2019年4月に発刊された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン』は、喀痰診療における世界初の指針とされている。m3.com意識調査では、医師会員に主訴が咳嗽の患者に対する喀痰検査の実態について尋ねた。喀痰まで検査することが「ある」と回答した448人に、喀痰を調べようと考える理由(複数選択)を尋ねたところ、「重篤な疾患を疑ったとき」が最も多く50.4%に達した。一方、喀痰まで検査することが「ない」と答えた395人に、その理由(同)を質したら、「検体採取が難しいから」が最多の21.0%だった。(まとめ:m3.com編集部・森圭吾)
Q. 患者の主訴が咳嗽の時に、喀痰まで検査することがありますか?(単一選択)
m3.com医師会員に、咳嗽を主訴とする患者に喀痰検査まですることがあるかどうか尋ねたところ、回答者843人の53.1%に当たる448人が「ある」と回答した。
Q. 「患者の主訴が咳嗽の時に、喀痰まで検査することがありますか?」の問いに「ある」と答えた先生に質問です。どのような時に喀痰を調べるようにしていますか?(複数選択)
咳嗽が主訴の患者に対し喀痰検査をすることがあるとした448人に、どのような時に喀痰を調べるのか尋ねた質問では、50.4%(226人)が「重篤な疾患を疑った時」と回答した。次いで「咳が3週間以上続く時」も46.9%(210人)と半数近くを占めた。他には、「痰が採取できる状況であれば基本的に検査している」が30.4%(136人)、「基礎疾患を持つ患者の時」が29.2%(131人)で続いた。
Q. 「患者の主訴が咳嗽の時に、喀痰まで検査することがありますか?」の問いに「ない」と答えた先生に質問です。喀痰を検査しない理由をお聞かせください。(複数選択)
患者の主訴が咳嗽でも喀痰検査をすることが「ない」と回答した395人に、その理由を尋ねたところ、最多は「検体採取が難しいから」で21.0%(83人)だった。他には「診療時間内に喀痰検査する余裕がないから」が19.7%(78人)、「検査結果が出るまで時間がかかるから」が18.7%(74人)、「検査をする設備がないから」が13.7%(54人)と、時間や設備の問題を挙げる回答が目立った。
一方で、「喀痰検査に診療上の意義を感じないから」を選択した割合が18.7%(74人)に上り、喀痰検査そのものに懐疑的な意見も見られた。また、「検査しても正しい結果を出す自信がない、技術がないから」も11.9%(47人)となり、回答者の9人に1人が苦手意識を持っていることがうかがえた。