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肺がん死亡率 道内男女が全国1位 高い喫煙率影響か

厚生労働省は14日、2015年の「都道府県別年齢調整死亡率」を発表した。北海道は肺がんによる死亡率で男女とも都道府県別の1位となり、いずれも2位だった10年の前回調査より悪化した。喫煙率の高い道民の生活習慣が影響したとみられる。

 年齢調整死亡率は、地域間や年次間の死亡状況を正確に比較するため、都道府県によってばらつきのある年齢構成を補正した上で、人口10万人当たり何人が死亡したかを算出する。厚労省が国勢調査に合わせて1960年から5年ごとに実施している。

 道内の肺がんによる死亡は男性が前回比2・3人減の47・8人、女性が同0・3人増の14・4人だった。13年の厚労省の国民生活基礎調査によると、道内の喫煙率は27・6%で都道府県別で全国トップ。中でも女性の喫煙率は17・8%で、全国平均より7ポイント以上高い。厚労省は「喫煙が肺がんの死亡率の高さの一因となっている」(人口動態・保健社会統計室)と分析している。

やぶ医者大賞:臼井恒仁氏と澤田弘一氏の2人に

養父市は10日、過疎地での医療に励む若手医師を表彰する第4回「やぶ医者大賞」の審査を市役所で行い、滋賀県米原市の「地域包括ケアセンターいぶき」の臼井恒仁医師(46)と、岡山県鏡野町の「鏡野町国民健康保険上齋原歯科診療所」の澤田弘一所長(50)が選ばれた、と発表した。受賞者の表彰式と講演会が8月5日、養父市広谷のビバホールで開かれる。

 「やぶ医者」は医術のつたない医師を意味するが、語源については「養父にいた名医」だとする説があり、市では2014年に創設したこの賞を通じて医師を大切にする自治体としてPRし、医師確保も目指すという。

 今年4月までに応募した4人の中から、書類選考で2人を選んだ。選考には、養父市医師会の井上正司会長ら計7人の審査員があたった。

 市の授賞理由などによると、臼井医師は岐阜大医学部卒業。「いぶき」開設当初からのスタッフで、その後沖縄県の座間味診療所に派遣された。「いぶき」に戻った後は、座間味で覚えた三線(さんしん)を演奏して患者を癒やすなどして地域医療に貢献した。

 澤田所長は岡山大歯学部卒業。歯科医としての「やぶ医者大賞」への応募は澤田さんが初めて。子どもたちの健診や夜間の保護者への教育、自らケアマネ資格を取得するなどして口腔(こうくう)と全身の総括的健康管理に努め、健康なまちづくりに尽力した。

生活保護、減額の可能性 指標に65歳以上の単身世帯水準追加案

来年度に迎える5年に1度の生活保護費の支給水準見直しに向けた議論が6日、本格化した。厚生労働省は高齢者の単身世帯の生活水準を指標に加える案を提示。長期的に保護費が下がる可能性が出てきた。保護費は抑制傾向が続いており、憲法がうたう「健康で文化的な最低限度の生活」の定義も問われる。

 6日にあった社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の生活保護基準部会。生活保護費の基本となる食費や光熱水費に充てる生活扶助について、厚労省は今回、夫婦と子ども1人のモデル世帯に加え、単身の65歳以上世帯による消費動向も調べ、支給水準を定める際の参考にする考えを示した。その結果を保護世帯全体の水準に反映させるという。

 2007年の見直し議論ではこうしたモデルを参考にし、この時の単身世帯は60歳以上とした。これを5歳引き上げる案だ。厚労省は「生活保護受給世帯の中で65歳以上の単身世帯がもっとも多い」と理由を説明した。高齢者が占める割合は増加傾向にあり、今年2月には46・7%に達した。

 これに対し、基準部会では学者らが「年金給付水準の低下に合わせて生活保護基準も低下する恐れがある」と反発した。年金には、伸び幅を物価の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」との仕組みがある。昨年末の法改正で適用されやすくなった。高齢者の収入が相対的に減れば消費も抑え気味になり、生活扶助も下がるとの懸念だ。

 そもそも生活保護費は近年、抑制が続いている。03年度に初めて0・9%引き下げられ、04年度も0・2%の減。13年度からは3年で独自の物価指数を基に計6・5%減らされた。大幅引き下げをめぐっては29都道府県の約900人が違憲だとして提訴。東京都内で1日にあった集会で、原告の女性(66)は「生活はますます苦しくなるばかり」などと訴えた。

介護状態改善すれば、事業者の報酬アップ 政府が方針

政府は30日の未来投資会議で示した新しい成長戦略「未来投資戦略2017」の素案に、介護サービス利用者の「自立支援」に取り組み、利用者の介護状態を改善させた事業者への報酬を手厚くする方針を盛り込んだ。元気な高齢者を増やし、介護費抑制につなげる狙いだ。ただ、改善の見込みのない人が利用しにくくなると懸念する声もある。

 介護サービスの公定価格である介護報酬は、一般的に利用者の介護の必要度に比例する。利用者を寝かせきりにさせている方が報酬を多くもらえ、歩行訓練などの自立支援に取り組んで利用者の状態が改善した場合には報酬が減ることもある。安倍晋三首相は昨年11月の未来投資会議で「パラダイムシフト(考え方の大転換)をおこす」と、こうした状況を改める考えを示していた。

 成長戦略の素案では、「どのような支援をすれば自立につながるか明らかにする」ため、科学的に分析するとした。介護サービスで実施したケアを事業者に詳細に記録して提供してもらい、これとリハビリデータなどを合わせたデータベースを構築。分析から効果的な支援サービスを割り出し、2021年度以降にサービスごとの報酬に反映させる方針を明記した。活用するデータは心肺機能やリハビリの効果などが念頭にある。利用者の介護状態が改善したら報酬を上積みする仕組みにする方針だ。

 これとは別に、3年に1度となる来年度の介護報酬改定では、自立支援にすでに取り組んでいる事業所への報酬を手厚くするため、新たな評価基準をつくることも盛り込んだ。

 厚生労働省はこの新たな評価基準は要介護状態の改善だけを指標とせず、多角的に判断する考えだ。具体的な仕組みづくりは、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会が担う。

 すでに自立支援に取り組んでいる事業所は歓迎する。千葉県浦安市のデイサービス「夢のみずうみ村浦安デイサービスセンター」には陶芸や木工スペース、カラオケルーム、プールなど活動拠点が点在。自由に使えることで利用者のやる気を引き出し、要介護度の維持・改善率は高いという。藤原茂代表(68)は「きちんと報酬で評価してほしい」と期待している。

肺炎、終末期は緩和ケアも…新たな指針「治療中止も選択肢」

 肺炎を繰り返して衰弱した高齢者や肺炎を併発した終末期のがん患者などについて、日本呼吸器学会は、今月改訂する成人肺炎診療ガイドライン(指針)で、抗菌薬の使用などの積極的な治療を控え、苦しみを和らげるケアへ移行することも選択肢とする。肺炎は日本人の死因の3位で影響は大きそうだ。

 国の統計では、2015年に肺炎で亡くなった人は12万人。その97%が65歳以上の高齢者だ。

 同学会の新たな指針では、患者が治療でわずかに延命できるとしても、苦痛などで充実した時間を過ごせないと複数の医師が判断した場合、人工呼吸器や抗菌薬などによる治療以外に、緩和ケアも選択肢として患者に示す。意思が確認できない場合は、家族が推定する意思を尊重し、医療チームで方針を決める。

 診療指針作成委員会委員長の長崎大学副学長、河野茂さんによると、のみ込む力が弱り、気道に細菌が入って起こる高齢者の 誤嚥ごえん 性肺炎は、抗菌薬の投与で一時的に良くなっても再発しやすい。高熱と息苦しさを繰り返し、寝たきりになることも多いという。そこで「本人が何を望んでいるかを尊重し、治療を控えて苦しみを取り除くケアを優先することも選択肢として加えた」と説明する。

 国立長寿医療研究センター病院(愛知県大府市)の終末期ケアチームの部屋に昨冬、医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、栄養士らが集まった。高齢者総合診療科医師の川嶋修司さんが、誤嚥性肺炎で入院中の80歳代の男性について「抗菌薬治療の差し控えを検討するとともに、人工栄養の補給などは行わず、苦しみをとる緩和ケアに移行します」と報告した。男性は過去に脳 梗塞こうそく を発症し、認知症もあり、寝たきりで介助が欠かせない。

 川嶋さんは、治療効果が期待できず、過度な治療が男性の苦痛を長引かせてしまうことを家族に説明し、治療の差し控えの同意を得ていた。終末期ケアチーム医師の西川満則さんも「判断に至った過程は妥当」と了承した。同病院では、緩和ケアへ移行する際、医師の独断に陥らないように、終末期ケアに通じるスタッフが手続きを確認する。

 指針改訂を西川さんは「医者には『治さなければ』というDNAが刻まれている。治療が患者本人のためにならず、やめ時でも 躊躇ちゅうちょ する場合、後押しになる」と評価する。一方、川嶋さんは「治療を差し控える場合は、本人や家族の同意を得たうえ、複数の専門家で検討する必要がある」と手続きの大切さを強調する。

「中止」手続き 患者の決定尊重
 肺炎患者への積極的な治療の差し控えという選択肢は、治療中止などを決める手順を示した厚生労働省の指針を踏まえたものだ。

 厚労省の指針は、富山県の病院で医師が入院患者の人工呼吸器を外して死なせたとして書類送検された問題を受けて、2007年にまとめられた。治療の中止などを決める際の手続きとして、〈1〉医療従事者が患者に情報提供と話し合いを行い、本人の決定を尊重する〈2〉本人の意思が不明ならば家族が推定し、できなければ患者に何が最善かを医療従事者と家族が話し合う〈3〉複数の医療従事者で判断する――などを示した。

 口から食べられなくなった高齢者への人工的な水分や栄養の補給法について、日本老年医学会が12年に発表した指針でも同様の手続きが盛り込まれている。

 老年医学会の指針作成に携わった東京大学特任教授の会田薫子さん(死生学)は「成人肺炎の指針は、安らかな最期を迎えるための医療のあり方を医療関係者や市民が考え直すきっかけになる」としつつ、「積極的な治療が適さない肺炎があるという丁寧な説明も求められる」と指摘する。 

レセプト分析、健康指導 医療費適正化へ 川崎市

川崎市は2017年度から、生活保護受給者のレセプト(診療報酬明細書)データを分析し、医療費の適正化や健康管理に活用する事業を始める。適切な健康指導を行うことで、糖尿病など生活習慣病の重症化予防を図り、複数の病院を受診する「重複受診」や必要以上に病院に通う「頻回受診」の適正化につなげる。

 市の生活保護費は近年、高止まりしており、2015年度決算で年約596億円。このうち受給者の医療費を全額公費で賄う医療扶助費は約249億円を占め、今後の高齢化の進展でさらに増える見通しだ。

 市によると、受給者の医療扶助費についてはこれまでもケースワーカーらが指導してきたが、疾病名ごとの分析はできていなかった。

 新たな事業は、受給者約3万2千人の病名や受診内容、処方薬などのレセプトデータと健康診断結果の分析を民間業者に委託。指導が必要な受給者を抽出した上で、ケースワーカーや区役所の地域みまもり支援センターの保健師らが医療機関と協力し生活改善を含めて対応していく。

 17年度予算に事業費約1200万円を計上した。市生活保護・自立支援室は「より精度の高い、疾病ごとの詳細なデータ分析によって健康管理を支援できる。健康寿命が延伸できれば、医療扶助、介護扶助を抑制することになる」としている。

 市は後発医薬品の利用や重複受診の適正化を最大限図れた場合、医療扶助費の抑制効果を年2億2500万円と見込んでいる。

たん吸引や栄養注入など必要…医療的ケア児受け入れ、8県の保育所でゼロ

たんの吸引や栄養注入などが日常的に必要な医療的ケア児の保育所での受け入れ状況について、厚生労働省が初の実態調査結果をまとめた。

 全国260か所に303人が通っていたが、8県ではゼロだった。受け入れ促進のため、同省は、ケアを担当する看護師を派遣するモデル事業を今年度始める。

 調査は昨年7月、全国の認可保育所と認定こども園を対象に実施。2015年度の受け入れ人数を調べた。受け入れの報告があった303人を都道府県別にみると、大阪(49人)、滋賀(35人)、千葉(23人)、東京(21人)の順で多かった。青森、福島、山梨、岡山、山口、徳島、佐賀、宮崎の各県は1人も受け入れていなかった。

 最多の大阪府では、大阪市など少なくとも8市町が、看護師の配置費用を補助するなどしている。同省も今年度のモデル事業で、看護師の派遣や保育士の研修受講でかかる費用などを補助し、体制作りを進める。

 幼稚園については調査が行われておらず、全体の状況はわかっていない。

 医療的ケア児の在宅医療に取り組む前田浩利・医療法人財団はるたか会理事長は、「保育所の利用を望む親子は各地にいる。看護師の配置だけでなく、緊急時に指示を出せる在宅診療医らと連携する仕組み作りも重要だ」と指摘している。

人口3割減の8808万人 65年推計、出生率1・44 1億人割れ53年、超高齢化 政府目標実現は困難

国立社会保障・人口問題研究所は10日、2065年の人口は8808万人とする「日本の将来推計人口」を公表した。15年から50年間で3割減となる。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は65年に1・44で、12年公表の前回推計(60年に1・35)から上方修正。近年の30~40代の出生率上昇を受けた。人口が1億人を割るのは53年とし、前回推計の48年より5年遅いが、政府が目標とする「60年に1億人程度」の実現は現状では困難で、少子化対策などの一層の充実が求められる。

 65年の65歳以上の割合(高齢化率)は38・4%で、15年の26・6%より増加。1人の高齢者を20~64歳の働き手1・2人(15年は2・1人)で支える計算となる。前回推計(65年に40・4%)に比べ進行はやや緩和されるものの「超高齢化」は不可避で、年金、医療保険などの社会保障制度改革も喫緊の課題となる。

 菅義偉官房長官は10日の記者会見で、「1億総活躍プラン」に掲げた子育て支援などの施策を推進すれば「合計特殊出生率や総人口の推計値はさらに上昇する」と発言。ただ識者からは「人口減少は楽観視する状況になく、抜本的な対策が必要」との指摘が出ている。

 推計人口は、国勢調査などを基におおむね5年ごとに公表。15年までの実績値などから、50年先までの出生率と死亡率について「高位」「中位」「低位」の3通りを設定し、それぞれを組み合わせて算定した。

 出生と死亡が共に「中位」で推移する標準的なケースでは、人口総数は15年の1億2709万人から53年に9924万人と1億人を割り込み、65年に8808万人まで減少する。

 65年の内訳は「0~14歳」が898万人(10・2%)、生産年齢人口の「15~64歳」は4529万人(51・4%)、「65歳以上」は3381万人(38・4%)としている。平均寿命は15年の男性80・75歳、女性86・98歳から延び続け、65年に男性84・95歳、女性91・35歳。

 合計特殊出生率は、15年の1・45が、24年(1・42)に下げ止まり、65年には1・44に。ただ人口を維持する目安とされる2・07を下回る状況は続く。

 ※将来推計人口

 国勢調査や人口動態統計などのデータから将来の出生率や死亡率、入出国者数を仮定し、これらを基に、日本の総人口や年代構成がどう変化するかを50年後まで推計する。社会保障をはじめ、政府の政策や長期計画の基礎資料として使われる。国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査に合わせて約5年ごとに見直しており、長期の合計特殊出生率、高齢化率、平均寿命の推計値などを発表。今後、都道府県別や市区町村別の推計も公表予定。

 ※合計特殊出生率

 15~49歳の女性の年齢別出生率を合計した数値で、「1人の女性が生涯に産む子どもの数」を推定する指標。1975年に2・00を割り込んでから低下傾向が続き、2005年には1・26と最低を記録した。最近は緩やかな上昇傾向にあり15年は1・45だった。人口の維持に必要とされる水準は2・07。安倍政権は、若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」を目標に掲げているが、少子化に歯止めがかからない状態は続いている。

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