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アルコール40%、5秒以上 手指消毒、研究で効果確認

新型コロナウイルスの接触感染を防ぐには、濃度が質量比で40%以上のアルコール消毒薬で5秒以上、手指消毒をすれば十分な効果があるとの研究結果を、京都府立医大の広瀬亮平(ひろせ・りょうへい)助教(消化器内科)らが欧州臨床微生物学感染症学会誌に発表した。

 従来は試験管内でウイルス入りの液体に消毒薬をかける方法で効果が評価されてきたが、今回は解剖検体の皮膚を使い、実使用に近い実験を組んだ。市販のアルコール消毒薬は皮膚に対する安全性評価をしてある上、濃度も世界保健機関が推奨する52%以上あるため、十分有効だとした。

 実験ではまず、細胞培養に使う液に浸した皮膚片にウイルスを含んだ液体を塗って乾燥させた。さらに9種類の消毒薬を塗って一定時間後に取り除き、ウイルスの減り具合を調べた。

 その結果、40%以上のアルコールなら5秒でウイルスが1万分の1以下となり、極めて強い効果があることが分かった。

 また、1%グルコン酸クロルヘキシジンや0・2%塩化ベンザルコニウムの製品でもウイルスは300分の1以下に減少。従来の評価法より高い効果が示され、アルコールで赤みやかゆみが出る人にとっては有効な代替品になるとした。

 注)論文は「クリニカル・マイクロバイオロジー・アンド・インフェクション」誌に掲載

妊娠中のコロナ感染による新生児のリスク

妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が新生児転帰に及ぼす影響を評価すべく、スウェーデン国内の妊娠、新生児、感染症のレジストリをひも付けた全国前向きコホート研究を実施。2020年3月11日から2021年1月31日の間に国内で出生した全生産児の92%(8万8159例、女児49.0%)を対象とした(形成異常がある乳児は除外)。

 その結果、2323例(1.6%)がSARS-CoV-2陽性の母親から出生し、平均在胎期間は39.2週で、対照の乳児の在胎期間は39.6週だった。早産児(妊娠期間37週未満)の割合は、SARS-CoV-2陽性の母親の乳児で8.8%、対照乳児で5.5%だった。母体のSARS-CoV-2感染に、新生児医療目的の入院(11.7% vs. 8.4%、オッズ比1.47、95%CI 1.26-1.70)、新生児の罹病率[呼吸窮迫症候群(1.2% vs. 0.5%、同2.40、1.50-3.84)、何らかの新生児呼吸器疾患(2.8% vs. 2.0%、同1.42、1.07-1.90)、高ビリルビン血症(3.6% vs. 2.5%、同1.47、1.13-1.90)など]との有意な関連が認められた。死亡率(0.30% vs. 0.12%、同2.55、0.99-6.57)、退院時の母乳哺育率(94.4% vs. 95.1%、同0.84、0.67-1.05)、新生児医療の入院期間(両群とも中央値6日、差0日、95%CI -2-7日)には群間差がなかった。

 SARS-CoV-2陽性の母親から出生した乳児のうち21例(0.90%)で新生児期にSARS-CoV-2検査が陽性となったが、そのうち12例は新生児期に合併症はなく、残る9例は何らかの診断を受けたがSARS-CoV-2との関連性は不明で、先天性肺炎は1例もなかった。

北海道の感染増いつまで続く 専門家「時短だけでは…」

新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)する北海道に緊急事態宣言が発令されてから25日で10日が過ぎた。道は感染者が多い札幌市を中心に飲食店の休業や外出自粛の強化など強い措置を講じているが、今も感染者数は全国最多レベルが続く。なぜなのか。道内の新型コロナ感染状況に詳しい札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)に聞いた。

         ◇

 ――北海道内の新型コロナ新規感染者数が毎日ほぼ600~700人と全国最多規模の人数で推移しています。感染者数が減らないのはなぜでしょうか。

 「感染してから感染が明らかになるまでには、発症までの潜伏期(約5日)や発症後の検査と診断に要する時間の関係でタイムラグが生じます。一般的には現時点の感染状況は約2週間後に見えてくると言われています。従って現在の感染状況は、2週間前の(新型コロナ対応の特別措置法に基づく)『まん延防止等重点措置期間』の状況が見えつつある時期と認識しています。確かに感染者数の増加傾向はいまだに続いていますが、大型連休明け後しばらくの間に見られた急激な増加は止まっている状態にあります。これがいつ減少に転じていくのか、注視しているところです」

 「札幌市の感染状況は、感染者の絶対数もさることながら、今月12~14日は感染経路不明の割合が80%以上で陽性率も非常に高く、見た目以上に感染拡大が起きていました。感染経路も追跡できていませんでした。現在、こうした最悪の状況は、徐々にですが改善傾向にあります」

■人流の抑制はあくまで「手段」

 ――道内は16日から緊急事態宣言下に置かれ、札幌市を中心に飲食店の休業要請や外出自粛強化など強い措置が取られています。現在の対策についての妥当性をどう考えますか。

 「感染症対策の基本は人と人との接触を減らすことです。個々人の意識や行動を変えることが最も重要な対策であることには変わりありません。感染力がより強い変異ウイルスの影響もありますが、感染拡大の勢いが止まらない状況下では、人流を抑えるという対策を講じざるを得ません。ただ、人流の抑制はあくまでも手段であって、個々人の意識や行動の変容という目的に照らした場合、現在の達成度は、評価することはできません。例えば、飲食店の休業や時短がなされていたとしても、公園や路上でマスクなしの会話や飲み会が行われれば、行政が呼びかけている対策は無意味なものになってしまいます。個々人の感染対策の意識づけが足りているかどうかは疑問です」2021年5月26日 (水)配信朝日新聞

医師の働き方改革、そもそも医師は労働者なのか

3.医師は労働者なのか

 医師は、いちいち法律が介入して保護することが必要な立場かと言われると、もしかしたら違和感を持つ読者もいるかもしれない。取得するのが難しい資格を持った限られた人しかできない仕事だし、比較的給料も高い、患者をはじめ多くの人から尊敬される職業という面もある。確かに、一般に医師という職業は、一歩病院の外に出て、他の職業に比べると強い立場なのかもしれない。

 しかし、病院の中ではどうだろうか。個々の勤務医の立場に立った時に、なかなか管理的立場のいわゆる上司に相当する人の命令に反することは難しいのではないだろうか。体力的にかなり厳しい状況だとしても、他に医師がいないと言われれば過酷な勤務を断れないということはないだろうか。本来、医師を確保したり、マンパワーに応じて業務を減らしたりするのが経営側の役割だとしてもだ。

 また、医学教育の段階から医師は「患者のために」「社会のために」と、高い倫理観を教え込まれているので、少々きつくても頑張ってしまいがちな面もあるかもしれない。患者の命や健康を守るという仕事だから、そのような高い倫理観は必要だと思うし、プロフェッショナルとしての誇りも素晴らしいことだと思うが、医師も人間だから過酷な働き方では医師本人が健康を害することもあるだろうし、健康を害するまでいかなくても寝不足で手術をしてヒヤリ・ハットの経験をしたケースも決して少なくないというデータもある。患者のためにも、医師が元気でいることはとても大事なことだ。

 だから、医師は一般の労働者に比べると強い立場かもしれないが、病院の中をイメージすると、やはり働き方には何らかの歯止めが必要なのだと思う。どうしても、上の立場の人が強いし、医師自身も頑張ってしまうからだ。日本の法律が、医師も労働者として保護の対象としているのは、そういうことだと思う。

医師の働き方改革、そもそも医師は労働者なのか

2.なぜ労働法が必要なのか

 雇用契約を結ぶと、労働者には役務を提供する義務が発生する。平たくいうと、契約に記載された仕事をする義務が発生するということであり、病院の指示に従って外来の診察や手術、病棟での勤務などをする義務が発生するということだ。反対に、使用者には報酬の支払い義務が発生する。病院で言えば、雇用契約に従って医師に給料を支払う義務が発生するということだ。

 雇用契約も民間人と民間人の契約で、その内容が決まるのが原則だ。法律の世界では「契約自由の原則」と言う。つまり、合意していない義務を課されることはないが、当事者同士が合意さえすればその内容に則して双方に権利と義務が発生するということだ。自動車を買えば、購入者は代金を支払う義務が発生するし、ディーラーは自動車を引き渡す義務が発生するのと同じことである。

 ただ、法律の世界には原則と例外があり、雇用契約の場合はかなりの例外がある。先に述べた「契約自由の原則」を基礎としながらも、その自由に決められる範囲を限定している。最低賃金法という法律で定める最低賃金を下回る低い賃金での契約は認められないし、労働基準法の労働時間の上限規制も同様に「契約自由の原則」の例外で当事者同士が合意していても認められない。

 なぜ、当事者の自由な契約に法律が介入してくるかというと、労働者保護のためだ。一般に、使用者の方が労働者より立場が強いので、両者を対等な立場として自由に合意して契約内容を定めてよいことにすると、生活のために仕事を必要とする労働者は、不当に安い給料で雇われるかもしれないし、健康を害するような厳しい条件でも断れないかもしれない。そもそも交渉力の違いも大きい。

 仕事をして生活費を稼ぐということは、人の生活の基盤となる大事な活動なので働くことを止める自由はよほどの資産家でもない限り難しい。だから、労働者を保護するために当事者同士の自由に任せてしまうとどうしても労働者に不利な条件になりがちだ。当事者の自由に任せると、結果的に労働者の権利が保護されないので、当事者が合意したとしても、あまりにひどい内容は無効ですよ、ひどいことをしたら使用者には罰則も適用されますよということが労働基準法などに書いてあるのだ。これは、日本だけではなく世界的に同じような労働法が整備されている。過去の過重労働・奴隷労働・搾取などの苦い経験から学んだ歴史の上に我々は立っている。

医師の働き方改革、そもそも医師は労働者なのか

1.医師は労働者なのか

 医師の働き方改革の制度の概略を前回お示しした。年間の勤務医の時間外労働の上限は原則960時間とされている。地域に必須の医療に影響が出るような医療機関や、研修医や高度技能を習得する必要がある医師が勤務する医療機関は、当面最大1860時間とされている。実は、医師の労働時間の上限は一般の労働者と異なる制度であり、施行を2024年4月とする猶予が設けられているが、労働時間の上限規制は全ての労働者が対象で既に労働基準法が改正されて2019年4月から適用されている。

 では、そもそも労働時間というのは何だろうか。ここでいう労働時間は労働基準法の労働時間規制の対象となる労働者の労働時間のことである。雇用されて働いている人は労働基準法上の労働者である。もしかしたら、医師が労働者と言われると違和感を持つ人もいるかもしれないが、医療機関と雇用契約を結んで働いている限り労働基準法上の労働者に該当するので、労働時間規制も適用される。

究極のアナフィラキシー、アドレナリン筋注だけではいただけません アドレナリンはタイミングが命!

症例
 16歳男性。腹痛精査のために造影CTを施行し、ものの1分もしないうちに急変してしまった。顔色は土気色、stridorが出てきた、すぐに全身が真っ赤になってきた。

 A医師によりすぐにアドレナリン筋注が行われた。血圧60/30mmHg、脈110/分。気管挿管は2回目で成功した。5分後改善がみられずアドレナリン2回目の筋注が施行された。抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー& H2ブロッカー)およびステロイドも次々に投与された。リンゲル液を急速投与するも血圧は上がってこない。アドレナリンの持続点滴が開始されたが、血圧が改善してこない…どうしよう!

特効薬はアドレナリン! タイミングが大事!
 アナフィラキシーの特効薬はアドレナリン。血管収縮し心収縮を上げる以外に、最も大事なのは肥満細胞から多数の化学物質(ヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインなど)の遊離を抑えてくれることだ。タイミングが命であり、化学物質が全部放出しきってからアドレナリンを打っても、効果は期待できない。
抗ヒスタミン薬、ステロイドはアナフィラキシーではイマイチ
 第一世代抗ヒスタミン薬はかゆみに効果があり、第二世代抗ヒスタミン薬は蕁麻疹に効果がある。「なぁんだ、皮膚にしか効かないじゃねぇか!」と思ったあなた、正解です、ただ心臓にもH2レセプターがあるため、心収縮力は改善する。基本的に皮膚のみならず全身の血管透過性が亢進しているアナフィラキシーでは、抗ヒスタミン薬では効果が期待できない。アドレナリンのほうがはるかに大事。もちろん抗ヒスタミン薬を使用するのはOK。だってアナフィラキシーへの進展を抑える利点はある。

 ステロイドは二峰性のアナフィラキシーを予防するというが、そのエビデンスは乏しく(比較的まれ;0.18~4.5%)、これも即効性は期待できない。二峰性アナフィラキシーはアドレナリンの投与タイミングが遅いとき(>1時間、OR 2.29)や、2回以上アドレナリンを要したときに多い(OR 2.7)という。

 飲み物や食べ物・内服薬によるアナフィラキシーの場合、腸管内にある限りアナフィラキシーが持続する可能性があり、活性炭の内服を考慮する。喘鳴があれば気管支拡張薬の吸入を行う。

アドレナリンの使い方に精通せよ
 アドレナリンはなるべく大きな筋肉に筋注(0.3~0.5mg)したほうが吸収が早い。大腿外側が原則。臀部も筋肉は大きいが皮下脂肪が多く、針が届かないことがある。三角筋は筋肉が小さく吸収が遅い。皮下注は吸収が遅く、論外。

 10倍希釈(1:10,000)したアドレナリンを1mL(0.1mg)ずつ静脈注射する方法もあるが、かなり血圧が低下して危険なときのみに限る。静注は少しずつしたとしても血圧が急上昇することがあるので、なるべく避ける。通常は筋注で十分いける。5~15分で効果がなければ2回目を投与する。小児のアナフィラキシーは大人よりも、2回目の筋注を要することが多い。

 アドレナリン筋注2~3回、十分な輸液をしても、ショックが遷延する場合はアドレナリンの持続点滴(5~15μg/分)を開始する。精密輸液ができない状況の場合、500mLのリンゲル液にアドレナリン1mg(1A)を入れ、1秒1滴で落とすと、7μg/分となる(1mL=17滴で計算)。症状が安定して、バイタルサインが30分間安定したら減量してやめていく。

 α遮断作用のある抗精神病薬でも、アナフィラキシーではアドレナリンが第一選択。2018年にアレルギー学会の後押しにより、アドレナリンはα遮断作用のある抗精神病薬の併用禁忌からはずされた。当たり前のことなんだけどね。血管が広がって血圧が下がったら十分な輸液を追加すればいいだけ。

卵アレルギーは、インフルエンザ予防接種のリスクを上げるか?

NO!卵アレルギーはリスクとならない
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リスクの強さ
× 強い:リスクとならない根拠があり、インフルエンザ予防接種を受ける児において卵アレルギーはあっても全く問題ない
重要度
★★★★(推奨またはリスクの強さと研修医の正答率を考慮)
要 旨
インフルエンザワクチンは有効である(生後6カ月以上でNNT 22、2歳以上でNNT 5)。いっぽうで、卵アレルギー児に対するインフルエンザワクチン投与後のアナフィラキシーの発生率は、1,000,000回あたり約1回であり、卵を含まない他のワクチン接種の副反応率と変わらない。インフルエンザワクチンによって得られるメリットは高く、有害事象の発生率は低い。したがって、卵アレルギー児もインフルエンザの予防接種をすべきである。

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