厚労省は1月20日、後期高齢者医療制度廃止後の新制度の施行期日について、当初予定の25年3月から26年3月以降に先送りすることを正式に表明した。今春の通常国会での成立が困難になったことから、25年3月施行までには自治体のシステム改修が間に合わないと判断したためだ。ただ26年3月施行という前提も、都道府県の合意を得て法案作成できた場合で、しかも臨時国会で野党の協力を受けて成立したケースに限られることから「最短で」という意味合いを含んだものとみられている。
厚労省は1月20日、後期高齢者医療制度廃止後の新制度の施行期日について、当初予定の25年3月から26年3月以降に先送りすることを正式に表明した。今春の通常国会での成立が困難になったことから、25年3月施行までには自治体のシステム改修が間に合わないと判断したためだ。ただ26年3月施行という前提も、都道府県の合意を得て法案作成できた場合で、しかも臨時国会で野党の協力を受けて成立したケースに限られることから「最短で」という意味合いを含んだものとみられている。
東日本大震災の被災地、岩手県釜石市の釜石のぞみ病院で、11日の巨大地震に伴い起きた停電でたんの吸引装置が使えなくなり、70~90代の入院患者8人が肺炎などを悪化させ死亡したことが17日、分かった。
病院によると、入院していた約140人中、半数ほどが定期的なたん吸引の必要な患者で、電動の吸引装置を使っていた。停電後、医師や看護師が手動で吸引して回ったが、8人は気管支にたんが入って誤嚥(ごえん)性肺炎を起こすなどし、16日までに死亡した。
電気は16日に復旧したが、装置は圧力配管が損傷したため、まだ使えない。他の患者約10人も症状が悪化しており、別の病院への搬送を待っている状態という。
国立感染症研究所感染症情報センターは、東日本大震災の被災地や避難所で注意すべき感染症として、▽急性胃腸炎▽インフルエンザ▽急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)▽はしか▽破傷風▽創傷関連感染症―の6種類を挙げ、症状や予防法などをホームページ上でそれぞれまとめている。
■急性胃腸炎
同センターによると、急性胃腸炎にはウイルス性と細菌性があり、主な症状は下痢、嘔吐、発熱など。この季節に多いのはウイルス性で、ノロウイルスやロタウイルスは感染力が強く、少量のウイルスで感染すると考えられている。
感染経路は主に糞口感染で、予防のためには排せつ物や吐物の適切な処理、手洗い、汚染された衣類の消毒などが重要という。ウイルス性の胃腸炎を発症した場合には、特別な治療法はなく、脱水予防と下痢への対症療法が基本になる。
■インフルエンザ
今シーズンのインフルエンザの流行については、1月下旬をピークに患者数が減少しているが、2月下旬ごろからB型の流行による感染拡大が見られており、避難所などでもB型を中心にしたインフルエンザの集団発生が今後、多発する可能性がある。
インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、予防にはせきエチケットと手指衛生の徹底が基本となる。同センターでは、38度以上の高熱やせき、のどの痛みなどの急性呼吸器症状を発症した人がいれば、インフルエンザを疑ってほしいとしている。ただ、感染しても軽症のためインフルエンザと診断されない人もおり、感染拡大や重症者の発生を防ぐには、高齢者や乳幼児などリスクが高い人を中心にした抗インフルエンザウイルス薬の予防内服も選択肢に入れるべきだという。
■急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)
急性呼吸器感染症は、インフルエンザウイルスのほか、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどのウイルスや、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌によって引き起こされる症候群の総称。急性呼吸器感染症のすべてを予防するワクチンはないが、せきエチケットの徹底を推奨している。
■はしか
はしかは発熱、発疹などが主な症状で、肺炎などによる重症化も高い頻度で見られる。しかも、感染経路は空気感染で感染力が非常に強く、避難所のように人が集まる場所では注意が必要という。
唯一の予防法は、ワクチンを接種してあらかじめ免疫を獲得しておくことで、はしかを強く疑わせる患者がいる場合には、これまでに接種を受けていない人などに対する緊急接種などを検討する必要がある。
■破傷風
破傷風は、土壌中に広く常在する破傷風菌が産生する毒素により強直性けいれんを引き起こす感染症で、土壌やがれきなどで傷を負った人には注意が必要。3-21日の潜伏期間の後に開口障害や嚥下困難などの局所症状を呈した後、全身に症状が移行し、重症の場合には呼吸筋のまひによって窒息死することもある。
予防にはワクチンが有効で、通常は傷を負った人に接種する。破傷風を含むワクチンを接種したことがない人には、破傷風トキソイドと共に破傷風特異的免疫グロブリンを投与すべきだという。
■創傷関連感染症
汚染の強い外傷や、海水の暴露を受けた外傷は、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌のほか、大腸菌などのグラム陰性桿菌、嫌気性菌などによる感染症の原因になる恐れがある。同センターでは、創傷への適切な処置に加え、感染リスクの高い創傷に対する予防的な抗菌薬の投与を勧めている。
( 2011年03月17日 16:21 キャリアブレイン )
厚生労働省の宮島俊彦老健局長は3月6日、東京都内で開かれた日本介護経営学会のシンポジウムで講演し、国が実現を目指す介護従事者によるたん吸引などの医行為について、「今回は一つの取っかかり。(厚労省の検討会で論点に挙がっている)専門介護福祉士の議論を早くやってもらう必要がある」と述べた。
宮島局長は、介護保険の長期的な課題に「介護の質の確保」を挙げ、▽医療ケア▽リハビリテーション▽認知症ケア―を柱とした専門性が介護現場では求められていると指摘。特に医療ケアに関しては、介護福祉士らがたん吸引と経管栄養を行える体制の整備を足掛かりに、「医療・介護の垣根を低くしていく中で、どちらかというと介護福祉士サイドが医療を吸収していくことになるだろう」との見通しを示した。
また、介護職の在り方について、利用者と多く接するホームヘルパーと介護福祉士が専門性を高める努力を継続する必要があると主張。その促進策として、「専門性の多寡を介護報酬に反映することが、(将来の)介護(分野)の1つの姿だろう」と語った。さらに、ケアマネジャーもこの専門性に対応できるように養成し、評価するしくみが求められるとした。
( 2011年03月07日 12:00 キャリアブレイン )
経口ビスホスホネート製剤を5年以上投与すると大腿骨の非定型骨折リスクが上昇すること、ただしその絶対リスクは小さいことが、カナダSt. Michael’s HospitalのLaura Y. Park-Wyllie氏らが行った過去最大規模の研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2011年2月23日号に掲載された。
経口ビスホスホネートは、骨粗鬆症性骨折予防に広く用いられているが、近年、その長期使用が大腿骨の非定型骨折を増やす可能性が懸念されるようになった。著者らは、大腿骨転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折のリスクと長期的なビスホスホネート使用の関係を調べるために、68歳以上の女性を対象に集団ベースのネステッドケースコントロール研究を実施した。
ビスホスホネートの投与期間は、患者1人1人のリスクと利益のバランスを考えて決定する必要がある。骨折リスクが高く、長期継続が必要な患者には、休薬期間を設けるなどの方法が有効である可能性があり、今後、リスクをより小さく、利益をより大きくする方法を明らかにする必要がある、と著者らは述べている。
認知症の末期で食事を取れなくなったお年寄りに対し、胃に穴を開ける「胃ろう」や点滴で水分と栄養を補給することについて、医師の約9割が取り組むかどうかの決断に難しさを感じ、始めた後も4割以上が途中でやめた経験があることが27日、日本老年医学会の調査で分かった。
調査を担当した東大大学院の会田薫子(あいた・かおるこ)特任研究員(死生学)は「栄養補給の手段がありながら実施しないことに抵抗を覚えるのは自然な感情。補給するとかえって患者の苦痛が増したり、家族から『自然にみとりたい』と懇願されたりすることもある。どちらを選ぶか医師は悩んでいる」と分析している。
今回の調査対象は、認知症末期患者への胃ろうや点滴による水分と栄養の補給。「方針を決める際にどの程度の困難を感じたか」の問いに「非常に感じた」が16%、「ある程度感じた」が46%、「少し困った」は27%で、約9割が何らかの抵抗を感じていた。「感じなかった」は6%。
補給を始めた後、中止した経験は「なし」が53%、「あり」は44%。
補給するかどうかの決定が困難な理由(複数回答)は「本人の意思が不明」(73%)が最も多く、「口から食べさせることによる肺炎や窒息の危険」(61%)、「家族の意思が統一されていない」(56%)の順。「補給を控えることの倫理的問題」(51%)、「補給に踏み切る判断基準」(45%)、「補給することに関する倫理的問題」(33%)のほか、「刑事面での問題」(23%)、「民事訴訟の懸念」(14%)と法的な問題を挙げた人もいた。
中止を決めた理由(複数回答)は「下痢や肺炎を起こすなど医学的理由」(68%)に続き、「家族が中止を強く望んだ」(43%)、「継続は患者の苦痛を長引かせると判断した」(23%)など。
昨年10~11月、学会の会員医師4506人に調査用紙を郵送し、1554人から有効回答を得た。医師の勤務先は病院や療養型医療施設、老人保健施設など。
厚生労働省は、「介護職員によるたんの吸引等の試行事業」の実施状況に関する中間報告を、2月21日に開かれた「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)の会合で公表した。試行事業のうち、不特定多数の利用者に医行為を実施することを前提とした研修では、気管カニューレ内のたんの吸引と経鼻経管栄養の実習が、他の医行為に比べて大幅に遅れている。
今回の試行事業では、実地研修として「たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内)」と、「経管栄養(胃ろうまたは腸ろう、経鼻)」を行うことになっている。不特定多数の利用者に医行為を実施することを前提とした研修の場合、一定の条件下で利用者に対する実地研修を20回以上(口腔内のたんの吸引だけは10回以上)行う必要がある。実地研修は今年1月から2月末をめどに行われている。
厚労省によると、不特定多数の利用者を対象とした実地研修で、「まだ一度も実習を行っていない人」の割合(2月14日段階)は、「鼻腔内のたんの吸引」(参加者は137人)で24.1%、「口腔内のたんの吸引」(同137人)で12.4%、「胃ろう・腸ろうによる経管栄養」(同137人)で10.2%だった。一方、「気管カニューレ内のたんの吸引」(同114人)は59.6%、経鼻経管栄養(同135人)は42.2%だった。一部の実習の進ちょくが遅れている点について同省では、介護施設や在宅介護の現場で、「気管カニューレ内のたん吸引」などを必要とする利用者が少ないことが背景にあるのではないかとしている。
この報告を受け、桝田和平構成員(全国老人福祉施設協議会介護保険委員会委員長)は、「気管カニューレ内のたんの吸引については、不特定多数に医行為を実施する試行事業から外すべきではないか」と提言。一方、平林勝政構成員(國學院大法科大学院長)は「(気管カニューレ内のたんの吸引は)基本的に外すべきではない」とし、実習の場所を工夫し、協力を得られる利用者の確保に努めるべきと訴えた。また、内田千恵子構成員(日本介護福祉士会副会長)は、「十分に実習できないまま見切り発車するのは認められない」とし、実習の機会が十分に確保できる医行為から、段階を踏んで制度化すべきと述べた。
( 2011年02月21日 22:55 キャリアブレイン )
糖尿病を患う人が増加の一途をたどっている。国内の患者数は昨年、1000万人を突破したともいわれ、「成人の10人に1人が糖尿病」の時代になった。深刻な合併症を回避するには、やはり早期発見がカギを握るが、多くの人は、自覚症状のないまま病気を進行させてしまっているのが現状だ。こうした中、「身近な地域の薬局で、気軽に糖尿病の血液検査をしてみよう」というユニークな試みが東京都足立区内で行われている。新たなアプローチで糖尿病の早期発見を目指すプロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」をリポートする。
■検査のハードルを下げる「医薬連携」
「糖尿病が心配な方、朗報です!」―。綾瀬駅から歩いて数分、「あやせ薬局」(飯泉千春代表取締役)の入り口に、こんな張り紙が見えた。駅前商店街の一角で調剤も行う、いかにも「町の薬屋さん」らしい店構え。「糖尿病診断アクセス革命」は、こうした地域の薬局で糖尿病の診断基準の一つ「HbA1c(ヘモグロビンA1c)値」を無料測定できることが、一番のポイントだ。
このプロジェクトは、東大と足立区医師会、区薬剤師会、地域の糖尿病対策を推進するNPO法人ADMS(アダムス)の共同研究事業として、昨年10月にスタートした。HbA1c値の簡易測定機器を区内9か所の薬局に設置。指先からの微量採血で、すぐに結果が分かる。糖尿病検査のハードルを下げることで、より多くの未診断患者や予備群の発見と治療につなげようとの狙いで、「医薬連携」の取り組みになっている。