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子育て「夫婦同等に分担すべきだ」74%朝日新聞社調査

朝日新聞社が「家族」をテーマに面接方式による定期国民意識調査(全国世論調査)を実施した。子育てを「おもに担うべきなのは夫婦のどちらか」という形で質問したところ、「おもに妻」との意見は23%にとどまり、「夫婦同等に」が74%と大きく引き離した。男女間で意見に差はなく、20~50代では8割前後と多い。
 また、子供手当てについて、所得税の配偶者控除や扶養控除の廃止方針(来年度予算案では一部見送り)とセットであることを前置きした上で賛否を聞くと「賛成」53%が「反対」37%を上回った。支給対象の子供がいない人でも、賛成が48%と反対43%より多く、子育ては家族だけでなく社会全体で支えていこうという考えも広がっている。
 いまの社会で、親が子に身につけさせるべきものは何かを4つの中から1つ選んでもらったところ「思いやりや協調性」(53%)が最多で「礼儀や規範意識」(31%)が続いた。「個性や自立心」(12%)、「知識や競争力」(2%)は少なく、自分を際だたせるよりも、人間関係に役立つ能力を身につけてほしいという思いがうかがえる。(12月27日/朝日新聞)

肥満の子供、全年齢で減少

5歳~17歳を対象とした文部科学省の学校保健統計調査で、肥満の子供の割合がすべての年齢で前年度から減少したことがわかった。
 全年齢で減少したのは1977年度の調査開始以来初めて。ここ数年で肥満は減少、逆にやせ気味の子が増える傾向にあり、同省は「規則正しい食生活の浸透やスタイルを気にする子の増加が原因では」とみている。
 今年4~6月、抽出で70万人を調査。標準より2割以上体重が重い肥満の割合は、年齢別では15歳が10.32%で、前年度比1.22ポイント減と減り幅が最大。
 一方、330万人を対象の調査では、視力が「0.3未満」の小学生の割合が7.3%(同0.2ポイント増)で過去最高だった。視力調査の始まった79年度(2.7%)と比べて2.7倍に上り、同省は「ゲームやインターネットの普及の影響とみられる」としている。(12月17日/読売新聞)

英国から消える「歯医者のいす」と「女性無料デー」

2月15日、厚生労働省の検討会が、職場で受動喫煙する機会を減らすことを事業者の義務とすべきとする報告書の骨子に合意しました。日本でも、禁煙の法的規制が一歩進みそうな勢いですが、今回は英国のアルコール規制の話を紹介します。
2月13日付の北海道新聞は、国民の過飲を抑えるため、英政府が4月からパブなどでのアルコール飲料の販売規制を強化すると伝えています。この規制は、健康被害や交通事故防止に加え、年間最大130億ポンド(約1兆8千億円)に上る関連の財政負担の軽減を狙ってのことだといいます。
4月からは、飲み放題や女性無料デーなどのサービス、開けた口に酒を流し込む「歯医者のいす」と呼ばれるゲームや早飲み競争も規制の対象となり、違反した店の経営者には、2万ポンドの罰金や6カ月以下の禁錮、営業免許停止が科せられる可能性があります。10月からは、身分証明書による客の年齢確認も義務化されるそうです。
NHS(英国民医療サービス)の調査によると、国民の4人に1人が「危険な飲酒習慣」を持ち、07年には86万3300人が飲酒が原因で病院に運ばれています。この数字は、02年比で7割増です。また、疾患や犯罪による財政負担は、政府推計で年80億~130億ポンドに及ぶそうです。
パブ文化という言葉があるほど伝統的にアルコールと“仲良し”の英国社会ですが、今回の規制は、アルコールのもたらす弊害の増加がもはや看過できない状況に至っていることを示しています。
このあたりは、わが国でも同じです。「酒は百薬の長」ということわざもあるように、歴史的にも、アルコールを目の敵にしてきたわけではありません。しかし、最近はその弊害が厳しく指摘される場面も増え、状況は英国と変わらなくなりつつあります。
例えば飲酒運転は、それ自体が犯罪であり許すべからざる行為です。また、小さいものまで含めれば飲酒に伴うトラブルは頻繁に生じており、医療機関の中でも少なからず起こっています。泥酔して救急車で来院し、暴れて医療者に悪態をついたり他の患者さんにも迷惑をかけたり…。私の勤務医時代には、そのような患者を嫌がって、他の患者さんが退院してしまったこともありました。

 かといって、アルコールを帯びているとの理由で患者を放置したら非常に危ないことになりかねません。過飲で運ばれてきた患者に硬膜下血腫などが生じており、不幸にも亡くなってしまった後、医療過誤訴訟に発展したような事例もあります。

 このようなアルコールの弊害に対し、日本でも対策は進みつつあります。アルコール飲料販売時の年齢確認はもちろん、大学によっては、新入生歓迎コンパなどでの一気飲みだけでなく、飲酒自体を禁止するケースも出てきています。

 とはいえ、失敗に終わった米国の禁酒法の例からも分かるように、アルコールやタバコを全て禁止するのは簡単ではありません。ただ、医学生の急性アルコール中毒死を巡って訴訟になるような昨今ですから、厳しい過飲制限は時代の要請といっていいでしょう。

 喫煙にせよ、飲酒にせよ、今まで許容されてきた嗜好品に対する規制が厳しくなっているのが時代の趨勢ですが、一方で、ストレスの多いこの時代をどうしのいでいくのかは、現代人にとっての大きな課題でもあります。過度の依存は、ワーカホリックや買い物依存症に代表されるように、日常行為の中にも生じ得ます。アディクション(依存)に陥らないよう気を付けつつ、上手なストレス解消法をどう見つけるかが重要な時代だといえそうです。

(院長コメント)
 歯医者のイスとは考えたものです。歯科に関わる内容だと思ったら全く関係なくおもしろかったです。

鼻・口ふさぎ乾燥防ぐ マスクを上手に使う

インフルエンザウイルスは0.1マイクロメートル程度、つまり1万分の1ミリの小ささ。唾液などと一緒になると5マイクロメートル程度になって外に飛び出る。感染力を持った飛沫(しぶき)だ。
 市販されているマスクの9割以上を占める不織布製マスクは、5マイクロメートル以上の大きさを捕らえるとされ、有効と考えられる。ただ、顔とマスクの間にはどうしても空気が入ってしまう。完全に遮断することは難しい。
 国民生活センターのテストでは、不織布など15種類のマスクで着用時の顔とマスクの間から空気が漏れる率は40%以上だった。では、もっと漏れが少ないマスクを選んでみてはどうだろう?
 密閉性の高いマスクには医療者向けの「N95」というタイプもある。空気感染するような、0.3マイクロメートル程度の飛沫核の吸い込みを防ぐには適している。
               朝日新聞 2010.01.09

パパが育児熱心だと赤ちゃん事故少ない

 父親が子育てに熱心な家庭ほど、赤ちゃんが重大な事故に遭う確立が低くなることが、国立保健医療科学院による約42000人の分析でわかった。2001年厚労省が当時生後6ヶ月の乳児約5万人を対象に実施した「21世紀出産児縦断調査」をもとに、授乳やおむつ替えなど6項目について、父親が子育てにかかわった度合いを各家庭が自己評価した結果を分析した。
 各家庭を、子育てに「積極的」「普通」「消極的」の3グループに分けてその後1年間にわたって追跡調査した結果。父親が子育てに積極的な家庭では消極的な家庭よりも、誤飲の発生率が21%、水に溺れる事故は20%、事故全体では9%少なかった。なかでも父親が赤ちゃんと一緒に散歩している家庭では。発生率が顕著に低く、誤飲が34%、事故全体で24%少なかった。
         読売新聞 11.14

歯が抜けて あなた頼むも あもあみだ

 「痩蛙(やせがえる) 負けるな一茶 是(ここ)に有(あり)」。江戸時代後期に活躍した俳人、小林一茶の有名な句。やさしさとユーモアに満ちた句を生涯2万句も詠んだ一茶は、50歳を前にすべての歯を失ってしまったと言われています。「歯ぎしみの 拍子ともなり きりぎりす」。これは、歯がまだ顕在だった頃の句に違いありません。そして月日が過ぎ、最後の一本の歯が抜けてしまうと、「歯が抜けて あなた頼むも あもなみだ」という句に自らの気持ちを託しました。歯をすべて失ってようやく、噛むことの大切さを悟ったのか、あとは阿弥陀仏の慈悲にすがるしかないと、一茶も心細くなったのでしょうか。

あけましておめでとうございます。

 平成22年の幕開けです。皆さんあけましておめでとうございます。現在医院にて書類整理しております。今年は、皆様も当院も益々良い年でありますよう御祈念しております。

動物病院でも未収金や医療過誤訴訟が問題に

12月4日付朝日新聞夕刊は、このところペットの治療費を払わない飼い主が増え、動物病院の獣医師らが頭を痛めていると報じています。ある飼い主は、1週間の入院治療を済ませた愛犬を引き取った後、約10万円の治療費を支払わずに雲隠れしてしまいました。飼い主に電話してもつながらず、請求書を送ったものの宛先不明で戻ってきてしまいました。どうやら最初から治療費を払うつもりはなかったようです。

 他にも、「猫の入院治療が終わった」と電話したところ、急に連絡がつかなくなった女性の事例が紹介されています。スタッフが、未払いの治療費約6万円を請求するために女性の自宅を訪ねたところもぬけの殻で、産婦人科からも手紙が来ていました。そこに問い合わせると、「先生のところは猫でよかった。こちらは赤ちゃんを置いていかれた」という話だったといいます。

 この記事は、ペットの治療費の未払いケースの紹介の後、最近ははじめから治療費を払う気のない飼い主の受診が増えているという獣医師たちの嘆きとともに、弁護士を顧問にして未収金対策に乗り出している現況を知らせています。

 産婦人科に出産費用を払わずわが子を置き去りにして、猫も動物病院に遺棄した女性も、もしかすると生活に困って、さらなる悲劇が生じることを避けようとして、苦肉の策でこれらの行動を取ったのかもしれません。ですが、深刻化する不況による生活苦を反映しているというだけでなく、飼い主の責任感の欠如を感じるケースが増えているという獣医師や顧問弁護士らのコメントも無視できないでしょう。

 他方、このようなペット裁判報道もあります。10月27日付朝日新聞は、メスのミニチュアダックスフントが避妊手術で死んだのは、執刀した獣医師に過失があったからだと約461万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地方裁判所が、獣医師に約54万円の支払いを命じたと報じています。判決では、犬はもともと重度の高血糖で、手術によるストレスでさら血糖値が上昇し、低カリウム血症による呼吸停止もしくは心不全が原因で死んだ可能性が高いとして、術後管理を怠った獣医師の過失を認めました。また術後の状態から、入院の意向を確認するべきだとして、説明義務違反の過失も認められました。

 獣医師側は「手術の翌日、飼い主が体調の変化に気付いたが、病院に運ばなかった過失がある」と主張しましたが、裁判官に「飼い主は症状によっては緊急対応が必要という説明を受けていない」として退けられてしまいました。術後管理や説明義務など、ペットに対しても人間と同じように厳しい医療水準を要求されるようになっているようです。

 原告代理人の弁護士は、「認められた賠償額は、最近の高額化傾向の流れに沿ったもので、避妊手術でも、飼い主にしっかり説明すべきだという獣医師への警告になる」とコメントしています。ペットの高齢化や生活習慣病が話題になる中、診療の質の向上を求められ、同時に、冒頭にご紹介したような治療費不払いの増加に悩み、しかも歯科医療などと同様に動物病院も競争の激しさにも悩まされるという状況になってきています。

 ペット医療は保険制度が無いに等しい状況ですから、治療費不払いの率も、今後の経済情勢によって、また飼い主の社会意識によって、上昇する可能性が大です。しかし、10万円程度の未払金の回収コストを考えると法的対処も容易ではありません。記事に紹介されている獣医師の「現在、治療費の不払いは売り上げ全体の2~3%と推測されるが、5%を超すと動物病院の存続にもかかわってくる」というコメントは、問題がかなり深刻であることを示唆しています。

 これは医療に限ったことではありませんが、質の向上やリスクマネジメントが強く要求される一方で、その確保のための原資となる売り上げは絞られていくばかりです。これらの原因は、単にデフレ不況だけとは考えにくく、何かもっと大きな変化を表しているのかもしれません。今回は、その変化の一端を示しているエピソードをご紹介してみました。

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