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公務員薬剤師、初任給2万1700円増‐民間賃上げ反映し大幅増 人事院

人事院は8日、2024年度の国家公務員給与である月例給(基本給)を2.76%増、ボーナスを0.10月分引き上げるよう国会と内閣に勧告した。若年層に特に重点を置きつつ、全ての職員を対象に全俸給表を引き上げ改定し、ボーナスに当たる特別給の支給額を増額した。病院等に勤務する公務員薬剤師は医療職俸給表(二)が適用され、6年制薬剤師の初任給(2級15号俸)は24万4400円となり、昨年に比べて2万1700円の大幅アップとなった。

 国家公務員の給与勧告を行うため、全産業をカバーする全国約1万1700の民間事業所の事務・技術関係22職種の約42万人、研究員・医師等54職種の約4万人を対象とし、民間給与を調査した。

 その結果、月例給では国家公務員給与が民間給与を1人当たり平均1万1183円(2.76%)下回っており、民間給与との均衡を図るため、月例給を引き上げた。人材確保の観点等を踏まえ、30歳台後半の若年層に重点を置いて俸給を引き上げる方針。

 ボーナスは直近1年間の民間の支給状況を調査して官民比較を実施した結果、民間の支給月数が4.60カ月となったのに対し、公務員の支給月数は4.50カ月とわずかに0.10カ月分下回っていたため、昨年と同様に0.10カ月の引き上げとなった。

 公的病院に勤務する薬剤師は、栄養士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士等と共に医療職俸給表(二)が適用される。薬剤師の初任給は24万4400円となり、2万1700円の大幅アップとなった。

災害時「荷物を持ってあげること」でも助かる医ケア児・障害児家族支援 開かれなかった福祉避難所、一般の避難所ではカバーできない酸素ボンベや電源確保、介助スペース...能登半島地震を体験したソーシャルワーカーが見た現場の課題

 「どんな状況下でも、子どもの権利を中断させてはならない」。1月に能登半島地震に見舞われた石川県の医療的ケア児(医ケア児)支援センターの中本富美センター長(58)が、鹿児島市のハートピアかごしまで講演した。「支援者の自分自身も傷んでいる」と影響の大きさを明かしつつ、医ケア児の避難生活の実情や災害対策の課題を語った。要旨を紹介する。

 センターは2年前、県が金沢市の医王病院内に開設した。ソーシャルワーカーの私と医師1人が常勤する。家族会とともに医ケア児の暮らしを知ってもらう写真展や、在宅移行前に「先輩ママ」を派遣する事業などに取り組む。

 県内の医ケア児は約200人。18歳未満には、その子の状態や必要なケアを記した「災害時あんしんファイル」を作成し、病院では東日本大震災をきっかけに患者家族と避難訓練を行っていた。

 地震が起きた1月1日午後4時10分、日直で病院にいた。何が起こったのか分からず不安と恐怖を感じた。在宅の子どもたちの無事は、担当の医師らによって確認できた。

 震災後に家族会などが行ったヒアリングによると、福祉避難所は開かれず、人が集まる地域の避難所には行けない多くの人が車で過ごした。「車内のおむつ替えはスペースがなく大変だった」「荷物が多く苦労した」との声があった。避難所に身を寄せた人からは「夜中に大声を出したり、泣いたりするので他人の迷惑になる」という悩みも聞かれた。

 支援の中で強く感じたのは、どんな状況下でも「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」といった「子どもの権利」を中断させてはならないこと。災害は特別な状況を作り出す。子どもにとって当たり前の暮らしや経験が失われてしまうかもしれない。医ケア児は特に影響を受けやすい。

 地震翌日、医ケア児がいる能登地方の家族と連絡が取れないとの報告を受け、小児科医のネットワークと対応した。倒壊寸前の避難所にいると分かり、入院を調整。地域の基幹病院は機能不全に陥っており、県DMAT(災害派遣医療チーム)を通して金沢市内の病院に搬送した。酸素ボンベの残量は少なく、時間との戦いだった。全壊した自宅には戻れず、ホテルや応急住宅への入居手続きを支援。教育委員会と連携して転校手続きも進めた。

 震災を経て地域の指定避難所へ行くべきか、避難所の電源を確保できるのかなど疑問が浮き彫りになった。子どもの個別避難計画の作成も遅れている。研修会や避難訓練を通し「分からないことを分かる」必要がある。

 災害時は自助だけでなく共助も重要になる。医ケア児や障害児は専門職しか関われないとのイメージを持たれる。だが、当事者家族に一番してほしいことを聞くと「荷物を持ってもらうこと」と答えた。地域に住む子どもの一人として知ってもらい、日頃からつながりを築いておきたい。

薬剤性軽度認知障害に警鐘 睡眠薬や抗不安薬が原因に 中止の場合は睡眠指導も 「医療新世紀」

認知症の一歩手前とされる「軽度認知障害(MCI)」は、年齢不相応に物忘れがあるものの、日常生活には支障がない状態だ。その原因の一つにアルツハイマー病があるが、高齢者がよく使う睡眠薬や抗不安薬でもMCIになり得る。専門家は診療の場でよく見かける「薬剤性軽度認知障害」として注意喚起している。

 ▽原因はさまざま

 日本神経学会の診療ガイドラインによると、65歳以上の高齢者でMCIの割合は15~25%。政府が今年5月に公表した将来予測では、2025年に認知症は全国で471万人、MCIは564万人と推計されている。アルツハイマー病の原因とされる脳内の異常タンパク質に直接働きかけ、昨年12月に保険適用となった認知症治療薬の投与対象がMCIと軽度の認知症であることから、MCIが注目されている。

 MCIは「忘れっぽい」「言葉が出にくい」「物事の段取りがしにくい」などの症状が出るが、症状は比較的軽く、正常と認知症の間の状態という。

 診療ガイドラインによると、MCIから認知症に移行する割合は1年当たり5~15%、正常に戻る割合は16~41%とされている。

 MCIの原因はアルツハイマー病だけでない。米国精神医学会はほかに、前頭側頭葉変性症、レビー小体病、血管性疾患、脳損傷、パーキンソン病、医薬品の使用などを挙げている。

軽度認知障害の冊子発売 「医療新世紀」

国立長寿医療研究センターは、軽度認知障害(MCI)の解説書「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」と同簡易版、日常での実践に使える別冊「生活ノート」を発売した。

 ウェブサイトで全量を公開したが、印刷物でほしいとの要望が相次いだため紙版を製作した。

 ハンドブック(860円、送料別)はMCIの症状や治療法、適切な運動や食事、機能訓練などを紹介。生活ノート(820円、同)では身体活動や栄養などの毎日の取り組みを記録できる。

「開業医誘致に補助金」数千万円から1億円超も

医師の地域偏在が叫ばれて久しい。地域枠や専攻医のシーリングなど、若い医師を地方へと誘うべく全国レベルでも対策は行われているが、大都市への集中傾向を押しとどめることは難しい。規制的な手法が議論されたこともあるが、自由開業制を基本とする日本の医療制度では、導入へのハードルが高い。

 医師不足に悩む地方自治体も手をこまねいているわけではない。最近、活発化しているのが補助金を出し、開業医の誘致を図る自治体だ。新規開業にかかる費用への補助金は1件で1億円を超えるケースもあり、特に不足する産婦人科や小児科に診療科を限定している自治体もある。そうした各地の動きを追った。【なお、本稿は網羅的な調査ではない。また記事中の補助金には諸条件があり、詳細は当該自治体に要確認】

北海道名寄市、10月開業の内科診療所に補助

 北海道名寄市では6月定例議会で、建設中の新たな内科診療所(10月1日開業予定)への補助金計5350万円を盛り込んだ補正予算が可決され、今後具体的な手続きが進むことになる。制度について名寄市保健センターの担当者は「2017年頃に市内で(診療所の)閉院が続いたことがあり、開業医誘致条例を制定した」と話しており、今回が第1号となる。今年度までは内科に限って募集していたが、今後は診療科を限らず市内の医療体制を勘案してその都度検討するという。

 宮城県栗原市では施設整備にかかる費用として2分の1を助成。産婦人科は上限1億5000万円、小児科は上限1億円で、他に土地取得経費2000万円も補助する破格の条件を設定している。市民生活部健康推進課の担当者は、「産婦人科は市内になく、小児科は1軒あるが市域が広いため不便さもあった」と話す。2023年に制度を利用して小児科診療所が1軒開業した。静岡県湖西市も産婦人科に2分の1、1億円を上限に補助するとともに、市有地を10年間無償で貸し付けている。

社会保障給付費137兆円 コロナ対策縮小、初の減少

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は30日、年金や医療、福祉にかかった2022年度の社会保障給付費の総額は前年度比0・7%減の137兆8337億円だったと発表した。集計を始めた1950年度以降、初の減少。高齢化による膨張傾向は変わらないものの、新型コロナウイルス対策費の縮小が総額を押し下げた。

 社会保障給付費は、国民が利用した年金や医療、介護、子育て支援などに充てられた金額。税金や保険料で賄われ、利用者の自己負担額は含まれていない。1人当たりの給付費は110万3100円で前年度比2400円減った。

 分野別は、年金の55兆7908億円が全体の40・5%を占めた。次いで医療が48兆7511億円(35・4%)。介護や子育て支援、雇用対策を含む「福祉その他」は33兆2918億円(24・2%)で、うち介護は11兆2912億円だった。

 前年度からの増減を見ると、年金はおおむね横ばい。医療は1兆3306億円増えた。一方、コロナ対策で実施された子育て世帯向け現金給付や、雇用調整助成金の特例措置などが縮小されたため、福祉その他が2兆2251億円減った。

 施設整備費など個人に直接給付されない費用も含める「社会支出」は0・5%減の142兆3215億円だった。

溶連菌で妊産婦5人死亡 劇症型、昨夏以降

 突発的に発症し、致死率が3~7割と極めて高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」にかかって死亡した妊産婦が、2023年7月~24年3月に5人いたことが、日本産婦人科医会の調査で27日までに分かった。今年は全体の感染者数も過去最多を更新。妊婦が感染すると早産や死産にもつながるため、医会はマスク着用や手洗いなど基本的な対策を呼びかけている。

 溶血性レンサ球菌(溶連菌)は感染すると発熱やのどの痛みなどを引き起こし、まれに急速に進行し劇症型となる。医会によると、10年1月~20年3月は妊産婦の死亡者が計22人だったが、新型コロナウイルス禍の20年4月~23年6月は死者0人だった。翌月以降増え始め、9カ月で5人となった。新型コロナの感染状況が落ち着き、対策が緩和した影響とみられる。

 国立感染症研究所によると、劇症型溶連菌の今年の感染者数は7月14日までに1217人が報告。過去最多だった昨年の941人を既に上回っている。劇症型になるメカニズムはよく分かっていない。通常は手足などの傷口から感染するケースが目立つが、妊産婦の場合、鼻やのどからの感染例が多いという。

人食いバクテリア:致死率3割以上 人食いバクテリア 患者急増、過去最多 半年で昨年上回る 基本的な感染防止対策を

人食いバクテリア:致死率3割以上 人食いバクテリア 患者急増、過去最多 半年で昨年上回る 基本的な感染防止対策を /京都

 致死率が3割以上と極めて高く、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が今年、府内で過去にないペースで増えている。府によると、1~6月の患者者は22人で、過去最多だった2022年の16人を半年で上回った。府が注意を呼び掛けている。【久保聡】

 ◇府内1~6月22人

 府感染症情報センターによると、通常はレンサ球菌に感染しても無症状の人が多く、大半は咽頭(いんとう)炎や皮膚の感染症にとどまる。だが、まれに、細菌が存在しない血液や筋肉、脳脊髄(せきずい)液などにレンサ球菌が入るなどし、急激に症状が進行。重篤な疾患となることがあり、これがSTSSと呼ばれる。

 初期症状は喉の痛みや発熱、手足の痛みや腫れ、全身倦怠(けんたい)感、血圧低下など。病状の進行が非常に急激で、発病後数十時間以内に手足の壊死(えし)や多臓器不全を起こし、ショック状態から亡くなる人も少なくない。

 同センターによると、過去の6月末時点でのSTSSの府内の患者数は、23年6人▽22年8人▽21年7人▽20年7人――など。1年間の患者数は23年が14人、22年が最多の16人だったが、今年は6月末までで22人に上り、既に過去最多となっている。さらに7月も既に4人の患者が報告されている。

 STSSは中高年以上の患者が多く、府内の過去10年の患者は40代以上で全体の約95%を占める。ただ、24年は6月末までの22人のうち、20人は40代以上だが、10代が1人、10歳未満が1人いる。10代以下の患者の報告は珍しい。

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