国立長寿医療研究センターは、軽度認知障害(MCI)の解説書「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」と同簡易版、日常での実践に使える別冊「生活ノート」を発売した。
ウェブサイトで全量を公開したが、印刷物でほしいとの要望が相次いだため紙版を製作した。
ハンドブック(860円、送料別)はMCIの症状や治療法、適切な運動や食事、機能訓練などを紹介。生活ノート(820円、同)では身体活動や栄養などの毎日の取り組みを記録できる。
国立長寿医療研究センターは、軽度認知障害(MCI)の解説書「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」と同簡易版、日常での実践に使える別冊「生活ノート」を発売した。
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ハンドブック(860円、送料別)はMCIの症状や治療法、適切な運動や食事、機能訓練などを紹介。生活ノート(820円、同)では身体活動や栄養などの毎日の取り組みを記録できる。
医師の地域偏在が叫ばれて久しい。地域枠や専攻医のシーリングなど、若い医師を地方へと誘うべく全国レベルでも対策は行われているが、大都市への集中傾向を押しとどめることは難しい。規制的な手法が議論されたこともあるが、自由開業制を基本とする日本の医療制度では、導入へのハードルが高い。
医師不足に悩む地方自治体も手をこまねいているわけではない。最近、活発化しているのが補助金を出し、開業医の誘致を図る自治体だ。新規開業にかかる費用への補助金は1件で1億円を超えるケースもあり、特に不足する産婦人科や小児科に診療科を限定している自治体もある。そうした各地の動きを追った。【なお、本稿は網羅的な調査ではない。また記事中の補助金には諸条件があり、詳細は当該自治体に要確認】
北海道名寄市、10月開業の内科診療所に補助
北海道名寄市では6月定例議会で、建設中の新たな内科診療所(10月1日開業予定)への補助金計5350万円を盛り込んだ補正予算が可決され、今後具体的な手続きが進むことになる。制度について名寄市保健センターの担当者は「2017年頃に市内で(診療所の)閉院が続いたことがあり、開業医誘致条例を制定した」と話しており、今回が第1号となる。今年度までは内科に限って募集していたが、今後は診療科を限らず市内の医療体制を勘案してその都度検討するという。
宮城県栗原市では施設整備にかかる費用として2分の1を助成。産婦人科は上限1億5000万円、小児科は上限1億円で、他に土地取得経費2000万円も補助する破格の条件を設定している。市民生活部健康推進課の担当者は、「産婦人科は市内になく、小児科は1軒あるが市域が広いため不便さもあった」と話す。2023年に制度を利用して小児科診療所が1軒開業した。静岡県湖西市も産婦人科に2分の1、1億円を上限に補助するとともに、市有地を10年間無償で貸し付けている。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は30日、年金や医療、福祉にかかった2022年度の社会保障給付費の総額は前年度比0・7%減の137兆8337億円だったと発表した。集計を始めた1950年度以降、初の減少。高齢化による膨張傾向は変わらないものの、新型コロナウイルス対策費の縮小が総額を押し下げた。
社会保障給付費は、国民が利用した年金や医療、介護、子育て支援などに充てられた金額。税金や保険料で賄われ、利用者の自己負担額は含まれていない。1人当たりの給付費は110万3100円で前年度比2400円減った。
分野別は、年金の55兆7908億円が全体の40・5%を占めた。次いで医療が48兆7511億円(35・4%)。介護や子育て支援、雇用対策を含む「福祉その他」は33兆2918億円(24・2%)で、うち介護は11兆2912億円だった。
前年度からの増減を見ると、年金はおおむね横ばい。医療は1兆3306億円増えた。一方、コロナ対策で実施された子育て世帯向け現金給付や、雇用調整助成金の特例措置などが縮小されたため、福祉その他が2兆2251億円減った。
施設整備費など個人に直接給付されない費用も含める「社会支出」は0・5%減の142兆3215億円だった。
突発的に発症し、致死率が3~7割と極めて高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」にかかって死亡した妊産婦が、2023年7月~24年3月に5人いたことが、日本産婦人科医会の調査で27日までに分かった。今年は全体の感染者数も過去最多を更新。妊婦が感染すると早産や死産にもつながるため、医会はマスク着用や手洗いなど基本的な対策を呼びかけている。
溶血性レンサ球菌(溶連菌)は感染すると発熱やのどの痛みなどを引き起こし、まれに急速に進行し劇症型となる。医会によると、10年1月~20年3月は妊産婦の死亡者が計22人だったが、新型コロナウイルス禍の20年4月~23年6月は死者0人だった。翌月以降増え始め、9カ月で5人となった。新型コロナの感染状況が落ち着き、対策が緩和した影響とみられる。
国立感染症研究所によると、劇症型溶連菌の今年の感染者数は7月14日までに1217人が報告。過去最多だった昨年の941人を既に上回っている。劇症型になるメカニズムはよく分かっていない。通常は手足などの傷口から感染するケースが目立つが、妊産婦の場合、鼻やのどからの感染例が多いという。
人食いバクテリア:致死率3割以上 人食いバクテリア 患者急増、過去最多 半年で昨年上回る 基本的な感染防止対策を /京都
致死率が3割以上と極めて高く、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が今年、府内で過去にないペースで増えている。府によると、1~6月の患者者は22人で、過去最多だった2022年の16人を半年で上回った。府が注意を呼び掛けている。【久保聡】
◇府内1~6月22人
府感染症情報センターによると、通常はレンサ球菌に感染しても無症状の人が多く、大半は咽頭(いんとう)炎や皮膚の感染症にとどまる。だが、まれに、細菌が存在しない血液や筋肉、脳脊髄(せきずい)液などにレンサ球菌が入るなどし、急激に症状が進行。重篤な疾患となることがあり、これがSTSSと呼ばれる。
初期症状は喉の痛みや発熱、手足の痛みや腫れ、全身倦怠(けんたい)感、血圧低下など。病状の進行が非常に急激で、発病後数十時間以内に手足の壊死(えし)や多臓器不全を起こし、ショック状態から亡くなる人も少なくない。
同センターによると、過去の6月末時点でのSTSSの府内の患者数は、23年6人▽22年8人▽21年7人▽20年7人――など。1年間の患者数は23年が14人、22年が最多の16人だったが、今年は6月末までで22人に上り、既に過去最多となっている。さらに7月も既に4人の患者が報告されている。
STSSは中高年以上の患者が多く、府内の過去10年の患者は40代以上で全体の約95%を占める。ただ、24年は6月末までの22人のうち、20人は40代以上だが、10代が1人、10歳未満が1人いる。10代以下の患者の報告は珍しい。
A群溶連菌の咽頭炎、手足口病も
県内で新型コロナウイルスの新変異株「KP・3」が確認されるなど感染者が9週連続で増加している。県や県医師会は、外出や人との交流の機会が増える夏休みを念頭に注意を呼びかけている。
県は18日、8~14日のコロナの新規感染者数は定点医療機関当たり今年最多の14・92人となり、前週比で1・32倍になったと発表した。県によると、4月下旬にKP・3が1件確認されて以降、徐々にその割合が増えているという。
17日に定例記者会見をした県医師会も県内のコロナの状況について「大きな流行が始まろうとしている」と指摘。同会によると、コロナ疑いでの外来受診が増える中、発熱を事前連絡せずに来院したり、マスクをしない患者がいたりするため、現場が困惑するケースが出ているという。
瀬戸裕司専務理事は会見で「受診控えなどもみられるため、具合が悪い時は自己判断せずに受診してほしい」と話した。
一方、県によると、A群溶連菌の咽頭(いんとう)炎、手足口病も警報レベルが続くなど感染者数が高止まりしているという。県保健医療介護部の佐野正医監は「夏休みは大人数で集まったり、海外旅行に行ったりする機会が増える。手洗いや手指消毒、適切なマスク着用などを心がけてほしい」と呼びかけた。
やぶ医者大賞:過疎地や離島で活躍「やぶ医者大賞」 島根・佐藤さん、山口・中嶋さん /兵庫
◇遠隔地へオンライン巡回車 山口・中嶋さん
◇複数の医師でグループ診療 島根・佐藤さん
養父市が全国の過疎地や離島で活躍する医師をたたえる「第11回やぶ医者大賞」に、島根県の浜田市国民健康保険波佐(はざ)診療所長の佐藤優子医師(44)と、山口市徳地(とくぢ)診療所長の中嶋裕(ゆたか)医師(47)が選ばれた。【浜本年弘】
佐藤医師は、島根県西部の山間部、浜田市金城町にある波佐診療所で2014年から勤務。地域医療振興協会を経て家族で移住した。疾病予防や健康維持など患者を多角的に診る「家庭医療専門医」として他の関係機関と共に地域全体をケアしている。近隣のへき地診療所などと独自の連合体も設け、複数の医師によるグループ診療で、医師の過大な負担なく継続可能な医療に取り組む。中高生、医学生ら後進の育成にも尽力している。
中嶋医師は、山口県のほぼ中央に位置する山口市の徳地地域(人口約5000人)の医療を担うため、医師の高齢化で地域唯一の医院が閉院し、設けられた民営診療所長に21年、着任した。22年からは保健センターなどと一緒になった複合拠点施設に設けられた公設民営の徳地診療所を担い、無医地区への巡回診療も始めている。オンラインによる遠隔診療システムを積んだ巡回診療車を活用。へき地医療の態勢づくりを進めている。
やぶ医者大賞は、若手医師の育成、地域医療の発展などを目的に、全国の過疎地などで活躍する50歳以下の医師や歯科医を表彰する制度。養父市が文献に基づいて「やぶ医者」の由来を「養父にいた名医」という説を唱え、14年に創設した。
今回は8道県9人の応募があり、審査委員長の正垣一博・養父市医師会長、西村正樹・公立八鹿病院長ら8人でつくる審査会で22日、決まった。表彰式、講演会は11月16日、養父市立ビバホールで開催予定。
武見敬三厚生労働相は28日の記者会見で、65歳以上とされることが多い高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべきだとした経済財政諮問会議の民間議員の提言を否定した。定義の見直しを「考えていない」と説明。公的年金の支給開始年齢や、介護保険の基準となっている「65歳」を維持するとした。
提言は、23日の諮問会議で経団連会長らが示した。武見氏は会見で、年金財政が長期的に安定しているとして「年金の支給開始年齢の引き上げは考えていない」と述べた。介護保険では原則65歳以上で要介護認定を受けた人がサービスを利用しており「直ちにその範囲を見直すことは考えていない」とした。