新設。

CAD/CAM冠用材料の生産を従来の2倍に増強。
 産業ガス大手エア・ウォーターのグループ企業で、CAD/CAMを中心としたデジタル機材と自社製造の歯科用機材を販売する『デンケン・ハイデンタル』。歯科治療のデジタル化が進み、CAD/CAM冠の需要が高まる中、同社は2017年に小臼歯向けの高精度なハイブリッドレジンのブロック材を開発。

食道がんのリスク因子となる歯周病菌を特定

歯周病原細菌の一つ「アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌」が食道がんのリスクファクターとなる。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科、臨床腫瘍学分野の三宅 智 教授と川崎万知子 大学院生、歯周病学分野の池田裕一 助教らの研究グループが江戸川病院、総合南東北病院オーラルペリオセンターとの共同研究で特定した。

 食道がんは、早期診断が困難で浸潤や転移の頻度が高く、生存率が低いと言われている。同研究成果は国際科学誌『Cancer』オンライン版(11月6日)で発表された。

(日本歯科新聞)

コロナ感染を口腔映像で判別

順天堂大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学の池田勝久 教授の研究グループは12月2日、スカラと共同で、新型コロナウイルス感染症など上気道感染症で口腔・咽頭の映像による感染の早期診断を目的にした検査機器を開発したと発表した。
 
 小型で携帯可能な撮影機器を用い、外光がない口腔内の血管の映像を得ることができる。ウイルス感染による血管変化を確認し、PCR法などよりも早く感染を検出できる可能性がある。今後、国内外の医療機関や自治体と協力して、同機器で撮影した映像を収集していく構え。                   

(病院新聞.com他)

「根面う蝕」の啓発動画

 日本歯科医師会は、根面う蝕の危険性と予防法を伝える新作動画『放っておくとたいへん!歯の根のむし歯』を、ホームページ内の「日歯8020テレビ」で公開した。「日歯8020テレビ」は、歯と口の健康の重要性を啓発する動画番組を掲載するもの。今回は放っておくと複数の歯の喪失原因となるだけでなく、全身疾患に関連する歯周病も引き起こし、要介護に至る危険性もある「根面う蝕」に焦点を当てた。

 愛知学院大学歯学部 保存修復学講座 特殊診療科の冨士谷盛興 教授が監修した動画では、「食後5分以内のうがい」や「二段階磨き」により、効果的な根面う蝕の予防につながると紹介している。

                   (歯科通信)


食道がんの発症、歯周病菌が影響か…患者の口から高い割合で検出

歯周病菌など一部の口内細菌が、食道がんの発症に関わる可能性があるとの研究結果を、東京医科歯科大学などのグループが国際医学誌で発表した。食道がん患者の口内から、特定の歯周病菌が高い割合で確認されたのは初めてという。

 がんと細菌の関わりについては、胃や食道などの消化管のがん組織から、一部の口内細菌が見つかったとの報告がある。研究グループは、同大学病院の消化器外科に入院する食道がん患者61人と、がん以外の患者62人から、それぞれの唾液と奥歯の歯垢しこうを採取。歯周病菌など7種類の口内細菌の有無や量を調べた。

 その結果、食道がん患者の4分の1にあたる16人の歯垢から、若い歯周病患者に見つかりやすい「A・アクチノミセテムコミタンス菌」が検出された。がん以外の患者で見つかったのは1人だけだった。また、食道がん患者の唾液からは、この細菌と、歯茎の炎症や腫れの原因となる口内細菌の検出量が多かった。

 食道がんのリスクを高める要因として、飲酒や喫煙などの生活習慣が知られている。研究グループの池田裕一助教は「今回見つかった細菌が、食道がんの発症にどう関わるのか、メカニズムを調べたい」と話す。

 花田信弘・鶴見大教授(口腔衛生学)の話「日本国内の歯周病患者にはあまり多くない菌だが、それが食道がん患者から高い割合で見つかった結果は興味深い」

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