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旭川市が医療チーム4月発足 クラスター教訓踏まえ

】旭川市は新年度、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した市内の施設の支援に駆けつける医療チームを発足させる。4月に市議会に関連予算案を提出する。昨秋以降に市内の医療機関や福祉施設で大規模なクラスターが相次いだ教訓を踏まえた。当時、クラスター施設の応援に入った市内の基幹病院の医師や感染管理認定看護師ら10~15人で構成し、早期の感染封じ込めを目指す。

 チームは施設に入って感染者を治療するほか、感染者と非感染者の利用場所を分ける「ゾーニング」や防護服の着脱指導を行う。クラスターに発展しそうな施設にも赴き、感染対策を主導する。市はあらかじめ登録した人から派遣者を決め、日当を支給する。

院長解任、広揺 コロがる動ナ禍「連携水差す」 「旭川医科大」

新型コロナウイルス感染拡大で昨年12月に医療崩壊寸前にまで追い込まれた北海道旭川市で、地域医療の中心的役割を担う旭川医科大病院の院長がコロナ患者の受け入れを巡り学長と対立し、解任される事態に発展した。「連携に水を差す」。コロナ禍の中で表面化した"お家騒動"に、患者の受け入れに追われてきた市内の病院関係者の間で動揺が広がっている。

 ▽受け入れ却下

 「学長に軽症のコロナ患者を受け入れるよう求めたが断られた」。昨年11月、市庁舎で開かれた医療対策連絡会。旭川医科大病院の院長だった古川博之(ふるかわ・ひろゆき)氏は、力ない様子で市内の基幹病院の院長らにこう打ち明けた。

 事前の取り決めで旭川医科大病院は重症者を受け入れる役割だったが、市内の慶友会吉田病院でクラスター(感染者集団)が発生しコロナ専用病床が逼迫(ひっぱく)。古川氏の直談判に吉田晃敏(よしだ・あきとし)学長が軽症者の受け入れを却下したことで2人の関係にひびが入った。

 対立が決定的になったのは昨年12月。学長が学内会議で吉田病院について「ぐちゅぐちゅとコロナをまき散らしている」「なくなるしかない」などと述べた音声が外部に流出し、学長は釈明に追われた。大学側は音声が外部に漏れたことを問題視。古川氏は漏えいを否定したが、大学側は音声を流出させたとして今年1月25日付で病院長職を電撃的に解任した。

 ▽混乱拡大

 大学側は古川氏の解任に吉田学長は関与していないと強調するが、処分を決めた役員会のメンバーは学長と長年連れ添った側近で固められている。大学幹部は「解任は学長の意向が反映されていたのではないか」と処分の正当性を疑問視する。

 旭川医科大は2009年に学長任期の上限を撤廃、吉田学長は約14年に及ぶ長期政権を維持してきた。大学経営の黒字化など手腕に定評があるが、学内では教授人事を握り反対派を排除する「恐怖政治」との声も上がる。大学関係者は「一連の問題は長期政権の弊害。ガバナンスが崩壊しており、立て直すにはトップが代わるしかない」と批判する。今月9日には教授ら有志が、吉田学長の辞職を求める署名活動を始めた。

 旭川医科大で拡大する混乱に、市内の医療関係者は危機感を募らせる。保健所幹部は「リーダーシップを発揮してきた古川氏が抜けた。市のコロナ対策に響く」と懸念。旭川医療センターの西村英夫(にしむら・ひでお)院長は「次の感染拡大にも備えなければならない中、内部でごたごたしている場合か」といら立ちをあらわにした。

道立旭川子ども総合療育センターリニューアル、障害児支援を強化

道は、道東・道北地域における障害児の地域支援や療育機能を強化するため、旭川市の道立旭川肢体不自由児総合療育センター(田中肇院長)の全面改築を終え、「道立旭川子ども総合療育センター」に改称してリニューアルオープンした。

 旧センター北東側のグラウンドにRC造2階建て延べ約5900平方メートルで建設。診療科目は小児科、整形外科、歯科、眼科、泌尿器科、麻酔科。病床数(入所定員)は一般入院45床(15床減)、親子入院15床(5床減)の計60床耐性にダウンサイジングし、児童1人当たり床面積を広げた。

 1階は外来診療部門、リハビリテーション・保育部門など、2階に一般病棟と親子棟、手術部門を配置した。一般病棟はプライバシー保護や個別支援充実を図り、4床室と2床室の割合を増やし、多動性障害のある子どもの受け入れが可能な専用個室は2室。親子棟は同伴児童のいる親子が3人以上でも利用できる居室も設けた。

 隣接する旭川養護学校とは引き続き接続。リハビリ機能を充実するため大型屋内広場を設け、作業療法室と言語聴覚療法室を増室し、退所後の日常生活動作訓練のためのADL室や専用の感覚統合療法室も整備した。

 同センターは、18歳未満の肢体不自由児や発達障害児を対象に医療型障害児入所施設として療育サービスを提供しているほか、道東・道北の障害児の地域支援や在宅支援も担っている。

道北でもワクチン接種開始へ 5日にも5病院で医療従事者対象

道は医療従事者対象の新型コロナウイルスワクチンの「優先接種」について、道北では市立旭川病院、名寄市立総合病院、富良野協会病院、留萌市立病院、市立稚内病院の感染症指定医療機関5カ所などで行うと明らかにした。ワクチンは5日に25箱(2万4375回分)が道内に到着予定で、各施設に届き次第、早ければ5日に接種が始まる。

 道北では感染症指定医療機関の5カ所以外にも対象施設はあるが、道は非公表とした。ただ、コロナ患者を受け入れている施設も対象となるため、旭川赤十字病院や旭川医科大病院、旭川厚生病院、旭川医療センターなどでも接種が行われる見通しだ。

 安全性確認を兼ねた医療従事者対象の「先行接種」は、道央と道南、道東の7医療機関で2月17日から始まっていたが、道北は対象外だった。

 ワクチンは3月8日の週に、さらに25箱が道内に到着予定で、まずは計50箱が道内の81医療機関で使われる。

旭川医大学長の職務停止を要請 全教職員の過半数が署名

 旭川医科大学(北海道旭川市)の吉田晃敏学長の辞任を求めている、学内の教授らによる「旭川医科大学の正常化を求める会」は1日、全教職員数(2083人)の半数以上の1106人から学長の辞任を求める署名が集まり、新学長が決まるまで吉田学長の学長職務を停止するよう学長選考会議に要請したと発表した。

 学長の解任請求を行うには、専任の教員ら「意向聴取対象者」(393人)のうち過半数の請求が必要。会は2月24日までに過半数の207人の署名を集め、学長選考会議に提出した。意向聴取対象者の署名は28日までに226人に上ったという。

 会は「署名数が全教職員の過半数に至っている現状を考えると、吉田学長が現状のまま職務執行を続行することには極めて問題がある」と指摘している。

院内感染「まるで戦場」 初動の検査と対応が鍵 「検証 コロナ時代」「医療の現場」

医療機関で院内感染が発生すると、診療がまひし医療崩壊に直結する。200人以上のクラスター(感染者集団)が発生した北海道旭川市の慶友会吉田病院には陸上自衛隊が看護官を派遣した。

 「まるで戦場のようだった」。北海道医療大(当別町)の塚本容子(つかもと・ようこ)教授(公衆衛生学)は昨年11月、感染抑制のため支援に入った。目に飛び込んできたのは、気力や体力の限界に達した医療従事者の姿。医師や看護師は感染の不安を抱えながら「患者が亡くならないように、どうにか診療と食事の提供をしていた」。

 感染者と非感染者の活動領域を分ける「ゾーニング」を実施したが、感染者が増えるたびに範囲の変更を余儀なくされた。長期の入院者は大型スーツケース3個分の荷物を持参しており「(個人の持ち物の)消毒に時間を要する上に、作業中に感染が広がっている可能性もあった」という。

 徐々に適切な手指衛生のタイミングや防護具の着脱方法が看護師に浸透し始めた。陸上自衛隊の支援も受け、12月に入り状況が落ち着いてきた。塚本教授は院内感染の抑制は「徹底した検査とゾーニングといった初動にかかっている」と指摘。「人手のわりに業務量が多くなれば、防護具の着脱がずさんになったり、換気を忘れたりと、院内感染のリスクが高まる可能性がある」と、全国でも増えている院内感染の背景を分析する。

 昨年4月の院内感染の発生で、患者や職員ら43人が感染、そのうち4人が死亡した東京都立墨東病院(墨田区)。中村(なかむら)ふくみ感染症科部長によると、感染の可能性は低いものの、経過を観察する必要のある人向けの専用病棟を設けた。さらに、全スタッフに休憩時や日常生活でも密集を避けるよう呼び掛けたことが奏功。速やかに院内感染を終息させることができた。

 現在は「(全身を覆う)防護服は脱ぐのが難しく、過剰な装備で働くのはむしろ危ない」と、マスク、フェースシールド、エプロンの軽装で業務に当たっている。

旭川医大教授ら「大学を私物化」 学長解任求め署名活動

国立旭川医科大学(北海道旭川市)の吉田晃敏学長による新型コロナウイルスに関する不適切発言や、滝川市立病院(同滝川市)との月40万円のアドバイザー契約を巡り、同大教授らが9日、学長辞職を求める署名活動を始めた。

 署名を集めているのは、同大教授や名誉教授22人でつくる「旭川医科大学の正常化を求める会」。公表された趣意書では、吉田学長が2007年から14年近くにわたり学長職に就き、「大学を私物化し、本学の価値を低め、ガバナンス機能を完全に破綻(はたん)させた」「多くの教職員はパワーハラスメントの被害にあっている」などと指摘。不適切発言や旭川医大病院長の解任問題、アドバイザー問題などを引き起こしたとし、吉田氏がただちに辞職するか、大学の学長選考会議が文部科学相に解任の申し出をするよう求めている。

 発起人の一人の長谷部直幸教授(内科)は取材に「なかなか内部から声を出すことができなかったが、ここに至っては、みんなで声を上げるべきだと決意した」と話した。教職員から署名を集め、吉田学長本人と学長選考会議に提出するという。

病院長解任、旭医大激震 情報流出巡り亀裂か 教授不祥事に続くゴタゴタ

旭川医科大にまた衝撃が走った。旭川医大病院の古川博之病院長の解任が役員会で決まり、25日の全学説明会で全教職員に伝えられた。2019年秋以降、教授2人が医療機関や製薬会社から不正に多額の報酬を受ける不祥事が発覚。機能不全に陥ったガバナンス(組織統治)を回復させようとした矢先の解任劇だった。旭川医大に何が起こっているのか。

 大学側は、吉田晃敏学長や副学長ら12人が出席して昨年11月17日に開いた会議の発言を録音し、週刊文春に情報を提供したのが古川病院長と見て、解任の理由の一つに挙げている。

 昨年12月24日発売の週刊文春は「旭川医大学長クラスター病院に『なくなるしかない』」との見出しで、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が当時発生していた旭川市の慶友会吉田病院について、吉田学長が「コロナを完全になくすためには、あの病院が完全になくなるしかない」などと発言したと報じた。

 週刊文春の電子版に載った吉田学長の肉声が決定的な証拠となって大学側は認めざるを得ない状況に追い込まれた。発売後、吉田学長はコメントを発表した。この中で「不適切な発言であったと深く反省している」とした上で、発言の真意について「吉田病院の閉鎖等を望むことを意味するものでない。なくなるしかないのは吉田病院の新型コロナ感染症」と釈明。その一方で、「(発言内容が)外部に漏えいしたこと自体が問題」と、「ネタ元」への非難をほのめかしていた。

 旭川医大の聞き取り調査に対し、古川病院長は全面否定したが、古川病院長を除く会議の出席者が全員、関与を否定したことを根拠に「ネタ元」と決めつけられたという。

 週刊文春への情報の流出経路は不明のままだ。ただ、旭川医大が吉田病院から医大病院への感染者受け入れを昨年11月に検討した際、吉田学長が拒否し、受け入れを取りやめたと、古川病院長が報道各社の取材に証言したことなどから、吉田学長の古川病院長への不信感は決定的になったとされる。

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