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高額療養費上げ強行せず 首相「丁寧な検討不十分」

石破茂首相は10日の参院予算委員会で、高額療養費制度の自己負担上限額引き上げの8月実施見送り表明に至る検討過程に関し「私の責任だ。丁寧さが十分ではなかったと反省している」と陳謝した。上限額引き上げの扱いについて「強行することはない」と述べた。引き上げ見送りは選挙目当てではないかとの見方を否定した。

 首相は「患者が不安を抱えたまま実施することは、あってはならない」とし、今秋までに改めて方針を検討し、決定する考えを重ねて示した。

 立憲民主党の奥村政佳氏は岩手県大船渡市の大規模山林火災に関し、被災者向けに税制支援を講ずるよう提案。加藤勝信財務相は、被災地のニーズの把握に努めるとした上で「対応に万全を尽くす」と語った。

 参院予算委は首相と関係閣僚が出席して集中審議を実施した。自民、立民両党の参院国対委員長は国会内で会談し、所得税法改正案を審議する参院本会議を12日に開く日程で合意した。

「やぶ医者大賞」にメス、語源の名医が住んでいた兵庫・養父市長が中止表明…「市民に恩恵あるか」

地域医療に貢献する医師をたたえるため兵庫県養父市が開催してきた「やぶ医者大賞」について、大林賢一市長は2025年度は中止にすると明らかにした。「費用対効果を考えた。今後、市民に恩恵があるような内容が考えられれば再開も考えたい」としている。

 同賞は、かつて養父にいた名医が「やぶ医者」の語源になったとの説にちなんだ賞で、全国の医師や歯科医師を対象に選考。これまでに過疎地の診療所の医師ら22人が受賞している。

 大林市長は昨年10月の記者会見で、「市民にとって必要なのかどうか。事業の廃止も含めて見直しを検討したい」と述べていた。今回、当初予算案への事業費計上を見送った。

「高額療養費、限度額引き上げ」日医の考えとは? - 城守国斗・日医常任理事に聞く

 高額療養費の自己負担限度額引き上げに対して、患者団体などから反対意見が続出、国会で連日議論が繰り広げられている。厚生労働省は現時点では、「多数回該当」については据え置き、当初の案から見直す方針だ。

 限度額引き上げを巡っては、議論が十分に尽くされていないとの指摘がある中、厚労省社会保障審議会医療保険部会委員を務める日本医師会常任理事の城守国斗氏に、限度額引き上げの是非や昨今の議論の受け止めについてお聞きした

「直美」が終わり「直産」の時代が到来?

2024年末には「直美」という言葉が少し流行しました。初期研修が終わってすぐに美容クリニック等に就職する先生方のことです。臨床医の仕事のハードさや、待遇の悪さに将来性が見いだせず、美容クリニックへの就職となったのだと思います。

 もっとも、年末から今年にかけて、大型の美容クリニックの倒産が相次ぎ、「直美叩き」もやや収まったようにも感じています。

 僕自身の現在は、臨床医業務が占める比率は2割程度なのですが、医師になった当初は臨床医オンリーでした。その頃には消化器内科、循環器内科などのいわゆる「ハイパー」な内科の先生や、何よりも外科の先生のフットワークの軽さや責任感に強い尊敬と憧れ、そして自分がそういう生き方をできないことへの少しの寂しさを持っていました。今でも自分の心の奥にあるそういった感情が浮かび上がってくることがあります。

 もちろん、現在の若手の先生にも同様の「ハイパー志向」を持っている方も多いだろうなぁとは思いますが、「直美」のように収入や、ライフ・ワークバランスを考える方が増えているのも間違いないことかなと思います。

「直産」、契約1年で終了し企業を転々とする医師も

 最近では「直産」という言葉も聞かれるようになりました。「直美」が女性名でないように「直産」も農産物ではありません。初期研修が終わってから産業医の道に直接入るルートのことです。このルートは昔から産業医科大学には正式にありました。彼/彼女らは在学中から産業衛生について学び、就職後は上級の産業医に教わりながら一人前の産業医として育っていきます。まだ産業医の世界に入って10年程度の僕なんかは彼/彼女らから見るとひよっこみたいなものです。

 最近、産業医科大学出身ではない方でも同様に初期研修直後に産業医になる方をちらほら見かけるようになってきました。彼/彼女らは、紹介会社経由などで専属産業医としてデビューします。確かに当直や夜間呼び出しはないですし、ライフ・ワークバランスも悪くはないのでしょう。ただ、中には産業保健の基本的なことも知らないままこの世界に入ってきて1年で契約終了となり、企業を転々とする方も見られます。さらには、そうやって有名企業の産業医をいくつもやってきた履歴書を武器にして独立開業する強者もいると聞きます。

 これは本人にとっても、また依頼する側の企業にとっても、何よりそこで働く労働者にとってもいい事態であるとは思えません。資格を取るための50時間の研修では産業医業務を専門に行うには十分ではないのです。もちろん、入職してから熱心に学ぶことでそこをクリアしていく「直産」の先生も多いとは思うのですが、そこまで甘くはないという声が実際現場で産業医の指導をしている方から聞こえてきます。

栄養と身体活動、社会参加 フレイル予防3本柱提唱 

年を取って心身の活力が低下した要介護の手前の状態である「フレイル(虚弱)」予防の啓発方針を、自治体関係者や研究者らでつくる「フレイル予防推進会議」がまとめた。「栄養」「身体活動」「社会参加」の3本柱を提唱。日常生活の工夫で予防ができ、健康寿命も延ばせるとして、地方自治体などに資料の活用を呼びかける。

 フレイルとは(1)半年で意図しない2キロ以上の体重減少(2)筋力低下(3)直近2週間の理由のない疲労感(4)歩く速度の低下(5)身体活動低下―のうち三つ以上に当てはまる状態を指す。

 3本柱のうち栄養に関しては、1日3食を欠かさず、そのうち2回以上は主食、主菜、副菜を組み合わせた食事を取ること、エネルギーとタンパク質、ビタミンDを含む多様な食品を選ぶことを勧める。定期的に歯科を受診し、かみ応えのある食べ物を取って口の機能の維持を意識する。

 身体活動の項目では掃除や庭仕事、買い物といった生活の中での活動量を増やし、ウオーキングなどの有酸素運動と筋トレを取り入れるよう促す。

 社会参加も大切で、趣味や学習などの文化活動、ボランティア活動、就労への挑戦を提案する。こうした心がけで、1人で食事をするような環境を避け、誰かと一緒に過ごす機会を増やすことが予防に役立つとした。

 作成に関わった東京大の飯島勝矢(いいじま・かつや)教授(老年医学)は「三位一体で生活に少しずつ足して取り組む必要がある」と話す。健康診断の結果が良くても油断は禁物で、要介護につながる筋肉の衰えに注意が必要だという。

透析患者の骨粗鬆症に対するデノスマブ、骨折リスク低・心血管イベントリスク増

ビスホスホネートかデノスマブか、直接比較した研究はなされていない

 京都大学は1月8日、透析患者の骨粗鬆症に対するデノスマブはビスホスホネートと比較して、骨折リスクを低減させる一方で、心血管イベントのリスクを増加させる可能性があることを、電子レセプトデータを用いたコホート研究により明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学研究科の桝田崇一郎客員研究員、深澤俊貴特定講師、川上浩司教授、松田秀一教授の研究グループによるもの。研究成果は、「Annals of Internal Medicine」オンライン版に掲載されている。

 骨粗鬆症は、高齢化の進行とともに患者数の増加が予想され、重要な健康問題となっている。特に進行した慢性腎臓病(CKD)を有する患者では、そのリスクが顕著に高まる。一般的な骨粗鬆症治療では、経口ビスホスホネートが第一選択薬であるが、腎臓から排泄されるため、CKD患者、特に透析が必要なほど重症のCKD患者においてはその安全性に懸念がある。

 一方、デノスマブは肝代謝のため、透析患者における骨粗鬆症治療の選択肢として広く使用されている。しかし、デノスマブ使用後の低カルシウム血症などの副作用や、心血管イベントへの影響については十分なエビデンスが確立されていない。これまで、透析患者におけるデノスマブとビスホスホネートの安全性と骨折予防効果を直接比較した臨床試験や大規模な観察研究は行われておらず、そのため臨床現場での適切な治療選択が困難となっている。

デノスマブはビスホスホネートに比べ、骨折リスク45%低減も心血管リスク36%増加

 研究では、DeSCヘルスケア株式会社が保有する電子レセプトデータを利用し、可能な限り臨床試験を模倣する「標的試験エミュレーション」という最新の観察研究の枠組みのもと、透析患者の骨粗鬆症に対するデノスマブと経口ビスホスホネートの有効性と安全性を比較するコホート研究を実施した。対象は50歳以上の透析患者で、骨粗鬆症の診断を受け、2015年4月~2021年10月までの間にデノスマブもしくは経口ビスホスホネートを新規に開始した1,032人(デノスマブ群658人、経口ビスホスホネート群374人)だった。薬剤使用開始から3年間の骨折と心血管イベントの発生リスクを評価した。

 結果、デノスマブは経口ビスホスホネートと比較して、骨折リスクを45%低減したが、心血管イベントのリスクを36%増加させた。これらの結果は、透析患者の骨粗鬆症治療薬としてデノスマブが骨折予防において有効である一方で、心血管イベントのリスク増加と関連している可能性を示唆している。

臨床では、患者ごとのリスクとベネフィットを慎重に評価を

 今回の研究は、透析依存患者における骨粗鬆症治療の選択に重要な示唆を与える結果となった。デノスマブは骨折予防に有効であるものの、心血管イベントリスクの増加の懸念が示唆された。臨床現場では患者ごとのリスクとベネフィットを慎重に評価する必要がある。「今後の研究では、これらの結果をさらに検証するための大規模な臨床試験や、心血管イベントリスク増加のメカニズムを解明する研究が必要だ。また、他の骨粗鬆症治療薬との比較や、長期的な安全性と有効性を評価する追跡調査も重要となる。透析患者の生活の質向上と生命予後の改善を目指し、より安全で効果的な治療戦略の確立に向けた研究が期待される」と、研究グループは述べている。

体調不良 救急車呼ぶか様子みるか 判断迷ったら電話「#7119」 医師が願う救急医療の正しい利用

家族や自身の体調が悪くなったとき、すぐに救急受診するべきか、救急車を呼ぶべきか、迷ったことはないでしょうか。特に症状が軽い場合は悩むことも多いでしょう。

 救急外来で働いていると、時折「これはかかりつけ医に相談した方がよかったのではないか」と感じるケースがあります。症状が軽い場合や、慢性的な症状については、まずかかりつけ医に相談することをお勧めします。

 かかりつけ医は日頃の健康状態を把握しているため、適切なアドバイスを得やすく、不要な救急受診を避けることができます。

 一方で、「もう少し早く救急外来を受診した方がよかったのではないか」「救急車を呼んだ方がよかった」と感じることもあります。迷ったときは、電話相談窓口「救急安心センター事業(#7119)」に相談してみてください。県内では9月から導入されており、専門家からアドバイスを受けることができます。

 すぐに救急車を呼ぶべき症状もあります。例えば、「突然の激しい頭痛」「冷や汗を伴う強い胸の痛み」「突然ろれつが回りにくくなった」「突然片方の腕や脚に力が入らなくなった」などです。

 これらは脳卒中や心筋梗塞といった、命に関わる病気の可能性があり、迅速な対応が必要です。こうした症状が現れた際は、一刻を争う状況ですので、迷わず救急車を呼び、適切な検査・治療を受けましょう。

 近年、救急車の搬送件数は増えており、特に高齢者の増加に伴って今後もこの傾向は続くと考えられます。不要な救急受診は、本当に必要な患者の対応が遅れる原因となり、命に関わるリスクを招く可能性があります。

 また、救急医療への負担が増し、医療提供体制の維持が困難となる恐れもあります。不要な救急受診を避け、必要なときには迅速に行動を。救急医療を正しく利用することを切に願います。(武村克哉、琉球大学病院救急外来=西原町)

吸引必要な娘放置死で起訴 32歳母、神戸地検姫路支部

兵庫県で昨年1月、たんの吸引が必要な娘を自宅に放置して窒息死させたとして、神戸地検は24日までに、保護責任者遺棄致死罪で、同市の会社員容疑者(32)を起訴した。13日付。

 起訴状によると、昨年1月27日午後0時20分ごろ、気道確保のためにたんの吸引が必要な娘さん=当時(8)=を自宅に放置して外出し、翌28日午前9時40分ごろまでの間に窒息死させたとしている。

 嶋田被告は母子家庭で、愛美優さんは自力でたんが吐き出せなかった。

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