東京都社会福祉協議会はこのほど、都内での障害者福祉サービスの提供状況に関する調査結果を公表した。指定居宅介護事業者の8割超が、高齢者向けの訪問介護事業者の指定も同時に受けており、知的障害者や精神障害者へのサービス提供が困難な事業所もあることなどが分かった。
調査は、東社協が昨年9月から10月にかけて、都内に1798か所ある指定居宅介護事業者に対して調査票を送付して実施。712か所から回答を得た。
それによると、81.2%の事業者が、「障害者自立支援法に基づく指定居宅介護事業者」であると同時に、「介護保険法に基づく指定訪問介護事業者」だった。東社協では、「障害福祉サービスが不足する中で、高齢者の『訪問介護』を中心として提供している事業者が、障害者の『居宅介護』にも対応するという形態が少なくない」と分析している。
また、「主たるサービス対象」として身体障害者と知的障害者、精神障害者、障害児のすべてを挙げている事業者は46.5%。身体障害者を挙げた事業所は89.9%あったが、知的障害者は72.6%、精神障害者は57.0%、障害児は66.3%だった。東社協では、精神障害者などを対象とする事業所が少ない理由について、「高齢者介護を中心に担っている事業所では、知的障害や精神障害に対応するノウハウが十分にないことが考えられる」としている。
一方、ヘルパーの派遣実績のある事業者の「主たるサービス対象」を見ると、身体障害者88.3%、知的障害者56.7%、精神障害者42.3%、障害児55.5%。東社協では、「身体障害者を除くと、『主たるサービス対象』と派遣実績との開きが大きく見られる実情がある」と指摘している=グラフ=。
さらに、ヘルパーの利用希望を断ったり、ヘルパーの利用に結び付かなかったりした事例を経験している事業者が7割超に上った。その理由としては、▽ヘルパー不足でサービスを拡大できない▽介護保険の訪問介護を中心に展開してきたため、知的障害や精神障害、障害児へのケアのノウハウがない▽サービスの提供に際して困難な事例が多い一方で、相談窓口が