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AEDためらわず使って 救命に効果、時間が鍵 市民の使用20年で実績

学校やオフィス、商業施設などあらゆるところで目にするようになった自動体外式除細動器(AED)。一般市民の使用が認められて今年で20年を迎えた。この間のデータを分析した結果、心停止した多くの患者の救命につながった半面、使用率の低迷が依然として課題だ。関係者は「救命には時間が鍵。近くにいる人が頼りだ。やり方を学んでためらわずに使って」と訴えている。

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 AEDは、心臓が小刻みに震えて血液を送り出せない状態(心室細動)になった患者の心臓に電気ショックを与えて心臓の拍動を再開させる装置。ショックが必要かどうかは、胸に貼ったパッドから装置自体が感知し、使用者にボタンを押すよう音声などで指示する。最近はボタンを押さなくてもショックを与えるタイプも登場した。

高齢化、医療提供体制の在り方は/青森県長寿研究会

青森県老人保健施設協会(北畠滋郎会長)と全日病青森(淀野啓会長)は20日、青森市のリンクモア平安閣市民ホールで県長寿研究会を開いた。県内の医療、介護、福祉関係者ら約500人が参加。事例紹介などを通じ、高齢者がより良い生活を過ごすための方策をともに考えた。

 特別講演では、厚生労働省の森光敬子医政局長が「これからの日本の医療体制」をテーマに医療の現状や課題を解説。今後は高齢化により訪問診療の需要が高まる一方で在宅医療を提供する医療機関数が伸び悩んでいるとし「ニーズの伸びに対して供給が追い付かないことが予想される」と指摘した。

 また、高齢者数がピークを迎える2040年ごろを見据えて新たに策定する地域医療構想を「入院医療だけではなく、外来・在宅・介護との連携を含めた医療提供体制のあるべき姿」と位置付け考える必要があるとした。医療資源を最適化・効率化しながら「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の体制を構築する方向に進むべき-と説明した。

健康保険証が廃止されます。まいな保険証の準備を

従業員が健康保険の被保険者となった時や、従業員の家族が健康保険の被扶養者となったときには、健康保険証が発行されます。この健康保険証の新規発行が終了し、2024年12月2日以降は新規で発行されなくなります。

スマホにマイナー保険証搭載

厚生労働省は9月 30 日の社会保障審議会医療保険部会で、2025 年春にスマートフォンへ健康保険証とマイナンバーカードを一体化させた「マイナ保険証」の機能を搭載することを明らかにした。Android およびiPhone の双方が対象。マイナンバーカードがなくても、スマートフォンを持っていれば保険診療が受けられるようになるが、医療機関側は現行の顔認証付きカードリーダーとは別の読み取り機を用意する必要がある。

外来医師多数区域に開業規制

厚生労働省は9月 30 日の「新たな地域構想等に関する検討会」で、外来医師多数区域に開業規制を設けるなど「規制的手法」の案を示した。開業規制以外には、「医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大」も挙げており、持続可能な医療提供体制の構築に向け、本腰を入れる姿勢を見せた形だ。

薬局の薬剤師が行う対物業務を効率化

薬局の薬剤師が行う対物業務を効率化するため調剤業務の一部を別の薬局に委託できるようにする新たな制度の整備を巡り、厚生労働省は3日、委託側と受託側双方の義務や責任を法令で規定する案を厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会に示した。 厚労省はまた、患者の安全を確保するため、委託側と受託側の薬局に必要な基準を設定することも提案し、いずれも反対意見はなかった。薬局が行う調剤業務の一部を外部に委託する新たな制度の創設は、限られた資源や時間の中で薬局の薬剤師が行う対物業務を効率化することで、患者への服薬指導など対人業務に注力できる環境を整備するのが狙い。 厚労省が2022年7月に公表した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」の取りまとめでは、外部に委託する業務の対象を、散剤などを除く「一包化」の業務に当面、限定することとされた。

医療ケア児、災害から守れ 地域連携で移送、受け入れ 保健所や福祉施設

地震や大雨の際、日常的に人工呼吸器などを必要とする「医療的ケア児」の避難を地域で連携して支援する取り組みが始まっている。寝たきりの子は移動が難しく、例えば停電で医療機器が使えなくなれば命に関わる。スムーズに避難できるよう、保健所と地域の福祉施設などが事前に移送や受け入れの段取りを整え、災害に備える。

 7月下旬、大阪府茨木市。最大震度6弱の地震が発生したとの想定で、府茨木保健所が医療的ケア児を対象とする避難訓練を実施した。先天性の障害のため人工呼吸器を付ける男子児童(8)と母親(40)が参加した。

 「大きい地震あったけど大丈夫?」。いつも利用している訪問看護事業所が安否確認の電話をすると、母親は「停電している」と訴えた。人工呼吸器のバッテリーは電源がなければ、長くても半日しか持たない。

 事業所などの情報で保健所が福祉施設側に連絡。母親が児童を抱きかかえてバギー型車いすに乗せ、迎えに来た社会福祉協議会の車で3キロ先の施設へ。施設の職員が発電機を稼働させ、人工呼吸器をつないだ。看護師が体調を確認。施設の職員が「避難が完了しました」と保健所に連絡し、訓練は終了した。

 茨木保健所は以前、災害が起きた際は自力での避難を呼びかけていた。医療的ケア児の保護者から不安の声が寄せられ、方針を転換。昨年1月以降、発電機を備え、ケア児の受け入れが可能な施設計12カ所と避難に関する協定を締結している。災害時は保健所が施設を手配し迅速に移送する。

 男児は普段、自宅からの外出でも、人工呼吸器や吸入器、薬、おむつなど大量の荷物に、車の運転と介助者が必要。母親は「災害時に親だけで守ることはできない。地域の理解や協力は欠かせず、こうした取り組みが他の地域でも進んでほしい」と話した。

 地域でケア児の避難を支援する動きは、青森県弘前市や千葉県香取市、新潟県新発田市、鹿児島県薩摩川内市など各地で広がりつつある。

 ケア児は、厚生労働省によると全国で推計約2万人いる。改正災害対策基本法は、ケア児や高齢者らの「個別避難計画」の作成を自治体の努力義務とする。だが、避難計画は自力で逃げることを前提としているほか、避難する際の支援者が見つからないケースもあるなど課題は多い。

 内閣府などによると、今年4月時点で約92%の自治体が計画作成に着手しているものの、計画に基づく訓練を実施したのは約17%にとどまっている。茨木保健所の担当者は「日頃から保健所と施設が密に連携してきた。地域でケア児の命を守るためには顔の見える関係を築くことが重要」と語った。

ペイハラ対策、警察連携も 患者の暴言、理不尽要求... 看護師「日常茶飯事」

患者や家族から医療従事者が暴言や理不尽な要求などを受けるペイシェントハラスメント(ペイハラ)が問題視されている。診察内容に不満な患者が居座ったり、自分や家族の診察を優先するよう要求したりするものから、暴力やセクハラといった事件性を帯びた被害もあり、警察と連携して講習を開く病院も出てきた。識者は「国や自治体などが主導し、業界全体で対策をとる必要がある」と話している。
 腕や胸ぐらをつかまれた講師役の署員が相手の手をふりほどく方法を披露し、職員も実践。署員は「精神的な負担を減らし、被害を深刻化させないためにも上司へ報告、警察に通報を」などと呼びかけた。

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