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健保組合:生活習慣病重視 歯科予防後回し 医療費抑制の妨げに

全国の健康保険組合が、がんや糖尿病など中高年に多い病気の対策を優先させる一方、歯科を重く見ているのは1割未満――。そんな調査結果を東京大の研究ユニットがまとめた。歯科を重視すれば医療費全体の削減が見込まれるが、現実には後回しになっている実態が浮かんだ。

 東京大政策ビジョン研究センター・データヘルス研究ユニットが、健保のデータを集めた「データヘルス・ポータルサイト」にある「健康保険組合連合会」(健保連、約3000万人)の情報を基に分析した。2016年度の1363組合を調べたところ、がんの医療費抑制を重視していたのは513組合。糖尿病なども529組合だったが、歯科は128組合にとどまった。

 健保連によると、歯科の1人当たりの医療費は年間約1万7000円で、がん(約1万6000円)や糖尿病(約1万3000円)より高い。ブラッシングの徹底などの予防策を取れば、加入者自身が健康になるうえ、医療費全体の抑制にもつながるという。

風疹患者千人突破 昨年の12倍 大流行懸念 感染研

国立感染症研究所(感染研)は10月16日、今年になって報告された風疹患者数が1,103人になったと発表した。昨年1年間(93人)の約12倍に上っており、平成24~25年の前回の大流行に匹敵する規模への拡大が懸念される。流行はすでに40都道府県に及び、特に30~50代男性に多く、ワクチンの接種歴「なし」や「不明」が目立つ。

 風疹は妊娠初期の女性がかかると、赤ちゃんに難聴や心臓病などの障がいが起きる恐れがある。

 厚生労働省は今月2日、風疹の流行が続く東京、神奈川など5都県に対し、妊娠を希望する女性や妊婦の同居家族に、抗体検査を推進するよう通知。適切なワクチン接種の実施を呼びかけている。

(産経新聞 10月16日より)

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歯がない高齢者、長時間・短時間睡眠のリスクが1.4倍以上に-東北大

東北大学は10月5日、高齢者における歯の本数と睡眠時間の関係を明らかにした研究結果を発表した。研究成果は、「Sleep Medicine」電子版にて公開されている。

 解析に用いた2万548人のうち、歯が0本の人たちは短時間睡眠(4時間以下)が3.3%、長時間睡眠(10時間以上)が9.0%であったのに対し、歯が20本以上の人たちは、短時間睡眠が2.3%、長時間睡眠が2.8%と、短時間睡眠・長時間睡眠共に少ない傾向にあったという。さらに、歯の本数と睡眠時間についてU字型の関係性が存在することが判明。現在歯が20本以上の人に比較して、現在歯が0本の人たちは、短時間睡眠のリスクが1.4倍、または長時間睡眠のリスクが1.8倍であることが認められたという。また、残っている歯が1~9本の人たちでも同様の関連(短時間睡眠=1.3倍、長時間睡眠=1.5倍)がみられたとしている。

(医療NEWS 10月10日より)

歯周の炎症を画像で可視化 岡山大

 岡山大学と米ペンシルバニア大学のグループは生体内の分子の動きを画像で可視化する「分子イメージング」の技術を使って、歯周の炎症を確認する研究に取り組んでいる。「好中球」が歯周病菌と反応して活性化することに着目。特殊な薬を投与すれば、好中球の働きが高まる炎症箇所を発光現象によって検出し専用機器で撮影できることを人為的に歯周病を発症させたマウスの実験で確かめた。

 さらにがんの画像診断装置「PET/CT」でも、歯周の炎症が見分けられることを確認し、被ばくや高コストの問題はあるが、PET/CTを使ったがん検査とセットでできれば、歯周ポケットの深さを測る従来の方法より歯周病検査が簡便にできるとしている。

      (山陽新聞digital 9月26日より)

歯と口の健康アラカルト:歯周病治療が健康を守る?

皆さんはご存じでしょうか。40歳以降で歯を失う一番の原因は、実はむし歯ではなく歯周病です。日本の成人の約8割がかかっていると言われており、年齢を重ねるにつれ唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥するという事が主要な環境要因の一つとなって、歯周病菌が増えやすい状態へと変化していきます。また、自覚症状がほとんどなく、ひどくなるまで気付かないのが歯周病の特徴です。

 歯周病は歯を失うだけの病気ではなく、さまざまな疾患に悪影響を及ぼす恐れもあります。例えば「糖尿病」「心臓病」「呼吸器疾患」「早産・低体重児出産」などです。特に歯周病と糖尿病については、多方面からの指摘が挙がっています。

 まず、糖尿病が歯周病へ与える影響として、糖尿病で高血糖状態が続くと細菌に対する抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。歯周病も細菌感染を原因としているため、そのリスクは高まります。また、高血糖状態では尿が出やすくなることで口の中が渇き、さらに唾液に含まれる糖分濃度が高くなることで歯周病菌が増えやすい環境になります。

 次に、歯周病が糖尿病へ与える影響として、歯周病による炎症性物質が血糖をコントロールするインスリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させる危険性があります。そのため、糖尿病の人が歯周病をしっかり治療をすると血糖コントロールの指標であるHbA1cが改善するという報告もあがっています。

 歯を残すことは「おいしく食べる」「楽しくしゃべる」「豊かな表情」など、QOL(生活の質)の維持だけでなく、全身疾患の予防にも欠かせません。ご自宅での正しい歯磨きで目に見える部分を奇麗にし、自分ではケアが難しい部分を歯科医院で奇麗にすることで、笑顔あふれる良い人生を送っていただきたいと思います。

歯周病の進行が呼吸機能の急速低下に関わる可能性 九大

九州大学は9月20日、歯周病の進行が呼吸機能の急速低下に関わることを明らかにしたと発表した。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、近年世界的に増加傾向で、世界の死因の第4位を占める。

 福岡県久山町の40歳以上成人1,650名の追跡調査データを分析し、呼吸機能検査による一秒量の急速低下との関連を検討した。その結果、喫煙などの影響を加味した上でも、歯周病の進行が最も軽度な集団に比べ、最も重度な集団は3年以内に一秒量の急速低下が起きる割合が1.4倍高く、歯周病が進行している人ほど呼吸機能の経年低下速度が急速化しやすいことがわかった。(医療NEWS 9月25日より)

胃カメラの苦痛が大幅減 マウスピース共同開発

鳥取大医学部付属病院(米子市西町)とイナバゴム(大阪市西区)が胃や食道の内視鏡(胃カメラ)検査で患者の苦痛となる吐き気が大幅に減るマウスピースを共同開発した。U字型で、奥歯でかむとのどの奥が広がり、カメラの接触による咽頭反射が抑えられる。患者の負担軽減で受診率や検査精度の向上につなげる。

 従来のマウスピースは内視鏡保護が目的で、前歯でかむ筒型だった。同病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の藤原和典准教授(43)が、口に力が入り、のどの奥が狭まる分、咽頭反射が起きやすいことに着目し、2年がかりで新型を開発した。

 軟らかい樹脂製で、奥行き55ミリ、幅72ミリ、厚さ23ミリ。奥歯でかむと固定され、口の緊張が和らぎ、舌の位置が下がるため、のどの奥の内視鏡挿入スペースが広がる。

 開発後、10人の臨床検査で咽頭反射の回数は従来型と比べ84%低減されたという。1日に2個2500円(税別)で医療機関向けに販売。5日に同病院で会見した藤原准教授は「広く利用され、多くの患者に楽に検査を受けてもらいたい」と話した。

歯周病の進行が呼吸機能の急速低下に関わる可能性 九大

九州大学は9月20日、歯周病の進行が呼吸機能の急速低下に関わることを明らかにしたと発表した。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、近年世界的に増加傾向で、世界の死因の第4位を占める。

 福岡県久山町の40歳以上成人1,650名の追跡調査データを分析し、呼吸機能検査による一秒量の急速低下との関連を検討した。その結果、喫煙などの影響を加味した上でも、歯周病の進行が最も軽度な集団に比べ、最も重度な集団は3年以内に一秒量の急速低下が起きる割合が1.4倍高く、歯周病が進行している人ほど呼吸機能の経年低下速度が急速化しやすいことがわかった。

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