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「かむ力」が認知機能と関連、入れ歯でもOK 阪大など

高齢者の認知機能は、「残っている歯の数」よりも「かみ合わせる力」と強く関連していたという研究結果を、大阪大などのグループがまとめた。かむ力が強い方が脳への刺激になり、認知機能に関わるとされるビタミン類などの栄養の摂取にもつながっている可能性がある、としている。

 兵庫県と東京都に住む約2千人(69~81歳)に対し、2010~11年、残っている歯の本数や、専用のフィルムで「かむ力」を調べ、普段の食事内容などを聞き取った。また、記憶力などを問う認知機能のテストを受けてもらい、関連を調べた。その結果、かむ力が強かったり、緑黄色野菜を食べたりしている人ほど、テストの成績がよい傾向にあった。

 これに比べると、歯の本数と成績に、強い関連はみられなかった。入れ歯によって、かむ力を補っていた可能性があるという。大阪大の池辺一典 教授(高齢者歯科学)は「認知機能を保つうえで、歯を残すことも大切だが、入れ歯などでそしゃく機能を維持することが、それ以上に重要だ」と指摘している。


(朝日新聞 DIGITAL 6月2日より)

ドライマウス 最新治療&チェック法

鶴見大学歯学部の斎藤一郎教授の解説。ドライマウスの原因は降圧剤など薬の副作用、口呼吸、シェーグレン症候群など。さきほどの岡野さんはストレスが大きな原因と診断され、「横断歩道の白線だけを歩く」「オカリナの演奏」を半年間行い症状が回復した。意識を集中することで痛みや症状への意識が外れるのが目的。オカリナ以外にも自分が没頭できるものを探すと良い。乾きを忘れるような何かに没頭することがストレスによる症状の悪化を防ぐと考えられる。ドライマウスセルフチェック表。「口の乾きが3か月以上続く・口内炎がよくできる・口臭が常に気になる・虫歯になりやすい・目や鼻の中が乾燥する」が3か月以上続く人はドライマウスの可能性あり。シェーグレン症候群の方は医師と相談の上で唾液分泌促進薬による治療も行われている。ドライマウス研究会のホームページでは全国の歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科を紹介している。ストレスによる口の乾きは悪循環になることがあり乾きのストレスをためないことが重要。

長引く口の乾き 原因解明のカギは「脳」

東京医科歯科大学の豊福明さんは口ではなく脳に変化が起きているのではないかと患者の脳の血流量を調べた。ドライマウス患者35人のほぼ全てで血流量の多い部分が右側に偏っていた。脳神経の専門家で日本大学の酒谷薫さんを訪ねた。脳にストレスをかけ血流の変化を見る実験。タイプ1は血流が左に偏り、タイプ2は血流が右に偏っていた。血流が左に偏る人は計算テストを行っている間、1分間の心拍数が平均4回増加し、血流が右に偏る人は平均14回増加していた。右優位の人はストレスに敏感に反応するストレス脳でドライマウスになったと考えられる。ストレスの長期化などでストレス脳に変化すると唾液減少もストレスに感じるようになり、もともとのストレスがなくなっても唾液の量が戻らないと考えられる。鶴見大学歯学部の斎藤一郎教授の解説。ドライマウスの症状が継続的に続いてしまう理由が精神的・神経的なものが関わっていることが明らかになってきた。脳がストレスに敏感になっている人は口の乾き自体が原因で症状を悪化させることがある。

ストレスをためない!簡単お口うるおし術

 ドライマウスの患者は推定800万人。最近はジェルタイプで指で口の中に塗る保湿剤も登場。スプレータイプもあり売り上げは増加中。医師もおすすめする口の乾き対処法「リップトレーニング」は前歯が見えるように口の筋肉に力を入れ「イー」。唇を前に突きだし口の筋肉を緩めて「ウー」。口の乾きを感じた時に10回程度繰り返す。ストレスを軽減させる効果も期待できる。世界が注目する簡単治療法はこのあとすぐ。はしのさんは「牛の唾液の育毛が衝撃的だった」と話した。

あなどれない口の乾き 思わぬ症状が次々と…

 さきほどの実験の9分後には唾液の量は回復した。ところがストレスの原因が取り除かれたあとも唾液の量が戻らない人が推定800万人いる。唾液の機能がアップしても口全体に行き渡らないと大問題。「ドライマウス(口腔乾燥症)」という唾液の減少。渡辺花菜絵さんは就職活動を始めた1年程前から口が乾燥し働き始めた現在も症状が続いている。外出する時は口を潤すものが手放せない。

 岡野富美子さんはドライマウスの症状で食事の味を感じなくなった。さらに口内炎ができやすくなった。3年前にドライマウスを発症した佐藤よし子さんは飲み込みづらさや口臭を感じるようになり、家にこもりがちになってしまった。ドライマウスで起きる症状は強烈な口の乾き、常に口内炎、強い口臭、増える虫歯、味がわからない、様々な感染症、誤えん、肺炎。唾液の量が戻る人と戻らない人は何が違うのか?

口から食べることの大切さ

私たちにとって「口から食べる」ということは、生活を楽しむ上で欠かせないことです。あるアンケート調査で、特別養護老人ホームや老人保健施設などの利用者に「現在の楽しみは何?」と尋ねたところ、一番多かったのは「食事」と答えた人です。

 口にはたくさんの機能がありますが、食べるときに重要なのは歯、舌、唾液の機能です。歯は食べものを細かくかみ砕き、すり潰して消化を助ける役割があります。これを咀嚼(そしゃく)といって、脳や神経系を刺激して活性化させます。次に舌は味を感じるだけでなく、口にしたものが体にとって危険であるかないかを識別します。また、咀嚼したものを舌と上あごで押し潰し、唾液と混ぜ合わせて飲み込む塊をつくって喉へと流し込みます。

 口の中には約300~700種類、数千億の細菌がいるといわれていますが、唾液には食べものの消化を助ける働きと、口の中を殺菌するという重要な役割があります。唾液の中には免疫系に関わるものが多く含まれているので、唾液が減って口の中が乾燥すると口の中に入ってきた病原菌などを殺菌できなくなり、細菌の住み家になってしまいます。食べたり話したりすることで唾液も出て、飲み込むと細菌も同時に胃や腸で消化されて、病原菌も処理されます。

 口から食べることは、食べものを咀嚼したり飲み込んだり、味を感じることで脳や神経系を刺激して活性化させ、全身の免疫力や抵抗力を高めることにつながります。口の機能が低下すると生活の質(QOL)も低下してしまうので、口から食べて、その機能を最大限に使い、QOLの維持と向上を目指しましょう。

免疫力UP 虫歯&口臭予防 知られざる唾液の世界

唾液の効果は育毛、抗菌、傷の修復、歯の修復、消化、保湿・粘膜保護。人工的に作った歯で虫歯になりかけの歯を再現して、アクセサリーの修理屋と洋服の修理屋に1日4時間以上口に入れて舐め続けてもらう実験をした。2週間後、すかすかだった歯は白く埋まっていた。歯の再石灰化で初期の虫歯を修復できる。

 どうして緊張すると口が渇くのでしょうか。ゲストが人生で一番口が乾いたエピソードを発表。指原莉乃さんは「AKBの選抜総選挙」、はしのえみさんは「欽ちゃんに舞台本番直前に課題を3つ出されたとき」、高橋英樹さんは「結婚の申し込み」。緊張などのストレスで唾液の量はどれだけ変化するのか、東京医科歯科大学の杉本久美子さんの協力のもと実験。簡単な計算を10分間休みなく続けてストレスを与え、途中と終了直後の唾液の分泌量を調べた。唾液の量はどんどん減っていた。唾液が減ると唾液の成分の濃度が濃くなる。動物にとって唾液は天然の傷薬で成分が濃い方が傷を治すのにいい。天敵に出会うなどストレスを受けた時は唾液の成分を濃くして傷に備える。実験でも唾液の量が減った一方で、殺菌効果を持つ分泌型免疫グロブリンAの濃度は1.4倍にアップ。唾液が変化するのは唾液腺のおかげ。ストレスが加わると脳が唾液腺に警鐘を鳴らし、唾液腺がケガに備えて成分を濃くして水分を少なくする。ストレスがかかると体を守るために唾液は量が減り成分が濃くなる。

≪舌のお手入れ≫

舌についた白っぽい汚れを舌苔(ぜったい)といいます。
舌苔がお口の臭いの原因のひとつになることは
ご存知の方も多いと思います。

舌苔が付く原因はお口の中の乾燥、舌の機能低下、
低位舌などの他にもいろいろとあります。

舌苔を取るには清潔なガーゼなどで拭いたり、
舌清掃専用の舌ブラシや、歯ブラシを使ったりします。
舌清掃をするときは舌の奥から手前に清掃し、
歯ブラシを使用する場合はゴシゴシと擦らないようにしましょう。
表面の粘膜を擦り取ると炎症をおこしたり、
舌苔が厚くなる原因になります。
歯科医院でも舌苔除去を行っているところがありますので、
相談してみるのもいいと思います。

また、舌を上あごにこすりつけるトレーニングをすると
舌機能を上げたり、舌苔を薄くする効果もあります。
舌を上あごに押し当てた状態でお口の奥の方に舌を引きます。
繰り返し行ってみましょう。

▼参考:舌の上の細菌たち
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h0novjs0vt3d33ux9eFog
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