記事一覧

70~74歳、窓口負担2割に 現行1割から引き上げ 13年度から5年かけ 新高齢者医療で厚労省方針

厚生労働省は2日、2013年度に導入予定の新たな高齢者医療制度で、医療機関の窓口で支払う患者の自己負担割合について、現在は暫定的に1割となっている70~74歳の負担を見直し、早ければ13年度から段階的に2割負担に引き上げる方針を固めた。

 新制度では現役世代の負担増が避けられない見通しとなったことから、厚労省は高齢者にも応分の負担を求める考え。高齢者の窓口負担は総額で1700億円増える一方、公費投入は同程度減ると試算している。ただ、負担増には政府、与党内にも慎重な意見があり、調整は難航しそうだ。

 厚労省の方針では、早ければ13年度に70歳を迎えた人(10年度に67歳)から引き上げを開始。5年間かけて年度経過ごとに順次、70歳になる人へ対象を広げ、70~74歳の全体が2割負担となるのは17年度の見通しだ。現在68歳以上の人は1割負担のまま。
2010年10月4日 提供:共同通信社

 方針通り見直されれば、高齢者の窓口負担は、一般的な所得の人で(1)75歳以上が1割(2)70~74歳が2割(3)69歳以下は3割-と整理される。

 ただ、70歳以上でも課税所得が145万円以上で、かつ夫婦の合計年収が520万円以上(単身は年収383万円以上)の世帯は「現役並み所得」と扱われ、現行通り3割負担だ。

 70~74歳の窓口負担は本来、自公政権の法改正に基づき08年度から2割になる予定だった。だが同年度の後期高齢者医療制度開始に伴う高齢者の負担軽減策の一環で、それまでの1割を維持し引き上げを凍結していた。

 後期医療制度廃止後の新制度では、75歳以上は国民健康保険か、健康保険組合など被用者保険に移る予定。高齢者医療の枠組みが変わるのに合わせ、厚労省は現在の負担軽減策を見直し、本来の規定に戻すことにした。

※新高齢者医療制度

 後期高齢者医療制度を2012年度末に廃止し、13年度から75歳以上は国民健康保険(国保)か被用者保険に加入。国保に約1200万人、被用者保険に約200万人が後期医療から移る。75歳以上の国保は都道府県単位の運営とし、財政も区分し別会計とする方向。厚生労働省は、一連の見直しを盛り込んだ関連法案を11年の通常国会に提出することを目指している。

インフル予防接種開始 新型と季節性混合ワクチン

今シーズンのインフルエンザの予防接種が1日、スタート。この日に開始しなかった医療機関も順次始める。厚生労働省によると、使われるのは昨年から今年にかけて流行した新型インフルエンザと、季節性のA香港型、B型の計3種類を混ぜたワクチン。

 最大約5300万回分と見込まれる需要に対し、5800万回分以上が供給できる見通し。昨シーズンの新型ワクチンのように、接種を受ける人の優先順位は付けない。費用は自治体ごとに違うが、多くが3600円前後になるとみられる。

 国立感染症研究所によると、全国の定点医療機関から報告されるインフルエンザ患者は依然、流行入りの指標よりもかなり低い水準。ただ、夏の間も学校などで集団発生は散発し、新型やA香港型のウイルスも検出されているという。

障害者自立支援法改正、6団体中5団体が難色―民主PT

民主党政策調査会の「障がい者政策プロジェクトチーム(PT)」は9月28日、5回目の会合を開き、障害者自立支援法の見直しの在り方について障害当事者団体からヒアリングした。ヒアリングに参加した6団体のうち5団体が同法の改正に難色を示した。

薬包装誤飲 のどに傷、86件 高齢者ら10年間で

国民生活センターは15日、錠剤を包装シートごと誤ってのみ込み、のどなどを傷つける事故が00年からの10年間で高齢者を中心に86件あったと発表した。60代以上が8割を占め、10件は入院が必要なほど重症。1錠ずつ切り分けていたため、間違えてのみ込むケースが目立った。

 包装シートはプラスチックにアルミなどを張り付けており、誤飲を防ぐため、96年から手で切り離せない構造に改良された。包装はレントゲンで見つかりにくく、08年には内視鏡検査で80代男性から包装が見つかり、十二指腸に穴があいていた。同センターは「1回分の薬の量が多い場合や急いでいる場合、誤飲が起きやすい。1錠ずつに切り離さず、周りの人も気を配ってほしい」と話している。
2010年9月16日 提供:毎日新聞社

様変わりする手術部位感染予防法 

「手術前の手洗いは、ブラシは使わず、石けんと流水で汚れを落とした後に速乾性擦込式アルコール製剤を使用」「抗菌薬投与は術後2、3日までがメド」「滅菌被覆材は術後48時間まで」―。
手術部位感染(SSI:surgical site infection)の予防法は、ここ数年で大きく様変わりしました。きっかけは、米疾病対策センター(CDC)が1999年に発表
した「手術部位感染予防ガイドライン(SSI予防ガイドライン)」。これにより、術前の剃毛やブラシによる手洗い、創面への消毒など、従来の“常識”の多くが否定されました。

嚥下機能訓練と口腔ケアで誤嚥を防ぐ

全身状態が徐々に悪化してしまう在宅高齢者の場合、誤嚥性肺炎の根本的な原因を取り除くのは難しい。それでも、肺炎の頻度が減らせるとして最近注目を集めているのが歯科の介入だ。

 誤嚥性肺炎の原因となる誤嚥には、(1)嘔吐して吐物を誤嚥、(2)食事中の誤嚥、(3)就寝中に唾液と一緒に口腔内細菌を誤嚥―の3つのパターンがある。これらをなるべく防ぐことが重要だ。

 日大歯学部摂食機能療法学准教授の戸原玄氏は、医師やケアマネジャーなどから依頼があった患者の家に訪問し、(1)(2)に対しては摂食嚥下機能の評価や嚥下リハビリ、(3)に対しては口腔ケアを行っている。

 戸原氏は、初診時に経鼻細径内視鏡を使ったビデオ嚥下内視鏡検査(VE)で患者の嚥下機能評価を行っている。この検査は、直径3mm程度の細経内視鏡を鼻から咽頭部まで挿入し、咽頭部を観察しながら食事をしてもらうというもの。飲食物を飲み込む瞬間や直後の残留具合を確認することで、患者が安全に食べられる食事の内容や、リハビリの必要性を正確に把握できる。

 むせこみや食べこぼしなどの見た目の判断だけでは、誤嚥の有無や嚥下機能は評価できない。VEで観察すると、本来は食形態(きざみ、とろみなど)の調整が必要なのにそのまま普通の食事を食べていたり、逆に訓練すれば経口摂取が可能なのに経管栄養だけで摂取していたりと、食事摂取の方法が嚥下機能と合っていない患者がとても多いことが分かるという。「嚥下機能に見合った食形態(とろみ、きざみなど)や食べ方を指導することで誤嚥は減らせる」と戸原氏は話している。

OTの喀痰吸引の技術測る目安を提示―作業療法士協会

日本作業療法士協会はこのほど、作業療法士(OT)が喀痰吸引の技術を習得する際に、自身の技術を確認する目安となる「喀痰吸引に対する基本的な対応」を公表した。
 「喀痰吸引に対する基本的な対応」は、今年4月に厚生労働省から都道府県知事に向けて発出された、チーム医療においてOTによる喀痰吸引が可能などとした通知を受けて策定された。喀痰吸引を行うに当たって、一定水準の知識と技術を持ったOTが安全に実施することが必要としている。一定水準の知識と技術については、口腔内・鼻腔内と気管内での吸引では習得すべき技術の到達目標が異なるため、6段階の「実践水準」を設定することが望ましいとしている。
 具体的には、養成施設での卒前教育の到達目標である、知識の習得を中心としたレベル1から始める。レベル2以上は卒後研修の到達目標で、▽実技における講義内容の習得を目指すレベル2▽他職種と連携した口腔内・鼻腔内吸引を目指すレベル3▽他職種と連携しない口腔内・鼻腔内吸引を目指すレベル4▽他職種と連携した気管内吸引を目指すレベル5▽他職種と連携しない気管内吸引を目指すレベル6―の5段階。各レベルでの習得すべき内容も示されている。
 同協会では、養成施設が今年度からレベル1習得に向けた教育を行うことを期待するとしている。また、卒業したOTがレベル1を「自己研鑽により」習得して、レベル2以上を所属施設で多職種との協働の下で習得するよう呼び掛けている。
( 2010年08月27日 20:34 キャリアブレイン )

誤嚥性肺炎は、食事だけが原因ではない

39度を超える発熱が1週間続いた年男さん。誤嚥が原因ではと絶食にして数日経っても、熱は下がりません。そこでKさんは、嚥下指導のために月に2度来られている嚥下専門医に回診を頼んだそうです。
「年男さん、口を開けてください」
 先生の一言に驚いたKさん。絶食しているのに、なぜ口腔内を診るのだろう?カンファレンスルームに戻ってから理由を尋ねると、先生はこういいました。
「年男さんは誤嚥性肺炎だね。誤嚥は、食べ物だけが原因じゃない。汚れただ液が肺に入ることでも起こるんだよ。だから、口腔内をキレイな状態で保つことが大事なんだ」
話を聞いて、ハッとしたKさん。
「食止め後、師長さんに確認して、毎日3回行なっていた口腔ケアを2回に減らしていたんです。それに、食べていた時に比べて目に見える汚れが減った分、ケアにかける時間も自然と短くなっていて……」
Kさんはすぐ師長さんに相談し、口腔ケアの回数を3回に戻したといいます。より丁寧にケアを行なったKさん。また、専門医のアドバイスを受け、だ液が肺に入りにくいようにベッドを30度起こして就寝してもらうことにしました。その結果、年男さんの熱は1週間程で37度5分まで低下。少しずつ体力が回復し、
ゼリー食に戻ることができたのです。
このできごとで、絶食患者さんの誤嚥リスクへの意識が変化したKさん。患者さんが食事をしているかどうかに関わらず、今まで以上に丁寧な口腔ケアを心がけているそうです。

過去ログ