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計画停電…その時、介護施設は?

戦後初の計画停電が始まって1週間余りが経過した。病院と同様、利用者の生命と生活を支える上で、電気が欠かせないはずの介護施設では、どのようにして“輪番”を乗り切っているのだろうか。
 今回の計画停電は、朝6時20分から午後10時まで、5つのグループに分けて実施されている。どの時間帯に停電しても、3食のいずれかの準備・後片付けに影響が及ぶが、特に午後3時20分や4時50分から始まる停電は、最もメニューが多い夕食の準備と重なる時間が多く、栄養士らにとって大きな負担となる。

■140食分を階段で運ぶ

 東京都瑞穂町の老健施設「菜の花」では、「午後3時20分からの停電」が、既に2回実施された。
 3月17日にも、午後3時20分すぎ、一斉に施設内の電気が消えた。
 暗くなった厨房では、懐中電灯の明かりを頼りに、夕食の準備が進められていた。この日は「ジャガイモのふろふき」などが予定されていたが、停電によって電熱器が使用できなくなることを予測し、「ジャガイモの煮物」にメニューを変更したという。
 「そのほかでも、魚のボイル焼きは煮魚にするといったようにメニューを変更し、停電に対応しています」(管理栄養士の佐久間眞理子さん)

 工夫はメニューの変更ばかりではない。停電中の食事の準備時間を少しでも短くするため、夕食を通常より15分早い午後5時半から開始。さらに、準備を担当する栄養士も通常より1人多く配置することで、作業の効率化を図った。
 特に苦労したのは、配膳の際、エレベーターを使えないため、140食分の夕食を階段で運ばなければならない点だった。この問題を解決するため、「菜の花」では、リハビリのスタッフや生活相談員、隣接するデイサービスセンターのドライバーまでを総動員。約20人のスタッフを投入し、配膳の準備を行った。

 この日は、すべての作業をスケジュール通りに終えることができた。しかし、窓もなく昼でも薄暗い階段を、両手がふさがった状態で上る作業に、佐久間さんは不安を感じている。
 「もちろん、万一の転倒事故が発生しないよう万全は尽くしていますが…。決して安全な作業とは言えないでしょう」

■停電中の転倒事故も発生

 事実、他の施設では、計画停電中に転倒事故が発生した例もある。東京都足立区の老健施設「レーベンハウス」では、3月23日までに、利用者の転倒事故が数件発生した。幸い、いずれもかすり傷程度で済んだが、特に夜間の停電中、こうした事故が発生しやすくなるという。
 「夜間には、98人の利用者に対して5人の職員で対応しています。その上、暗く見通しが利かない廊下では、視界も狭くなる。それだけに、転倒したと分かっても、すぐに駆け寄るのは難しいのです」(葛生栄作事務部長)

■1台の機械で5、6人のたん吸引を実施

 もう一つの問題が、人工呼吸やたん吸引など、電気が必要な処置の継続だ。レーベンハウスでは、10数人の利用者がたん吸引を必要としているが、停電中も使える充電式の吸引器は2台しか用意できていない。つまり、停電中は、5、6人の患者の吸引を1台の機械でこなさなければならないのだ。特に、たんの吸引が不可欠な食事時に停電が起こった時には、難しい対応を迫られる。
 「たん吸引が必要な利用者だけで2つのグループをつくり、それぞれに数人の看護師を張り付かせ、必要になったら、どんどん吸引していくやり方で乗り切っています。それでも、食事に必要な時間は(6台の吸引器を使える)通常時の倍はかかります」(葛生事務部長)

 配膳にしても、たんの吸引にしても、電気がない分、より多くの人手が求められるのは間違いない。こうした状況に対応するため、レーベンハウスでは、計画停電の実施が発表された後、職員の勤務スケジュールを一新。停電が予定される時間帯は、隣接する病院から職員の応援を得るなどして、多めの人員を配置している。22日には東京電力が、現在ある5グループをさらに5つずつに細分化する新たな計画停電の実施方法を発表したが、葛生事務部長は「問題ない。今まで通りの人海戦術を行うだけ」と話す。
 ただ、一方で不安もあるという。
 「まだ(停電が始まって)1週間余りしか経過していないので職員も気が張っており、大きなアクシデントも起こっていないが、緊張の糸が切れた時が怖い。(停電終了のめどとされている)4月末まで、大きなアクシデントを回避できるか、正直、心配です」
( 2011年03月23日 22:34 キャリアブレイン )

停電で入院患者8人死亡 たん吸引装置使えず

東日本大震災の被災地、岩手県釜石市の釜石のぞみ病院で、11日の巨大地震に伴い起きた停電でたんの吸引装置が使えなくなり、70~90代の入院患者8人が肺炎などを悪化させ死亡したことが17日、分かった。

 病院によると、入院していた約140人中、半数ほどが定期的なたん吸引の必要な患者で、電動の吸引装置を使っていた。停電後、医師や看護師が手動で吸引して回ったが、8人は気管支にたんが入って誤嚥(ごえん)性肺炎を起こすなどし、16日までに死亡した。

 電気は16日に復旧したが、装置は圧力配管が損傷したため、まだ使えない。他の患者約10人も症状が悪化しており、別の病院への搬送を待っている状態という。

高齢者と国保組合見直し、国保法改正法案提出は「検討中」

厚労省は1月19日、民主党厚生労働部門会議(石毛鍈子座長)で通常国会への提出予定法案を説明した。子ども手当関連法案(予算関連)や介護保険法改正案など6本は提出が「確定」されたが、後期高齢者医療制度廃止後の新制度を規定した国保法等改正案(仮称)など4本は「検討中」との位置づけで、確定が見送られた。国保組合の補助制度見直しは同法案に盛り込まれることになった。

高齢者と国保組合見直し、国保法改正法案提出は「検討中」

厚労省は1月19日、民主党厚生労働部門会議(石毛鍈子座長)で通常国会への提出予定法案を説明した。子ども手当関連法案(予算関連)や介護保険法改正案など6本は提出が「確定」されたが、後期高齢者医療制度廃止後の新制度を規定した国保法等改正案(仮称)など4本は「検討中」との位置づけで、確定が見送られた。国保組合の補助制度見直しは同法案に盛り込まれることになった。

新高齢者医療制度の施行、26年3月以降に/厚労省表明

厚労省は1月20日、後期高齢者医療制度廃止後の新制度の施行期日について、当初予定の25年3月から26年3月以降に先送りすることを正式に表明した。今春の通常国会での成立が困難になったことから、25年3月施行までには自治体のシステム改修が間に合わないと判断したためだ。ただ26年3月施行という前提も、都道府県の合意を得て法案作成できた場合で、しかも臨時国会で野党の協力を受けて成立したケースに限られることから「最短で」という意味合いを含んだものとみられている。

停電で入院患者8人死亡 たん吸引装置使えず

東日本大震災の被災地、岩手県釜石市の釜石のぞみ病院で、11日の巨大地震に伴い起きた停電でたんの吸引装置が使えなくなり、70~90代の入院患者8人が肺炎などを悪化させ死亡したことが17日、分かった。

 病院によると、入院していた約140人中、半数ほどが定期的なたん吸引の必要な患者で、電動の吸引装置を使っていた。停電後、医師や看護師が手動で吸引して回ったが、8人は気管支にたんが入って誤嚥(ごえん)性肺炎を起こすなどし、16日までに死亡した。

 電気は16日に復旧したが、装置は圧力配管が損傷したため、まだ使えない。他の患者約10人も症状が悪化しており、別の病院への搬送を待っている状態という。

被災地、6種類の感染症に注意を

国立感染症研究所感染症情報センターは、東日本大震災の被災地や避難所で注意すべき感染症として、▽急性胃腸炎▽インフルエンザ▽急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)▽はしか▽破傷風▽創傷関連感染症―の6種類を挙げ、症状や予防法などをホームページ上でそれぞれまとめている。
■急性胃腸炎
 同センターによると、急性胃腸炎にはウイルス性と細菌性があり、主な症状は下痢、嘔吐、発熱など。この季節に多いのはウイルス性で、ノロウイルスやロタウイルスは感染力が強く、少量のウイルスで感染すると考えられている。
 感染経路は主に糞口感染で、予防のためには排せつ物や吐物の適切な処理、手洗い、汚染された衣類の消毒などが重要という。ウイルス性の胃腸炎を発症した場合には、特別な治療法はなく、脱水予防と下痢への対症療法が基本になる。

■インフルエンザ
 今シーズンのインフルエンザの流行については、1月下旬をピークに患者数が減少しているが、2月下旬ごろからB型の流行による感染拡大が見られており、避難所などでもB型を中心にしたインフルエンザの集団発生が今後、多発する可能性がある。
 インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、予防にはせきエチケットと手指衛生の徹底が基本となる。同センターでは、38度以上の高熱やせき、のどの痛みなどの急性呼吸器症状を発症した人がいれば、インフルエンザを疑ってほしいとしている。ただ、感染しても軽症のためインフルエンザと診断されない人もおり、感染拡大や重症者の発生を防ぐには、高齢者や乳幼児などリスクが高い人を中心にした抗インフルエンザウイルス薬の予防内服も選択肢に入れるべきだという。

■急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)
 急性呼吸器感染症は、インフルエンザウイルスのほか、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどのウイルスや、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌によって引き起こされる症候群の総称。急性呼吸器感染症のすべてを予防するワクチンはないが、せきエチケットの徹底を推奨している。

■はしか
 はしかは発熱、発疹などが主な症状で、肺炎などによる重症化も高い頻度で見られる。しかも、感染経路は空気感染で感染力が非常に強く、避難所のように人が集まる場所では注意が必要という。
 唯一の予防法は、ワクチンを接種してあらかじめ免疫を獲得しておくことで、はしかを強く疑わせる患者がいる場合には、これまでに接種を受けていない人などに対する緊急接種などを検討する必要がある。

■破傷風
 破傷風は、土壌中に広く常在する破傷風菌が産生する毒素により強直性けいれんを引き起こす感染症で、土壌やがれきなどで傷を負った人には注意が必要。3-21日の潜伏期間の後に開口障害や嚥下困難などの局所症状を呈した後、全身に症状が移行し、重症の場合には呼吸筋のまひによって窒息死することもある。
 予防にはワクチンが有効で、通常は傷を負った人に接種する。破傷風を含むワクチンを接種したことがない人には、破傷風トキソイドと共に破傷風特異的免疫グロブリンを投与すべきだという。

■創傷関連感染症
 汚染の強い外傷や、海水の暴露を受けた外傷は、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌のほか、大腸菌などのグラム陰性桿菌、嫌気性菌などによる感染症の原因になる恐れがある。同センターでは、創傷への適切な処置に加え、感染リスクの高い創傷に対する予防的な抗菌薬の投与を勧めている。


( 2011年03月17日 16:21 キャリアブレイン )

介護職の専門性、「たん吸引は取っかかり」

厚生労働省の宮島俊彦老健局長は3月6日、東京都内で開かれた日本介護経営学会のシンポジウムで講演し、国が実現を目指す介護従事者によるたん吸引などの医行為について、「今回は一つの取っかかり。(厚労省の検討会で論点に挙がっている)専門介護福祉士の議論を早くやってもらう必要がある」と述べた。
 宮島局長は、介護保険の長期的な課題に「介護の質の確保」を挙げ、▽医療ケア▽リハビリテーション▽認知症ケア―を柱とした専門性が介護現場では求められていると指摘。特に医療ケアに関しては、介護福祉士らがたん吸引と経管栄養を行える体制の整備を足掛かりに、「医療・介護の垣根を低くしていく中で、どちらかというと介護福祉士サイドが医療を吸収していくことになるだろう」との見通しを示した。

 また、介護職の在り方について、利用者と多く接するホームヘルパーと介護福祉士が専門性を高める努力を継続する必要があると主張。その促進策として、「専門性の多寡を介護報酬に反映することが、(将来の)介護(分野)の1つの姿だろう」と語った。さらに、ケアマネジャーもこの専門性に対応できるように養成し、評価するしくみが求められるとした。
( 2011年03月07日 12:00 キャリアブレイン )

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