記事一覧

冬は心筋梗塞に注意

 本格的な冬がやってきた。室内と屋外の気温差が激しい冬は、死につながることの多い心筋梗塞の発症が増える季節だ。雪国の暮らしで避けられない除雪も心臓にとっては負担が大きい。十分気をつけて安全に冬を乗り切ろう。
         北海道新聞 2011.11.23

生活保護にメス、「医療機関への指導強化を」

行政刷新会議ワーキングループの「提言型政策仕分け」の最終日の11月23日、生活保護がテーマになり、医療扶助費の適正化のために、生活保護の指定医療機関に対する指導強化のほか、後発医薬品の利用促進や利用の義務付け、償還払いを前提とした一部自己負担導入などを検討すべきだと指摘。さらに、「医療機関のモラルハザードが大きいことから、その実態把握の仕組みを構築し、不適切な医療を行っている医療機関は、生活保護の指定を外すなど厳格な対応を行うべき」とされ、医療機関に対し厳しい提言がなされた(資料は、行政刷新会議のホームページに掲載)。

 生活保護費は2011年度当初予算で3兆4235億円、うち約半分を医療扶助費が占める。医療扶助の場合、患者の自己負担はゼロであり、財務省は、「全額税負担で自己負担が一切ないため、患者と医療機関の双方にモラルハザードが生じやすいことを踏まえ、後発医薬品の促進など生活保護医療の適正化を強化すべき」と問題提起した。


仙谷由人・政調会長代行は、生活保護の指定医療機関はモラルハザードを起こしている現状を問題視。

 特に現行の仕組みを問題視した一人が、仙谷由人・政調会長代行。「知り合いの良心的な病院経営者によると、医療機関の経営では未払いの問題が大きい。しかし、生活保護に限っては国が全額支払うので、経営上はこれほどいいものはない、とのことだった」と説明。その上で、「モラルハザードを起こしているのは、患者よりも医療機関、というのが直観」とし、電子レセプトなどを活用し、生活保護の指定医療機関に対する調査等を充実すべきだとした。

 慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏も、「いまだに過剰受給、不正受給の問題が時々出ている。これらを減らすことができれば、税金をより有効に活用できる」と指摘、医療扶助の適正化を求めた。

侮れません RSウイルス感染症

毎年冬に流行するRSウイルス感染症。乳幼児を中心に風邪のような症状が表れるが、細気管支炎などを起こして重症化するケースもある。特に乳幼児は兄姉から感染する例が多く、予防に努めることと、症状が出たら速やかに医療機関を受診することが大切だ。RSウイルスには、2歳までにほぼ100%の人が感染し、その後も感染を繰り返す。大人や年長児は鼻風邪程度で済むことが多いが、初めて感染した乳幼児の3分の1が細気管支炎や気管支炎、肺炎を起こし、1~3%は重症化して入院が必要になるといわれる。RSウイルス感染症は激しい下痢や脱水などを起こすロタウイルス感染症と並び、小児科では最も注意すべき疾患。
            2011.10.26 北海道新聞

小規模多機能、半数が赤字

ファイル 2363-1.gif

全国の小規模多機能型居宅介護事業所のうち、約半数の収支が赤字であることが、10月13日までの介護労働安定センターの特別調査「小規模多機能型居宅介護実態調査」で明らかになった。また、赤字の事業所の約8割は利用者確保に苦しんでいることも分かった。

のどの渇きを我慢しない=當瀬規嗣 真健康論 第10回

 「のどが渇く」とは、水を飲みたい気持ちを表現しています。つまり、体が水分不足になっているサインです。ところで、実際にのどの渇きを感じているときに、鏡でのどの奥をのぞいてください。のどの粘膜はみずみずしくぬれていて、決して乾燥などしていません。もちろん、乾いた空気や話しすぎなどで、のどの粘膜が乾燥することはありますが、その時はまさにのどが乾燥して張り付くような感覚になり、水を飲みたいという欲求は出ないはずです。

 のどの渇きを感じる仕組みはのどではなく、脳の一部である視床下部の中にあり、渇(かつ)中枢と呼びます。渇中枢は、血液の濃さを監視していて、血液が正常より濃くなると、水分不足と判定して、のどの渇きを作り出します。それで人は水を飲むので、血液は水分で薄められて、元に戻るのです。

 というわけで、通常は、のどの渇きに従って水分を補給すれば、水分不足にならないはずです。ところが、現代人は、のどの渇きに一定程度慣れてしまった傾向があるようです。それは、例えば仕事中は多少のどの渇きを覚えても我慢して仕事を続ける、お風呂に入って渇きを感じても風呂から上がるまで水は飲まないなど、我慢する場面が意外と多いということです。

 のどの渇きを我慢すると、水分不足を解消するために、渇中枢によりバゾプレッシンというホルモンが出て、腎臓でおしっこから水分を回収し始めます。その結果、色の濃いおしっこが出るよう

になるのです。もし、おしっこの色がいつもより濃いと気付いたら、体が水分不足になっている可能性があります。ですから、こまめな水分補給が現代人に必要だと思われます。

 ところで、お風呂上がりに「のどが渇いた!」といってビールを飲み始める人が、たくさんいますね。でも、気をつけてください。ビールの冷たさや炭酸の泡がのどの粘膜を刺激して渇きを癒やしますが、水分補給としては極めて効率が悪いのです。なぜなら、ビールやお酒のアルコールはバゾプレッシンの分泌を抑え、おしっこの量を増やすので、飲んだ以上の水分を失う可能性があります。お風呂上がりにビールを飲んだら、眠る前に必ず真水を飲んで水分を補給してください。(とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)
毎日新聞社 10月23日(日) 配信

地域包括ケアで体系整備 医療と介護の連携強化 報酬改定の合同会議

診療報酬と介護報酬が2012年度に同時改定となることを受け、中央社会保険医療協議会(中医協)と社会保障審議会介護給付費分科会の代表者が21日、合同会議を開いた。在宅での医療、介護サービスを連携して提供する「地域包括ケアシステム」(12年度導入予定)の円滑な実施に向けて両報酬の体系を整備することで合意した。 

『ランセット』編集長が語る、日本の医療、2つの弱点

 1つ目は、日本人の健康にこれだけ貢献してきた国民皆保険制度が、高齢社会の到来、雇用形態の変化、官僚主義などによって殺されかけているということです。全国に3500もの保険者が存在し効率性が落ちています。保険者によって保険料が大きく異なり、格差が拡大しています。特集号では、保険者を都道府県レベルで統合し、保健医療資源の配分や財源について権限と責任を都道府県に移譲せよ、といった踏み込んだ提言をしています。とにかく、抜本的な構造改革が喫緊の課題です。
もう1つの弱点はプライマリケアです。急性期医療の水準は非常に高いのですが、慢性疾患の医療の質が高くありません。高血圧や脂質異常症の管理目標は薬剤が投与されている患者の半数程度でしか達成されておらず、喫煙、肥満への介入も不十分との分析結果がでています。加えて、ゲートキーパーとしての訓練を十分に受けたプライマリケア医が不足しているため、患者の振り分けが効率的になされておらず、それが高次医療機関の医師たちの疲弊を招いています。

介護職のたん吸引などに関し、改正省令公布

厚生労働省は10月3日付で、一定の研修を受けた介護職員らが、たんの吸引や経管栄養を実施するための改正省令を公布した。改正省令では、介護職員が実施する具体的な医行為や、そのために必要な研修の内容のほか、研修を担当する施設が満たすべき要件についても明記されている。改正省令は2012年4月1日付で施行される。

 介護職員らが実施できるようになるのは、たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)。実施に当たっては、基本研修のほか、施設や在宅などの現場で、たん吸引などの実地研修を受けなければならない。

 研修内容は、不特定多数の利用者を対象とする場合と、重度障害者など特定の利用者を対象とする場合に大別される。
 不特定多数の利用者を対象とする場合については、さらに「たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)を実施できる」と「気管カニューレ内部を除くたん吸引と、経鼻以外の経管栄養を行う」の2類型に分けられる。いずれも、講義を中心とした基本研修を受講した上で、それぞれの類型に応じた実地研修を受けなければならない。
 一方、特定の利用者を対象とする場合は、基本研修とその利用者に必要な行為についての実地研修を受講する。認定後は、その利用者に対してのみ、研修を受けた行為だけを実施できる。

過去ログ