記事一覧

胃ろうの造設「家族の介護力を評価して考えるべき」

新宿ヒロクリニック院長で、全国在宅療養支援診療所連絡会世話人の英裕雄氏は1月16日、全国訪問ボランティアナースの会キャンナスが主催するセミナー「あなたは食べられなくなったら胃ろうを造りますか?」で基調講演した。英氏は、要介護4や5の人のターミナルケアを在宅で実現するには家族介護が不可欠と強調した上で、「家族の介護力を評価し、胃ろうの造設を考えるべき」と訴えた。

AED設置率、公共施設で95.9% 群馬県調査「今後は使い方周知を」

心肺停止状態で倒れた人に電気ショックを与えて蘇生させるAED(自動体外式除細動器)の公共施設設置率が、県内では95・9%に上っていることが県のまとめで分かった。県は「今後は使い方の周知に力を入れたい」と話している。

 調査は35市町村にアンケートで実施。県と各市町村がAEDの設置が必要と判断した計1668施設(10年6月1日現在)での設置状況をまとめた。その結果、95・9%にあたる1599施設が設置済みで、25市町村では設置率100%を達成していた。

 AEDの設置台数は計1785台で、施設別では▽小中高などの公立学校927台▽文化会館や図書館などの公的施設537台▽公民館148台▽市役所などの行政庁舎135台▽博物館23台--など。県が把握している1年間(09年6月から10年5月)の使用実績は7件だった。

 AEDは04年から、緊急時に一般市民も使用できるようになり急速に普及した。総務省消防庁が09年に公表した調査結果では、AEDで救命措置を受けた人の1カ月後の生存率は42・5%で、受けなかった人の9・7%を大きく上回った。
2011年1月16日 提供:毎日新聞社

アルツハイマー病患者が20年には167万人、市場規模は2900億円に

市場調査を手掛けるシード・プランニング(東京都台東区)がこのほどまとめた調査結果によると、2020年に国内のアルツハイマー病の患者数は167万人に上り、アルツハイマー病治療薬の市場規模は2900億円に達する可能性があるという。
患者数を厚生労働省のデータなどから推計すると、10年に116万人、15年に142万人、20年に167万人、25年に220万人になるという。現時点でアルツハイマー病には、予防法や根本的な治療法がないため、高齢化に伴い患者数は増加。また、アルツハイマー病に移行する軽度認知障害の診断技術などの開発が今後10年前後で進み、早期患者が治療対象に加わると、20年以降、患者数は大きく増加することが予想されるとしている。

 一方、治療薬の市場規模は10年に1090億円、15年に1600億円、20年に2900億円になるという。11年以降に、メマンチン(第一三共)、ガランタミン(ヤンセンファーマ)や、リバスチグミン(ノバルティスファーマと小野薬品工業)の処方が始まれば、現在副作用などで治療を中断している患者への処方や併用療法が進むほか、15年以降にはアルツハイマー病治療薬として抗体医薬品が国内で上市される可能性があり、こうした新薬の登場が市場を拡大させるとしている。
( 2011年01月05日 20:56 キャリアブレイン )

「24時間訪問ケア」を考える(4)―利用者にとって―

午後10時。神奈川県伊勢原市の夜間ヘルパーステーション「絆」に非常用コールが鳴り響いた。青木潤一施設長は、不安げな表情でつぶやく。
「中山さん、また硬直したのかな」
 一方、介護福祉士の高橋一江さんは、あわててパソコンのある部屋に向かった。「絆」と契約している利用者から非常用コールが入ると、ステーション内のパソコンモニターに連絡してきた人の情報が映し出されるシステムとなっているためだ。
 発信者を確認した高橋一江さんは、階段を駆け下り、車に飛び乗った。その車が急発進した方角を見て、青木施設長は言った。
「やはり、中山さんからの緊急コールだったようです」
 青木施設長も急いで別の車に乗った。
 
 「絆」の利用者の一人、中山義雄さん(仮名)は、パーキンソン病と頸椎ヘルニアを抱えている。要介護度は5。パーキンソン病の発作が起こると筋肉が硬直し、まったく動けなくなる。日中に1回訪問介護を、夜間に1回の定期巡回のサービスを受けており、それ以外でも緊急コールをする場合もある。90歳代の母親と同居しているが、最近、母にも認知症が出始めているという。

 青木さんが運転する車は、混み合う幹線道路を避け、農道に入った。街灯ひとつない真っ暗な道。地域住民でも、走ることがためらわれるような道を、青木さんは慣れたハンドル操作で進んでいく。そして、10分もしない内に中山さん宅に到着した。

■「非常用コールが命を支えてくれている」

 部屋に入ると、既に高橋さんが中山さんの介護を開始していた。排尿の介助を受けた上で、硬直した体をほぐすための運動をする中山さん。手すりに両手でつかまり、体を伸ばしている。高橋さんは、その横に立ち、運動を手助けしていた。
 部屋の中には、移動のための手すりが設置されている。さらに「絆」に連絡するための端末や、家族を呼ぶための端末など、複数の非常用コールの機械が置かれている。
「部屋の中だけで6か所、家全体では13か所設置しています。トイレに行く途中で体が硬直することもありますから」と中山さん。
 それにしても、体が硬直した時は、一体どうやって非常用コールを押すのか。
「どこでもいいから動く部分を使うんです。わざとベッドの上に倒れ込み、硬直した手をボタンに押し付けるとかして」

 中山さんがパーキンソン病を発症したのは12年前のこと。その後も仕事を続けていたが、4年前、症状も進行し、通勤するのも難しくなったため、仕事を辞めた。しかし、症状はさらに進行。2年前から「絆」のサービスを受けるようになった。

 症状が進行し、最近では呼吸までが苦しくなることがあるという中山さん。それだけに「絆」の夜間サービスと随時訪問サービスは、なくてはならない存在だという。
「非常用コールが私の命を支えてくれていると言えるでしょう」

24時間訪問ケアを考える 認知症

 24時間対応の定期巡回サービスを手掛ける「やさしい手」のヘルパー・石森淳子さんは、夜、訪れた利用者の部屋の前で足を止めた。一瞬、息を殺し、わずかに部屋のドアを開け、中をのぞき込む。
 その直後、石森さんは扉を閉め、廊下に戻ってしまった。
 「利用者さんが起き上がって部屋を歩いている。このタイミングで入ると、怒られますよ」
 利用者は認知症患者だった。その後、石森さんは廊下で息を殺し、ドアのガラス越しに部屋の様子を観察。数分後、もう一度わずかにドアを開け、利用者の様子が落ち着いたことを確認して部屋に入り、紙おむつの交換や薬の服用の介助など、一連のケアをごく順調に済ませることができた。
 帰り際、利用者から「ありがとう」と声を掛けられた石森さんは、安堵したように大きく息をついた。
 「きょうは本当に順調でした。ちょっとしたことで機嫌が悪くなることもあるから」
 ちょっとしたこととは、例えば、少し介護の手順を間違えるなど、ごくささいなことだという。しかし、そのささいなことがもたらす結果は、相当に重い。
 家中に響くような大声で暴言を投げ付けられたことがあった。
 不審者扱いされ、追い出されそうになったこともあった。
 「投げ飛ばしてやろうか」と言われたこともあったという。

 さらに困るのは、BPSD(認知症の周辺症状)が始まってしまえば、簡単には治まらないことだ。
 「どうしようもない時は、いったん退散し、後で出直すしかありません。それでも、わたしの場合はまだいい。慣れていないヘルパーが来たりすると、それだけで暴言や暴力を誘発する場合があるからです」
 認知症患者に対する訪問介護は、ベテランのヘルパーにとってすら、厳しい業務だと言ってよい。

北海道大学・ツルハ:ICTを活用した遠隔健康相談の実証実験を実施

北海道大学大学院保健科学研究院とドラッグストアを全国展開するツルハ(本社札幌市)は、ネットワーク経由で遠隔健康相談を行う「Health Network System」(HNS)の実証実験を実施している。シスコシステムズの遠隔医療技術プラットフォームである「Cisco HealthPresence」とコンティニュア対応全自動血圧計などを利用して、同大学保健科学研究院の相談員がツルハドラッグを訪れた顧客に対して健康相談を実施。両者は、実証実験を続けながらビジネスモデルを模索している。
 全国的な地域医療の崩壊が社会問題となる中で、その要因の1つに医療資源の地域偏在が挙げられる。特にその傾向が顕著な北海道では、医療者だけでなく保健・福祉に関する資源も都市部に集中している。
●保健師などによる遠隔相談で健康維持・増進活動の可能性を探る
北大保健科学研究院教授の小笠原克彦氏
 そうした問題に対応する1つの方法として、北海道大学大学院保健科学研究院(以下、北大保健科学研究院)を中心に、Health Network Systemプロジェクトが進められている。ICTを活用することで、都市部に集中する保健・医療資源を地方で有効活用する試みである。調剤薬局を併設するドラッグストアに遠隔健康相談端末を置いて、北大保健科学研究院の保健師・助産師・看護師が相談員となり、相談者(地域住民)の健康相談に対応する。相談内容は、診察・診断行為に関わらない未病対策と、健康維持・健康増進のための保健相談に絞り込む。

 HNSプロジェクトを推進する北大保健科学研究院教授の小笠原克彦氏は、実証実験の主な目的として以下の5つを挙げている。(1)最先端のセキュリティ技術と高速ブロードバンドを活用した遠隔健康相談の可能性の検討、(2)遠隔健康相談のためのシステム・相談方法の開発と医療・介護への展開の可能性の検討、(3)健康相談に関する物理的・心理的なアクセスの分析、(4)地域住民の健康維持や健康増進意識の変化探索を目的にドラッグストアチェーンの店舗網を相談スポットとして活用する可能性の検討、(5)出産・育児などで離職した保健師や看護師の人的資源の有効活用、である。

雑煮の餅を喉に詰まらせ81歳男性が窒息死

1日午前9時40分頃、埼玉県春日部市で、無職男性(81)が自宅で食事中に雑煮の餅を喉に詰まらせた。家族の通報で駆けつけた救急隊員が餅(約5センチ四方)を喉から取り除いたが、男性は搬送先の病院で間もなく死亡した。窒息死とみられる。
春日部署の発表によると、男性は当時、妻(68)ら家族3人と朝食を食べていて、4個目の餅が喉に詰まったという。
読売新聞 1月1日(土)

◇「24時間訪問ケア」を考える

在宅ケアの“切り札”として注目されるサービス。それが「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」だ。厚生労働省の老人保健健康増進等事業の補助金を受け、同サービスの仕組みと事業構築について検討・提案する「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」の中間取りまとめによれば、「日中、夜間、深夜、早朝を問わず、介護サービス・看護サービスが連携を図りつつ、『短時間の
定期訪問』『随時の対応』といった手段を適宜・適切に組み合わせて、利用者に『必要なタイミング』で『必要な量と内容』のケアを一体的に提供する」システムだという。既に社会保障審議会介護保険部会の報告書「介護保険制度の見直しに関する意見」では、制度改革の目玉として創設が提言されている上、今年度の補正予算や来年度予算案でも、モデル事業の整備経費が計上されており、その本
格導入は目前に迫っていると言ってよい.

過去ログ