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味覚地図

味には甘味、苦味、塩味、酸味、旨味の5つ種類があります。
舌の先の部分は甘味、奥の方は苦味、横は塩味や酸味という風に
感じる部分が分かれているということを
聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
その図が味覚地図です。
しかし、実は味覚地図は存在しないといわれています。

舌や頬の内側などには細胞の集合体である
味蕾(みらい)がたくさん存在します。
この味蕾の中に味を感じる細胞が集まっています。

食べ物を噛むことによりその食品の細胞を破壊します。
それが唾液と混ざると分子やイオンなどの化学物質を出します。
この化学物質が味細胞に感知されることにより、
味を感じるという仕組みになっています。

味細胞の中には受容体があり、味覚情報を脳に伝達する役割を担っています。
舌の部分によって味を感じるのではなく、
舌全体でそれぞれの味を感じているということになります。

ちなみに辛味は痛、熱いなどと感じることにより得られるため、
味覚ではなく痛覚や温覚になります。
冷たいと甘味は感じにくくなったり…。
味覚ってとても奥が深いと思いませんか?

▼参考:わかりはじめた味覚の分子メカニズム
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h0b46ms0vtslc2zfb3d0t

断水中の歯磨きどうする? うがいやハンカチで拭き取り

西日本を中心に被害をもたらした豪雨の被災地では、広範囲で断水が続く。断水中の歯磨きはどうしたらいいのか。

 日本歯科医師会によると、口が不衛生な状態だと細菌が増え、肺炎や、全身の病気の悪化につながる。

 同学会によると、少ない水で歯磨きするために用意するのは、約30ミリリットルの水。歯ブラシを水でぬらして歯を磨く。合間に歯ブラシの汚れを、ティッシュで拭き取る。コップの水を少しずつ口に含み、2~3回にわけてすすぐ。

 歯ブラシがない時は、食後に少量の水やお茶でうがいをする。ハンカチやティッシュで汚れを取るのも効果があるという。

 唾液(だえき)には口の中をきれいに保つ働きがあり、唾液を出す工夫も必要という。耳の下やあごの下を手でもんだり、あたためたりすると、唾液が出やすくなる。

かむ力、強いと俊敏に 金沢の歯科医院長研究 バドジュニア選手で実証

 かむ力「咬合力(こうごうりょく)」が強い人は俊敏であることを、ばんどう歯科医院(金沢市)の坂東陽月(ようげつ)院長らの研究グループが11日までに、バドミントンのジュニア選手への調査で明らかにした。かむ力が強い選手ほど敏しょう性と瞬発力が優れ、かむ力と運動能力の関連を科学的に示した。坂東院長はスポーツに励む子どもや保護者、コーチに対し、競技力向上には口腔(こうくう)ケアにも気を配る必要があると呼び掛けている。

 研究グループは、バドミントンの日本代表候補であるU16(16歳以下)の男子22人と女子24人、U19(19歳以下)の男子26人と女子26人を調査対象に選定。各選手の咬合力と、腹筋運動や反復横跳び、縄跳び、50メートル走、立ち5段跳びの成績との関連を分析した。

 その結果、U19で咬合力の強い選手ほど、敏しょう性を示す反復横跳び、瞬発力を示す立ち5段跳びの成績が特に良く、強い関連性が示された。かむ力が脳を刺激し、反復横跳びや立ち5段跳びに必要な筋力を生み出すのにつながったとみられる。

 年代別の咬合力の比較では、男子U19が平均750ニュートン(ニュートンは力の単位)と、同U16の同510ニュートンの1・5倍強く、反復横跳び(20秒間)はU19が平均100回とU16の73回の1・4倍で、咬合力と敏しょう性の関連がうかがえた。

 咬合力は、成人男性で500~600ニュートン、成人女性で300~400ニュートンとされる。虫歯や歯周病があったり、歯並びが悪かったりすると低くなる。坂東院長は歯磨きなど日常の手入れに加え、かかりつけの歯科医院を定期的に受診し、口の環境を正常に保つことが必要だと指摘している。

 研究は整形外科・形成外科医院「北山クリニック」(金沢市)の北山吉明院長、日本歯科大新潟生命歯学部の高橋睦准教授と進めた。北山院長が日本小学生バドミントン連盟の副会長・医科学研究部長、坂東院長と高橋准教授が研究部員であり、バドミントン選手を研究対象にした。

 研究成果は日本スポーツ歯科医学会の雑誌「スポーツ歯学」に発表し、論文奨励賞に選ばれた。学会で表彰されるのは大学の研究者や大学病院の歯科医師が中心で、坂東院長のような開業医が論文の筆頭著者となって表彰されたのは初めてのケースという。

 日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ・医科学スタッフでもある坂東院長は「東京五輪に向けてジュニア選手の強化・育成を進める際には口腔環境を整えるのが重要になってくる」と強調した。

口臭の原因となる硫化水素を産生する酵素の立体構造と反応機構を解明。

口腔内の硫化水素濃度と歯周病の進行度には高い相関があり、患者の口腔内の硫化水素濃度を測定すれば、口臭や歯周病の程度を判定する指標にもなる。口腔内で検出される硫化水素は歯周病菌が作る硫化水素産生酵素により、主にシステインというアミノ酸から作られる。これらの酵素の反応機構の解明が硫化水素産生の根本的な理解につながると考えられていた。岩手医科大学薬学部の毛塚雄一郎助教、および野中孝昌教授らの研究グループは、健常者を含め多くの成人で検出される歯周病菌Fusobacteriumnucleatum(フゾバクテリウムヌクレアタム)特有の硫化水素産生酵素Fn1055に着目。この酵素の立体構造と反応機構を解明したと発表した。
 酵素反応をミリ秒(1000分の1秒)オーダーで追跡し、この酵素がシステインから硫化水素とセリンを生成する反応機構が明らかになった。反応には酵素構造変化を伴うことが強く示唆されたという。この研究結果は歯周病菌における硫化水素産生機構の理解につながるとともに、新たな洗口液成分の開発への期待がかかる。

AI技術を用いて地域包括的な口腔保健情報サービスを展開。

超高齢社会が進む中、QOL向上の必要性や地域包括ケアの重要性がますます注目されるようになってきた。そんな背景もあり、大規模な医療情報を安全・安心な形で活用し、新たな歯科サービスの創出や社会的課題の解決に役立てようとするする動きが活発化している。大阪大学歯学部付属病院と大阪大学メディカルセンター、NECは、最新のICT技術を活用したAIによる高度な情報データ分析と共有を包含した「ソーシャル・スマートデンタルホスピタル(S2DH)」構想の取り組みを開始。大阪大学歯学部付属病院の診療現場にて、安全かつ効果的な治療方法を、膨大なデータに基づいたAI分析によって導き出し、選択肢の一つとして患者に提供するという。
 具体的な取り組みとして、瞬時に効果的な治療計画を立案する矯正歯科用AI、口腔内写真により病変の早期発見や見落とし防止を支援する舌粘膜病変AI、データ同化技術を用いて歯の欠損をシミュレーションする歯の喪失AIという3領域でのAI活用を始めている。また、サイバーメディアセンターでは、病院のデータを計算機センターで高速処理するためのセキュア・ステージングの研究開発を進行。これらをもとに、2018年度から歯周病AIと一般歯科AIの構築を中心とする実証実験を開始する予定だという。

平成28年度の健康寿命最新値を公表。平均寿命との差を縮めることが重要。

成28年度の健康寿命最新値を公表。平均寿命との差を縮めることが重要。
 健康日本21(第二次)推進専門委員会によると、平成28年度の健康寿命は男性が72.14歳、女性は74.49歳だった。これは3年ごとに実施される国民生活基礎調査をもとに、厚生労働化学研究チームが算出したもの。前回調査に比べ、男性が0.95年、女性が0.58年延伸した。一方で、平均寿命と健康寿命の推移を見てみると、どちらも延伸しているが、その差をみると、22年時には男性が9・13年、女性が12・68年、28年時には男性が8・84年、女性が12・35年とわずかしか縮まっていないのが現状だ。日常生活に制限のある「不健康な期間」の拡大は、個人や家族の生活の質の低下を招くとともに、医療費や介護給付費などの社会保障費の増大にもつながる。
 国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によれば、今後も平均寿命は延びていくが予測されており、その延び以上に健康寿命を延ばすことが重要だ。歯科では8020運動のさらなる推進はもちろん、う蝕や歯周病予防の啓発活動に力を入れていかなければならないだろう。高齢化社会においての歯科の役割は大きい。

軟骨細胞の破裂が骨形成の場を作る。骨が出来る新たなメカニズムを発見。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体材料学分野の松本卓也教授と原エミリオ助教と大阪大学の研究グループは、骨が形成される新しいメカニズムをマウスモデルを使って発見したと発表した。研究グループは、二次骨化中心と呼ばれる大腿骨などなどの関節部分に注目。このあまり検討されてこなかった部位や時期を分子生物学的、形態学的さらに工学的といった複数のアプローチで検討。
その結果、大腿骨骨頭部分のほとんどを占める軟骨細胞が次第に肥大化し、細胞の一部が破裂し骨形成に必要なスペースが出来ること、破裂の際に残された細胞膜の断片が骨石灰化の開始点になることがわかったという。また、この細胞破裂は歩行などによって生じる機械的刺激によって誘引されることも判明した。この研究結果により、適度な運動で生じる関節部分の細胞破裂が正常な骨形成に関与していることが明らかになった。細胞膜断片が骨石灰化の起点であることを特定したことで、細胞膜断片を利用した新たな骨再生材料の開発などに繋がるだろう。

舌ピアスは歯周病を悪化させる?

舌ピアスはセクシーでクールなファッションアイテムとして一部の若者に人気だが、口腔内の健康状態に極めて悪い影響を与えることが、バーゼル大学(スイス)のClemens Walter氏らによる研究から明らかになった。この研究では、舌ピアスを付けると歯周病のリスクが高まることが示唆された。一方で、リップピアス(唇のピアス)ではこうしたリスクの上昇はみられなかったという。この研究結果は欧州歯周病学会(EuroPerio9、6月20~23日、オランダ・アムステルダム)で発表された。

 Walter氏らは今回、同大学の歯科医療センターで治療を受けた1,400人以上の患者のうち、舌ピアスまたはリップピアスのいずれか、あるいは両方を付けている患者18人(このうち14人が女性)を対象に、ピアスによる歯や歯茎の健康状態への影響について後ろ向きに検討した。対象者の平均年齢は28.3歳で、3人は舌ピアスとリップピアスの両方を付けており、計14カ所の舌ピアスと計7カ所のリップピアスで評価した。

 その結果、舌ピアスを付けていると、ピアスに近接する歯の歯茎ほど歯周病検査(プロービング)時の出血の頻度や付着の喪失(アタッチメントロス)の有無、歯周ポケットの深さといった歯周病の評価指標が悪化していることが分かった。一方で、リップピアスではこうしたピアスによる悪影響は認められなかったという。

 このほか、同学会ではブリュッセル(ベルギー)の歯科医であるBernard Loir氏が、舌ピアスが原因で歯が正常な位置からずれてしまった27歳と32歳の2人の女性患者について報告した。女性は2人とも口の中のピアスが歯に当たって、長年にわたり歯茎の出血や感染などのトラブルに悩まされていた。最終的に歯茎が腫れて歯がぐらつくようになり、位置もずれてしまったため、舌ピアスを付けてから8~10年後にピアスを外さざるを得なくなった。Loir氏によると、2人とも外科治療や抗菌薬投与を受けたが、失われた組織を元通りに再建することはできなかったという。

 WalterとLoir両氏によれば、舌ピアスがあると飲んだり食べたりするときに邪魔になり、話しづらくなるほか、舌ピアスが気になって噛んだり、歯や歯茎に押し付けたりしていると口腔内の炎症や損傷につながりやすいという。

 米国歯科医師会のスポークスパーソンであるTyrone Rodriguez氏は「舌ピアスを付けることは、口の中に小さな建物解体用の鉄球があるようなものだ」と表現する。固いピアスが歯に当たってできた微小なひびは、最終的には大きなひび割れになって歯が欠けたり、割れたりする。また、口腔内にある500種類以上の常在菌は、傷口や病変ができると日和見感染を起こしやすく、感染症リスクを上昇させるという。

 Walter氏によると、口腔内の健康状態が気になる人は、できるだけ早く舌ピアスを外すこと以外に対策はないという。どうしても外したくないという人は、取り外しできるピアスを使用して常に清潔に保つことが重要だと助言している。なお、学会発表された研究結果は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

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