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男性はビールロング缶2本、女性は1本以上で生活習慣病のリスク高める…厚労省の飲酒指針案

過度な飲酒で健康を害する人を減らそうと、厚生労働省は飲酒についてのガイドライン(指針)案を初めてまとめた。生活習慣病のリスクを高める飲酒量(純アルコール量)を「男性で1日あたり40グラム以上、女性で20グラム以上」と示した。

 純アルコール量20グラムは、ビールで500ミリ・リットル(ロング缶1本)、日本酒で1合程度に相当する。指針案では、少量であっても、がんや高血圧といった生活習慣病のリスクを高めるとの研究結果を引用し、「飲酒量をできるだけ少なくすることが重要」と強調した。

 国内では高齢化や若者の「酒離れ」などを背景に、成人1人あたりの酒の消費量は減り続けている。一方で、2022年にアルコール性肝疾患で死亡した人は1996年の2・6倍に上り、飲酒習慣がある女性の割合は増えている。

 欧米などでは、体質や文化などを踏まえて健康を害さない飲み方を具体的に示した指針を設けている。このため、厚労省は国内でも性別や年齢、体質などに応じた指針を作る必要があると判断し、有識者による検討会で策定を進めてきた。

 指針案では、女性や高齢者は体内の水分量が少ないため、アルコールの影響を受けやすいと指摘。女性は男性より少量かつ短期間でアルコール性肝硬変になる場合があり、高齢者は一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まるとした。

 「飲酒時に顔が赤くなりやすい」など、体内の分解酵素の働きが弱い人は国内に約41%いるとするデータを紹介し、「(飲酒に慣れたとしても)口の中や食道のがんのリスクが非常に高くなる」と警告した。

 避けるべき飲酒として、純アルコール量60グラム以上の大量摂取や、不安や不眠の解消目的などを例示。「その日の体調によっても体に与える影響は変わる。飲めない人に無理に飲酒を勧めることも避けるべきだ」と注意を呼びかけている。

老化抑制に効果が期待される「NMN」

いま老化抑制、アンチエイジングに効果があるのではと巷で大いに話題と
なっているのがNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)です。NMNは体内に
おいてはビタミンB3から生成される物質で、母乳に含まれているほか、ブロッ
コリーやアボガド、トマトや枝豆などの野菜にも含まれています。その存在は
1960年代から知られておりましたが、近年、抗老化研究の第一人者である今井
眞一郎教授(米ワシントン大学医学部)の大発見により、機能性食品素材とし
て一躍ブームとなりました。研究から長寿遺伝子とも呼ばれている酵素サー
チュインの活性化が、老化防止や寿命の制御に重要であることが解明され、そ
の活性化のカギとなるのがNMNなのです。酵素サーチュインはNAD(ニコチン
アミド・アデニン・ジヌクレオチド)という物質によって活性化されますが、
NADは体内においてNMNから生成されます。NADは10代後半をピークに減少に
転じ、40代でピーク時の半分まで減少してしまうため、サプリメント等でNMN
を摂取しNADを増加させることで、様々な効能を促すという仕組みです。
 今井教授の行った臨床実験によれば、老化に伴い2型糖尿病となったマウス
にNMNを投与したところ症状に改善が見られ、さらに健康な大人のマウスへの
投与では、中年太りの抑制、目の網膜機能や骨密度の低下抑制など、顕著な抗
老化作用が確認されたそうです。
 このような効能を示すNMNですが、今井教授は同時にNMNの日本での急速な
広まりに対して警鐘も鳴らしています。人間に対して適切な摂取量がまだ明確
でないため、高用量の摂取を長く続けると「肝機能の障害を起こす恐れがある」
と指摘。また、医薬品として認められていない点滴での投与を勧める
クリニックも増えていること、ネット等で売られているサプリメントに偽物が
多い点にも注意が必要だとしています。「人生100年時代」の“切り札”として
期待される若返り物質「NMN」。その効能を得るには、科学に基づいた確かな
情報、信頼できるエビデンスこそ、欠くことのできない前提となりそうです。

忘年会は午後9時まで? 働く20~50代の意識調査

忘年会は午後9時には帰りたい―。シチズン時計(東京)が全国の働く20~50代の男女計400人を対象に、生活のさまざまな場面における時間に関するイメージ調査をした結果、社会人の約40%が忘年会など会社での飲み会は午後9時までの1次会で終わらせてほしいと思っている実態が浮かんだ。

 一方で同社の2019年調査では「忘年会で帰りを気にする時間」を9時までと回答したのは約56%だった。質問が異なるので単純比較はできないが、新型コロナウイルス感染症の5類移行後初めての年末年始を控え、久しぶりの忘年会へ期待感が高まっている側面もありそうだ。

 調査は今年10月4~6日にインターネットで実施。現実の出来事や仮想世界に関してイメージする時間を尋ねた。「会社の飲み会で帰りたくなる時間」は午後9時が23・8%、8時が17・0%、10時が13・3%だった。年代別では、20代の最多は10時で、全年代を通じて最も遅かった。

 また、「(大みそかに)年越しそばを食べる時間」は午後11時が30・8%で最多。次いで午前0時と午後7時は13・8%だった。「サンタクロースが家にプレゼントを持ってくる時間」は午前0時が43・5%と最多で、次いで午後11時が24・5%だった。

記憶力の強化・低下に呼吸パターンが関与の可能性

 兵庫医科大学は7月27日、呼吸中枢を操作して呼吸パターンをさまざまに変えると、記憶力が強化されたり、記憶の形成が妨げられて記憶力が低下したり、あるいは間違った形で記憶が作られてしまうことを発見したと発表した。この研究は、同大医学部生理学生体機能部門の中村望助教、古江秀昌主任教授、越久仁敬主任教授、自然科学研究機構生理学研究所の小林憲太准教授らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Nature Communications」電子版に掲載されている。

 呼吸は、生命維持において必須な活動だ。その制御は無意識下に行われるだけでなく、意識的にもコントロールできる二重支配となっている。覚醒下での呼吸の役割の詳細については明らかになっていないが、近年、課題などを行っている最中の脳の状態(脳のオンライン状態)において、呼吸は重要な役割を果たすことが示唆されている。

 研究グループは先行研究により、ヒトの呼吸、特に息を吸う瞬間が課題を取り組んでいる途中で入り込むと、集中力・注意力を司る脳活動の低下とともに、記憶力が低下することを明らかにしている。これは、息を吸う瞬間が脳の情報処理のリセットに関与し、課題遂行の途中で入り込むと、情報処理がうまくいかなくなることが考えられる。そこで、今回の研究では、マウスを用いて、呼吸活動を直接コントロールすることで、記憶力に直接関わる記憶形成そのものに変化が生まれるか、また記憶力を自在に操ることができるかについて調べた。

日本における外国人材の活用

 厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、2021年
10月末時点での日本における外国人労働者数は1,727,221人で過去最高数を記
録しています。この増加傾向は、東日本大震災の翌年、2012年の約4,000人の
減少を除けば、2008年以降、基本的には右肩上がりを続けています。なかでも
急増しているのがベトナム人材で、これは2019年に日本とベトナム間で「特定
技能を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協
力覚書」が交わされたのが理由です。2019年には401,326人だった日本就労中
のベトナム人材数が、2022年には462,384人にまで増加し、この数字は日本に
おける外国人労働者数第1位となっています。
 この背景には、国内における生産労働人口の減少、人手不足もありますが、
多様な人材が活躍するダイバーシティ経営を目指した外国人材の採用も要因に
挙げられます。特に高度な知識や能力を持った高度外国人材は、企業の生産性
向上やイノベーションの推進に貢献する存在として注目され、海外の新規事業
展開や日本人と異なる発想での新商品開発など、日本人社員にもカンフル剤と
なっています。経済産業省で紹介されている具体的な事例では、産業用特殊ポ
ンプの設計・製造・販売をおこなう本多機工株式会社が、2008年にグローバル
展開のためにチュニジア人を採用し、延べ14人の外国人材を採用。その結果、
海外ユーザーに現地語で対応が可能となり、きめ細かなアフターフォローが評
判となりました。さらに海外の新規顧客獲得や仲介業者・中間コストの削減に
も成功し、現在では海外売上比率が約6割にまで増加しています。またプラス
チック製品を扱うフルヤ工業株式会社は、長年に渡りベトナム人材を受け入れ
ていますが、2017年に国内で確保できなかった金型の技術者をベトナムから日
本に呼び寄せたことがエポックメイキングとなり、家族も日本に呼び寄せスキ
ルアップした結果、今では企画や開発に欠かすことのできない技術者へと成長
しています。
 さらに、最近では専門学校に通う外国人留学生の就職先を大学卒の留学生並
みへ方針を転換する動きもあり、日本における外国人材の多様な活用について
は、今後ますます広がりを見せると期待されています。

次世代の太陽電池

2023年5月24日、東京都と積水化学工業は、ペロブスカイト太陽電池の実用
化に向け、大田区森ヶ崎水再生センターにて実証実験の開始を発表しました。
下水道施設へのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の導入は国内初であり、
国内最大級の実証実験となります。フィルム型ペロブスカイト太陽電池の特徴は、
軽くて柔軟で歪みに強い点にあります。現在主流のシリコン型太陽電池と比べ
重さは10分の1、厚さは100分の1程度で、薄いフィルム形状のため曲げること
も可能。ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは柱の側面や車体などの
曲面にも設置ができ、弱い光でも発電ができます。極薄のフィルムにペロブス
カイトと呼ばれる結晶構造の物質を塗ることで太陽光を電気に変える仕組で、
性能面においても現状のシリコン太陽電池に匹敵するエネルギー変換効率を
既に達成しています。量産化も容易で低コスト、さらにレアメタルを必要とし
ないため、次世代の太陽電池としての期待は大いに高まっています。
 国としても開発を後押ししており、岸田文雄首相は今年4月、当初の目標
だった2030年を待たずに実用化を目指す方針を打ち出しています。政府は2030
年度に電力全体の14~16%を太陽光発電で賄う方針を打ち出していますが、
2021年度の実績は8.3%で、10年足らずで倍近く伸ばさなくてはいけない状況
も後押しの背景となっています。さらに追い風となっているのが、経済安全保
障の面です。ペロブスカイトの主な原料はヨウ素で、日本はチリに次ぐ世界
2位の生産国です。ロシアのウクライナ侵攻や米中の対立などで原材料のサプ
ライチェーンの強化が課題となる中、原料を国内で調達できることも経済安全
保障上、大きな意味を持っています。太陽光発電に適した平らな土地が少ない
日本にとっては、このペロブスカイト太陽電池の重要性は今後さらに高まって
いくものと思われます。

一時の減量も無駄でない?

ダイエット後にリバウンドしても減量は無駄ではなく、健康効果は一定期間持続するとした研究結果を米国心臓協会(AHA)が発表した。

 集中的な減量プログラムの効果を調べた124の研究を統合した。平均51歳の5万人以上が対象となり、平均の体格指数(BMI)は「肥満」に当たる33。期間中2~5キロの減量ができていた。

 その結果、血圧やコレステロール、血糖などの数値は低下し、それがプログラムの終了から少なくとも5年間は持続することが分かった。

 ただし、効果は体重が戻るにつれて減少。5年以上追跡した研究は乏しく、最終的に心臓病や2型糖尿病を予防できたかどうかは不確かだった。

世界人口白書2023

UNFPA(国連人口基金)が今年4月に発表した「世界人口白書2023」によると
インドの人口が中国を抜いて世界一となる見通しです。今年半ば時点でインド
の人口が中国を290万人上回り、14億2860万人となる予測が立っています。この
背景には中国が1979年から30年以上に渡り実施した「一人っ子政策」により、
急速な少子化が進んだことが要因だと考えられています。白書によると2023年の
世界人口は80億4500万人となり、昨年に比べ7600万人の増加予測で、2023年の
日本の人口は、昨年に比べ230万人の減少で1億2330万人、世界第12位となって
います。
 世界の人口は約70億人と教科書で覚えた方も多いかと思いますが、いまや
世界の人口は増加の一途を辿っており、予測では2030年には85億人、2050年に
は97億人、2080年代には104億人とピークを迎え、2100年まで同水準で推移す
ると推定されています。さらに予測では、2050年までの世界人口増加の大半は
コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インド、ナイジェリア、パキスタン、
フィリピン、タンザニアの8カ国に集中し、一方、20%以上の人口減少に直面
するのがブルガリア、ラトビア、リトアニア、セルビア、ウクライナとされて
います。やっと少子化対策に本腰を入れ始めた日本においては、その着実な取
り組みに期待したいと思います。

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