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1日3ドリンク以上の飲酒で膵臓癌死亡のリスクが上昇

1日3ドリンク(350mL缶ビール約3本分)以上の飲酒は、喫煙歴の有無にかかわらず膵臓癌死亡のリスクを上昇させることが、前向き研究のデータ分析で明らかになった。米癌学会疫学研究プログラムのSusan M. Gapstur氏らが、Arch Intern Med誌2011年3月14日号に報告した。

 大量飲酒は急性と慢性の膵炎の原因になるが、膵臓癌との関係は明らかではなかった。WHOのInternational Agency for Research on Cancer(IARC)は、09年に専門家を招集し、ヒトの癌の原因になる食物や嗜好品について検討したが、「飲酒と膵臓癌の関係を示すエビデンスは限られている」との結論を出している。その検討過程で、既存のデータは十分なパワーを持たない研究に由来しており、飲酒の交絡因子の調整が十分ではなく、研究の規模が小さい、想起バイアスが存在するなど様々な問題を抱えていることが明らかになった。
アルコール飲料の種類ごとに膵臓癌死亡リスクとの関係を調べたところ、蒸留酒3ドリンク以上/日の摂取(1.32、1.10-1.57)は有意なリスク上昇を示したが、ビール3ドリンク以上/日(1.08、0.90-1.30)、ワイン3ドリンク以上/日(1.09、0.78-1.49)との関係は有意にならなかった。

 1日3ドリンク以上の飲酒、特に蒸留酒の摂取は、喫煙とは無関係に膵臓癌死亡リスクを上昇させることが明らかになった。

砂糖含有飲料の40%課税で米国民の肥満予防が可能

肥満が社会的に大きな問題になっている米国で、肥満対策として砂糖含有飲料(suger-sweetened beverage;SSB)に課税するという案が、州、国家の双方のレベルで議論されている。シンガポールのDuke- Singapore国立大学医科大学院のEric A. Finkelstein氏らは、砂糖含有飲料に40%の税金を課すると、低所得世帯に対する影響を抑えながら国民全体の体重増加を防ぐことが可能で、25億ドルの税収増も期待できるとの試算を示した。論文は、Arch Intern Med誌2010年12月13/27日号に掲載された。
食品や飲料の価格が低下すると消費は増える。特に高カロリー食品でこの現象は顕著だ。したがって、高カロリー商品に課税して価格を上げれば、消費が減って肥満は防げると考えられる。だが、公衆衛生上の観点から肥満対策を考えるなら、社会経済学的地位が異なる集団のすべてに有効かつ容認される多面的な戦略が必要だ。
特定の商品への課税を実施する場合に問題となるのは、どの食品に課税するかという点だ。肥満につながる食品は多様だからだ。課税対象を決定したら、次に考えなければならないのは税率だ。エネルギー摂取量を減らし肥満を抑制できる税率を選ばなければならない。そして、特に低所得世帯の家計が課税により圧迫されないかどうかを調べる必要がある。

  購入しているSSBの内訳を見ると、所得によって摂取量が異なっていたのは炭酸入りのSSBで、低所得世帯では他の世帯に比べその摂取が多く、SSB全体の4分の3を占めていた。

 炭酸入りSSBに対する税率を20%または40%にした場合に、すべてのSSBからのエネルギー摂取が1人当たりどの程度減少するかを推算したところ、20%なら平均4.2(1.6)kcal/日、40%なら7.2(2.8)kcal/日となった。これによって1年間に減少する体重は、税率20%なら-0.20(0.07)kg、40%なら-0.37(0.13)kgと推定された。さらに国家の税収は20%で8億7890万ドル、40%なら15億4260万ドル増えるとの予想になった。

 課税の対象を果汁入り飲料やスポーツドリンクも含むすべてのSSBに広げると、1人当たりの摂取エネルギーは、税率20%で7.0(1.9)kcal/日、税率40%で12.4(3.4)kcal/日減少した。1年間の体重減少は、税率が20%なら-0.32(0.09)kg、40%なら-0.59(0.16)kg、税収増はそれぞれ15億80万ドル、25億2260万ドルと推定された。

 低所得世帯はより安価な飲料を選択するため、税額の負担はほかの世帯より小さくなる。たとえば、税率40%の場合に低所得世帯が支払う税金は、国家の税金の増収分の約20%に相当するのに対し、高所得世帯は約30%を支払うことになる。

 SSBに高率の税金を課することによって米国民の体重管理によい影響が現れる可能性が示された。また、大きな税収が期待でき、それらを肥満予防プログラムなどの資金として用いればさらに効果は高まると考えられた。

 原題は「Impact of Targeted Beverage Taxes on Higher- and Lower-Income Households概要はArch Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。

女性は米食多いほど糖尿病発症リスク上昇

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国立がん研究センターは11月12日、米飯摂取と糖尿病との関連についての研究で、「女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められる」とする調査結果を発表した。この傾向は、相当量の運動をしている人には見られなかったことから、「糖尿病予防には日ごろの身体活動量を増やすことが大切」としている。
 研究では、1990年と93年に岩手県二戸、長野県佐久、高知県中央東、沖縄県宮古など全国9保健所の管内に住んでいた45-74歳の男女約6万人について、5年間の追跡調査を実施。研究開始から5年後に行ったアンケート調査を基に、米飯の摂取量によって4グループに分け、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べた。
 その結果、女性に限って、米飯の摂取量が最も少ないグループに比べて、1日3-4杯以上のグループでは糖尿病のリスクが1.48-1.65倍に上昇し、統計学的な有意差が認められた。同様の傾向は男性でも見られたが、統計学的に有意な値ではなかった。また、パンやめん類では、糖尿病リスクとの関連は認められなかった。
一方、運動量との関連を調べたところ、筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人では、男女とも米飯摂取と糖尿病リスクの関連は見られなかった。

 今回の調査結果について研究班は、米食のほとんどを占める白米では食後の血糖値上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことを挙げ、エネルギー消費量が少ない人が白米を多く摂取すると、糖尿病リスクが高まるという相関関係があるとした。
 このため、糖尿病を予防するには日ごろからの運動を心掛けるとともに、米飯には粟や麦など食物繊維やマグネシウムを含む雑穀を取り入れるなどして、米飯摂取後の血糖値上昇を抑える工夫が必要としている。

 詳しくは、国立がん研究センターの多目的コホート研究のホームページで。

( 2010年11月12日 16:49 キャリアブレイン )

冬の一番風呂、ご用心

急激な温度変化、脳出血の原因に…浴室暖め、足からかけ湯

 入浴時の急激な温度変化が原因で脳出血などを引き起こす「ヒートショック」で、神戸市消防局に2009年に救急要請した人は619人に上り、3人に1人が救急車の到着時で死亡したり重症だったりしたことが分かった。
症状を訴えた人の8割は高齢者で、同消防局は通報が増える冬場を前に、浴室が暖まった状態で入浴する「二番湯」の利用などを呼び掛けている。
ヒートショックは、寒い浴室などから熱湯を張った浴槽に入り圧が急に下がった時に起きやすい。
入浴20-30分後に意識がもうろうとして脳内出血を起こした男性(64)や、入浴直後に激しい頭痛と嘔吐(おうと)に襲われ、くも膜下出血になった女性(76)などのケースがあり、血管などの機能が衰えた高齢者の発症が多いとされる。
619人のうち、救急車到着時にすでに死亡していたのが95人、重症だったのは114人。また、77%の479人が65歳以上の高齢者で、半数以上の383人が冬場(1-3、11-12月)の要請だった。
ヒートショックによる救急要請の統計の発表を始めた07年は322人、08年は349人で、09年はほぼ倍に増えている。
同消防局によると、増加の原因は不明。ただし、気象庁のデータによると、09年の冬場の平均気温は平年値より高めで、冷え込みの厳しい時期でなくても油断は禁物といえそうだ。

 では、どうすれば防げるか。

 同消防局によると、〈1〉服を脱ぐ前に浴室内を暖め、湯船との温度差を小さくする〈2〉入浴前には足元から上半身に向かって順番にかけ湯をし、湯船の温度も39-41度にとどめて長湯をしない--ことが基本だ。

 特に高齢者は、家族と同居している人は、浴室が暖まった状態で入浴できる二番湯を利用し、一人暮らしの人は蛇口ではなく、蒸気の出るシャワーで湯を張ると良いという。同消防局は「ヒートショックと感じた場合はいち早く119番を」と訴える。(岡本久美子)
2010年11月15日 提供:読売新聞

魚食べない女性は自殺リスク上昇

国立がん研究センターはこのほど、魚やn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取と自殺との関連についての研究で、「全体としては摂取量と自殺リスクとは関連しない」とする一方、女性に限っては、「魚の摂取量が非常に少ない人を平均的な摂取量の人と比べると、3.4倍のリスク上昇が認められた」とする調査結果を発表した。
 魚に豊富なエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3系多価不飽和脂肪酸については、その栄養成分が循環器系疾患のリスクを下げるとともに、精神的な健康に対しても好ましい効果があるとする研究データが既に発表されており、動物実験でも実証されている。

 研究では、1990年と93年に岩手県二戸、高知県中央東、沖縄県宮古など全国9保健所管内に住んでいた40-69歳の男女約10万人のうち、2005年までの追跡調査期間に自殺した298人(男性213人、女性85人)について調査。研究開始から5年後に行った食物摂取頻度調査の結果から、魚やEPA、DHAの摂取量を推定し、摂取量ごとに男女それぞれ5グループに分けて分析した。
 それによると、全体としては男女とも、魚の摂取量やEPA、DHAの摂取量と自殺との関連は認められなかった。
 ただし、摂取量が最も少ないグループを平均的な摂取量のグループと比べると、女性に限って魚で3.4倍、DHAで2.0倍のリスク上昇が認められた。この関連は、男性では認められなかった。

 また研究では、喫煙や飲酒、持病などの自殺リスクを高める要因を持っている人と持っていない人に分けて同様の解析を行ったが、ほとんどで関連は認められなかったものの、飲酒をしない男性では、EPAやDHAの摂取量が最も多いグループの自殺リスクが最も少ないグループに比べてそれぞれ2.4倍、3.4倍となり、女性とは逆の関連が認められた。

 こうした調査結果から研究班は、魚は日本人の健康的な食生活を特徴付ける食品とされており、精神的な健康を保つために一定量の摂取は必要であるものの、「多く摂取することが自殺リスクを低下させるという予防的な関連は認められない」としている。

 詳しくは、国立がん研究センターの多目的コホート研究のホームページで。
( 2010年11月05日 19:46 キャリアブレイン )

泳いだ後にのどの痛みを感じるのは?

海の水にはさまざまな雑菌がいます。プールの中は、逆に水道水よりさらに強い塩素系の消毒が施されています。つまり、飲んでいるつもりはなくても、鼻からや、息継ぎなどの時に、のどに流れ込み、食道だけでなく、気管にも入っているのです。
 実は、こうした水の流れ込みなどによっておこる感染症の一つが咽頭結膜熱、つまり「プール熱」なのだとか。これは、アデノウイルスという微生物が、プールなどの水を媒介として人の体に寄生し、ノドの痛み、結膜炎、高熱などを発するものだ。
 泳いでのどが渇いたから、お腹がすいたから、といって、すぐに飲み食いするのは危険なこと。空気感染、飛沫感染、だけでなく【水浴感染】にも注意が必要です。
                   夕刊フジ 2010.9.18

飲料水 ジュース お茶 牛乳・・・ 健康表示にダマされるな

●カロリー「ゼロ」「オフ」「控えめ」「ライト」
 「飲料水の表示については、厚生労働省の栄養表示基準により具体的に規定されています。カロリー(熱量)の場合は100ml当たり5キロカロリー未満なら無・ゼロ・ノン・レスのどれを使ってもOK。100ml当たり20キロカロリー未満なら、低・ひかえめ・小・ライト・ダイエット・オフといった言葉を使えます」つまり、「カロリーオフ」の飲料水(500ml)は最大100キロカロリー程度(卵Lサイズ1個分)のカロリーが含まれるということだ。
 ●「無糖」「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖類控えめ」「糖類オフ」
 「無糖、ノンシュガー、シュガーレスは、砂糖以外の糖類(ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖など)も規制の対象で飲料100ml当たりの含有量が0.5グラム未満なら表示が許されます。糖類オフ、糖類控えめ、ダイエットは飲料100ml当たり糖類2.5グラム未満なら表示可能です。それでも甘いのはキシリトール、オリゴ糖など甘味料が入っているからです」ちなみに「甘さすっきり」「甘さ控えめ」は、とくに定められた基準はない。味覚として甘さを抑えたことを示し、必ずしも糖類の含有量が少ないことを示すワケではない。
               日刊ゲンダイ 2010.9.6

日本人は1日食塩摂取量の半分以上を和風の高塩分加工食品としょうゆから摂取

日本人は1日に摂取する食塩の半分以上を和風の高塩分加工食品としょうゆにより摂取しており、和食を好む人は洋食を好む人より食塩摂取量が多い傾向があることが明らかになった。10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会で、公益財団法人結核予防会第一健康相談所生活習慣病予防・研究センター副センター長の奥田奈賀子氏が発表した。
日本人の食塩摂取量は欧米諸国と比較すると依然として高く、さらなる減塩の必要性が指摘されている。奥田氏は、血圧と食事因子に関する国際共同疫学研究INTERMAPのデータを用いて、日本人の食塩摂取に関連する食品摂取や食事のパターンを検討した。
国際共同疫学研究INTERMAPは、1996~99年に、米国8カ所、イギリス2カ所、日本4カ所、中国3カ所の計17カ所で行われた血圧と食事に因子に関する国際共同疫学研究。4回の24時間思い出し法による栄養調査と2回の24時間蓄尿により栄養・食品摂取のデータを集めた。今回の検討には、INTERMAP研究における日本人集団(一般集団より募集した40~59歳の男性574人、女性571人の計1145人)のデータを用いた。
食塩摂取の特徴を解析するために、栄養調査で聞き取られた食品を食材、加工状態、調理法に応じて75群に再分類し、対象者ごとに食品群別摂取量および食塩摂取量を計算した。対象者が1日の食塩をどのような食品群から摂取していたか調べるために、1日の食塩摂取量に対する食品群ごとの食塩摂取量の寄与割合を計算した。
その結果、食塩摂取量への寄与割合が大きい食品は、しょうゆ17.2%、塩8.6%などの調味料、漬物10.9%、塩干魚8.1%、みそ汁・スープ7.1%などの高塩分加工食品、高塩分調味料だった。
次に、体重1kg当たり24時間尿中Na排泄量(nmol/24hr/kg)により対象者を4分位に分類し、食品摂取量および食塩摂取割合との関連を検討すると、高塩分摂取者では日本食の高塩分加工食品の摂取が多いとともに、米飯の摂取量や野菜を煮物やおひたしで食べる量が多く、和食パターンの食事傾向にあった。一方、低塩分摂取者では、パン、乳・乳製品など洋風の食材の摂取が多かった。
これらの結果から奥田氏は、「高塩分の加工食品の摂取を控えるよう勧めるとともに、ご飯に合う洋風のおかずを勧めるのも、減塩指導として受け入れられやすく有効なのではないか」との考えを述べた。

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