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30年、全都道府県で人口減 市区町村では9割以上 45年までの将来推計

国立社会保障・人口問題研究所は30日、2045年までの都道府県や市区町村別の将来推計人口を発表した。東京や沖縄の人口増は30年まで続くが、その後減少に転じ、全ての都道府県で人口が減っていくと試算。総人口は2千万人減の1億642万1千人となり、秋田が4割以上減るなど東京を除く46道府県で15年よりも少なくなる。市区町村の94・4%で人口が減り、4割以上減るところも40・9%に上った。

 約5年に1度、国勢調査や想定される出生率などを基に地域ごとの推計人口を算出する。近年の出生率の上昇を受け、13年の前回発表と比べて減少ペースは緩和したものの、65歳以上の割合は全ての都道府県で3割を超えるとされ、少子高齢化の傾向は変わらない。

 同研究所は昨年4月、国勢調査などを基に65年の人口を8808万人とする推計を発表。今回発表された推計値の合計はその時に発表された45年の推計人口と合致する。

 今回の推計では、20年以降も増えるのは東京、沖縄だけだが、この2都県も30~35年の間に減少に転じる。前回発表では、全都道府県で減少するのは20~25年とされていたが、時期が10年先延ばしとなった。

 15年人口を100とした場合の45年人口を示す指数をみると、日本全体は83・7(減少率16・3%)。人口減が著しいのは秋田の58・8(同41・2%)。青森の63・0(同37・0%)、山形と高知の68・4(同31・6%)が続いた。増加するのは東京の100・7(増加率0・7%)だけだった。

 大都市圏への流入も進み、総人口に占める割合は東京が12・8%、神奈川が7・8%、大阪が6・9%。4人に1人が住むようになる。

 45年に65歳以上の割合が高くなるのは、秋田の50・1%、青森の46・8%、福島の44・2%。低いのは東京の30・7%、沖縄の31・4%、愛知の33・1%。0~14歳の割合は全国で減り、最少は秋田の7・4%、最高の沖縄でも15・3%にとどまる。

 東京電力福島第1原発事故の影響を受けた福島県内を除く市区町村別では、対象となる1682のうち1588で人口が減少。最も減少率が高い奈良県川上村は人口が5分の1となり、増加率トップの東京都中央区は34・9%増となる。

 人口5千人未満の市区町村は249から1・8倍の444に。65歳以上が半数以上となる自治体は465となり、15年の15から大幅に増える。

 ※将来推計人口

 国勢調査や人口動態統計などのデータから将来の出生率や死亡率を仮定し、日本全体の人口、都道府県別・市区町村別の人口が数十年後にどうなるか、国立社会保障・人口問題研究所がおおむね5年ごとに算出する。社会保障政策や、政府がつくる各種の長期計画の基礎資料となる。

国保料上昇、43%の自治体 公費投入で穴埋め構造残る 都道府県移管、厚労省集計

自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の運営主体が4月に市区町村から都道府県に移るのを前に、厚生労働省が市区町村の1人当たり保険料水準の変化を集計したところ、43%の自治体で上がる可能性があることが30日分かった。約54%は下がり、約3%は据え置きとなる。

 制度変更に伴い保険料が急激に上がりかねないと懸念していた自治体も多かったが、移管支援を目的に国が約3400億円の公費を投入するため保険料の伸びは一定程度、抑制される。国保財政は赤字体質で市区町村が独自に穴埋めして帳尻を合わせてきたが、加入者以外も負担する税金を投入する構造は4月以降も残ったままだ。

 都道府県が、管内市区町村の保険料の目安や都道府県に納める「納付金」の1人当たりの金額を2016年度と18年度で比較。2年分の増減幅を1年分に置き換え、厚労省に報告した。北海道と宮城は市町村の増減幅を回答していないため、厚労省は45都府県の1524市区町村をまとめ、発表した。

 保険料水準が上がるのは656市区町村。このうち90%超の601市区町村で上昇幅が3%以内だった。一方、下がるのは54・3%の828市区町村、据え置きは2・6%の40市町村。厚労省は「高齢化や医療の高度化によって医療費は毎年3%程度伸びている。公費で保険料を抑える効果があった」としている。

 実際の保険料額は、今回の保険料水準をもとに、市区町村が6月までに決める。保険料の上昇を抑えるため、独自に市区町村が一般会計などから繰り入れた場合、据え置きや減少となる可能性もある。厚労省によると、16年度の全国の平均保険料は年9万4140円。

 都道府県別の保険料水準の平均は、18都県で上がり、28府県で下がる(北海道は未回答)。最も上がるのは熊本の2・4%増、下がるのは沖縄の8・1%減だった。

 国保は、高齢者や低所得者の割合が多い上、医療費の水準も高く赤字構造となっている。厚労省は、規模の大きい都道府県へ運営を移管し、財政基盤強化を目指している。

 ※国民健康保険

 75歳未満の自営業者や非正規労働者、無職の人ら約3千万人が加入する公的医療保険。加入者の所得水準が低い一方、年齢が高く医療費水準も高いために赤字運営が続く。2016年度の赤字額は1468億円で、穴埋めのため全国の市区町村の一般会計から計2537億円が繰り入れられた。規模を大きくして財政を安定化させる目的で、4月1日に市区町村から都道府県に運営が移管される。保険料徴収や書類交付など住民に身近な業務は、引き続き市区町村が担う。

75歳以上、高齢者の半数超 社会保障、生活支援が課題 3月人口推計

総務省が20日公表した3月1日時点の人口推計(概算値)によると、75歳以上の後期高齢者は1770万人で、65~74歳の1764万人を上回り、高齢者全体の半数を超えた。人口推計で75歳以上が65~74歳を上回るのは初めて。75歳を過ぎると寝たきりや認知症など心身が衰えやすくなり、社会保障費の膨張が国と地方の財政を圧迫する中、安定的な医療、介護制度の構築が課題となる。1人暮らしの生活支援といった対策も急務だ。

 3月1日時点の総人口(1億2652万人)に占める75歳以上の割合は14・0%。戦後間もないベビーブーム期に生まれた団塊の世代全員が2025年に後期高齢者になるなど、今後もこの割合は拡大する見込みだ。

 推計によると、75歳以上のうち男性は693万人、女性は1077万人。85歳以上は男性173万人、女性387万人の計559万人だった。

 年代別の総人口に占める割合は、15歳未満が12・3%、15~64歳が59・8%、65歳以上は27・9%だった。

 10年前(08年3月)の人口推計では、65~74歳が1482万人だったのに対し、75歳以上は1297万人だった。医療技術の進歩や体力の向上で寿命が延びていることから、後期高齢者は近年、月5万人前後のペースで増加。日本老年医学会は昨年、高齢者の定義を75歳以上に見直すよう提言している。

 75歳になっても元気な人は多く、政府は2月に決めた高齢社会対策大綱に「年齢に関わりなく希望に応じて働き続けられるよう雇用、就業環境を整備する」と明記した。ただ、心身の衰えや1人暮らしでサポートを必要とする人も増えるため、生活支援や、孤立を防ぐ対策が重要だ。

健康寿命、ますます長く 男72・14歳、女74・79歳 平均寿命との差も縮小

厚生労働省は9日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72・14歳、女性74・79歳だったと公表した。前回調査の13年(男性71・19歳、女性74・21歳)から男性は0・95歳、女性は0・58歳延び、元気に過ごせる期間は、ますます長くなった。

 健康寿命は3年ごとの数値が発表されている。厚労省は「健康で長生きが理想」として、平均寿命との差をできるだけ短くすることを目指している。16年の平均寿命との差は男性8・84歳、女性12・35歳で、縮小傾向が続いている。

 厚労省の担当者は「健康のためには栄養管理や運動習慣が大切との啓発を進めてきており、意識が高まった結果ではないか」と分析している。

 都道府県別で健康寿命が最も長いのは、男性が山梨県の73・21歳、女性は愛知県の76・32歳。最も短いのは男性が秋田県の71・21歳、女性が広島県の73・62歳だった。16年4月の熊本地震の影響で、熊本県分のデータは算出していない。

 都道府県での格差は、男性2・00歳、女性2・70歳で、10年時点(男性2・79歳、女性2・95歳)から小さくなった。

 同省の担当者は「山梨はがん検診の受診率が高く、愛知は健康づくりを推進するための市民ボランティアを養成している」と上位県の取り組みを紹介した。

 厚労省は、13年度からの10年間の健康づくり計画「健康日本21(第2次)」で、健康寿命を延ばすことを目指し、生活習慣病の死亡率低減や、喫煙・飲酒に関する数値目標も設定。専門委員会で進捗(しんちょく)状況を確認しており、16年の健康寿命は9日の会議で報告された。

 ※健康寿命

 一生のうち、寝たきりで介護が必要な状態になるなど、健康上の理由で日常生活が制限されることがない期間。3年ごとの国民生活基礎調査で「不健康」とした人の性別や年齢別の割合、人口や死亡数などから算出している。厚生労働省が2012年に10年時点の数字を公表し、健康増進施策を進める上での指標の一つとしている。

認知症患者、再入院1.5倍~機能低下などで

高齢で認知症を患っていると、退院して間もなく同じ病気やけがで再入院するリスクが約1.5倍に高まるとする調査結果を医療経済研究機構や国立がん研究センターなどのチームが発表、米国老年医学会雑誌電子版に20日掲載された。

 約180万人のデータを分析した国内初の研究で、日常生活の自立度や薬剤の種類から認知症の有無を推定し、認知症を患う27万人と認知症ではない156万人で、退院後30日以内に再入院した割合を比べた。

 股関節の骨折や脳梗塞(こうそく)、肺炎などでの再入院が目立ち、入院による身体機能の低下や退院後の服薬の難しさが原因とみられる。

(YOMIURI ONLINE 2月21日 )

医療費の伸び抑制、1位は北海道/保険者努力支援制度

厚生労働省は1月30日(火)、2018年度から本格的に実施する国民健康保険の保険者努力支援制度(都道府県分)の都道府県別獲得点(速報値)の詳細を公表した。

 年齢調整後1人当たり医療費の前年度からの改善状況を評価する指標で最も高かったのは北海道で、次いで福島、福岡の順となった。
 
 最も低かったのは山梨、次いで島根、和歌山の順だった。同日に厚労省が開催した自治体関係者らの会議で示した。

 年齢調整後1人当たり医療費の前年度からの改善状況は、14年度と15年度の都道府県別地域差指数を比較し、医療費の伸びが全国平均よりも相対的に低い都道府県を評価する指標。17都道県が評価対象となった。

(メディファクス)

介護職員の無罪確定 嬉野、胃ろう管引き抜き 佐賀地検

嬉野の養護老人ホームで2014年末、入所者の胃ろう用カテーテル(管)を引き抜いて粘膜を傷つけたとして、傷害罪に問われた介護職員を無罪とした一審佐賀地裁判決に対し、佐賀地検は25日、控訴しないことを決めた。26日午前0時で無罪が確定する。

 15年5月に鹿島署に逮捕され、保釈まで約10カ月、身柄を拘束された。裁判は長期化し、判決までに2年半かかった。今日までとても長くつらかったけれど、私がやっていないということが裁判で明らかになり、本当によかった」というコメントを出した。

 弁護側は公判で、自然に抜けた可能性などを主張した。25日の会見では、ホーム側が設置した防犯カメラの映像と、動作でカテーテルが抜けるとした担当医の見解が捜査機関の主張の軸になったと振り返り、担当医以外の医師に意見を求めることや十分な画像解析を怠ったと指摘した。その上で「思い込みからえん罪は生まれる。もっと多面的に検証できたのに、慎重な捜査に欠け、視野を狭めてしまった」と述べた。

健康保険証番号、個人ごとに 19年度から健診情報確認

厚生労働省は11月8日、健康保険証の番号を国民一人ひとりに割り当てて、健康診断の結果などを継続的にインターネット上で閲覧できるシステムを2020年度までに構築する方針を決めた。

 健康意識を高めてもらい、医療費削減につなげる狙い。新しい番号を記した保険証は19年度から順次発行し、20年7月までに切り替えを完了する。

 健康保険に加入する国内在住者ら1億人以上が対象。このため切り替えや、企業、自治体など健康保険の運営者側のシステム改修に要するコストが課題となる。

( 時事ドットコムニュース 11月8日)

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