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「『漁業』が日本を元気にする ! 」

 日本人が大好きなニホンウナギが、国際自然保護連合(IUCN)により「絶滅
危惧種」に指定されました。野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の
2016年の会議を経て、貿易が規制される可能性が高いと報道されています。
 そのような中、水産総合研究センター増養殖研究所では20年かけてニホンウ
ナギの卵を稚魚まで人工的に成長させ、今年、大量養殖の前提となる大型水槽
での育成に成功。民間企業も協力して「完全養殖」を目指しています。

 1970年代に入り漁業は、自国に定められた排他的経済水域(EEZ)内で水産資
源量を持続させながら、利益を最大化することが求められるようになりました。
 ニシンの濫獲などで資源が枯渇し、沿岸部経済に大打撃を受けていたノルウ
ェー政府は、漁業者の猛反対を押し切って総漁獲枠を設定し、さらに90年代か
らは漁船別の漁獲量割り当て制度を導入。その結果、80年代末から漁獲量は復
活し始め、漁船・漁業者数は大幅に減少したものの、養殖・加工・流通など水
産業全体のすそ野が広がり、水産業の雇用は2004年以降10%増加したそうです。
 近年、日本でも同様の動きがでています。新潟県では、2011年秋から甘エビ
漁で個別漁獲枠制度を導入し、網の目を大きくすることにより、小型のエビを
守りながら大型の比率を高め単価を上げています。また、観光客や帰省客で地
元消費が増える夏場にも操業し効果を上げています。水産庁では今秋、東北か
ら関東にかけた太平洋沖でのマサバ漁で、広域的な漁で初めての漁獲枠制を導
入することを決めています。魚の種類が多く個人漁業者が多い日本近海での同
制度は難しいとの指摘がある一方、長期的な視点から効果が期待されています。

 完全養殖の近大マグロは有名ですが、陸上での養殖も増えています。栃木県
の山あいでは、温泉水を利用したトラフグ養殖がおこなわれています。塩分が
海水の4分の1の温泉水は、トラフグが体内の塩分を薄めるために使うエネルギ
ーを節約でき成長が早く、直近では年3万匹を出荷しています。
 岡山理科大学・山本准教授開発の「好適環境水」は、ナトリウムやカリウム
など魚が生きるのに必要最低限の成分を含んだ水で、研究の結果、海水魚も、
淡水魚も大抵の魚が育つことが分かってきました。同大では2年前からこの水で
育てたヒラメ、トラフグなどを出荷。見学者や導入の打診が増えています。
 陸上養殖は、海上のように悪天候や赤潮の心配がなく、病害を防ぐための投
薬も不要。漁業権などの既存のルールにも縛られないことから、国内外から脚
光を浴びているようです。

 世界の主要都市などで広がる寿司などの和食ブームで、「日本産マグロ」の
ブランド力は上がるばかりのようです。ブームの維持・拡大には鮮度管理や要
望に応じた配送など、日本が得意とするサービスも欠かせません。また、刺し
身・焼き・煮つけと様々な食べ方をする日本に比べ、料理のバリエーションが
少ない国々には、魚の魅力を引きだす料理法や調味料の紹介も重要のようです。
 日本の海の広さ:排他的経済水域(EEZ)は世界で6番目。2012年の「海の健
康度」では、11位だった日本の海。日本はもとより、世界中の食卓に美味しい
魚を提供してもらいたいものです。

酒1杯でAFリスク8%増 【米国心臓病学会】

米国心臓病学会(ACC)は7月14日、適度な摂取量でもワインや強い蒸留酒の摂取が心房細動(AF)のリスク要因となり得ることを示した研究を紹介した。ビールではこのような関連性は見られなかった。Journal of the American College of Cardiology誌に掲載。

 研究では、1997年にスウェーデンで実施した食べ物と飲酒に関する大規模アンケート調査の対象者7万9016人(45-83歳)を12年間追跡調査。そこで判明したAF患者7245人について分析したところ、アルコール多量摂取(3杯以上/日)と短時間の大量摂取がAFと関連するというこれまでの研究と一致する結果に加え、中程度の量(1-3杯/日)でもワインや強い蒸留酒の摂取でAFリスクが増加することが示された。

 また、類似した6つの前向き研究の結果と併せて補助的にメタ分析すると、アルコールの種類にかかわらず、摂取量が1日に1杯増えればAFリスクは8%増加し、ワインや蒸留酒も短時間での大量摂取(5杯以上/回)がリスクの増大につながることが分かった。

 一方、ビール摂取とAFリスクの関連性は認められなかった。これについて本研究の主執筆者Susanna C. Larsson氏は、ワインや蒸留酒は週末に集中して摂取することが多いが、ビールは日常的に分散して摂取する傾向があるため、その関連性が現れにくいのではないかと推測。また、少量や適度なアルコール摂取は虚血性心疾患や脳卒中など心臓に有益であるという研究は多くあるが、潜在的なAF発症リスクと有益性のバランスが重要であると指摘している。

 過去の研究では、心機能低下や上室性不整脈を伴う拡張型心筋症などAFを引き起こし得る症状とアルコール摂取量との関連性が示されている。前向き調査を実施すれば、飲酒量とともに他の関連性や条件が見つかる可能性もある。

【北海道】北大研究費不正 59人関与…最終報告

北海道大は15日、少なくとも2004年度以降、教員59人が研究費の不正経理に関与していたと発表した。不正経理の総額は約5億3500万円に上る。架空発注で支払った物品代金を出入り業者に管理させ、後で引き出す「預け金」の手口が9割を占めた。

 北大は昨年11月、04年度以降に教員44人が計約4億8000万円の不正経理に関わったと発表。今回は調査最終報告として、新たに教員15人の約5000万円分の不正経理が判明した。今回の不正経理を含め教員56人について停職や出勤停止、訓告などの処分を行った。残る3人は退職した。

 教員59人のうち1人(元教授)は、1600万円以上の私的流用をした疑いがあるとして昨年6月に刑事告訴した。新たに判明した15人の中に、私的流用は確認されていないとしている。

 北大は15日、学内で記者会見し、山口佳三学長ら8人の理事が給与1か月分の10分の1を自主返納すると発表した。山口学長は「大学教員がこのような事態を招き、国民の皆様に深くおわびする」と頭を下げた。

 文部科学省の全国調査によると、13年11月末時点で、47の大学や研究機関で計約5億7500万円(154人分)の不正経理が確認され、うち北大分は約3億6500万円で、約6割を占めていた。

室伏さん医科歯科大教授に 陸上金メダリスト

陸上男子ハンマー投げの室伏広治(むろふし・こうじ)選手(39)=ミズノ=が10月に東京医科歯科大が新設する「スポーツサイエンス機構」の教授に就任することが16日に発表された。母校の中京大の准教授は退任し、活動拠点を愛知県から東京に移すという。

 国立の東京医科歯科大は治療や競技用マウスピースの作製などでトップ選手を支援してきた実績がある。同機構は2020年東京五輪を見据え、選手の競技力向上と故障防止につながる練習方法などを研究することを目的とする。04年アテネ五輪金メダリストで体育学博士号を持つ室伏選手には、豊富な経験と理論を提供する役割が期待されている。

 東京都内で記者会見した吉沢靖之(よしざわ・やすゆき)学長は「豊富な経験と独自の視点を持つ室伏氏は最も適切な人材」と期待し、室伏選手は「医学と自分がやってきたスポーツ科学を融合させ、けがで苦しんでいる選手や伸び悩んでいる選手の可能性を広げたい」と述べた。

約1~4割がメタボ脱出 特定保健指導で/厚労省

20年度から始まった特定健診・保健指導の効果を検証していた厚労省のワーキンググループ(WG)は4月18日、中間報告をまとめた。それによると、特定健診を受診し、メタボ該当者・予備群とされた人のうち、特定保健指導の「積極的支援」を終了した男性の約2~3割、女性の約3~4割が1年後の特定健診で「メタボ非該当」と判定された。「動機付け支援」の終了者でも男性で約2~3割、女性で約1~2割がメタボから脱出した。特定保健指導の終了者は、指導を受けなかったり、中断した人に比べ、各年度、全ての性・年齢階級別で、腹囲、BMI、体重が大きく減少。血糖、血圧、脂質などの数値も改善していた。
 例えば腹囲は20年度と21年度の比較で、男性が約2.2センチ、女性は3.1センチ減少した。体重もこの間、男性で1.9キロ、女性で2.2キロ減少した。

「やぶ医者」を表彰へ 語源の兵庫・養父市

「やぶ医者」は名医だった―。兵庫県の中山間部にある養父(やぶ)市は25日、地域医療に貢献した医師を表彰する「やぶ医者大賞」を創設した。市によると、やぶ医者は本来、かつてのこの地域の名医が語源との説がある。へき地での活躍にスポットを当て、医師確保につなげるのが狙い。

 全国のへき地の病院や診療所に勤務する50歳ぐらいまでの医師が対象。医師会や自治体などに推薦してもらい、8月31日まで募集し、審査を経て2人を選ぶ。受賞者にはそれぞれ奨励金50万円や表彰状を授与する。

 市によると、江戸時代中期の文献には「養父の名医が死にそうな病人を治すほどの治療をすることもあり、評判が広がり多くの弟子がついた」とあり、次第に弟子を名乗る技量のない医師が横行したことで、下手な医師を意味するようになったという。

ラジオ体操第3「メタボに効果」と再び脚光

 「ラジオ体操第3」を復活させる試みが始まっている。戦後間もなく放送され、動きが複雑すぎて1年半で中止されたが、そのスピードとダイナミックさに大学教授が「理想的な有酸素運動」と注目し、実演DVDも製作した。滋賀県東近江市が市民の健康維持に役立てる計画を進めている。

 時間は3分15秒。素早い足踏みでスタートし、両腕をぐるぐる回しながら横に体を反らせたり、屈伸や上体反らしと腕回しを組み合わせたりと、複雑で素早い動きが間断なく続く。終盤には両腕両脚を思い切り広げるジャンプもある。

 全国ラジオ体操連盟などによると、戦後のラジオ体操は1946年4月、「新ラジオ体操」としてNHKで放送が始まった。当時は「いつでも、どこでも、誰でも」できる第1、青壮年向けに強度を高めた第2、さらに運動機能を高めるための第3もあった。

 しかし、いずれも音声のみでは十分に動き方が伝わらないなどとして、翌47年に放送は中止。51-52年、第1と第2は再構成されて再開し、今に至るが、特に動きが激しく複雑だった第3は外された。

 着目したのは龍谷大の安西将也教授(公衆衛生学)。メタボなどの生活習慣病やうつ病の予防に適した運動を探していて、昨夏、インターネットなどで「幻の体操」と話題になっていることを知った。

 研究室の学生らで試したところ、心拍数は無理なく毎分130回前後に高まり、後半には150回に。理想的な有酸素運動で、体脂肪を効果的に燃焼させられるとのデータが得られた。

 安西教授は動画共有サイト「ユーチューブ」で見つけた当時のピアノ伴奏の音源から楽譜を作成。動作を描いたイラストなどを集め、学生が実演するDVDも作った。「ジョギングやジャズダンスは続かないという人も多い。『国民的な体操の番外編』という面白さ、3分ちょっとの手軽さもいい」と期待する。

 さらに、幅広い年代での効果や、うつ状態の改善につながるかどうかの検証も計画。東近江市は、別のテーマの講演に安西教授を招いた際にそれを知り、協力を申し出た。

 昨秋から市の体験教室で指導を始め、「少しきついが、効き目がありそう。老人会の仲間にも広めたい」(64歳女性)など、反応は上々という。

「体によい食品」表示制度、新たに 企業が独自判断、「トクホ」制度は維持

食品がどう体にいいか示す「機能性表示」が今年度中に解禁される。消費者庁の検討会で新制度の骨格が固まってきた。米国にならい企業の判断で「骨の健康を保つ」といった健康効果の表示を可能にする。ただし根拠のない表示や宣伝を防ぐ対策も入れる方向だ。

 現行は、商品ごとに国の審査で許可を得る「特定保健用食品(トクホ)」と、「栄養機能食品」の2制度があるが、企業にとって使い勝手が悪いとして、成長戦略の一環で新制度導入を昨年閣議決定した。

 新制度は企業側の判断で健康効果をうたえるようにするのが大原則。米国の制度「ダイエタリーサプリメント」にならった。ただし異なる点もある。対象食品は米国ではサプリメントだけだが、食品一般に広げ、生鮮農産物も含むことにした。

 健康効果の根拠を明確にするためのルールは厳格に定める方向だ。人で確かめた十分な科学的データを条件とし、情報公開を義務づける見通し。機能性成分の安全性を調べ開示することなども企業側に求める。また米国と同じく、国の評価を受けていないことを表示するよう義務づける方向。表示は健康維持・増進に関する表現に限り、病気の治療や予防に触れることは認めない。トクホなどの2制度は引き続き残る。

朝日新聞 2014年5月29日(木) 配信

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